概要
ここでは、かつて歌丸ジェノサイドにて記載されていたが、記事の冗長化・煩雑化を防ぐために同項から削除されてしまった部分について説明するものとする。
主な用語
プチジェノサイド・ハーフジェノサイド
プチジェノサイドと呼ばれる事象は2種類あり、
- 1.全員から一定枚数の座布団を没収する、もしくは全員の座る座布団の数を一定にするもの。
- 2.メンバーの中から2人だけ総没収するもの。
このうち2は圧倒的にブラック団の独壇場で、6代目円楽がきっかけで両隣の昇太orたい平が巻き添えになるパターンと、たい平がきっかけで円楽が巻き添えになるパターンのどちらかで、昇太がきっかけになることは少ない(皆無ではない…ハズ)。傾向としては、円楽は自分の座布団の数が2人より少ない時が多く、それに対してたい平は、状況に関係なく円楽を狙い撃ちして道連れで更地になるが、すぐさま円楽いじりで取り返す流れが多い。
他にも組み合わせは好楽&6代目円楽の圓楽一門コンビ、好楽による木久扇への一発芸振りによる発動、及び大月秩父戦争などがある。
また歌丸司会時代初期は木久蔵(当時)・たい平の落協コンビも何度かあった。これはメンバー歴の浅いたい平が初期においては声帯模写ネタ(主に鶏)を楽太郎(当時)ではなく所属団体が同じ木久蔵に振ることが多かったためである。が、後に6代目円楽と親密になったことで、歌丸ジェノサイドが定番化する頃には見られなくなった(むしろ後述の通り木久扇はブレーキ役を果たすようになる)。
ハーフジェノサイドはその通り全メンバーの半数に当たる3人が総没収され更地になる事象である。3人となるとやっぱりブラック団…かと思いきや、これは意外に少ない(昇太が加入する頃には、たい平が勘よく危険を察して円楽の巻き添えを回避するようになっていたため)。ブラック団が揃って更地になる場合は、既にたい平が更地状態で積極的に昇太を巻き込んだ場合が多いため、個々の事象としてはプチジェノサイド2のレベルという形になる。
ハーフジェノサイド発動のきっかけとして多いのが実は小遊三である。彼の下ネタが原因でそのとばっちりを受けて3人仲よく更地になることが多い(被害者は主に好楽、円楽、たい平)。というのも、問題が女性に扮して回答する内容なのにもかかわらず、小遊三が『短命』ネタで歌丸を気持ち悪がらせた後に、オカマ・外人キャバ嬢が持ちネタのたい平や、『短命』を得意演目としていた5代目圓楽の直弟子である好楽と6代目円楽が本っ当に理不尽に没収される(回答そのものを言っておらず、ただ前フリの仕草をしただけで没収される)ことが多いため。といってももちろん、他の下ネタや死にネタ、ハゲネタなんぞ朝飯前である。
この他、ブラック団がハーフジェノサイド対象になる場合として、円楽とのプチジェノサイド2狙いのたい平のネタ振りに昇太が勝手に首を突っ込んできて巻き込まれる場合がある。
プチorハーフジェノサイドは全員一斉のジェノサイドと異なり、たい平がきっかけとなる割合がぐんと増える。一方芸風的に一線を画しているためか、木久扇は自らきっかけになることも巻き添えになることも少ない。また、時間差ジェノサイドの過程でプチ2orハーフジェノサイドが発生していることも多い(詳細は後述)。このため、時間差ジェノサイドも含めると小遊三がきっかけのジェノサイドは結構多い。
時間差ジェノサイド
ジェノサイドのうち、「複数の回答を跨いで段階的に没収された結果全員の座布団がない状態になる」ケースの物がこのパターンである。発動するケースとしては、連続して1人の座布団をすべて没収する、プチジェノサイドの発展形やハーフジェノサイドの2連発によるケースがある。
プロト歌丸ジェノサイド
歌丸の回答者時代に時折発動した現象で、主に両隣の楽太郎(当時)と木久蔵(当時)のひどい回答に対し、その回答を出したメンバーを座布団の上から突き落として勝手に座布団を取り、舞台袖へ持っていく。持っていく枚数は不定で、1枚だけのこともあれば全部持っていくこともある。回答を出したのが楽太郎の場合は、たまにこん平が加勢することもある(後述の山田いじりに加え、これらも「元祖ブラック団」といわれる所以の一つ)。
歌丸ホットライン
歌丸ジェノサイド定着前に数回発動した現象で、楽太郎(当時)の司会いじりネタに対し、「後で(5代目)圓楽さんに電話しておいてやるから」と脅しめいたことを言う。これが行われたのは、歌丸の司会就任から5代目圓楽逝去の直前まで。つまり、楽太郎(6代目円楽)から師匠という重石が外れたことが歌丸ジェノサイド誕生の一因となったともいえる。これは後述のこん平やたい平からのスナイプに対する反応でもわかる。
歌丸高機動モード
歌丸ジェノサイド定着前に数回発動した現象で、楽太郎(当時)の司会いじりネタに対し、スプリント競技の選手も真っ青の勢いで司会席から飛び出し楽太郎の席めがけてすっ飛んできて、自ら座布団を没収してしまうこともある。この様に他のメンバーは唖然とし、当の楽太郎はあまりの勢いに思わず自分の席を離れ、舞台袖(山田のいる方)まで逃げ出していた。ただ歌丸は腰に持病があるため急な立ち座りは相当腰に負担がかかるらしく、この高機動モードは程なく見られなくなっている。
歌丸キャッシュバック
たい平が山田いじりネタを使った際に発動(なおこれは師匠のこん平から受け継がれた物でもある)。この際、山田は歌丸の指示を待たずに舞台袖から飛び出してきて、たい平を座布団の上から突き落としたり座っている所から無理矢理引き抜くようにして座布団を持っていってしまう。また座布団を持ってきたと思ったら、持ってきた分も含めて全部没収してしまうパターンもある。これは5代目圓楽司会時代に山田いじりネタを使った際に5代目圓楽が総没収もしくは「山田くんに任せます」と言っていたことから。しかし歌丸司会になってからは、歌丸の指示で山田が勝手に没収した座布団の数に1枚足した数の座布団を与える(ただし歌丸司会時代末期以降は勝手に没収した分が反映されない「プチキャッシュバック」というべきケースが増えている)ようになり(この際山田はたいていブツクサ文句を言う)、この呼称が生まれた。この現象は、昇太司会時代になっても受け継がれている。ちなみに第1875回では、こん平の山田いじりネタの回答に対して「この問題で一番出来がよかったから」という理由で、5代目圓楽が1枚だけ与える「圓楽プチキャッシュバック」が発動している。
なお元々のきっかけは、1992年5月10日の放送でメンバー全員が座布団10枚(達成したのは1991年12月29日の放送)の賞品として岩清水を好きなだけ飲める権利を獲得したのを放送したのだが、山田が汲んだ岩清水を途中でこぼしてしまったため(という設定で)、その代わりとして鰯を漬けた水(鰯水)を出してきたことであった。
これは、山田が5代目圓楽のお気に入りであり、その関係で座布団運びの地位を保証されていることからで、目立ちにくい裏方である座布団運びにスポットを当たらせるための要素だという。山田のクビネタも同様である。
なお歌丸も回答者時代は結構腹黒で、楽太郎orこん平が山田をいじると「山田くんに失礼だよ」と2人を窘め、そこから一層どぎついいじりネタを放つということをよくやっていた。そうしたことから、この3人を「元祖ブラック団」と称する向きもある。
歌丸ハンターチャンス・歌丸ドレイン
回答者の誰か(主に6代目円楽)が座布団没収(単独ジェノサイド含む)を食らった後、直後の回答で他のメンバーが没収されたメンバーをいじるネタをやると発動。没収され運ばれる途中の座布団の全部か一部が、回答を出したメンバーに与えられる。他に、第2284回のように司会いじりネタなどで没収を食らったメンバーの座布団の全部か一部を、司会者の裁量で他のメンバー(直前かやや前に司会ヨイショネタをやった者が多い)に与える歌丸ウインドフォール(後述)との複合型や、司会者の裁量でいじられたメンバーから没収した座布団の全部か一部を、いじったメンバーに与える歌丸スプラッシュ(後述)との複合型も多い。きっかけは主にたい平、昇太、好楽の6代目円楽に対するいじりネタだが、小遊三も経験あり。また6代目円楽が歌丸いじりネタに両隣の昇太&たい平を巻き込もうとした際に、この2人が乗らなかった場合も発動する(この場合は、第2505回のケースのように変則リザレクションとの複合型といえる)。
なお、厳密に直接円楽からの奪取ではないが、6代目円楽による歌丸いじりの後の円楽いじり(仇討ち)による座布団獲得の経験はなんと木久扇にもある。
ちなみに歌丸ドレインと称されることもあるが、「ドレイン」と「ハンターチャンス」の違いはだいたい座布団が回答者から他のメンバーに移るかその逆かである(代表例は第2263回(2011年5月1日放送)の3問目における歌丸スプラッシュとの複合型)。というのも、円楽がドレイン狙いに走る時は自分がジェノサイドされた直後で歌丸の腹の虫が収まっておらず、円楽だけが座布団なしで放置されている場合があるため(つまり、自分の座布団がない状態からやるので「ドレイン」な訳)。この場合たい平や昇太を狙い撃つと、たい平はほぼ間違いなく反撃を狙い、昇太は隣の木久扇を「それでは○○どうぞ」と振るネタで味方につけて場をアメージングゾーン化し円楽が霞むため、仕方なく小遊三や好楽を狙うことがあるが、逆にすぐに取り戻されさらに状況が悪化したことも…。なお第2379回のような「変則歌丸ドレイン」もまれに発動している。
余談だが、第1761回(2001年4月15日放送)の2問目では、木久蔵が1枚没収された直後のこん平の木久蔵いじりネタの回答による、木久蔵→こん平の圓楽ハンターチャンスが発動している。
歌丸リザレクション
6代目円楽が自分の回答に他のメンバーを巻き添えにして歌丸ジェノサイドが発動した後、以降の回答で6代目円楽以外の全員、もしくは一部メンバーが結託して6代目円楽いじりネタを使った時に発動(第2505回が代表例、第2487回など例外あり)し、6代目円楽以外の全員、もしくは回答に乗ったメンバーに座布団が与えられる。だいたいきっかけ(首謀者)はたい平だが、第2500回などでは6代目円楽自身の回答によって他全員に1枚ずつ与えられるという変則リザレクションも発動している。また、歌丸ジェノサイド発動後引き続き円楽が悪態をついている場合、他のメンバーには大した回答じゃなくても(とりあえず歌丸自身に喧嘩を売ってこなければ、というかある程度はいじってきても)さっさと座布団を与えてしまい円楽だけ孤立させるという時間差リザレクション状態になることも。
また歌丸司会最後の通常放送回となった第2514回ではゲスト出演したかつての座布団運びの1人・毒蝮三太夫が「座布団の大安売り」と称するほどの大盤振る舞いをした結果、時間と座布団が足りなかったため小遊三と好楽は無理だったものの、それ以外のメンバー4人が賞品(笑点50周年に掛けて1本50万円の高級箒と、次の収録前にそれで舞台上を掃除する権利)を獲得しており、この放送を見た6代目円楽の息子・会一太郎(三遊亭一太郎)がその様を「歌丸リザレクション」と呼称している。
歌丸ディスペル・歌丸スリーピングドッグ・歌丸スプラッシュ・歌丸ウインドフォール
回答者が座布団獲得に値する回答を出した後、余計な発言によって座布団獲得を撤回されてしまう現象のこと。場合によっては追加没収や単独ジェノサイドに発展するケースもある。変則的なケースとして、自身の回答とは関係なく余計な発言(他のメンバーの回答への便乗もあり)や言い間違いによって座布団を没収される「歌丸スリーピングドッグ(いわゆるヤブヘビ没収)」(これは回答者時代の歌丸や、昇太司会時代の三平に多く見られる)や、他のメンバーの回答や発言によるとばっちり没収「歌丸スプラッシュ」もある(これは特に昇太が食らうことが多かったが(代表例は第2244回や第2308回)、5代目圓楽司会時代にもしばしば見られた。なお巻き添えとの違いは、回答や発言をしたメンバー自身は没収されないという点である)。逆に、他のメンバーの回答や発言によって座布団をもらえる「歌丸ウインドフォール(いわゆる逆スプラッシュ、棚ぼた獲得)」といえるケースもあり(代表例は第2233回)、余計な発言で没収を食らったメンバーの座布団を他のメンバーに与える「歌丸スリーピングドッグ&ウインドフォール」とでもいうべきケースもまれに発生している(代表例は第2308回の変則ハンターチャンスともいえるケース)。また、この逆パターンとしては三波司会時代に楽太郎が「小圓遊さんの顔を描いて、危険物持ち込み禁止」というネタで座布団1枚を獲得した際、歌丸が「2枚、2枚いこう!2枚いこう」と気を良くした結果、三波に「オイ歌さんの3枚持ってけ、なんのために俺が座ってると思ってんだよ」と、逆に座布団を没収される所謂「三波ウインドフォール&スリーピングドッグ」というケースもあった。
また第2263回の3問目では、小遊三が「歌丸師匠は横浜市長の器ではありません!」→「総理大臣の器です」という司会ヨイショネタの回答で3枚獲得したが、直後に好楽が「小遊三は選挙をする顔ではありません」→「検挙されるって顔です」という回答を出し、ものの見事に小遊三の座布団獲得を撤回させたという、「間接的に歌丸ディスペルを誘発する」ケースが発生している。さらに第2240回(2010年11月7日放送)の3問目では、昇太が下ネタの回答で2枚没収されるが、歌丸が没収を言い渡す際「たい平さんの2枚持っていきなさい!あ、たい平さんじゃねぇや」と名前を間違え、それをブラック団3人がいじった結果昇太は没収する座布団の数を2枚から総没収に増やされるという(つまり、座布団没収を食らった回答者が余計な発言によって没収する数を増やされるスリーピングドッグの亜種)、「歌丸パシュート」とでもいうべきケースが発生している。一方逆のケースとして、第2187回(2009年10月25日放送)の2問目では、たい平が自分のねぶた祭りネタの回答に便乗した楽太郎ともども総没収(プチジェノサイド2)を食らうが、「お前おかしいんでねぇか!?みんな喜んでんだからよ!」と抗議した結果2枚戻るという、「セルフリザレクション」もしくは「歌丸リカバリー」とでもいうべきケースも発生している。
余談だが、第1777回(2001年8月5日放送)では1問目でこん平の楽太郎いじりネタの回答による楽太郎→こん平の圓楽スプラッシュ&ハンターチャンスが、3問目で歌丸の楽太郎いじりネタの回答による楽太郎への圓楽スプラッシュが、それぞれ発動している。
寸鉄人を刺す
カツラに関する歌丸いじりのこと。問題が老人や女性や幼児などに扮する内容の時はたいてい司会者も回答者もカツラをかぶるが、歌丸が老人男性に扮する際にカツラをかぶると相対的に髪の量が増える形になる。「それはおかしい」「必要ないんじゃない?」程度は他のメンバーも言うのだが、6代目円楽はしつこく「それおかしい、(髪の量が)増えてる。若返ってる」と引っ張るため問題の回答に入る前に没収されたりする。ひどい時には昇太&たい平が巻き添えになったり、単独ジェノサイドになったりと追加の没収が入ることもしばしば(その一方で、まれにだが座布団をもらえることもあった)。
この現象は定番化しているが、なぜかニコニコ動画ではこの現象が発生した際に「寸鉄人を刺す」というコメントが投稿されるのが定番となっている。
なお、若ハゲであることもあってかぶり物が似合い、自身もかぶり物が大好きな歌丸が司会を務めた時期の大喜利では「かぶり物(カツラを含む)が全く出ない回はないが、3問ともかぶり物が出る回はある」と言われるくらいやたらとかぶり物を出した。これが徐々にエスカレートしトンデモかぶり物(富士山・地球・墓石などの顔出しお面の類)も出てきて、6代目円楽が「いい年して…」好楽が「何だよこの番組!?」とボヤいたりしていた。小遊三も夏場に出されると「この暑いのに」と言ったことがあるが、木久扇&たい平の落協コンビは自身もこの手の物が大好きなのでノリノリでやる。…が、この2人(+たい平に煽られた円楽)が暴走した結果収拾がつかない状況になってしまい、最後に歌丸が「これやるんじゃなかった…」と後悔することもしばしば。
学級崩壊
回答者たちが好き勝手に振る舞う“学級崩壊”は昇太司会時代の害悪とされているが、実は初出は歌丸司会時代の第2215回(2010年5月9日放送)である。
問題は「動物の世界にも母の日があったら」で、「自分が何かしらの動物の母親であることを紹介→歌丸の『母の日どうでした?』に対してさらに続ける」というもの。たい平が「鶏の母なんですが」→「とっても結構(ケッコー)」というありがちな回答を出すが、そこから「とっても結構…とってもケッコ…ケッコッケッコッ…コケコッコー!」といつものように声帯模写で暴走。すぐさま1枚自主返納するが、直後に歌丸が追加で2枚没収を指示。その際、たい平は怒った鶏の鳴きまねをやりつつ舞台袖まで山田を追いかけていった(この時山田は自主返納分と追加没収分のうち1枚を持っていった)。この時点で座布団は残り3枚だったが、ここで6代目円楽が隙を突いてそこから1枚奪う→それに気づいたたい平が円楽に(なおも鳴きまねを続けながら)怒る→山田が追加没収分のもう1枚を持っていくのを、たい平がまた鳴きまねを続けながら追いかける→その隙に最後の1枚を今度は昇太が奪うという流れに。そして舞台袖から戻ってきて、本来取られずにすむはずの2枚まで取られてしまった事態に気づき呆然とするたい平を、歌丸は「世の中はね油断ができないんだから、油断をしてるあなたが悪いんだからね」と突き放す。
その直後、今度は円楽が「鳩の母でございます」→「冗談じゃございません、毎月子供たちに1500万円ずつあげてるんですよ」という回答で2枚獲得。ところが、山田が座布団を持ってきてそれを置くために円楽が席を立った隙に、たい平がそこから2枚奪い取ってしまう。
納得できない円楽がたい平に抗議するが、今度は歌丸は「いいんだよ、勘定は合ってんだから」と円楽をたしなめ、なおも「違う、僕は1枚しか取ってない」と訴える円楽に「だから1枚は昇太さんの分なんだからいいんだよ」と押さえつけにかかる。
円楽がなおも抗議しようとした瞬間、外野の小遊三が「これ学級崩壊か?」と発言。他のメンバーも含め場内に爆笑と拍手が巻き起こり、小遊三は座布団1枚を獲得した。
この背景には、談志、前田、三波の3人は回答者時代が全くなく、5代目圓楽は通算で9年間の回答者歴があったとはいえ司会就任までかなりのブランクがあり、ゆえに絶対的な支配体制をスタイルとしていた(ただ、5代目圓楽司会時代の末期は上手側の歌丸、楽太郎、こん平を中心にしばしばプチ学級崩壊的な現象が見られた)のに対し、歌丸は自身の回答者時代が長かったためかある程度メンバーの奔放な行動を許し、限度を超えた所で制裁するスタイルを取っていた(その制裁の究極形態が歌丸ジェノサイドといえる)という点がある。つまり“学級崩壊”の下地は歌丸司会時代にできたものである。
その後、司会が芸歴の浅さもあって力ずくでメンバーを抑えるのが苦手な昇太に代わったことで、これがさらに表面化・常態化してしまうのである。
ちなみに厳密には談志は回答者歴はゼロではない。前番組『金曜夜席』開始当初は大喜利では5代目圓楽が司会を担当し、談志は回答者に回っていた。ただ、昭和40年の3月に番組がスタートして、5月には圓楽が司会を返上し談志の司会になっており、『金曜夜席』が不定期番組だったこともあって、その回数は4回程度と思われる。
前田と三波については自身が落語家でないことから、落語家同士の上下関係をそれほど意識する必要がなかったという事情もある。
また、5代目圓楽は自身がいじられてもカメラの前では「こりゃ一本取られたな~」という感じで笑いながら没収するが、番組内でもネタにされているように小言・説教が多い上激昂すると日テレ関係者でも手がつけられなくなる激情家で、しかも師匠の6代目圓生の独裁者気質を受け継いでいることは当時の江戸落語家なら誰でも知っていることで、内面での恐怖政治的な支配体制はむしろ三波時代より強かった。当時、小圓遊に三波と相次ぐレギュラー出演者の急死という事態が起こり番組が危機的状況にあったことから、これを乗り切るためにスタッフも含めて統制を強める必要があったのも事実である。この圓楽に唯一意見できたのが歌丸であり、楽太郎(当時)もその庇護のおかげで奔放に振る舞うことができた(後述の楽太郎暴走事件もその一環といえる)。しかしその楽太郎→6代目円楽ですら、5代目圓楽卒業後の他の番組の笑点特集などで呼ばれた際、よく「歌丸さんは厳しい気がしますね、(5代目)圓楽さんはもっと笑いながらやっていた気がしますが」と言われるので、それに対しほぼその都度「テレビや高座でしかうちの師匠を知らない人は皆さん勘違いされてるんですね(本当はとても厳しい人です)」と語っている。事実、大喜利収録前に楽屋で好楽に稽古をつけていたところ、うまく指示通りにできないことに激怒して本気で「落語をやめたい」と考えさせるほど叱りつけたこともあった。この時はあまりの剣幕にスタッフも戸惑ったが、幸いにも歌丸の仲介で事なきを得ている。また司会就任直後の頃に、楽太郎の回答に対して公開処刑のごとくしつこく容赦ないダメ出しを繰り返して楽太郎のメンタルをバキバキに粉砕したこともあったが、この時も当時のプロデューサーと歌丸の取りなしで事なきを得たという。
一緒に女湯見る会長事件
歌丸はメンバーに奔放な言動を許している一方、自身もフリーダムなためかボチボチやらかしをする(前述の通り、回答者時代も言い間違いや余計な発言のせいで没収を食らったことがあった)。代表例は前述の第2353回だが割と頻繁にやらかしており、例えば第2254回の3問目(時代劇の用心棒になって様々な状況を挙げつつ「俺の出番だな!」と言い、歌丸の「先生、お願いします」にさらに続ける)で小遊三の「女湯が火事!俺の出番だな」という前フリに対し「先生、一生のお願い…ってありゃりゃ、『一生のお願い』じゃないよ、間違えた」と言い間違いをかました。この時小遊三には「一緒にお願いします」に聞こえたらしい。この第2254回は歌丸の言い間違いやら6代目円楽の失言やらがやたら目立った回で、1問目では木久扇の回答に歌丸が難癖をつけ、そこに外野の円楽が「みっともねーな、ジジイ同士の喧嘩」と余計なことを言って1枚没収され、さらに木久扇の次の回答にやはり円楽が余計な茶々を入れてまた1枚没収され更地になってしまう。2問目(久しぶりに再会した知人になり、歌丸の「変わったねぇ!」に面白く返すという問題)でも木久扇にいきなり「変わらないねぇ!あ、『変わらねぇな』じゃない」と言ってしまっている。この後、前述の通り昇太の回答に端を発した円楽の失言にたい平がガソリンをガロン単位でブチ込んでプチジェノサイドされたため、円楽は笑いながらも「八つ当たりだよ!」と言っていた。さらに3問目に移る時には、司会席に近いベテラン3人に「お3人の方、3問目へ参ります」若手3人に「おい!そっちの3人よく聞いてろ、おら!3問目!」と、それぞれへの態度が露骨に違っていた。
他にも第2265回では小遊三を指名しようとして「小圓遊…小圓遊さんじゃなかった」と言ってしまい、小遊三に「何十年も前に死にましたよ!」とツッコまれたりしている(歌丸によると、収録前の楽屋で小圓遊の思い出話をしていたためつい口に出てしまったらしい)。また、第2157回ではたい平の肥溜めネタの直後に小遊三を指名しようとしてうっかり「肥溜め」と言いかけ、好楽に「『肥溜め』って言ったよ!いつから名前変えたんだよ」とツッコまれたこともあった(なお歌丸はとある席にて「小遊三がドブに落ちたような顔」という表現を用いたことがある)。
この歌丸のやらかしの恩恵を一番受けているのが小遊三で、本来なら単独ジェノサイド級の下品なネタであっても自身のやらかしの直後なので座布団没収ができないことが多い。この他、昇太やたい平なども同じパターンで没収を逃れたり、逆に獲得したりなどのケースがあったが、木久扇と6代目円楽は例外。木久扇の場合は自身のやらかし後の木久扇の回答がいいと座布団を与えようとするものの、座布団を置くために席を立った木久扇が余計なことを言ってしまったりして、座布団進呈を撤回したり追加で没収したりする(いわゆる歌丸ディスペル。昇太司会時代になってからもこの傾向はあるのだが、座布団を没収されるまでには至っていない)。円楽の場合は第2353回のように没収を撤回した場合もあるものの、大抵は開き直ってそのまま没収する。
木久扇(木久蔵)ボケつぶし・黄熱病
「回答の前フリ→司会者の返し→回答の続き」の問題形式の際に発動。パターンとしては次の2通りがある。
- 1.木久扇があまりにも見え透いたダジャレの回答を出そうとした際、歌丸が返しの所で先に「○○(「やーねー」「ゴキローさん」など)ってんだろ?」などとその回答を言ってしまう。いわゆる「観客に回答を先に言われる」ネタの亜種といえる。なお、歌丸の回答者時代は席が隣同士だったこともあり、歌丸が木久蔵(当時)の回答に横槍を入れる形でこのネタをやったりしていた。また木久蔵自身もそのことをネタにして、「この人に取って嫌な人はこんな人」という問題で「私に取って嫌な人。私が答えようと思ってる答えを(先に)答えちゃうこの人(隣の歌丸を指差す)」という回答を出したことがある。
- 2.木久蔵ラーメンネタを使おうとした際に、歌丸が返しの所で本来なら「どうなりました?」や「災難でしたねぇ」などと言う所を「よかったねぇ」と言ってしまう。
なおこの「回答つぶし」は、若干異なる形で他の回答者に対しても使われることがある(6代目円楽があまりに見え透いた歌丸いじりネタを出そうとした時や、インテリ気取りの複雑な回答を出そうとした時の「誰か他にいない?」という回答つぶしなど)。その結果、座布団を没収してしまうこともある。またこのパターンは、5代目圓楽も第1851回や第1867回において、楽太郎(当時)のインテリ気取り回答に対して使ったことがある。2.のパターンも円楽や昇太の出した司会辞めるネタ・笑点辞めるネタに対して使われたことがあった。
ちなみに歌丸にはほぼ全員がガチで回答を読まれたことがあり、その際に読まれたメンバーが「黄色い○○(そのメンバーの名前)」または「黄熱病」といじられたりする(歌丸曰く「伊達に40年大喜利やってんじゃない」)。また円楽のインテリ気取りネタは歌丸を始めとする他の出演者が理解できない訳ではなく、尺を無駄に使って画面に映る時間を延ばそうとする魂胆が見え見えなので回答つぶしの対象になる。木久蔵(当時)も、第1993回で5代目圓楽の司会代行を勤めた際の「『おい、木久蔵!』『やい、木久蔵!』となどと声をかけ、木久蔵の『なんだよ?』に面白く返す」という問題で、「大企業の連結決済とそれから源泉発生主義についてはどうお思いですか?」いう楽太郎(当時)の回答に対し「連結は福島の駅でよくやってますね」楽太郎「痛いんだけど」と別の形で回答つぶしをやった。ちなみに天下の森永乳業でサラリーマンをしていた経験があり、今も事業主の顔を持つ木久扇が、連結決済について理解できない訳がないのである。
しかし最近では、木久扇も対抗策ということなのかメンバーや観客や視聴者の予測を超えた、「○○と言うと思ってるでしょ?残念でした」と言ってやや捻った回答を出すボケつぶし返しなるものを披露するようになってきている(代表例は第2635回(2018年10月28日放送)の、木久扇「そこのもう5キロも歩いてるドクロ男さん」昇太「…わ、私ですか?」木久扇「『ゴキローさん』と言うと思ってるでしょ?残念でした。ドクローさん」という回答)。ボケつぶし返しは小遊三もやっており、第2679回(2019年9月15日放送)の2問目では故郷・山梨の信玄ほうとうをネタにした時には、放蕩息子と思わせて無精(「武将」に引っ掛けたもの)になると答えている。
余談だが、5代目圓楽司会時代には木久蔵が逆に「圓楽の返しを待たず、もしくはそのきっかけが掴めないうちに回答のオチを言ってしまう」ことがたまにあり、歌丸がそれにツッコむ際に「圓楽さんにそれくらい言わせてあげないとさ、それ以外なーんの役にも立たないんだから」と口を滑らせて座布団没収(圓楽スリーピングドッグ)を食らい、腹いせに木久蔵に当たる…という流れがよく見られた。
ダーク木久扇(木久蔵)
5代目圓楽司会時代後半からいじり合戦が売りになってしまってきている『笑点』。だがその中で木久扇(木久蔵)だけは笑点の良識とでもいおうか、たとえ自分がいじられても直接やり返さないのんびり与太郎キャラを地で行っている。が、あくまでそれは世を忍ぶ仮の姿。
ひとたび彼がそのダークサイドを解放したら即大惨事、6代目円楽など今ですらひよっこと言わんばかりのどストレートに重い一撃で一気に3人ぐらいメンタルをへし折る。
一方で彼の真の恐ろしさは、普段の与太郎キャラの反動もあって、相手のメンタルの芯をピンポイントで粉砕するネタを使っても大量没収を食らうことがあまりないという点である。特に5代目圓楽司会時代にはそうでもなかったが、歌丸は木久扇が普段自分をおちょくってくる相手をバッサバッサと斬り捨てる様を、たいてい司会席からゲラゲラ笑って見ている。
もっともこれらですら表面上なことに過ぎない。実際に木久扇の言動がどれだけ緻密で計算されているかは、ダーク木久扇時の回答やそれ以外での言動を見れば分析できる。
なお、被害者に6代目円楽が入るのはほぼ自業自得である。
余談だが、このダーク木久蔵は回答者時代の歌丸に対しても、第1773回(2001年7月8日放送)の2問目の「自分の怖い物とその理由を挙げる」問題において「私、桂歌丸師匠が怖いんです」→「とても生きてるとは思えないんです」という回答で放たれたことがあり、その時は「俺生きてるよ。俺死骸で出てんのかよ」とツッコむ歌丸に対して、圓楽も「これはね主観と客観の相違でね、主観はそうだよ、ね、ちゃんと出てるつもりなんだよ。で客観するとホントにね、木久ちゃんの言う通りなんだよ」と追い打ちをかけていた。
ダーク木久扇の分析
このダーク木久扇のメンタルへし折りっぷりを分析すると以下の通りである。
- 好楽が本当に気にしているのは「仕事がないこと」ではなく「(笑点メンバーの中では最も)収入が少ないこと」
- 他のメンバー(通常時の木久扇含む)の好楽いじりや好楽の自虐ネタは主に「スケジュール帳真っ白」。しかしダーク木久扇時は「1万円札なんか見たことないんですよ!?」といった形になる。
- ただし好楽の名誉のために言っておくと、それでも落語家の中では群を抜いた高収入である(笑点メンバーはそのネームバリューによりそれだけで寄席に人が集まるため)。
- 昇太が本当に気にしているのは「結婚できないこと」ではなく「背が低いこと」
- 他のメンバー(通常時の木久扇含む)の昇太いじりや昇太の自虐ネタは主に「嫁が来ない」。だがダーク木久扇時は「牛乳を盗み飲みしていたらもっと身長が伸びてるはずです!」といった形になる。
- そもそもが笑点メンバーはどいつもこいつも嫁の尻に敷かれているため(実際、回答で「皆さん見てると結婚が幸せとは思えない」と発言したことがある)、昇太は余暇の城巡りなど独身貴族を満喫している感がある(他に、方々で「一人でいる方が好きなので結婚願望はあまりない」と発言している)。ちなみに山田も離婚歴あり。
- 三平も例外ではない、というより、彼の家庭はおおよそ結婚生活のサンプルとしては最悪。
- また、昇太はあまりにも「嫁が来ない」と笑点メンバーの前でボヤいていた結果、木久扇の事業の失敗もあって婚期を逃してしまった彼の長女・佐久子との結婚を勧められたのだが、断っている。年齢的には釣り合うし、ルックスも割といいのだが…。
- もっとも、この件は落語芸術協会と落語協会の対立関係が背景にあるため政略結婚感が否めない(昇太は芸協理事なので、落協理事の自分の娘とくっつける事で対立関係を和らげる)のも確かで、昇太が固辞している理由の一つかも知れない。
- なので「嫁が来ない」ネタは自虐でも他のメンバーからのいじりでも、がっくり肩を落とす(仕草をする)程度なのに対し、身長に関しては6代目円楽やたい平の軽めのいじりでも割と簡単に激昂し、たい平を山田ばりにクイックに突き飛ばしたり、円楽に山田とツインアタックを決めたりしている。また第2312回の若手大喜利で司会をやった際も、「隣のメンバーとハイタッチをしながら一言」という問題で「昇太!昇太!昇太!」「ほーら、ここまで届くかな?おチビちゃ~ん」と言いつつ立ち上がってハイタッチをした立川生志と2代目林家木久蔵に対し、1枚ずつ座布団を没収するという報復を行っている。
※「牛乳を盗み飲みしていたらもっと身長が伸びてるはずです!」は当動画25:44~25:56、「1万円札なんか見たことないんですよ!?」は当動画26:44~26:54を参照
- 6代目円楽は豆腐メンタル
- 木久扇にかかればだいたいワンパン。たった1発で本当に涙目になっていることが多い(後述の楽太郎暴走事件の際も、内心相当傷ついていた様子が窺える)。
- また、昇太加入から6代目円楽襲名の頃までの大喜利では、許可が出ている(と楽太郎が思い込んでいる)歌丸を除くと、やりたい放題できているのは年下で格下の昇太&たい平に対してだけなのがわかる。6代目円楽を襲名してからは小遊三や木久扇にも強気に出るようになるが、一方で後述のように自分を狙い撃ちする技術を磨いてきたたい平のことは警戒するようになっている。また昇太に対しても、彼が司会になってからは前述のように「虎視眈々と司会の座を狙っている」といういじりがあったものの、度を超すと「自分を差し置いて司会になった後輩への妬み」「見苦しい目下イジメ」と映る懸念があるため、次期司会者狙いネタは第2606回のエイプリルフール企画(2018年4月1日放送)での1日司会で(彼としては)一段落した感がある。「腹黒いとされる人間は小心者」の見本のような動きである。
- 周囲から見て臆病に見えるのも、名が売れているとはいえ先代ほどのカリスマはない6代目円楽に、5代目圓楽が残した負の遺産とも言うべき圓楽一門会(旧・落語三遊協会)の去就問題がのしかかっていることが最大の理由である。余談だが、6代目圓生が落協から離脱し圓楽一門会を立ち上げた時に、師匠に背き落協に残ったうちの1人が三遊亭好生→春風亭一柳で、そのために破門された彼を救済し「春風亭」の亭号を名乗らせたのが、昇太の師匠で当時芸協の副会長を務めていた5代目春風亭柳昇である。この「落語界全体のために団体の枠を超えて動く」という姿勢は昇太にも受け継がれており、彼は2003年3月に落協、立川流、上方落語協会の主要メンバーと共に、一緒に落語会を盛り上げることを趣旨とした団体「六人の会」を立ち上げている。
- 六人の会は、旧来の定席と縁切りした状態だった5代目圓楽を2005年5月31日の新宿末廣亭での「余一会」で27年ぶりに高座に復帰させたり、また芸協は、特に近年は立川流を離脱した立川談幸一門を入会させる、6代目円楽を客員扱いで入会させるなど融和の方針を採っており、円楽自身も福岡天神落語まつりに出演した際に落語界の統一を望んでいることを語ったりしている。
- このあたりの点では木久扇と6代目円楽は考え方が近く、どちらも噺家と言えどビジネスであるべきと考えている。円楽は圓楽一門会の団体としての弱さから門下の噺家を既存芸能事務所に所属させている。それに対し、とりあえず落協というバックが有った木久扇は自ら芸能事務所(有限会社トヨタアート。代表取締役は豊田洋=木久扇の本名)を開設している。
- 実は歌丸ジェノサイドの遠因の一つがこれだったりする。歌丸と6代目円楽だけで画面を占拠していると円楽への風当たりが強くなるため、所属団体にかかわらず一掃してしまえばそこに注目が行くため一方への肩入れ云々を言われずにすむというのがある。ハーフジェノサイドの際、小遊三(芸協)・たい平(落協)・円楽(圓楽一門会)の組み合わせが多いのもこのため。ただし「傾向」や「学級崩壊」の所にある通り、彼らが無礼・不謹慎なネタを乱発しなければ歌丸もそんな配慮をせずともすむのは言うまでもないのだが。
- たい平は危なっかしい
- たい平は当初、あまりに相手に迷惑がかかるネタの場合は、落協理事の弟子(たい平自身が理事になったのは笑点メンバーとして実績を上げてから)として木久蔵をいじっていた。だが、6代目円楽が歌丸を見習って(豆腐メンタルなのに)自分をネタに使わせるようになると、たい平が調子に乗って円楽や昇太をいじり倒すようになったので内心ヒヤヒヤしている(下手をすると芸協と圓楽一門会の双方に迷惑がかかりかねないため)。
- ただし、これはあくまで木久扇主観を前提とした推測・分析であって、たい平が本当に何も考えていない訳ではない。彼は彼で、6代目円楽を道連れに自爆した後で円楽いじりで取り返しに行くと歌丸の心証もよく会場も盛り上がると計算した上でやっている(詳細は後述の「林家"円楽スナイパー"たい平」を参照)。ただし、たい平はテンプレ化したネタをいわゆる“鉄板”にする傾向がある。これはたい平が未熟なのではなく師匠こん平のスタイルを受け継いだもので、むしろ6代目円楽襲名の頃からの彼の円楽狙撃職人ぶりは師匠を超えたと言っても過言ではない。
- なので、若手3バカが勝手に自爆する分には放っとくが(円楽は歌丸がなんとかするはずなので)、自分たち年配3人に飛び火させようとした時に状況が悪ければ自らファイアーウォールとなる(前述の秩父祭り阻止など)。もちろん、メリットがデメリットを上回る(会場の盛り上がり、放送での視聴率など)と判断した場合は遠慮なく便乗して歌丸ジェノサイドへとまっしぐらに突き進むのは言うまでもない。
- たい平は当初、あまりに相手に迷惑がかかるネタの場合は、落協理事の弟子(たい平自身が理事になったのは笑点メンバーとして実績を上げてから)として木久蔵をいじっていた。だが、6代目円楽が歌丸を見習って(豆腐メンタルなのに)自分をネタに使わせるようになると、たい平が調子に乗って円楽や昇太をいじり倒すようになったので内心ヒヤヒヤしている(下手をすると芸協と圓楽一門会の双方に迷惑がかかりかねないため)。
- 歌丸は本当はほとんど本気で怒ることはない
- むしろ自分より気が長いと思っている。なので安心していじる。
……と、このように相手の虚勢と実態を正確に見抜き、いざという時にはピンポイントで粉砕しつつ自分への返り血は最小限に抑える、というのは、まさに老獪な噺家でなければ不可能なことである。また生まれが遊郭の歌丸ともまた違った、上流家庭の生まれゆえのゆとりのある視点があってこそである。
“ダーク木久扇”意外にも、例えば木久扇だけがやる行為として「必ず挙手して名前を呼ばれるところからやってもらう(やり直すときも指名から)」というのも、日テレの編集スタッフが“抜き出し”をやる際に細切れにしなくて済むようにという配慮からだし、「誰も挙手しないと木久扇だけが手を挙げる、しかも答えができていない」のは「誰も手を上げていない所をカメラに引きで写されるとみっともないから」という理由があったりする。
もっとも木久扇と言えども人間、全て善意でやっているわけではない。実は木久扇は別に左利きでも何でもないのだが(むしろ左利きは積極的に矯正された世代)、笑点では筆記と食事(ネタ)の際以外は左利きを装っているのがわかる。が、これの理由は「左手で挙手することで、着物の袖で6代目円楽を司会席から見えにくくし、自分が指されやすくするため」と白状している。
青酸中毒・白血病・扁桃炎
いずれも木久扇ボケつぶしから派生したもの。
ボケつぶしが「黄熱病」とも揶揄されている事から、その派生としてメンバーの着物の色とそれに近い色の名前が入った病気にちなんだ呼び方になっている。
まず「青酸中毒」は、小遊三以外のメンバーが下ネタ発言をした時に表現されることがある(小遊三自身の発言でもこの表記が出る事がある)。6代目円楽(楽太郎)などの回答で見られる事が主である。
次に「白血病」は、メンバーが回答者時代の昇太のように答えを言う際に噛んでしまう事を指す。
そして「扁桃炎」は、メンバーが好楽の回答のような状態になる事を表している。
林家"円楽スナイパー"たい平
歌丸ジェノサイド頻発化の原因の一つ。元々彼は、当初から師匠のこん平のスタンスを引き継ぐ形で、楽太郎(当時)のインテリ気取りの回答や司会者いじりネタに対しそれを混ぜっ返す回答はしていた。
転機となったのは第2020回。「童謡『ぞうさん』の替え歌でメンバーを指名して前半の句で前フリをし、指名されたメンバーは後半の句を替え歌にして答える」という問題で、たい平が「♪楽さん、楽さん、圓楽継がないの?」と振ったところ楽太郎は「♪そぉ~よ、あんなーのーいーらないわー」と返し場内騒然、歌丸は「ホント失礼な」と憤慨した表情を見せ、(回答の内容はあくまでネタであり本当は襲名したくてしょうがない)楽太郎は言ってしまってから慌てて席を立ち、2回ほど扇子でたい平の頭を叩いたりして必死に否定していた。ここにたい平の"楽太郎スナイプの歴史"の幕が切って落とされた。
当初は従来からの持ちネタであるオカマ・外人キャバ嬢ネタに楽太郎を巻き込むことで巻き込みプチジェノサイドを狙ったが、すでにマンネリ化していて楽太郎が積極的に乗ってこなくなった上歌丸からの評価も芳しくないため、別のネタを模索し始める。
結果、ぼっちネタ、腹黒ネタ、濡れ衣ネタ(5代目圓楽や歌丸や富士子夫人に対する死にネタ・不謹慎ネタのでっち上げによる歌丸スプラッシュの誘発。なおこれは、こん平や回答者時代の歌丸も主に5代目圓楽の悪口ネタの形で多用して楽太郎への圓楽スプラッシュを誘発しており、特に歌丸は「回答以外での、5代目圓楽の悪口をでっち上げる発言」といった形も多かった)、圓楽襲名に関するネタ、陰険ネタ、銭ゲバネタ、没収が多い一発芸系ネタへの巻き込み、とそれまで笑点メンバーの中でも本当にやりたい放題だった6代目円楽の日頃の悪行が、全てブーメランとなることに。少し変わった所では「歌丸より先に円楽が死ぬ」というネタなんてものも。
たい平は隙あらば6代目円楽を更地にしようと虎視眈々と狙うようになり、1回の放送中でそれ狙いの回答がほぼ必ず1回は出るように。やがて円楽さえ更地にできれば構わないとばかりに、自分の方が座布団の数が多くても巻き込みプチジェノサイドを狙うようになる。問答無用で巻き込めるふなっしーネタも編み出したが、それで円楽を負傷させてしまい、それ以降歌丸はこのネタで円楽の座布団を没収しなくなったため封印となった。
また日頃の行いが行いなので他のメンバーが便乗したネタを披露し、円楽が集中砲火を浴びせられることもしばしば。この時まず真っ先に便乗してくるのが好楽であることは言うまでもない。また昇太とのコンビネーションで円楽を挟み撃ちにするパターンもよく見られた。この時は歌丸プチリザレクション(円楽いじりにより昇太&たい平が獲得、前述の第2505回のような変則型もあり)やダブルハンターチャンス(昇太&たい平で円楽の座布団山分け)が発動することもある。
そしてついには歌ネタ・声帯模写ネタ(主に打ち上げ花火)・秩父祭りネタで歌丸ジェノサイドを狙うようになる。これはたとえその時点で(歌丸ジェノサイド発動後日頃の行いに加え、ジェノサイドされた鬱憤を歌丸いじりで晴らしたり、取られる座布団がないのをいいことに歌丸に無礼・不謹慎なネタを振ったりするため、なかなか座布団をもらえない)円楽が座布団なしの状態だろうとお構いなし。一方のたい平本人は歌丸が少し落ち着きを取り戻した所で円楽をいじれば1回で数枚獲得できる。逆に歌丸をいじり続けて、円楽だけでお腹いっぱいの歌丸が座布団をよこすよう仕向けることも。
この時点で、実際彼が6代目円楽に負けず劣らず腹黒いことがわかる。歌丸司会時代は円楽の黒い歌丸いじりネタが定着していたため目立たなかったが、司会が昇太に替わったことで一気に顕在化することに。ちなみにこの当時(歌丸以外で)唯一たい平の真意を見抜いていたのが木久扇で、若手3バカで被害を留められる秩父祭りネタについては木久扇が自身や好楽&小遊三に飛び火しないよう阻止するようになった。打ち上げ花火ネタも木久扇は乗り気でないのがわかる(一方で流行り物・鳴り物系ネタは会場が盛り上がるため便乗することが多い)。
なお、前述の通り全員一斉ジェノサイドのきっかけとなった回数は6代目円楽が群を抜いて多いとされているが、たい平には“ジェノサイド発動に充分だったがその時点で既に全員座布団がなかったため発動できなかった”ことが1回、木久扇の妨害による不完全燃焼(ブラック団3人のハーフジェノサイド止まり)が2回あるため、これを加えると都合8回歌丸ジェノサイドを引き起こしうるきっかけとなったことになり、これは円楽の10回に匹敵することになる。
一方、円楽も反撃を窺うもののだいたいが自業自得のネタであるため秩父いじりぐらいしか手段がなく、下手をすると自分が座布団没収を食らってしまう。師匠加害ネタは前述の通り5代目圓楽の逝去前後に紆余曲折の後封印を余儀なくされ、また巻き込みを狙ってもたい平は逃げ出すのがうまくなり、昇太が「あっ、まずい」という反応を見せた時にはたい平は既に逃げ出した後という巧妙な回避ぶりを発揮。結局円楽自身とただの巻き添えの昇太だけが揃って総没収を食らったり、さらにはたい平が同調するふりをして逆に円楽をおちょくり、没収を免れるどころか獲得するケースまで出てきた。また絡み前提のネタでは前フリからしてほぼ自分を狙っているのが見え見え(恐妻家ネタを振るためこの時点で千華夫人ネタか富士子夫人ネタであるのは確実)なので回答自体をそのままつぶすことも。それでいてたい平自身がすでに更地の場合は円楽の巻き込みに積極的に昇太を誘い込んで2人まとめて更地にしているあたり、たい平は明らかに確信犯である。
唯一、たい平の恐妻家ぶりと昔の鹿児島での不倫騒動(錦江湾沿いのスナックで既婚者のチーママを口説いた話。たい平自身は結婚前だった)は鉄板として使い続けたが、これも2016年6月の自身の不倫騒動により、その後の放送内で司会の昇太に挨拶前に座布団総没収を食らわされるなどメンバー全員からいじり倒される事態となり、自ら「政治家も落語家も、叩けば埃が出るさ」などと自虐ネタを放ったり、座布団を獲得した際には「これ座布団っていうよりもよ、針の筵だよ」と発言するなど、特大のブーメランを食らう形でさんざんな目に遭わされるのだった。
ちなみに、これのきっかけとなった「ぞうさん」の替え歌ネタは、実はたい平の師匠・こん平の時からの因縁でもあったりする。5代目圓楽司会時代の第1762回(2001年4月22日放送)に全く同じ問題が出題され、ここでこん平が「♪楽ちゃん、楽ちゃん、師匠が嫌いなの?」と振ったのに楽太郎は「♪そー…そうよ!?」と言いかけて途中で気づき、慌てて席を立ち必死に否定していた。そしてこん平に「ダメだよこんなの!そんな振り方あるか!」と文句を言い、また「まあまあしょうがないよね。『そうよ』を入れなきゃなんないんだから」と苦笑する圓楽に対しても「ほ、本心じゃないですよ?」と弁解していた。
このことから、師匠の存在は楽太郎→6代目円楽にとって、いかに好き勝手を自重させる重石になっていたかがよくわかる。
4枠の嘆き
歌丸が回答者時代に長く位置していた4枠(司会席から見て4番目)の席順は両隣がバカ(木久扇(木久蔵))と腹黒(6代目円楽(楽太郎))であるため、歌丸はよく「よー圓楽さん、ここ並び順変えようよ~」「(両隣を指差しながら)これとこれの間だもん」と愚痴ったり回答のネタにしていた。これに対して両隣の木久蔵と楽太郎が互いの位置を入れ替えて座り、歌丸が「それじゃおんなじだよ!」とツッコむのが一つのお約束だった。歌丸が司会に移った後に4枠に座った昇太も時折「ここの隣なんとかしてくださいよ!」と訴えたり回答のネタにしたことがあり、特に第2061回ではやはり楽太郎と木久蔵が互いの位置を入れ替えて座り、「おんなじだよー!」と歌丸と同じリアクションをしている(これは実は落語の演目『三軒長屋』が元ネタになっている)。なお昇太の後の4枠である三平も控えめに「席替えしてください…」と訴えたことがあるが、こちらは幾分か事情が異なっている(詳細は後述)。その一方で5代目圓楽、歌丸、昇太と歴代の司会がこの席順の者から出ているため、第2569回(昇太が3問目飛ばしをやらかした回)の3問目(「笑点労働組合」として笑点での待遇や仕事面の改善を訴え、メンバー全員の「そうだ!」にさらに続けるという問題)では6代目円楽が三平に対して「席を替われ!俺に司会をやらせろ!」と訴える回答を出したことがある。
ちなみに楽太郎(当時)が5代目圓楽と入れ替わるように(正確には約半年の間があり、この期間は残りの歌丸、木久蔵、圓窓、こん平、小圓遊の5名で大喜利を行っていた)加入したため、この時期(1977~1979年)に楽太郎が4枠に座ったとする資料もあるが、これは5代目圓楽の色である薄紫を楽太郎が引き継ぎ、5代目圓楽の約半年後に降板した圓窓の色であるピンクを、楽太郎と同時に加入した三笑亭夢之助が引き継いだことによって生じた混同と思われ、正確にはこの時に4枠に座ったのは夢之助の方で楽太郎は3枠だった(実際に楽太郎が4枠に座っていたのは5代目圓楽司会時代初期の1985年の一時期である)。なお、この頃は割と頻繁に席順を変えておりメンバーの入れ替わりも激しく、現在のように固定化されるのは5代目圓楽司会就任後で、就任から5年ほど経った1986年にほぼ現在の形になった(ただしこの時点はピンクの桂才賀が1枠・水色の小遊三が2枠だったのだが、1988年に才賀の降板で入れ替わりに出戻りの形で入った好楽が師匠の圓楽を意識しすぎてまともに回答できないため、1992年に見かねた小遊三が席順を入れ替わったことで1枠水色・2枠ピンクとなる)。ちなみに、好楽も林家九蔵時代の1979~1980年に4枠に座っており、またこん平も、1985年の短期間ながら4枠に座ったことがある。
4枠の嘆き・三平編
三平がこの場所に座っているのが辛いのは、当初のうちは「バカ(木久扇)と腹黒(6代目円楽)に挟まれている」という歌丸・昇太のものと同じだったが、間もなく意味合いが変わってくる。
彼の加入はその発表があった瞬間分刻み視聴率が落ちたといわれるほど、当初から視聴者に嫌悪感や疑問を持たれており、それでも最初のうちはファンにはたい平や昇太の加入時の記憶もまだ新しく様子を見ようという空気もあったが、さすがに2017年に入ると“ご祝儀期間”は終わり、同年3月には11.8%の二桁割れ直前という「笑点に限ってはあり得ない」数字が出てしまった。歌丸司会時代には20%前後をキープし存在感を放っていた笑点の視聴率は昇太司会就任・三平加入以降微減が続いていたものの、7月にはストンと5ポイントほど下落していっている。
また、2018年の三遊亭好の助の師匠の好楽の初名である「林家九蔵」を襲名に対し、彼の母・海老名香葉子と兄・九代目林家正蔵が反発し横槍を入れて中止にさせた一連の騒動では、三平本人は全く関係が無いものの、海老名家(“根岸の林家一門”)はこの事件で落協の彦六一門・被害者である好楽の圓楽一門会・その圓楽一門会の当主である6代目円楽を後見している歌丸の芸協と、江戸落語界の重鎮でも特に笑点に近いメンツの顔に揃って泥を塗ってしまう。
さらにネット上であまりにも叩かれるため、「心ないネット民に憎まれてる」キャラを確立して判官贔屓的な視聴者の支持を集めようとしたが反感の方を多く買ってしまい(そもそも、この時点でテレビ視聴者の大半がネット民なので、ネット批判をネタに同情を集めようとしたら炎上商法と取られてハイエナどもがさらにガソリンを注ぎに来るのは当然なのである)、2017年から開始されたデータ放送による視聴者参加大喜利では、他のメンバーが数千枚から数万枚の座布団をもらうのに対し彼はピークでその1割程度、しかもエンディングにかけて没収されていき0枚フィニッシュという事態が1年以上続くことに。このことから「三平の座布団を減らすためにデータ放送に参加する視聴者がいるので視聴率が下げ止まった」と無理矢理ポジティブな解釈をする向きもあったりするが、下げ止まっても歌丸司会時代の水準に戻していないのではデータ放送のコスト分無駄であるし、そもそもデータ放送で双方向参加企画に参加するためには現状受信機をネットに接続する必要があるので(つまりもしかしなくてもその時点でデータ放送参加者は必然的にネット民である)、ネットでの悪評がまんま反映されるだけという結果になった。
結局彼は残念ながら家族ともども「笑点のお荷物」のイメージを払拭できないまま、2021年12月で笑点を去ることとなった。この彼の加入の失敗が招いた視聴率の下落が、後の司会者による締めの挨拶の廃止(ただしBSで放送されている「笑点 特大号」では廃止せず引き続き放送している)を始めとする番組改編(というより改悪)の引き金を引いた。
なお三平の後任として宮治が加入した事を機に約30年ぶりに席替えが行われ、木久扇は三平が座っていた4枠に移動し、宮治はたい平が座っていた6枠に座ることとなった。
ジェノサイド封じ
回答ネタ的には一部没収、場合によっては単独ジェノサイドの対象であるにもかかわらず、没収を免れるどころか座布団がもらえるケースがある。
これは、ネタにスポンサーを(肯定的に)使っている場合と、地方収録回で地元を(やはり肯定的に)使っている場合。この際、歌丸は「やらない訳にいかないんだよ」と悔しそうに言う。
ただし、日本香堂だけは取扱商品が仏具、特に線香が主力商品であることと、CM出演者(ナレーション担当)が5代目・6代目圓楽師弟であるためか、まれに没収される場合がある。
時間差圓楽ジェノサイド
楽太郎暴走事件の陰に隠れがちだが、5代目圓楽司会時代の2000年2月20日放送回の1問目で、時間差ではあるがジェノサイドが発生した。
この問題は「3」と書かれたフリップを手に「3」にちなんだ単語を面白く挙げる問題で、最初に短くヒントを言い、圓楽が「何ですか?」と返した後にその単語を出すという内容であった。
まず小遊三が「松井(秀喜)・高橋(由伸)どっちでもいい」→「三冠王」という回答で1枚獲得。
しかしその次に歌丸が、「圓楽さん、向こう岸はお花畑ですよ」→「三途の川」という回答で総没収を食らう。この時圓楽は「実のこと言うとね、もう座布団(のストック)がないんだ」と発言し(この時は全員が5枚以上だった)、歌丸は座布団を持っていく山田の頭を腹いせに扇子で叩いていた。
次にこん平は「故郷チャーザー村の駅にはありません」→「3番線ホーム」という回答を出し、圓楽も「いーなー!」と絶賛するが、歌丸が「ちょっと待って。これいいかな。(チャーザー村には)駅なんかねーじゃねーか!」とツッコんだため、こちらも総没収を食らう(いわゆる圓楽スプラッシュ。なお「チャーザー村」とは「千谷沢村」が訛った物で現在の長岡市の一部。最寄り駅は2kmほど北にある信越本線の塚山駅で、2017年以前は3番線ホームもあった)。この時こん平は歌丸に「余計なこと言って!」と文句を言っていた。
木久蔵は「あの頃森繁久彌さんは若かったね~」→「三等重役ですよ」という回答を出すが「そんなの古臭い」と言われ(木久蔵「なんでよ~」)、好楽も「自分の美しさにうっとりします」→「三面鏡」という回答を出して「何をキザなこと言って」と言われ、それぞれ総没収を食らう。ちなみに総没収を食らった木久蔵は好楽が回答を出す時に、その背後で座布団を持っていく山田に腹いせに蹴りを入れていた。
楽太郎は「時として媒概念不周延の誤謬に陥ることもある大前提小前提…」とお得意のインテリ気取り回答を出すが、途中で「山田くん全部持ってきなさい。御託を並べんなっつーの」と遮られ総没収を食らう(話の流れから「三段論法」と言いたかったと思われる)。
小遊三は座布団総没収を警戒し黙っていたが(小遊三「なんにも浮かばないんですよあたしは」)、結局回答せざるを得なくなり「うまくいくこともありゃ、ダメになることもある…」と言った所で案の定「山田くん持ってっちゃえ」と総没収を食らい(小遊三「(駄々をこねるように)まだやってない、まだ~」)、時間差ジェノサイド達成となった(話の流れから「三度目(三度目の正直・二度ある事は三度ある)」と言いたかったと思われる)。
ただ全員が更地になったのは束の間で、その直後にこん平が「あたくしはこれだけが楽しみです」→「三度の飯」という回答で1枚獲得して以降、この問題では全員が回答するたびに座布団を獲得した。またこの回は放送上座布団没収があったのは1問目だけであり、2問目・3問目は没収はなかった。
なお5代目圓楽はこのように、何かスイッチが入ったように「回答の内容にかかわらず単独ジェノサイド発動」を立て続けに行い1人ずつ更地にしていく「ジェノサイドモード」というべき状態になることがしばしばあり、5代目圓楽司会時代の隠れた名物となっていた。
円楽ジェノサイド
第2417回(2014年6月1日放送)及び第2474回(2015年7月19日放送)の、歌丸病欠で6代目円楽が司会代行をした際に発動。どちらの回も在りし日の先代や三波を彷彿とさせる独裁者(というよりもはややりたい放題の暴君)ぶりを発揮し、ダジャレ・歌ネタ・下ネタは問答無用で没収、回答を言う際に噛んでも没収。さらに好楽を「圓楽になれなかった人」呼ばわりする、昇太がいい回答を出しても「座布団が貯まりすぎてね、爺さん(歌丸)に怒られるからね」と無茶苦茶な理由をつけて没収する、隣の席が空いている(回答者の誰かが司会代行をする回は、当該メンバーの席は座布団だけが置かれた空席になっている。ただし初期は当該メンバーの席を詰める形だった)のをいいことに、いつもよりさらに派手なふなっしージャンプをしたたい平から2枚没収して自分の席に置かせる、たい平&昇太が空いている自分の席を小道具を置く「荷物置き場」にすると「それじゃもう1枚高くしといてそこ」と座布団を置かせるなど、自分の席に座布団を積み重ねさせた。そして最後には2回とも「たい平さんと昇太さんと木久扇さんと好楽さんと小遊三さんのを全部持ってって」と指示、自分の席だけ9枚で他のメンバー全員を更地にするというとんでもない状態にして終わらせた(①②)。
円楽「いいじゃねーかよ、司会者なんだから。権力ってのはこういう風に使うもんなんだよ。ジジイ戻ってきて驚くぞ~」
ちなみに読みは同じ「えんらくジェノサイド」だが、通常「圓楽ジェノサイド」と書くと5代目圓楽、「円楽ジェノサイド」と書くと6代目円楽を指す。
余談だが、第2606回のエイプリルフール企画で1日司会をした際も、代わりに自分の席に座った昇太を「元司会者」呼ばわりしたり、なんだかんだ理由をつけて座布団を与えて9枚まで増やし、最後に「いいんだよ9枚で。もし戻らされたら俺9枚から始めれば…」と真意を明かして他のメンバーから口々にツッコまれていた(たい平「腹黒ー!」三平「あっ、ずるい!そういう計画だったんだ」好楽「確信犯だよ」)。
しかし、実際には座布団が多く積み上がるとその分不安定になるので上に座るのは難しくなり、小遊三と円楽は7枚以上になると山田の補助を借りてやっと座れる状態であるため、この時の円楽は結果的に自分の体に鞭打つような形になっている。なお円楽は2018年10月に初期の肺ガンの手術を受けており、その直後の第2637回(2018年11月11日放送)では最初の挨拶で「『病み上がりで座布団のやり取りでの立ち座りがきつい』と言ったら、日本テレビの上層部が『だったら立ったり座ったりしない司会になったらいかがですか』と言ってくれた」と言って次期司会者狙いネタに持ち込んでいた。
また第1752・1753回(2001年2月11日・18日放送)では、歌丸が持病の腰部脊柱管狭窄症のため、自分の席に積み上がった座布団の上に座れずその奥に別に1枚敷いて座っており、5代目圓楽は積み上がった座布団の奥から顔だけが見える様を「鈴ヶ森(の晒し首)みたいになってる」と言って3枚没収していた。
たい平ジェノサイド(未遂)
第2121回(2008年6月29日放送)の、歌丸病欠でたい平が司会代行をした際に発動…させかけるも不発だった物である。2問目の「様々な人や物になってまず名前や職業を名乗り、たい平が『活動休止なんだって?』と訊いた後さらに続ける」という問題で、久しぶりに楽太郎(当時)に「チャラーン!こん平でーす!」→「(片手で胸を押さえて苦しそうに)たい平に毒を盛られた…」と師匠加害ネタの回答でいじられた際、楽太郎がそれまでもやりたい放題だった(問題に入る前にたい平に「(座布団を)取れるか?」「取れるかどうかの前に、(座布団ないから脚が)痛いんだ」と圧力をかけ、たい平はそれに負けて1枚与えていた。これに好楽が「こんなもんであげんのかよ!」と抗議していた)ため、さすがに頭に来たのか「山田さん!全部持ってってください!」と(単独)ジェノサイドを発動しようとするも、すぐに「あ、1枚残しといてください…」と自ら撤回し未遂に終わった。
この時のたい平は緊張からか最初のルール説明も辿々しく、昇太に「棒読みすんな!」とツッコまれる、楽太郎に圧力をかけられた後「悪い答えの時にも、(座布団を)取るかどうかはわかりません」と発言するなどめっぽう弱気になっていて、何度も「昇太あにさんからしか(座布団を)取れない…」とこぼしては昇太の回答に「うまい!」と言いつつ没収するなど理不尽な仕打ちをしていた(この時、てっきり座布団をもらえると思っていた昇太は「え~っ!?」と本気で不服そうな反応を見せ、観客からも「昇太がかわいそう」と声が上がっていた)。そのため、続く3問目(夫に不満を持つ妻になって「○○で怒ってんじゃないのよ」と言い、たい平の「じゃあなんなんだよ?」に面白く返す)では千華夫人に扮した昇太に「いつも笑点で私のことネタにするからって怒ってるんじゃないの!」→「あなたの司会はあまりにも昇太さんに冷たすぎるのよ!」と怒りの反撃の回答を食らわされて3枚与えるハメになるなど、年功序列社会における下っ端の悲哀を露呈していた。いつもの暴走ぶりはどうした(なお本人の話によると、この収録の後に鼻血が出たらしい)。
余談だが、翌週の第2122回(2008年7月6日放送)は昇太が司会代行を担当したが、こちらは若手大喜利の司会経験が豊富なこともあってかたい平とは対照的にめっぽう張り切っていて、1問目(「独り者」を上の句にした、独り者のよさを織り込んだ川柳を作る)に入る際には「いい問題じゃないですか、ちゃんと答えてくださいよちゃんと。お願いしますよ」と台本を開いて手でバシバシ叩きながら内容をメンバーに示したり、「人間って不思議ですね、これ(見台)があるとなんか強気になれるんですよ」と発言していた(楽太郎曰く「権力の象徴」)。しかしその後回答で
小遊三「独り者 結婚しないと こうなるぞ(扇子で昇太を指す)」
たい平「独り者 チビがチビチビ 手酌酒」
楽太郎「独り者 一人静かに 死んでいく」
と好き放題いじり倒され、台本を思いきり自分の膝に叩きつけて「不愉快だ!」と叫び、台本を手でバンバン叩きながら「ちゃんと答えないんだもんちゃんと、問題の意図を読んで、ちゃんと!」とマジギレするなど、この時から既にいじられキャラぶりを発揮していた。
間接的昇太ジェノサイド
第2236回(2010年10月10日放送)の3問目にて発動。
「トイレの神様のように、どんな物にも神様がいる。その神様になって歌丸にやるべきことのお告げを下し、歌丸が『すぐにやります!』と言った後さらに続ける」という問題だが、その最後で昇太が「私は大喜利の神様じゃ。舞台上をきれいにしなさい」→「私以外の座布団をきれいに取りなさい!!」という回答を出した。これに対して歌丸は軽く拍手した後「山田くん、昇太さんの命令だ。昇太さんを除いて全部取って下さい」「えー、回答者の意見を素直に聞く司会者でございます」と本当に昇太以外のメンバー全員の座布団を総没収するよう指示し、そのため昇太は「本当にやるとは思わなかった」と言わんばかりに動揺した上、締めの挨拶の所で小遊三にカツラを投げつけられ、円楽に自分の座布団を揺らされてその上から転げ落ちる(円楽には、没収が言い渡された時にも慌てて席を立った所を思いきりどつかれた)など他のメンバーから袋叩きにされていた。
さらに翌週は1問目の「『カラオケ文化の日』にちなみ、二度と行きたくないカラオケ店」という問題で、「毎回『嫁に来ないか』を歌っているのに、嫁が来ないカラオケ店」という回答を出した結果、6枚あったのが「え、なんで!?なんで!?」の抗議も空しく一気に5枚もの大量没収を食らい、1枚に減らされた。
なお正式なジェノサイドには含めないが、この時の座布団没収枚数は小遊三:4枚 好楽:3枚 木久扇:3枚 円楽:4枚 たい平:5枚の合計19枚となっている。
また、第2791回(2021年12月26日)では、この回限りで笑点を降板する三平に花を添えるために三平以外のメンバーの座布団を全て没収するという、間接的昇太ジェノサイド(というよりはほぼ昇太ジェノサイド)が発生した。その時の回答は、
昇太「三平さん、お疲れ様でした」
三平「ありがとうございます!」
昇太「山田さん、三平さん以外の人の座布団全部持ってって!」
というもので、この時の座布団没収枚数は小遊三:4枚 好楽:3枚 木久扇:8枚 円楽:2枚 たい平:6枚の合計21枚だった。ちなみに、この直後に円楽が『歌丸師匠はやらなかった』と歌丸ジェノサイドをなかった事にするような発言をしていた。
木久扇バーゲンセール
第2414回(2014年5月11日放送)及び第2473回(2015年7月12日放送)の、歌丸病欠で木久扇が司会代行をした際に発動。最初の回答なのに「一番いいと思う」とコメントする、回答にいちいち解説や評価を入れる、小遊三を指名する際「小圓遊さん」と名前を間違える、たい平を指名する際名前をど忘れして「一番向こうの方」と言う、問題で行商人に扮した円楽に「立ち姿がいいですね。1枚差し上げて」と座布団を与えて昇太に「(座布団を与える)基準がわからないよ!」とツッコまれる、座布団を与えるかどうか山田に訊く、「できそうだから」という理由で挙手していない小遊三を指名する、「ミネソタの卵売り」をフルコーラスで歌うなど天然かつ奔放すぎる司会ぶりを披露。挙げ句たい平には「流出」をテーマにした問題にちなみ「もう脳ミソ流出してますよ、全部」とツッコまれ(第2473回)、円楽が「座布団は!座布団のやり取りの番組なんだから」とツッコむと「じゃあ座布団あげて」と座布団を与え、自分がいじられても「こういうね、辛い答えが番組を引き立てる」と言って座布団を与え、座布団大安売り状態にして「面白ければいいの、テレビをご覧の皆さんの人生が賑やかになればいいの!」と発言し、この事態に戸惑ったメンバーが自主返納や不謹慎ネタや山田いじりで自ら座布団を減らそうとするまでになった。そして第2473回の締めの挨拶では「今日の司会は、日本の林家木久扇、NHKでした」と他局の名前を持ち出し、昇太に「NHKじゃない!」とツッコまれていた。この様は視聴者から「先生のいない自習室」と称されていた。この木久扇の司会代行回は2回とも通常と異なり前半の演芸コーナーを省いた大喜利だけで占められており、スタッフも木久扇のあまりの奔放さに編集に困ったものと推察される。
また第1993回で5代目圓楽の司会代行を勤めた際には、持ちネタの「いやんばか~んうふん」を取り入れた問題で歌丸を含む回答者全員にこのフリをさせ、歌丸から回答で「(芸協)会長の俺にこんなことやらせんなバカ」と文句を言われていた。
なお、木久扇は現在も若手大喜利などの司会をすることがあるが、(本家の)大喜利とは異なり、自身のキャラを踏まえつつもまだ真打ちに上がっていない若手に好き勝手を許すような進行はしていないことから、司会代行の際のハチャメチャぶりは、正式な司会ではなくすぐ回答者側に戻ることが前提の、普段の与太郎キャラを崩さないためのものと思われる(これに、木久扇自身の奔放さとレギュラーメンバーに対する甘えも加わっているのだろうが)。
さらにつけ加えるとこれらは「木久扇だからこう見える」部分も大きく、個々の事象自体は歌丸や5代目圓楽や昇太もやらかしていることがほとんどである。
余談だが、このバーゲンセールは好楽が司会代行を担当した第2207回(2010年3月14日放送)、第2415回(2014年5月18日放送)、第2477回(2015年8月9日放送)でも発動しており、特に第2477回では小遊三が好楽の席からこっそり座布団をかすめ取る一幕もあった(案の定後で取り返されていた)。そして、バーゲンセールが発生した翌週の歌丸が復帰した回では皆案の定ガッツリ没収されていたほか、特にその後の第2210回(2010年4月4日放送)では、歌丸は2問目の説明の際に「私の代わりに木久扇さんと好楽さんが大喜利の司会をやって大変悪評だった」と発言していた。
スタンドマイク撤去と復活
『笑点』では長らく、ドラマやバラエティー番組で使われるピンマイクと、落語高座で使われるスタンドマイクを併用していた。これは、ピンマイクがほとんど口からの会話の声しか拾わないのに対し、落語の演目には口以外からの打撃音や、会話を前提としたダイナミックレンジのマイクでは拾えない効果音ものまねが含まれるためである。
しかし歌丸司会就任後、間もなくスタンドマイクが撤去された。これは「ピンマイクの性能が上がったことから」としている文書もあるが、ピンマイクの性能向上とはむしろ会話集音の特性の改善のために指向性とダイナミックレンジを特化する方向であり、実際には真逆である。
『笑点』でのスタンドマイク撤去の最大の理由は山田による回答者突き飛ばしを始めとする、舞台上での回答者の悪ふざけの際に危険なため。実際にたい平が山田に突き飛ばされた際に、あやうくスタンドマイクが突き刺さりそうになったことがあった(なお直接関係はないが、第2156回の2問目では、同様にたい平が山田に突き飛ばされた際に持っていた小道具の靴が弾みで観客席の手前まで飛び、突き飛ばした山田が「もう少しで一番前のお客様に当たるところだった」と歌丸に注意されたことがある)。
ところが、それまではスタンドマイクが目印となって問題なく座布団を配置できていたが、これがなくなった結果初回発動時の翌週は間隔が狭い所では若干ではあるが端が重なり合ってしまうなど、座布団を等間隔で置くのが難しくなった。
当初は大した問題ではなかったが、その後歌丸ジェノサイドが発動するようになると、座布団の重なり合いのため運び出しに時間がかかる、逆に再度座布団を置く際の目測が困難になるといった弊害が生じた(一方で集音能力の問題の方も、スタンドマイク撤去時期は特に効果音ネタの多いたい平や木久扇が、回答の間にピンマイクを直している姿がしばしば見られた)。
このため目印も兼ねてスタンドマイクが再度配置されるようになり、以後問題なくジェノサイドが発動できるようになった。
また、この頃から山田には「舞台に対してできるだけ垂直に突き飛ばすこと」「ベテラン3人は突き飛ばさないこと」が徹底されたようである。これは、前者はスタンドマイクはピンマイク投入後千鳥配置(現状では、小遊三と好楽の間、木久扇と昇太→三平の間、円楽とたい平の間)になっているので、舞台面に対して垂直に突き飛ばせばマイクに当たりにくいこと、また舞台の奥行きが限られているため助走をつけられないことなどから、かえって斜めに突き飛ばすより安全だからである(映像を見るとわかるが、スタンドマイクが一旦撤去される前は山田は舞台袖から飛び出してきたままの勢いで回答者を突き飛ばしており、このためかなりの確率で隣のメンバーが巻き添えを食っていたが、復活後はほぼ真後ろに立ち止まってからおもむろに突き飛ばすようになっている)。後者は、木久扇が一時期腰を患い、歌丸も腰に持病があるためベテラン勢を突き飛ばすのは危険性が高いからである(それ以前を含めると、1988年の桂才賀降板・好楽復帰以降のメンバーは司会の5代目圓楽以外の全員が突き飛ばされている。なお歌丸に対しては、逃げようと向きを変えた所を正面から軽く突き飛ばすなどの配慮をしていた)。円楽も上手3人の中ではやや高齢だが、彼は筋肉質のスポーツマン体質であるため、年少だが小柄でぽっちゃり気味な昇太や骨太体型のたい平&三平と同様に扱ってもそれほど問題はない。
ちなみに復活後のスタンドマイクはフェイク(電源は入れておらず置いてあるだけ)説があるが、どうやら普段は出力側のミキサーで絞っているものの音声自体はピンマイクとは別トラックで記録はしているようである。これがわかるのが第2200回の時間差ジェノサイドで、楽太郎(当時)は小道具の柔道着を着る際に誤ってピンマイクのスイッチを切ってしまっているのがわかる。噺家の声量のおかげで会場全体には届いたものの、スタンドマイクがなければこの回答はカットせざるを得ない事態になっていた。
幻の伸介ジェノサイド
概要
問題:与三郎役の三波の「いやさお富、久しぶりだな!」に対して面白く答えるという内容で
木久蔵「あら、顔色が悪いわね、野菜を摂らにゃダメだにゃー」
楽太郎「あーら、与三郎かと思ったら与太郎じゃない」
こん平「そんなことしたらお前村中の笑い者になるよ、稲刈りするのにそんな恰好して!」
夢之助「まあ、方々で楽をなすったんだねえ、そんなに太って(実際太っていた三波へのいじり)」
小圓遊「久しぶりじゃ困るのよ、ゴミの収集は!」
歌丸「海に放り込まれたんだってねえ、それでこんなに水膨れかい(これも三波へのデブネタいじり)」
と回答者全員が三波をいじるネタの回答で座布団を没収されているが、視聴者提供の音声のみで映像が残っていないため、枚数指定で没収された木久蔵とこん平は全部没収されたのかは不明。
また当時の視聴者の証言によると、回答者が阿波踊りをして三波が「何やってんの?」と聞いた後さらに続けるという問題で、歌丸が全員に一緒にやらせて「今三波さんの死骸担いでるんですよ」と回答、怒った三波が全員の頭を次々と扇子で叩いて「こいつら全員の座布団全部取れっ‼」と当時の座布団運びの松崎真に命じたケースもあったという。
「幻」になった理由
これについては「当時ビデオテープが高価であり、一度放送するとテープの内容を消去して使い回していたため」とされる。これ自体は正しいのだが、その一方で同時期の他局のバラエティ番組は比較的残っていたりする(当時主流だった2インチVTRの価格が約10万円、現在の価格で7~80万円ぐらいと高価だったが、それでも輸入品もののVTRが100万円、現在の価値にして数百万円もしていたため、これでも安い方だった。)。
実はビデオテープが高価だった時期は、他局では番組記録のために報道用のキヤノン製スクーピックシリーズという16mmムービーカメラ(銀塩フィルム映画)を同軸カメラとして装備し記録用の映像を撮っていたのだが、日本テレビ系列だけがこれをやっていなかった。NHKもスタジオ収録番組では同軸ムービーカメラを使用していなかったが、報道では使用していた。
このことは、日本テレビ系だけが1979年に発生した三菱銀行人質事件の記録映像を自社で残すことができないという事態を招いて問題となり、急遽日本テレビ系も同軸ムービーカメラを導入した。その結果、翌年発生した静岡駅前地下街ガス爆発事故で二度目の爆発そのものを収めた“生還カメラ”の映像を残すことになった。
その後、磁気ビデオテープの価格下落とデジタル大容量メディアの台頭によって、現在は同軸ムービーカメラによる保存録画は消滅している。
余談
楽太郎暴走事件とその後日談
初の歌丸ジェノサイド発動から遡ること7年前、5代目圓楽司会時代の1999年11月7日放送回の2問目にて、さながら『楽太郎ジェノサイド』『楽太郎暴走事件』とでも呼ぶべき事態が発生していた(ある意味、これが『笑点』における学級崩壊的現象の萌芽といえる)。
「もう嬉しくて嬉しくて…」 と喜びの一言を言い、5代目圓楽の「そりゃあ結構だ」の相槌にさらに一言続けるという問題だが、「圓楽師匠が『俺の後はお前だぞ』と言ってくれたんで嬉しくて嬉しくて…」と後継者に選んでくれたことを喜ぶ内容の回答をした楽太郎(この時の楽太郎は歌丸の「楽太郎さんが笑点を辞めるってんで嬉しくて嬉しくて…(感極まったような顔)」→「はい」という回答のとばっちりで「人のことだと面白いねえ!」と総没収されていた(いわゆる圓楽スプラッシュ。楽太郎「私被害者ですよ!?」圓楽「いやもう被害者も加害者もないよ、こうなったら」)。なおこの回答は、歌丸が座布団を総没収された「圓楽さんが司会を辞めるってんで嬉しくて嬉しくて…(満面の笑顔)」→「はい」の次の回答でいわゆる天丼である)に対し、5代目圓楽はあろうことか「そりゃあ嘘だ」と問題内容にない真逆の言葉をはっきり言ってしまった。
まさかの師匠からの回答つぶしに、楽太郎は(直前の理不尽なとばっちり総没収とも相まって)相当ショックだったのか拗ねたようにそのまま退場してしまい、こん平が「おい、座布団座布団!座布団!」と楽しそうに煽ると歌丸が「よく言ってくれた!」とわざわざ舞台袖から座布団を1枚取ってきて司会席に持っていき、直後楽太郎の席に山田が堂々と座る始末。「山田くんなんかやんなさい」と回答を求められた山田はちゃっかり「ここへ座れて嬉しくて嬉しくて…」→「ずーっと座らせてください!」とポジション乗っ取りまで宣言し、座布団をもらっていた(この時山田は偉そうに「おい1枚!」と舞台袖に向かって要求し、こん平が「『おい1枚!』だって!」とツッコんでいた)。
そして直後の木久蔵の回答に、座布団運びとして出てきた楽太郎が座布団を持ってきたと思いきや持ってきた分も含めて全部没収してしまい、さらに自分の席に居座った山田はもちろん、何の関係もないはずの好楽や小遊三も次々とそれぞれの座布団の上から突き落とし、(既に総没収されていた歌丸とこん平を除く)全員の座布団をことごとく没収してしまった(好楽「あいつ八つ当たりしてますよ!」)。
さらに5代目圓楽が2問目なのにそのまま大喜利を終わらせようとするという大ポカをやらかし(結果、歌丸からもらった座布団を楽太郎に没収され、木久蔵と好楽は背後の襖をドンドン叩いて爆笑していた)、完全に収拾がつかなくなる事態に陥りながらも、改めて3問目(母親になって子供に無関心な父親を「あなた父親でしょ!」と叱り、父親役の圓楽の「うるさい!」に面白く返す)にて「まあ立ち話もなんですから座りましょ」とちゃっかり自分だけ5代目圓楽から取った座布団1枚の上に座っていた(歌丸「おめぇだけ敷いてんじゃねーよ!」こん平「おいおいおいおい!どさくさに紛れて自分だけ持ってきやがる」)楽太郎が、「あなた!弟子にとって師匠ってのは父親でしょ!」→「弟子のしつけぐらいしなさいよ!」と師匠いじりとも自虐ネタとも取れる回答を出した直後にメンバー全員からツッコミの嵐を受けながら自主返納したことで、全員更地になる形で落ち着いた。
ちなみに楽太郎が6代目円楽を襲名した過程は5代目からの「生前贈与」でもあったため、前述の回答はあながち嘘でもないといえる。
なお、5代目圓楽が2問目なのに大喜利を終わらせようとしたミスは第1752回(2001年2月11日放送)などにもあり、これらのエピソードは後に前述にもある歌丸が2問目で大喜利を終わらせようとするミスを初めてやらかした際(2008年2月10日放送の第2102回)の楽太郎の「(慌てた様子で)ちょっ、ちょっと、ちょっと待て!聞いてくれ!聞いて!聞いて。あれをね、うちの師匠がやった後ああなった(脳梗塞発症)んですよ」という発言で取り上げられた(実際に予兆だったともいう)。
これはいじりとする説がある一方、楽太郎なりの歌丸への心配だったともいわれる。実際、それを聞いた昇太&たい平は目を丸くして歌丸の方を見たが、一方で年長3人(特に好楽)は爆笑していた。なお実際には、歌丸は逝去するまで脳神経系の疾患はなかったという。
さらに昇太も、司会在任時の第2569回(2017年6月25日放送)において2問目なのに大喜利を終わらせようとするミスを犯し、ミスに気づくやいなやその場に崩れ落ちた。その上たい平からはわざわざ司会席まですっ飛んでこられて司会席の座布団を没収され、6代目円楽からは「(司会を)代われ代われ。代わってやっから」「みんなね、みんなそういう状態になって辞めてってんだから」「3問目俺がやるから」と司会交代を持ちかけられるなど好き放題いじられ、司会用の見台にしがみついて「ダメダメ…ダメ」「ダメ、(自分の席に)戻って!」と必死に抵抗していた。そして仕切り直して3問目を始めようとするが、円楽の指摘でたい平がちゃっかり司会席から持っていった座布団に座っているのに気づき、「ちょっと待った、色違う奴(座布団)敷いてるじゃないか。たい平さん、戻して!」と言ってなんとか座布団を取り戻した。
これを見ると、ミスに気づいた時のリアクションにも各自の個性が出ているといえる。
昇太:「やっちまったー」と言わんばかりにその場に盛大に崩れ落ちた上、円楽&たい平に好き放題いじり倒された後やっとの思いで仕切り直す
歌丸:苦笑いしつつ「人間というのはね、必ずミスという物があるものなの」と冷静に仕切り直すが、楽太郎に「え?でもwww」とツッコまれ「うるさいっ!」と怒る
圓楽:メンバーからツッコまれつつ「いいじゃない、こんなぁwwwここが笑点のいいとこなんだよ、ねwww」と照れ笑いしつつ仕切り直す
引き継がれる伝統、移りゆく時代
昇太ジェノサイド、発動!!
司会が春風亭昇太に交代してから1年3か月後の2017年8月13日放送回では、「『○○やっちゃ○○やっちゃ♪』と言いながら阿波踊りを踊り、昇太が『ヨイヨイヨイヨイ♪』と言った後さらに続ける」という問題でたい平の「結婚できなくて1人で死んでくやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ♪」の回答にメンバー全員が便乗して「独身、独身、独身、独身♪きれいなかみさんもらってみろよ♪」などと踊り出した結果、腹に据えかねた昇太が「山田さーん!山田さーん!ぜ、全員の全部持ってって!みんな持ってって!」と歌丸勇退回以来の全員の座布団総没収を敢行し(この時三平は「えらいこっちゃ!持ってかれちゃった!」と驚いていた)、その際も全員で「えらいこっちゃえらいこっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ♪」と踊りながらドタバタの末に徳島県での大喜利に幕を降ろした(その際最後に好楽が一人残り、正座してから「どうもありがとうございました」と挨拶をして観客の歓声に応える神対応ぶりを見せた)。ちなみに前述の通り、この放送のちょうど11年前の2006年8月13日放送回が、記念すべき初の歌丸ジェノサイドだった。また、2019年6月30日放送回(第2669回)では、歌丸師匠の1周忌にまつわる大喜利が行われた中で、よりにもよって歌丸ジェノサイドを題材にした2問目にて通算2回目、令和に改元してからは初の昇太ジェノサイドが発動した。
そしてこれが先代から受け継いだ『(司会者としての)昇太ジェノサイド(一部では「イッツ昇太イム」という表現もあった)』の幕開けとなった。ちなみにこれについては、全員総没収は歌丸ジェノサイドより発動頻度が低いと考えられることから、以下のような呼称も一部で考案されている。
- 一人に対して総没収or複数から一定数没収=昇太イム
- 複数に対して総没収or全員から一定数没収=スーパー昇太イム
- 全員から総没収=グレートorアルティメット昇太イム
(上記イラストの2枚目を参照)
座布団没収枚数
小遊三 | 好楽 | 木久扇 | 三平 | 円楽 | たい平 |
---|---|---|---|---|---|
3枚 | 7枚 | 3枚 | 5枚 | 7枚 | 2枚 |
合計27枚
特殊例のジェノサイド
第2055回
時間差ジェノサイド。2007年3月4日放送。
この日の2問目(グルメリポーターになり、熱々の物を「熱い!熱い!」と言いながら食べて歌丸の「大丈夫?」に面白く答える)で木久蔵(当時)が「今日は私静かな静かな宇治の里で憩っております」という言い間違いを好楽に「どういう状態?憩ってるって??」とツッコまれた後、「私はこの静かな宇治の里に来ております。ただ今よりこちらの玉露を頂戴いたします。あちあちあち!」→木久蔵「ぎょくろうさま(師匠である林家彦六の口癖のものまね)」
これにより木久蔵に残っていた最後の1枚が(歌丸曰く)罰として没収され、3問目でも1枚も獲得できなかった。続く3問目で、
問題:回答者が冬眠から覚めた熊になり、村人役の歌丸からの「よく寝たかね?」という質問に面白く答える。
たい平「あ!そうだ!友達も起こしてやんなきゃ!コケコッコー!(鶏の鳴きまねをして木久蔵にも振る)」
昇太「僕くまのプーさん。あんたハゲのじーさん」
楽太郎「うるせえな、俺は寝起きが悪いんだ!やるかジジイ!」
好楽「あー、今年から布団とベッドを丸八(当時のスポンサーが丸八真綿だった)にしたから」
この4人は以上の回答で一発総没収だったが、小遊三は、
「いやー、腹減った~。(歌丸に咬みつこうとして)まずそうだからよそう」
「正月いっぺん目覚まして箱根駅伝見たんだけど、あの順天堂の今井の5人抜きはすごかったなー、って熊がこんなこと言うかよ」
「冬眠前に睡眠薬と間違えてバイアグラ飲んじゃったからよー!やるかババア?」
といった回答で3回に分けて全ての座布団が没収され、時間差ジェノサイド達成となった。
ちなみに、楽太郎は直前の昇太の回答を受けて「(ブラック団の)団長が責任取るから」と挙手し、自身の回答で昇太と2人まとめて総没収を食らうという形だった(いわゆるプチジェノサイド)。また、先々週の2問目にたい平の打ち上げ花火の音まねに便乗して総没収を食らい、そのまま獲得できず0枚で終了したが、その翌週では楽太郎だけがいい回答が出ても何故か歌丸が決して座布団を与えず、1人だけ開始から終了までずっと座布団なしだったため、これを含めて3週連続で0枚フィニッシュとなった。
第2080回
時間差ジェノサイド。2007年9月2日放送。
この日は2問目で「2つの仕草の違い」というテーマで、歌丸が「どこが違うの?」と聞いた後さらに続ける。
木久蔵「これが、ウイスキーを飲んでいるところ。これが、日本酒を飲んでいるところ」→「(泥酔してる演技)うるせーんだバカヤロー!」
昇太「これが、弁当箱を開けたところ。これが、玉手箱を開けたところ」→「玉手箱は開けるとおじいさんになるんですよね。(歌丸に対して)開けたろ?」
これで2人とも総没収。続く3問目で、
問題:シンデレラになり、ガラスの靴を手にした王子役の歌丸のプロポーズに面白く答える。
楽太郎「ハニカミ王子ならいいけど、ハゲかけ王子じゃない!」
たい平「私はシンデレラ、あなたはシンデルラ!」
小遊三「その持ってるの、靴じゃなくて溲瓶よ!」
好楽「このルミ子、年下の男じゃなきゃダメ」
でそれぞれ座布団総没収、時間差ジェノサイド達成。
第2133回
時間差ジェノサイド。2008年9月28日放送。初代木久蔵が木久扇を襲名して最初の事例。この日は先週の回での一件(3問目の「警察官になって交通ルール違反のドライバーを呼び止め、ドライバー役の歌丸の『見逃して下さいよ』に面白く返す」という問題で、楽太郎が「そこに車止めない!邪魔だ、車止めない!」→「どきなさい!今歌丸の霊柩車が出るんだから」という回答を出して1枚没収されている)で歌丸がフラストレーションを溜めており、楽太郎と何度か「機嫌悪い?」「悪いよー!」とやり取りしていた。
問題:ご飯のおかわりを催促する歌丸に対し、主婦になって何か返す。
最初に楽太郎の「あんたがお代わり!」という回答で、歌丸は座布団こそ取らなかったもののますますフラストレーションを溜め、その後の
楽太郎「はい、大盛りにしてよーく叩いて、お箸立てて(一膳飯を作る仕草)」
昇太「おかわりおかわりって、栄養が骨と皮ばかりで、肉と毛に行かないんだからぁ」
木久扇「あーら、もう10杯目よ?10杯のー♪ご飯からー♪恋の花咲く…」
小遊三「おかわりが欲しいんなら、女王様とお呼び!」
この4人の以上の回答で、それぞれ一発総没収。好楽も、
「たくさんおかわりしなさい。あなた、お変わりはないですかー♪ラララララー♪」
「まあ豪快な食べっぷり。その豪快な食べっぷりに、秋田こまちのあたしはひ・と・め・ぼ・れ♡」
という回答で2回に渡って没収され更地になる。
この時点で唯一座布団を残していたたい平は、ただ1人答えを出し渋っていたので無理矢理指名され、「あんたが初めてよ!?木久蔵ラーメンおかわりするのなんて!!」と回答した後座布団を自主返納して、これで時間差ジェノサイド達成、全員更地と化す。
その後好楽と楽太郎が座布団を1枚ずつ獲得したが、最後に歌丸は「本当は私は今日は機嫌が悪くないんです。機嫌がよかったんです。もっともっといい答えを期待していたんですけれども、あんまりいい答えが出なかったようです」と言って2人から座布団を没収し(楽太郎「ちょっ…!」好楽「なんだよ!取るのかよ、これ!」)、結局更地に戻った所で締められた。
第2188回
時間差ジェノサイド。2009年11月1日放送。青森での収録。
問題:「笑点お笑い窃盗団シリーズ」の一つで、窃盗団のメンバーになって「地元(その回の収録地、この回は青森)の様々な名産名物を盗んできた」と窃盗団の親分に報告し、親分役の歌丸の「でかした!」に面白く続ける。
この問題でまず木久扇が、
「青森名産干しイカを盗んでめいりやした!」という前フリで歌丸に「『これ欲しいか?』ってんだろ」と回答つぶしを食らい、「違う。全然違う」と否定した後「この干しイカ欲しいか…」という回答を出して「何が違うんだよ!」と総没収を食らう。続いて楽太郎が、
「らしくない。一緒にやろう(直前のたい平の「親分!文豪太宰治が生まれた生家を盗んでめいりやした」→「いやぁこんなことやってるようじゃ『人間失格』ですぜ」という回答を踏まえてたい平に振る)。親分!青森行ってねぶたを盗んでめいりやした」→「じゃあ皆さんご一緒に!ラッセーラー、ラッセーラ!ラッセ!ラッセ!ラッセーラ!(たい平と一緒にねぶた祭りのハネトのものまね)」
という回答で2人まとめて総没収を食らう(いわゆるプチジェノサイド。またこの時たい平は、昇太ばりに没収を予見し座布団を抱え込んで抵抗していた)。さらにその後、
昇太「親分!斜陽館に行って『走れメロス』の原稿を盗んでめいりやした!」→「走ったんでもうメロメロッス!」
好楽「親分!浅虫温泉の宿泊客から金を盗んでめいりやした」→「あさむし前(『朝飯前』と掛けてる)のこってすよ」
小遊三「親分!恐山行ってイタコ盗んでめいりやした!」→「俺が昔イタコだったころ妹はタラコだった。親父はスジコでお袋は数の子で…わっかんねーだろうなぁ(松鶴家千とせのものまね)」
でそれぞれ座布団総没収、時間差ジェノサイド達成。
また山田は好楽の席から座布団を持っていく際、直前の昇太の分と合わせて8枚を一度に運ぼうとしたため重くてなかなか持ち上げられず、その様を見た歌丸が「もう山田も長いことねーなぁ、あれもな」と発言していた。
第2200回
時間差ジェノサイド。2010年1月24日放送。
この日は1問目(まず二番目に好きな物を挙げ、歌丸の「じゃあ一番は?」の問いに一番好きな物を挙げるという内容)でたい平が、
「僕がデパートで二番目に好きな場所は屋上です」→「地下です。ちか(妻の田鹿千華と掛けてる)が大好きです!!ちか…」
という回答で座布団を総没収され、そのままこの回では獲得できずじまいとなる。その後3問目で、
問題:柔道の寒稽古という設定で、対戦相手役の歌丸が「だーっ!」などと叫んだ後に何か返す。
楽太郎「やるかジジイ!」
木久扇「勝とうと思ってるな?そうはいかない、イカのキンタマ」
小遊三「袈裟固めでいくぞ!今朝、硬めのが出たからな!」
好楽「ヘイ、柔道、ララララー♪(『ヘイ・ジュード』と掛けてる)」
でそれぞれ座布団総没収、以下に挙げた昇太の総没収と合わせて時間差ジェノサイド達成。
ちなみに昇太は、楽太郎の
楽太郎「もっと稽古にはげめ、はげめ、はげめ!はげめー!」
歌丸「…」
という回答を受けての
楽太郎「『一生懸命稽古やりましょうね』ってのを『励め』って言ってるんですよ」
たい平「『ハゲめ』(「ハ」にアクセント)じゃないんですね?」
楽太郎「それは違う!それは『ハゲめ』(「ハ」にアクセント)でしょ?」
昇太「『ハゲめ』(「ハ」にアクセント)じゃないんだ!『ハゲめ』(「ゲ」にアクセント)!あ、『ハゲめ』(「ゲ」にアクセント)」
という発言で総没収となり(いわゆる歌丸スリーピングドッグ(先述)。しかもこの時「昇太のみんな持ってきなさい」と呼び捨てにされていた)、結局昇太はこの問題ではその後一度も指名されなかった。
第2230回
時間差ジェノサイド。2010年8月22日放送。
問題:お坊さんになって木魚を叩きながら何かぼやき、仲間のお坊さん役の歌丸が「気にすんなよ」と言った後さらに続ける。
昇太「あー、ブラジル旅行なんて行かなきゃよかった」→「いやー、木魚がね、サンバのリズムになっちゃうんですよ」
という回答で木魚を連打し、釣られた木久扇とたい平もろとも総没収される。
ちなみに昇太はこの後「いやー、私は修行の身。生涯独り者かも知れないなー」→「玉置浩二なんて、俺と同い年なのに4度めに挑戦しようとしてるんだよ!」という自虐ネタで1枚獲得するが、その後の「あー、袈裟と数珠をどっかに忘れてきてしまった」→「気がついたのがね、ケサ(袈裟)のジューズ(数珠)頃だったんだよねー」というダジャレの回答で結局没収される。その後、
小遊三「あー、観音様を磨くのは本当に恐れ入る」→「弁天様なら隅から隅まで熱が入る!」
好楽「坊さんになると一生食えると言ったのにな~」→「落語覚えられないんだから、お経なんか覚えられる訳ねえや」
円楽「あー、檀家の椎名さんのお盆に行ったが、歌丸さんの葬式も寂しかったのう」→「メンバーも弟子も来なかった」
以上の回答でそれぞれ座布団総没収、時間差ジェノサイド達成となった。
第2401回
時間差ジェノサイド。2014年2月9日放送。
問題:2月9日で「肉の日」の語呂合わせにちなみ、小道具のマンガ肉を持って一言。歌丸が「どうしたの?」と聞いた後さらに続ける。
木久扇「おいしそうな燻製のできあがりだ」→「食べてくんせい」で2枚没収されたのを皮切りに、
昇太「いやぁ、原始時代って暇なんだなぁ」→「マンモスの肉喰う以外まんもすることがねえや」歌丸「くだらねえシャレだよ」
たい平「髪の乱れに手をやれば♪」→「憎(肉)や~♪ありがと」
円楽「(肉を前に置き)かわいそうだ…かわいそうだよぉ!かわいそう…」→「歌丸師匠生焼け…」歌丸「円楽さん、帰ってもいいよ!」
小遊三「ちゃんとした答え言わなきゃ。ちょっと貸して(好楽の持っていた肉を借り、自分のと合わせて共に骨が前を向くよう胸の前に並べて巨乳に見立てる)」→「叶姉妹」歌丸「少しはケツとオッパイから離れてよ~!」
でそれぞれ座布団を総没収されていき、最後は木久扇の「なんでも記念日を作りゃいいってもんじゃねえんだよ」→「2月の9日だから肉の日だと?だから圓生さん、あんたの弟子は仲がよくない。ウケねーじゃねーか!」で同様に総没収される。
この時点では好楽のみ1枚残っていたが、次の3問目(ソチ五輪に時代劇で悪徳商人と悪代官のやり取りによく出る「そちもワルよのう」を掛け、悪徳商人になってオリンピックでの悪行を報告する。悪代官役の歌丸が「そちもワルよのう」と言った後さらに続ける)にて小遊三が「お代官様、開会式の万国旗を全部引っこ抜いてまいりました」→「はた(旗と傍を掛けてる)迷惑とも思いません」と回答した直後、「目立ってしょうがないから」という理由で何もしてないのに没収されてしまい(好楽「なんでだよ!くれるのかと思ったよ!」)、時間差ジェノサイド達成となった。
第2487回
ハーフジェノサイド×2。2015年10月25日放送。
問題:この年のラグビーW杯で日本代表が南アフリカを破り世界をあっと驚かせたことにちなみ、両隣のメンバーと3人でラグビーのようにスクラムを組んで何か言い、歌丸が「頑張れー!」と声を掛けた後さらに続ける。
円楽が昇太&たい平とスクラムを組み、「司会者がなんだ!コノヤロー!」→「このスクラムを壊して、3人の座布団を取れるものなら取ってみろ!」と挑発的(?)な回答をした。その結果、3人とも座布団を総没収された(その際、円楽は「取れるものなら、取れたか」と発言、また歌丸は「(座布団運びなら)山田くんよりも愛楽さんの方がいいな」と言った)。次の回答でたい平が昇太&円楽とスクラムを組んで、「私たち、スクラムハーフじゃなくて、スクラムニューハーフよ~」円楽「バカじゃないの?」たい平「そうよね?昇子」昇太「違うわよもう~」たい平「楽子もそうよね?」とオカマネタを使い、歌丸が「山田くん、3人の着物脱がせなさい」と指示した(もちろん実行はしなかったが、この時点で3人とも座布団がなかったためその代わりということらしい。なお三波司会時代は、取れる座布団がない時は「羽織を脱いで帰っていい」と言ったことがあったらしい。さらに2018年2月18日放送の第2600回では、もう取られる座布団がないのをいいことに司会の昇太をいじる回答を出した三平に対して昇太は「後ろに一歩下がって」と指示、結果三平は山田から「(座布団運びの)邪魔です」と言われていた。これに好楽は「その手があったのか…」と驚いていたほか、番組の公式ホームページではこれを「笑点史上初の出来事!?」と紹介していた)のを挟み、その次の好楽の「(全員でスクラムを組んで)さあ、笑点50周年に向かって頑張るぞー!」→「あ、でもダメだ、1人浮いてる奴がいる(膝立ちになり円楽を睨みつける)」という6代目円楽いじりのような回答に対し、円楽が報復とばかりに「向こうの3人(小遊三、好楽、木久扇の座布団を)取ったら?」と歌丸に言い、これに歌丸が「ご期待に応えて3人(の座布団全部)取ってくれ」と指示して、時間差ジェノサイド達成となった(この時円楽は「連帯責任だ」とつぶやいたほか、小遊三は「余計なことしやがって」といった感じで好楽を小突いていた)。
なおこの回のハーフジェノサイド×2が、2024年時点における最後の時間差ジェノサイドでもある。