VIPER-GTS
ばいぱーじーてぃーえす
PCゲーム
『有限会社サイレンス』のアダルトゲームブランド『ソニア(Sogna)』より発売された『VIPER』シリーズ、その第一作『VIPER V6』(1993年6月25日発売)に収録された三本のシナリオの一つ『悪魔が来たりて…』が人気を集め、その続編として発表されたのが『VIPER -GTS- 悪魔は再び』(1994年11月25日発売)。
シナリオはP.ウォリアー(『有限会社サイレンス』代表(当時))、キャラクターデザインはささやん(佐々木政勝の別名義)。
メインヒロインたるカレラはシリーズ全体の人気を牽引する看板ヒロインのひとりであり、ソニアブランドそのものを象徴するアイコンとして頻繁に登用された。カレラを操作する横スクロールシューティング『VIPER STG』が『VIPER DIGITAL MUSEUM』(1998年8月28日発売)に、OVA版のデザイン(後述)でリメイクされた『悪魔が来たりて』が『VIPER -V6- R』(2003年3月20日発売)に収録されているほか、『VIPER』シリーズ中で『歴代キャラクター競演』という趣旨の企画には概ね登場している。
関連商品
OVA
OVA VIPER -GTS- 悪魔召姦篇(2002年12月24日)
OVA VIPER -GTS- 悪魔交輪篇(2003年7月25日)
OVA VIPER -GTS- 悪魔娼天篇(2003年9月25日)
…の全三話。内容は『VIPER LIMITED』の一部と『悪魔が来たりて…』・『悪魔は再び』までの流れにラティ(後述)を参加させる形で再構成したオリジナルストーリー。原作P.ウォリアー、監督はおーばりまさみ。
原作つきのOVAが原作とかけ離れた形に仕上がることはある程度避けられないことであるが、本作の場合は諸般の都合()によりキャラクターデザインが大幅に変更されており(ハマザキケンイチが担当)、古参のファンには『別物』という印象を強く与える結果となっている。
が、デザインやストーリーが破綻しているわけではなく、OVAとしての品質にも特に問題があるわけではない(むしろ高い部類に入る)。
特に海外市場ではゲームよりOVAの方が浸透しており、pixivでも海外ユーザーによる投稿作品はOVA版のデザインに準じたものが多く、またGTS以外の作品をモチーフとした作品にも『GTS』のタグがつけられているケースもある。
『VIPER V6』収録『悪魔が来たりて…』
いじめられっこの小川君が、復讐のために悪魔を召喚。しかし彼の前に現れた悪魔は、予想に反して絶世の美女だった…
『V6』収録シナリオでは唯一『分岐』と『バッドエンド』が存在するが、アドベンチャーゲームとしてはごくシンプルなもの。
小川君
『悪魔が来たりて…』『悪魔は再び』の主人公。
経歴や家族構成については明言されていないが、性風俗のプロによるサービスを受けた経験はあるとのことで、相応の年齢には達している模様。『十八歳未満の登場人物』などであろうはずもない。絶対にない。ドラマCDの時点ではアルバイトで生計を立てている模様。
プレイヤーの分身的な存在だけに、『エロゲーの主人公みたいな髪型』以外に目立った特徴はないものの、初対面のラティに『ブサイクで暗そうでセンス悪くて臭そうで、見るからにアタマも悪そうで友達もいなさそうで、世の中の流れに乗れないでフラフラ生きてるようなおぞましい生き物』とまくしたてられている(ただしラティの価値基準が極めて偏ったものである点には留意したい)。
一言で言って冴えない青年ではあるものの、エロゲーの主人公として最も重要な能力『精力絶倫』を備えている。
その射精回数と回復速度は悪魔の常識をも大きく上回り、底なしの淫乱娘であるカレラをも『概ね』満足させている。
『悪魔は再び』における『カレラの夜の人形として…』エンディングではカレラに魂を奉げた結果、腕も脚もない円筒状の青い体に目と口(及び頭髪の痕跡らしきもの)だけがついた怪生物に変化し、カレラの寝所に持ち帰られるという結末を迎えている(厳密には、カレラが小川君の魂から精製したクリスタルを持ち帰り、これを原材料として怪生物を製造した)。
シンプルでインパクトの強い外見から、公式イラスト等でもこの『青い小川君』が描かれることがある。
OVAでは髪形が変わり丸眼鏡をかけ、原作より幼い印象の外見になっているが、『十八歳未満の登場人物』などで(以下略)。一日に四度の悪魔召喚を立て続けに成功させたほか、アルピナの指揮により魔法で天使たちを牽制するなど、魔法使いとしての素質を持つことがほのめかされている。
カレラ
カレラの記事を参照。
メルセデス
『悪魔は再び』から登場する第二の悪魔。名前の由来はメルセデス・ベンツ。
ポジション的にはサブヒロインだが、当時からカレラよりメルセデスのほうが好みだという意見は散見されていた。このため、GTSのシナリオ上バッドエンドの一つである『拉致されたカレラのことは忘れてメルセデスと暮らす』を、バッドエンドではなく第三のエンディング、あるいはトゥルーエンドと見なす向きもなくはない、かもしれない。
容姿
赤い長髪でもみあげは縦ロール、側頭部から額に伸びた二本の角。瞳の色は『悪魔は再び』作中では赤いが、同作のパッケージと後年の公式絵では緑になっている。また、カレラにはない『瞳孔』がある(同作中では少数派)。
カレラと同じく蝙蝠のような翼と、長く器用な尻尾が生えているが、やはりシーンによって消えたり現れたりする。
『LIMITED』の描写によれば、どちらかと言えばカレラの方がバストは豊かで、どちらかと言えばメルセデスの方がヒップは美しい。
服装は白いカフのついた紫の長袖パフスリーブジャケット、ワイシャツにネクタイと一見してフォーマル寄りだが、ジャケットもシャツも丈は胸の真下まで、更にシャツは襟から腋下まで大胆にカットされ、ジャケットの身頃が胴体から浮いているため、自然に正面から腋と鎖骨が露出している。
下半身はジャケットと同色のハイレグボディースーツにピンクのタイツ、脛のみスラックス様の裾(ジャケットと同色)、靴は赤いハイヒールと、全体的に肌の露出は少ないながらもボディラインを強調したフェティッシュな着こなし。
OVA版では衣装のデザインが複雑になり、稲妻型のイヤリング、ジャケットは超ミニスカートのワンピース、胸部のみ白く、乳首部分に右は横・左は縦の『目』の意匠、露出した肩の上から緑の肩かけ(?)を羽織り、白いパンティーにピンクのニーソックス、脛には銀色の装身具…と、説明し辛い着こなし。
人物像
カレラに対して強い敵愾心、あるいはコンプレックスを抱いている。
懲罰房で拘束されているカレラを弄び、カレラが奪い損ねた小川君の魂を自らが奪うことを宣言して去っていく、というライバルらしい演出でデビュー(実際、プレイヤーの選択次第では宣言どおりの展開になる)。
ただしライバル関係はメルセデスが一方的に意識しているだけで、カレラはライバル視されている自覚すらない模様。
召喚を受けて出現した際のセリフは『お待たせしました!お風呂掃除から世界征服まで!何でも願いをかなえましょう!みんなのアイドル、プリティーデビル!メルセデスでーっす!』。
張り切るほどに空回りするタイプで、召喚者の願いを叶えようとして逆に迷惑をかけたり、悪意のない発言が召喚者の逆鱗に触れたりで、魂を得られずに追い返されることが多い。
後輩たちの間でも、カレラが成績優秀で憧れの的であるのに対し、メルセデスは挫折した経験が豊富ということで有名。
こうした業績不振そのものが懲罰の対象となっている描写はないが、本人はどうしてもカレラと自身を比較してしまい、その焦りが更なる失態を生むという悪循環に陥っている様子。
実際、カレラが小川君の許で暮らすようになってからは『平穏な日々』を満喫しているらしい。
カレラとの付き合いは幼児期にまで遡り、野原を駆け回るなどして遊んでいたらしい。
またスクール在籍当時には肉体関係に発展し、覚えたての頃は昼夜を問わず二人で愉しんでいた模様。
こうした点を踏まえると両者の関係はむしろ百合百合しいものと捉えることもできそうだが、メルセデス自身は男と寝るほうが好みらしい(ショタコンの気がある模様)。
どっかになんでも言うこと聞きそうなオトコ、いないかなぁ(ドラマCDより)
ドラマCDではラティに振られたアルファに泣きつかれ、慰めついでに筆下ろしをした結果すっかり懐かれてしまい、カレラに羨ましがられるなどして満更でもなさそう…なのだが、このアルファというキャラクターは外見に関する公式設定がないため、アンソロジーやパロディ同人も含めてほぼ『存在しない』扱いであり、結果としてメルセデスにとってのハッピー(?)エンドもノーカウントになってしまっている。
さらにOVAでは原作以上に過激なプレイを強要された挙句、カレラ救出作戦にも強引に参加させられるなど、不遇度が増している。
天使
『悪魔は再び』に登場する集団。小川君の部屋に乱入してきた金髪の個体のほか、黒髪・赤髪・ピンク髪の個体が確認されており、高い山の上に建てられた城砦のような建物を拠点としている。
全員が両性具有。このことは悪魔の間でも知れ渡っているらしい(カレラだから知っていた、という可能性もある)。
『善良な人間から精気を奪い…あまつさえその命までも奪わんとする悪逆非道な振る舞い!それ以上の悪行はこの私が許しません!!』という仰々しい口上と共に現れてカレラを連れ去る(このシーンまでのプレイヤーの選択次第で状況が変化する)が、魂を奪われようとしている『被害者』である小川君も、その場にいるもうひとりの悪魔メルセデスも放置している。
拉致したカレラには首輪と手枷をはめて輪姦するだけ。この際天使の精液を浴びせられたことでカレラがダメージを受けているような描写もなく、(上記の条件でカレラ救出時の状況も変化するが、どちらの場合でも)カレラは満足できていない様子。
また小川君とメルセデスによる前後攻めであっさり陥落するなど、性的な意味では悪魔に太刀打ち出来ない模様。
正直に言って何がしたかったのかわからない。
OVAではカレラを追って単身乗り込んできたラティを同じく輪姦したほか、アーマーを着用する武装天使が登場する。また一部の天使に関して意外な動機が示唆されている。
アルピナ
LIMITEDに登場するイケメンの悪魔。名前の由来はドイツの自動車メーカー・チューナー、Alpina Burkard Bovensiepen GmbH&Co 。
そもそも美女・美少女がメインとなる男性向けアダルトゲームにおいて、『美形のお兄さん』の需要は希薄であり、また『男性向けアダルトゲームの小説版限定キャラ』というポジションゆえに、イケメン需要がある市場では知名度が低い。
このため、公式イラスト等でカレラに付随する形で描かれる程度しか活躍の場がない。例外的に、『VIPER GT1 〜あきらくんといっしょ〜』にはカレラを差し置いてアルピナが登場している。下克上だ!
小説版の改題に際し髪形が変化している。
見た目は人間にしか見えないが、紳士的な物腰に冷酷さを覗かせる、非常に悪魔らしい悪魔。
召喚を受けて出現した際のセリフは『闇よりの使者アルピナ、お呼びにより只今参上』。改題版では『闇の使者アルピナ、召還を受け只今参上』。誤変換か誤植か、敢えて召喚ではなく召還とする裏設定があるのかは不明。
尻尾が変形した第二の男性器を備える『二本持ち』であり、これは悪魔の世界でも希少な特徴らしい。カレラとは肉体関係にあるものの、カレラのストレスを解消するためのレクリエーションのようなもので、彼自身はカレラとメルセデスの保護者的な存在である模様。
作中では男に捨てられて人生の望みを失った女・あづさに召喚されるが、彼女の心理に興味を抱いた結果、『自身の人生を終わらせたい』という望みをかなえるものの、仕事の枠を超えて趣味丸出しの行動に出たあげく、なんだか美談にまとめてしまう。
その一方で、自らは手を汚すことなく人間を破滅に陥らせたり、メルセデスに自信をつけさせるため強引に契約を成立させるなど、いかにもな悪魔らしさも見せている。
OVAでは小川君に召喚され、メルセデスを駆り出してのカレラ救出作戦を主導。この際、天使たちには『白い悪魔』として恐れられている(『アルピナ』に『アルビノ』をかけている?)ほか、一部の天使との間に意外な因縁があることが明らかにされている。
ラティ
ドラマCDに登場するロリロリ悪魔。名前の由来は1914年に設立され、1993年以降はフィアット社の傘下となったイタリアのスポーツカーメーカー・マセラティ。おませさんなので。
外見はいかにも幼いが、スクールは卒業しているのでそれなりの年齢ではあるのだろう。『十八歳未満の登場人物』などであろうはずもない。ないったらない。
デビューした時期の問題で、アルピナ同様カレラに付随する存在として描かれるのが主な活躍ではあるが、極端にデフォルメされた感情・動作表現に対応できるギャグ担当としての地位を確立している。
思い込みが激しく、丁寧な口調とは裏腹に毒舌家。
スクール在籍中、憧れの『カレラお姉さま』に性的な手ほどきを受けた結果、盲目的にカレラを慕い続け、卒業と同時に(告白してきた同期生のアルファをあっさりふって)カレラの許に駆けつける。
この際初対面の小川君に散々な罵倒をぶつけた挙句、愛しのカレラお姉さまを奪われたという想いから『ケダモノ』『ブサイク』と呼ばわり、カレラを奪還すべく策略を練る。
…が、結果としてカレラともども小川君の部屋に住みつき、夜毎干からびるまで搾り取るようになる。
なお、カレラとの初体験の時点ではキスの経験もなく、さらに小川君相手に処女喪失していることから、スクールにおいて性的な技術は教えていないか、あったとしても必修科目ではない模様。
『VIPERミュージックコレクション』収録のドラマでは、VIPER V12及びVIPER BTRのキャラクター・留理(魔法の賭博師トトカル☆チョミ)とラティの出会い、そしてふたりの熾烈な戦いが繰り広げられる(濡れ場のない完全なギャグエピソード)。
後年のタイピングVIPERでも留理とラティのライバル関係を踏襲したイベントがあり、ここではカレラが背景の一部と化している。下克上だ!
OVAでは始めからカレラたちと暮らしており、拘束中のカレラに悪戯を仕掛けるも、その最中に拘束が解けたカレラに反撃されている。
その後小川君に召喚され、天使に拉致されたカレラを救出すべく単身攻め入るも、迎撃されてカレラともども輪姦される。
余談だが、GTS開発初期の段階で公表されていた資料の中にはメルセデスの原型と思しき新キャラクターのラフ画があるが、『カレラを慕う妹悪魔』との記述があり服装や髪型にラティとの類似性がある。
ここからメルセデスのキャラクターが確立するまでの過程でオミットされた要素が、更なる続編のキャラクターとして結実したものがラティであると推測される。