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ウーラーの編集履歴

2021-04-06 12:34:02 バージョン

ウーラー

うーらー

ウーラーとは、『ウルトラマンタイガ』に登場する怪獣である。

データ

別名宇宙爆蝕怪獣
身長68m
体重50万t
出身地宇宙

概要

ウルトラマンタイガ』第24話「私はピリカ」、第25話「バディ ステディ ゴー!」に登場する怪獣。本作の事実上のラスボスを務める。

宇宙爆蝕怪獣 ウーラー

全て貪らんとする大きな口、申し訳程度の小さな腕、腕と対照的に力強い脚と、(変温動物と思われていた時期の)ティラノサウルスカルノタウルスを思わせる体型をしている。

しかし、その見た目を詳細に記すと、種々雑多の肉片と金属片を継ぎ合わせたような、サイケデリックな色合いをした左右非対称の肉塊で、有機物と無機物が入り混じったような醜悪で悍ましい姿をしている。


その正体はとある惑星の発展した文明が宇宙に捨て続けた、多数の廃棄物の澱みから偶然誕生した疑似生命。意志を持ったゴミの集合体である。


尚、見た目通りの「食べ尽くす」事に特化した存在である為か、身体能力はトライストリウムすら翻弄する程に高い。但し、後述する能力以外に目立ったものは見られず、知性めいたものを感じさせる描写も無い為、悪く言えば身体能力以外の武器がないとも言える(尤も、後述の単純ながら極限の域に達する行動原理と、それを可能とする身体能力が合わさっただけでも、十分過ぎる脅威ではあるが)。


後述する生態から数多くの星々を滅ぼしてきた為、その存在は宇宙中に伝説として語り継がれ恐れられている。タイガとタイタスもその存在は知っており、タイガはその襲来を悟るや戦慄していた。


生態

有機物・無機物にかかわらず、エネルギーを持つ物ならなんでも食べるうえ、エネルギーそのものすら食べることができる。食べた物は高圧で圧縮され、体内に一種のブラックホールを形成する。そこで食べたものすべてが消滅する為、決して満腹になる事はなく、その食欲は止まらない。

ウーラーは惑星に降り立つと、まずは地殻を食い、最後はそのコアエネルギーをも食い尽くして星を跡形もなく破壊する。

皮肉なことにその最初の犠牲となったのは、他ならぬ自らを生み出した星であった。

その後も宇宙を彷徨い、その食欲のままに星を食べ続けていた。

その為か、サイズこそ一般的な怪獣とさほど変わらないが、体重は50万tとかなりの重量を誇る(参考に近い全長で重量級の怪獣であるグランドキングの体重が21万5千t、スカイドンの体重が20万t)。


尚、歴代のウルトラ怪獣の中にも、全てを呑み込み消し去る特徴を持つものはいくつか存在するが、ウーラーの食欲は全てを吸収し消し去る『無』そのものがもたらす災害」「子孫を残す為の生命活動としての食事」「歪められた自らの存在意義に起因する暴走のいずれとも異なる、「自然の営みを為そうにも決して遂げる事が出来ない、生命になりきれない存在の生存本能が引き起こす悲劇」である。

更に、最終回において明かされたウーラーの実態、それは「果ての無い飢餓に苦しむと同時に、自身が食らった被害者の負の感情までも取り込み、それに振り回されていると言う、半ば狂気に侵されていると言っても良い、悪意のない自らの心と害をもたらす自らの本能との間で板挟みになっている状態であった(事実、回想シーンでは、生まれた直後ウーラーは巨大な光球であったが、負の感情の影響を受けて今の姿に至ったように描かれている)。

そうした意味では、歴代のウルトラシリーズにおけるラスボスの中でも、類を見ない程に異質で悲惨な存在であるとも言える(地球に来訪した切っ掛けも、ウルトラマントレギアが自ら立案した策略の手駒として誘導された為であり、広義で見ればウーラーもトレギアの被害者である)。


しかし、満たされない欲望を追い求める本能に抗う事も出来ず、上辺だけの生態を模倣した紛い物の肉体を以て、宇宙のあらゆる存在を貪り喰らい続けるしかないその姿は「自らの本質を理解しながらも、止める事も抗う事も出来ないままに、数多の命を奪い続けている」という、自然の摂理から明らかに逸脱したものである。言うまでもなく、全宇宙の他の生命から見れば害悪そのものでしかない存在なのも事実であり、「この宇宙に存在してはならなかったもの」としての一面が強調されている。


エオマック星という星の科学者が対抗措置として作り宇宙中に放った、怪獣の生命活動を止める装置を搭載したアンドロイドが、自らとウーラーのコアをリンクして自らの活動を止める事で、リンクしているウーラーの活動を止める事が出来る、と言われている。


活動歴

第19話で霧崎がピリカと接触した際に、この存在をビジョンで見た事がきっかけで存在が示唆され、第21話において霧崎がゴース星人の地底ミサイルで、地球のエーテルを刺激し、地球へ呼び寄せる。

第22話では、タッコングとともに現れたシンジに、その接近を察知されていた。

そして第24話において、遂に隕石の姿で東京・湾岸地区に落下。

しばらくは落下地点で休眠状態であったようだが、タイガとギャラクトロンMK2との戦闘中に行動を開始して地中から出現、ギャラクトロンMK2を地中に引きずり込み、魔法陣による逃走の暇を与えずに捕食する。直後にタイガにも襲い掛かり、トライストリウムで応戦するタイガをその巨体に似合わぬ身軽な動きで翻弄。タイガはトライストリウムバーストで一気に片を付けようとしたが、それをウーラーは口から飲み込んで無効化しエネルギーとして吸収、更にタイガの腕に噛み付いて残ったエネルギーを全て吸い取って敗退させた(エネルギー切れに伴い変身解除されたタイガとヒロユキだったが、逆にそれが幸いしてか命に別状はなかった。少し前に来ていたこの人だったら逆にヤバかったかもしれない)。

その後は地底に潜り、地上の建造物を巻き込みながら、地球の地殻を食べ始める。


最終回「バディ ステディ ゴー!」でも、再び現れたタイガのエネルギーをやはり吸い尽くして敗退させ、それだけのエネルギーを吸収しても尚、その活動は止まる事はなかったが、ウーラーと一体化しその心に接触したピリカによって、その内面が明かされた。

ピリカは「ウーラーはお腹が空いて苦しんでいる、『お腹を満たしたい』とひたすら食べている内に、ウーラーの被害者の負の感情まで取り込んでより苦しんでいる」と、口のきけないウーラーに代わりヒロユキらに告げる。

そこで彼女は「ウーラーのお腹を満たしてあげたい」と伝え、それを聞いたカナは外事X課、更にヒロユキの手引きで協力する事になったヴィラン・ギルド2と結束し、ピリカの望みに応えるべく一大作戦『バディ ステディ ゴー!』を発動。

その作戦の内容とは、

①マグマ星人の宇宙船により宇宙からマグマウェーブ(指向性の特殊な波動)を照射、ウーラーを誘き寄せる。

②疑似ホワイトホール発生弾頭・ヴァイスストライクをウーラーに補食させ、体内の疑似ブラックホールを一時的に無力化する。

③タイガが光線を放ち、光線の吸収が出来なくなったウーラーにそのエネルギーを「食べさせる」。

と言うものである。

作戦は首尾よく進み、後はタイガの光線技を食べさせるだけ、と言う段階に差し掛かったところでトレギアが乱入、ヴァイスストライクの効果の時間切れが迫り、一時は作戦失敗かと思われた。

だが、トレギアがタイガにトドメを刺そうとした瞬間、なんとウーラーがトレギアの腕に噛み付いて妨害し、間一髪でタイガを救う

「怪獣がウルトラマンを助ける」事態に驚くトレギアだった(しかし、それを見たカナは「分かるのよ、『自分を救ってくれるのが誰なのか』って事が」と、逆に納得していた)が、ウーラーの思いに応えるべく、タイガは渾身の力を振り絞って立ち上がる。

そんなタイガに今度こそトドメを刺そうとトレギアは光線を放つが、タイガはそれをバリアで受け止めると、更にそれを自身のワイドタイガショットと重ね合わせる形でウーラーに放ち、ついに「食べさせる」事に成功。


生まれて初めて満腹になったウーラーは、まるで赤子の笑い声のような歓喜の鳴き声を上げて爆散。炎の中から現れたそのコアは空高く上がり、オーロラのような光とともに粒子となって地球全体に広がっていった。

今まで貪ってきたエネルギーを、あるべき場所へと還すかのように。


余談

第24話の監督を務める市野龍一監督曰く「最後に出てくるすごい強い怪獣」との事だが、同時に「ちょっとニュアンスが違うかもしれない」とも発言している。

実際に上記した通り設定や劇中における行動など、これまでのラスボスと比べやや異質とも取れる部分が多く見られた。


尚、おぞましい姿をしているものの、二頭身めいた体系によってか、エネルギーを「見つけた!」とばかりにドタドタと歩く姿は意外に可愛いとの声も。


本作の脚本家を務める中野貴雄氏によると、命名は同じく本作脚本家の林壮太郎氏によるもので、中国語で「お腹が空いた」を意味する「我饿了(ウォーラー)」から付けられているとの事。


別名である「宇宙爆蝕怪獣」の「爆蝕」とは、おそらく「爆食」「蝕む」の言葉からなる造語であると思われる。


因みに『ウルトラマンギンガ』以降のラスボスと言えば、物語開始の時点で存在が示唆されている事が多い中、ウーラーの場合は上記の通り物語が終盤に差し掛かる時期と伏線にしても結構遅く(変身者を含めても))、他のウルトラ戦士との因縁も持たない(他にはショウ/ウルトラマンビクトリーや湊ラスボスとは因縁がない)。尤も、昔のウルトラシリーズはゼットンを筆頭にこういったぽっと出のラスボスの方が多い。『タイガ』は伏線を少なくし、過去のウルトラシリーズのような1話完結の面白さを追求していると言う公式サイドの発言もある為、ある意味での原点回帰とも取れる。

※但し、直接示唆するようなシーンこそないものの伏線(と思わしき物)は、割と最初期から張られている。例えば第3話終盤でのスペースデブリの問題の話や、サラサ星が滅んだ原因等。


また、近年のラスボス怪獣は、本編登場前の時期にウルトラ怪獣DXとしてソフビ人形が発売される事が半ば定番だったが、ウーラーは造形を考えると値段が高騰してしまい、通常価格の1800円前後で売れない事から発売が出来ないらしい。

これは『ウルトラマンマックス』のラスボス・ギガバーサーク以来の事態である。

DXソフビが発売されなくて悲しむウーラーちゃん

一方で、劇場版の怪獣であるグリムドが、500シリーズとは言えソフビ化された事から、「最初からソフビ化する予定はなかったんじゃないか?」と言う意見もある。


現在のところは「ウルトラマン アバレンボウル」でメダルが出たのが唯一のグッズ化となっている。


ウーラーがテレビで登場したのと同じ時期に、宇宙から数百個の星がまとめて消滅すると言う事件が現実で本当に発生しており、ネット上では「ウーラーが出たんじゃないか?」と言われていた。


スーツは『帰ってきたアイゼンボーグ』で新しく作られた恐竜帝王ウルルの改造。スーツアクターが中から口を開閉する事、首を振り向かせる事等が可能となっている。監督の市野龍一のイメージをもとに、丸い目玉など可愛らしさを意図している。体表は、捕食したものが露出しているというイメージで、造形段階でデザイン画よりもディテールアップしている。

また『タイガ』では新怪獣を作りすぎてしまった影響で終盤の予算が不足になってしまい既存の怪獣を改造する必要が出てきたため、ウルルを改造することを前提にデザインされたという。


本作品ではギンガ以降の上記のルールに則るとトレギアを最後の敵とする為、従来のラスボス怪獣とは異なる立ち位置となった。本能のまま食べ続けると言う設定は、プロデューサーの村山和之の案による。前半では怖いイメージを持たせる為、ギャラクトロンMK2を食べる場面はサメ映画の定番演出を取り入れている。市野は、ウーラーの体内でピリカが抱いている球体は、ウーラーの本来の姿である赤ん坊のようなピュアな存在と解釈している。



関連項目

ウルトラマンタイガ

哀しき悪役 暴食

ルーゴサイト…前作のラスボスで同じく星の捕食者。これもウーラー同様にトレギアが絡んでいる。

バキューモンマガタノオロチ…星を食らうウルトラ怪獣。

グリーザ…強いエネルギーを求め取り込み、結果的に幾つもの星を滅ぼしたウルトラ怪獣。

ユメノカタマリマザーディーンツカオスバグデブリタウロスデブリファルド…過去にウルトラシリーズに登場した、ゴミから生まれた怪獣たち。

バルンガ「エネルギーを貪る怪獣」の始祖とも言える存在。

ボガールアークボガール…大食いのウルトラ怪獣、後者に至ってはウーラーと同様に星ごと捕食する。

ゴロサンダー…本作に登場した怪獣でウーラーと同様、宇宙中にその危険性が知れ渡っている。

ヤメタランス…過去にウルトラシリーズに登場した、ウーラーと同様に第三者に連れてこられ自らも抗えない破壊活動を強いられた怪獣。

スナーク:トレギアが完全に闇堕ちする前にゴミ山で可愛がっていた怪獣。奇しくもラスボスとして登場したウーラーもゴミから生まれた存在である。


ヘドラ…こちらは、ゴジラシリーズに登場する、人間たちの化学発展の成れの果て。


絶対神ン・マ別作品の暴食するラスボス繋がりで、こちらは時間さえも貪った後、初めて満ち足りた思いに浸って滅びた。


イビルジョーモンスターハンターシリーズに登場するモンスター。被害規模に差はあるが、大型肉食恐竜に類似する体形、生態系に与える影響、満たされることの無い食欲と言った共通点がある。


グリード(仮面ライダーOOO)お父様千翼…詳細が異なるものの、人間の浅ましい欲望から生まれた人外繋がり。千翼の場合は生きているだけで危険な存在といった共通点がある。


ウーラー兵…名前は似ているがこちらは戦闘員


アラガミ…暴食だけに留まらず、補食した存在の性質を模倣し進化する、ウーラーをも凌ぐ脅威。


餓鬼多部空満…際限のない飢餓に苦しむ存在繋がり。


クイーンコスモ…誕生した経緯が似ている特撮悪役。


ゼットンガタノゾーア…元号上テレビシリーズ最初のラスボス繋がり。



トガリネズミ…実在の哺乳類。常に食べ続けなければ生きられない哀しい生物に進化してしまったとして複数書籍で紹介された。理由は異なるが常に空腹という点でウーラーに似ている


ルーゴサイトウルトラマントレギア/ウーラーデストルドス

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