概要
1996年に生まれ、1999年に4歳(現3歳)を迎えた世代。
中央平地GI22勝を挙げ、歴代7位タイ世代。
史上2頭目のGI7勝・史上初の中長距離GI年間グランドスラム・史上初の天皇賞3連覇(3連勝)・史上初のGI6連勝・史上初の中央4場GI制覇・16年間世界歴代賞金王のテイエムオペラオーが代表格で、「オペラオー世代」である。
テイエムオペラオーとナリタトップロードの2頭に、3強の1角がアドマイヤベガ ⇒ ラスカルスズカ ⇒ メイショウドトウと移り変わっても、3強の図式が途切れなかった。
他には最長間隔GI制覇のアドマイヤコジーン、ドバイワールドカップで日本馬として初めて連対したトゥザヴィクトリー、トウカイテイオー産駒初のGI制覇となったトウカイポイント、史上2頭目の春秋スプリントGI同一年制覇のトロットスター、デビューから最短GI制覇だったスティンガーなどがおり、中央のGⅠレース(当時13競走)のうちジャパンカップダート以外は全て勝ち馬を出している。
また、史上2頭目の同一重賞3年連続2着ロサード・史上2頭目の同一GI3年連続3着ナリタトップロードと、珍記録を達成した馬が2頭もいた。繁殖牝馬では、後に世界初の白毛GⅠ馬ソダシなどを輩出する白毛一族の祖シラユキヒメなどが挙げられる。
113連敗の高知のアイドル・ハルウララもこの世代である。ハルウララの他、名ダートホースサウスヴィグラス、地方交流戦線で息の長い活躍をみせたノボトゥルー、岩手の皇帝トーホウエンペラー、北関東所属ながらNARグランプリ年度代表馬を獲得したベラミロードなどもこの世代。またジャパンダートダービーが創設された世代でもあり、南関東所属のオリオンザサンクスが初代覇者となっている。
ヨーロッパでは、1999年の凱旋門賞でエルコンドルパサーを破ったモンジュー、01年欧州年度代表馬に輝いたファンタスティックライト、芝ダート問わず国際GⅠを勝利したドバイミレニアムらがいた。
騎手にとってGI初制覇のパートナーが多かった世代でもある。福永祐一騎手とプリモディーネ(桜花賞)、和田竜二騎手とテイエムオペラオー(皐月賞)、渡辺薫彦騎手とナリタトップロード(菊花賞)、後藤浩輝騎手とゴールドティアラ(マイルチャンピオンシップ南部杯 地方GⅠ)およびアドマイヤコジーン(安田記念 中央GI)など、後々まで語られる名コンビが多くいる。また、メイショウドトウの主戦だった安田康彦騎手も、ブゼンキャンドル(秋華賞)でGⅠ初勝利を挙げており、若手騎手の台頭が目立った世代とも言えた。
2000年になってからはテイエムオペラオーの一強(そしてほぼ毎回メイショウドトウが2着)が続いたこと、そのオペラオーも3歳時に先輩のスペシャルウィークやグラスワンダーらを相手に世代交代を証明できなかったこと(直接対戦成績は1勝1敗の五分だが)、勝ち方が地味だったことから、世代全体が低く評価されている節がある。
しかし2000年のジャパンカップに招待されたファンタスティックライトのランフランコ・デットーリ騎手はオペラオー(とドトウ)を「クレイジーストロング」と評しており、翌年には「今の日本の競馬は特別にレベルが高い。サキーかガリレオでもなければ去年の2頭(オペラオーとドトウ)には敵わないだろう」とコメントしており、世界的な名ジョッキーからも高く評価されていた。
結局のところ、多数の強豪が凌ぎを削った98世代の方が見応えがあったため、その煽りを受けて不当に低く評価されてきた面が強い。
勝利したG1
ジュニア~クラシック期
朝日杯3歳S | アドマイヤコジーン |
---|---|
阪神3歳牝馬S | スティンガー |
皐月賞 | テイエムオペラオー |
日本ダービー | アドマイヤベガ |
菊花賞 | ナリタトップロード |
桜花賞 | プリモディーネ |
オークス | ウメノファイバー |
秋華賞 | ブゼンキャンドル |
NHKマイルカップ | シンボリインディ |
古馬
芝短距離 |
|
---|---|
芝マイル |
|
天皇賞(秋) |
|
芝長距離 |
|
エリザベス女王杯 |
|
グランプリ |
|
中央ダート | |
地方 | |
海外 |
種牡馬成績
前世代が種牡馬としても活躍した反面、アドマイヤベガやナリタトップロードの夭逝もあり、この世代の国内種牡馬は目立っていない。それでもアドマイヤベガがブルーメンブラットを出し母父でもニホンピロアワーズを出した。アドマイヤコジーンも2頭のスプリントGⅠ馬を出し、母父としてもウインブライトを出している。サウスヴィグラスは優秀なダート馬を多く出している。
一方海外は豊作で、モンジューは欧州で様々な活躍馬を出しており、近年になって日本でも母父として存在感を示す。ドバイミレニアムは1世代の産駒しか残せなかったが、その中でドバウィが唯一の後継として世界に血を広げている。ダンシリは数多くの活躍馬を出しているが、ハービンジャーが輸入されてGⅠ馬を数頭出しているため日本への影響力も大きい。
馬 | 主な産駒 | 母父 | 父父・ひ孫以上 |
---|---|---|---|
アドマイヤコジーン | |||
アドマイヤベガ | |||
サウスヴィグラス | |||
モンジュー(IRE) | |||
ドバイミレニアム(GB) | |||
ダンシリ(USA) |
代表的な競走馬
太字はGⅠレース。
馬名 | 性別 | 主な勝利レース |
---|---|---|
テイエムオペラオー | 牡 | 皐月賞/天皇賞(春)(連覇)/宝塚記念/秋古馬三冠 ※顕彰馬 |
ナリタトップロード | 牡 | 菊花賞/阪神大賞典(連覇)/天皇賞(春)3年連続3着 |
メイショウドトウ(IRE) | 牡 | 宝塚記念 ※古馬王道GⅠ全5戦連続2着 |
アドマイヤベガ | 牡 | 日本ダービー |
ラスカルスズカ | 牡 | 万葉ステークス(オープン) |
スティンガー | 牝 | 阪神3歳牝馬ステークス |
ウメノファイバー | 牝 | オークス |
フサイチエアデール | 牝 | 4歳牝馬特別 |
トゥザヴィクトリー | 牝 | エリザベス女王杯/ドバイワールドカップ2着 |
トロットスター | 牡 | 春秋スプリント制覇 |
アドマイヤコジーン | 牡 | 朝日杯3歳ステークス/安田記念 |
プリモディーネ | 牝 | 桜花賞 |
ブゼンキャンドル | 牝 | 秋華賞 |
トウカイポイント | 牡→セ | マイルチャンピオンシップ |
シンボリインディ | 牡 | NHKマイルカップ |
ノボトゥルー(USA) | 牡 | フェブラリーステークス |
ロサード | 牡 | オールカマー |
マグナーテン | セ | 毎日王冠/アメリカジョッキークラブカップ |
ホットシークレット | セ | ステイヤーズステークス/目黒記念 |
ハルウララ(高知) | 牝 | 生涯無勝(『ハルウララ賛歌』発売記念特別(F8特別競走)2着など) |
ゴールドティアラ | 牝 | マイルチャンピオンシップ南部杯 |
オリオンザサンクス(大井) | 牡 | ジャパンダートダービー |
トーホウエンペラー(岩手) | 牡 | 東京大賞典/マイルチャンピオンシップ南部杯 |
ベラミロード(栃木) | 牝 | 東京盃 |
サウスヴィグラス(USA) | 牡 | JBCスプリント |
国外馬
馬・出身国 | 性別 | 調教国 | 主な勝利レース |
---|---|---|---|
ファンタスティックライト(USA) | 牡 | GB→UAE | ブリーダーズカップ・ターフなど |
モンジュー(IRE) | 牡 | FR | 凱旋門賞など |
ダンシリ(USA) | 牡 | FR | |
ドバイミレニアム(GB) | 牡 | GB→UAE | ドバイワールドカップなど |
ウマ娘プリティーダービー
この世代で、競走馬を擬人化女性化したメディアミックスプロジェクト「ウマ娘プリティーダービー」で採用されているのは、テイエムオペラオー、メイショウドトウ、アドマイヤベガ、ナリタトップロード、ハルウララ。
オペラオーとドトウのライバル関係が強調されがちだが、クラシックではもちろん三強のアドマイヤベガ、ナリタトップロード(2022年2月より登場)が鎬を削り、シナリオによってはシニア期(古馬)でも4人で高めあっている。
アプリゲームでは、ファン感謝祭の綱引き(アドマイヤベガの育成シナリオ)の際には、ハルウララも含めた5人組に「覇王ズクインテット」というチーム名までついた(命名者:テイエムオペラオー)。
また海外馬も、アニメではモンジューをモチーフとしたブロワイエが、アプリゲームのCMではファンタスティックライトと思しきウマ娘が登場し、モンジューについては海外馬として初の実名での登場を果たしている。
更にはこの世代を中心とした、TVアニメシリーズとは別のアニメのプロジェクトも進行中との発表が2022年5月にされた。ティザービジュアルではトップロードをメインにオペラオーとアドマイヤベガが映っていることから、クラシック期を中心とした物語になると予想される。