概要
創作物などに登場させるキャラクターの設定のことであり、イラストに限らず創作物を作る上では重要なものである。世界観の設定と同じように、作品の質を左右する重要な要素であることは間違いない。
ピクシブではキャラクター設定が書いてあるイラストに対してつけられることが多いタグ。文章などで説明されている他、三面図等キャラクターの外観が書かれている場合が多い。
その性質上オリジナルキャラクターの設定であることが多いため、批判は厳禁。
キャラクター設定を練る
オリジナルキャラクターを頭で思い描いた際に、そのキャラクターがどのような人物像をもっているかを具体的に決めておかないと、途中で設定がブレたり、言動や前後の行動に矛盾が生じたりすることが多い。あるいはただの死にキャラになったり影が薄いキャラクターになったり……。
矛盾が顕著なありさまはキャラ崩壊等と呼ばれ、読者や視聴者にとってはキャラクターへの感情移入を阻害されたり、作品そのものに対する興味を失ったりすることにもつながりかねない。
その一方で、メディアミックスなどの影響でキャラの設定が変更され、そちらが定着するパターンもある(過去にはルイージやクリフト、比較的新しい例ではネプテューヌ等)。
キャラクター設定を残す
もちろん脳内でキャラクターの設定がバッチリ練られている場合もあるだろうが、本気で中長期的に運用し続けるのであれば、第三者にでもわかるようにどこかに書き起こしておくことが望ましい。情報を整理し客観的に見ることで、新しい視点を得られることもある。
しかしながら創作をしない人からすれば、頭を捻って作り上げた設定も他愛のない妄想の産物としか見られないことも多く、「キャラクター設定のノート」なんかを作っていると厨二病扱いされるというケースも少なくない。
もっとも、これ見よがしにそうした作業に励むのは厨二病に相当する行為であると言わざるを得ない。
人物造形に拙さの残る時期に思いつくようなキャラクター設定は、後年になって思い出すとけっこう恥ずかしいものだが、改めて設定し直すことで新たな物語のきっかけを掴むことがあるかもしれない。顔を覆いたくなるような過去と対峙するという経験自体が、キャラクター造形に深みをもたらす可能性もあるという側面も無視できないだろう。
主な設定項目
人や作品によって、どのような内容を設定しておくかは様々であるが、大まかには……
……等を設定するのではないかと思われる。
みっちり詰めていくのもよいが、あえて曖昧な点を残し、キャラクターを動かしていく中で人物像を形作っていくのもやり方のひとつである。
名前
キャラクター設定の必須項目のひとつ。名は体を現すとも言う。人によっては姓名判断まで駆使するかもしれないし、脳内メーターにかけて遊ぶのも面白い。ニックネームや異名、訳ありの偽名を考えるのも一興だし、名前そのものをネタにしても大いに結構。
ちなみに外国人キャラクターの名前となると少しばかり勝手が異なり、地域ごとの名前の傾向に留意する必要もある(気にする人は「こいつフランス貴族なのに名前がアメリカンじゃねーか」などと反応するのだ)。大事なのは説得力なので、理由づけなどフォローもできるようにするとよいだろう。よく考えず響きだけで付けると、海外の卑猥なスラングに該当したりディープなマニアに愛想を尽かされたりすることなどもあるので注意。
とはいえ有名作品においても名無しのキャラクターは数多く存在し、そのキャラクターを指す固有名詞を欲したユーザーが考えたあだ名や呼び名が定着するケースも少なくない。
種族
生物的な種のこと。人間以外の種族も登場して当たり前となった昨今では外せない初期設定。種族ぐるみの対立、あるいは共生関係がある場合は、それぞれのキャラクターの関係性にも影響を与える要素である。種族によって思考パターンや物事の優先順位がある程度決まることも多いため、性格設定にも影響を与えることが多い。種族がその世界でどんな位置づけなのか考えておくと話のとっかかりにもしやすくなる。
物語の展開によっては人間のキャラクターが吸血鬼やサイボーグ、ゾンビになるなど、必ずしも一貫性が必要なものではなく、併せて能力等の設定の変更も視野に入れておくとよい。
性別
多くの場合は男女のどちらかを設定するだろうが、人の数だけ性別もある世の中では強いて設定することもないかもしれない。種族によっては性別がない、あるいは両性具有であるという選択肢もある。カップリングの在り様、ひいては作品の方向性に響いてくる項目でもあり、人によってはたいへん悩ましい問題と化す。
年齢
キャラクターの作品内における社会的な位置づけを決める重要な要素。
現代日本で20歳以上が成人といわれるように、作品の世界観によってその年齢が「責任ある大人か、庇護されるべき子供か」という点を考えるのも大切である。登場するキャラクターの年齢に幅を持たせることで、物語も広がりを見せるだろう。また、後述するが12歳・15歳・18歳のキャラは学生にとっての一種の境界線となるため注意が必要。
種族によっては暦の運用に合わせた独自の年齢基準を設けているかもしれない。「命の長さ」は永遠のテーマ。
他のキャラクターとの関連性にも直結する要素であるため慎重に設定したい。
誕生日
学園ものや恋愛ものであれば、イベントになり得る誕生日の存在はとうてい無視できるものではない。実生活でも年齢の話は世間話の初手として一般的である。史実を絡めたフィクションの場合は、経験したことまで変わってくる。
他のキャラクターと矛盾が出ないように注意すること。例えば、同学年の二人がいたとして「私は3月生まれだから、あなたより2ヶ月早い生まれなの」などと言わせてしまうと、発言したキャラクターの留年(または相手の飛び級)が確定してしまう。留年キャラや飛び級キャラでもない限りは作者の凡ミスである。
同作品内で誕生日が極めて近く、かつ同い年である学生同士の組み合わせで、場合によっては学年の設定が不安定になることもある。
(例:橘ありすと城ヶ崎莉嘉との誕生日は1日差であり、年齢はどっちも12歳だが、前者は小学生で後者は中学生であり一定していない)
また、大原部長みたいに誕生日の設定がコロコロ変わり明確な誕生日が決められていないキャラも稀ながら存在している。いわばキャラ付で必要とされなかっただけであるが、ご都合主義に過ぎるともいえる。
血液型
ロボットやホムンクルス等の人間ではない設定のキャラクターならば設定不要だが、人間設定のキャラクターならば設定しても良い要素である。
キャラクターの性格・特徴から血液型を決めても良いが、血液型は誕生日のように重視されない(実際に版権作品でも『殆どの登場人物が誕生日は判明しているのに血液型は不明』というケースも存在する)上に、血液型は誕生日と比べてイベントを作りにくく、『親はO型なのに子はAB型(またはその逆)』といった設定をしてしまうとこの二人は親子だけど実は血の繋がりがないのでは…と予想されてしまうことになるという不遇な上に扱いが難しい設定…よくありがちなのは負傷時に輸血をする、といったシチュエーションで思い出されたようにネタにされる。
職業
年齢と同様にキャラクターの社会的な地位を決定する要素。世界観によっては、現実世界とかけ離れた作業も立派な職業になるだろう。極端な例を挙げれば無職すら人物像となり得るのだ。
職業への従事によって得られる各種技能、またはその職業に就くだけの素質やそれに至る経緯などの描写もキャラクターの幅を広げるだろう。
身長・体型
ビジュアル面において外せない要素であり、設定していてもうっかりが生じやすい。
特に複数のキャラクターを描くイラストでは身長差に留意する必要がある。
種族によっては「全長」の設定が必要かもしれない。
複数の絵師が描くソーシャルゲームでは、同じ世界観で並んだ際、立ち絵が極端に頭身・体形が違うと違和感が激しいため、仕様書で身長におけるおおよその体形を決めてくることもある。
同時に体重を設定する場合もあるだろうが、単に身体的特徴として体型(痩せ型、中肉中背、小太りなど)を設定するだけでも十分だろう。
特に作者が男性の場合、下手に体重や体形を設定しようとすると、女性キャラクターをやたらと軽量化したり、ウェストを細くしてしまうことが多い(商用の作品でも見られる現象)。体重にまで気を回すならちゃんと現実を把握しておこう。商業のばあいはビジュアル的にあり得ない極端すぎる体型は受け入れられないので念頭に置いておこう。
ex. 『テイルズオブファンタジア』のヒロインであるミントは、身長162cmに対して体重は42kg、BMIに直すと16程度(危険領域の痩せすぎ)である。痩せ型にしても50kg弱はほしいところ。
身体的特徴
そのキャラクターの特徴となる部位である。キャラクターの頭のてっぺんから爪先まで、彼あるいは彼女が過ごしてきたであろう時間に思いを馳せ、一日、一月、一年の間にとるであろう行動の中で、思いつく限り、細かいことであってもしっかりと設定しておいたほうがいい。自然と日課や癖も思い浮かんでくるかもしれない。負傷の痕、後遺症などのハンディキャップも必要であれば決めておくこと。
身体的なものに限らず特徴と呼べるものがなんにもないキャラクターは、作品の中でも無個性的になり、空気キャラクター予備軍になりやすい(この現象の最たる例として「メインヒロイン(笑)」などがある)。
なお、他者に外見的な設定を伝えただけで、90%以上の精度でイメージが伝われば文句なし。
服装
服装も身体的特徴と同様にそのキャラクターを印象付ける大事な要素である。
常に制服姿であればキャラクターの職業を連想できるし、私服などは当人の好みや性向を顕著に反映するだろう。お堅い人物にギャップ狙いのフリフリ寝巻きを着せるのも愉快である。
制服フェチなる言葉があるように、好みの制服でゴハン何杯も行ける人間はすごく多い。
現実でも数千年の歴史をもつのが服飾であり、ファンタジーの世界を描くにしても、現実の服飾文化が内包する諸々の理屈をおさえておけば、説得力のある服装の設定において非常に有用である。また、文化圏や暖地・寒地のどちらかで服飾は大きくかわる。
身体的特徴もそうだが、性格や年齢なども考慮しておかないと違和感の元になるため要注意。
性格
こちらも思いつく限り書き出しておこう。他のキャラクターと性格が被るとどちらかが空気になるおそれもあるため、できるだけ差別化を図るのがよいだろう。性格を設定すれば、その人物の境遇や経歴を導き出すこともできるし、職業や人間関係から性格を形作ることもできる。
なお、善行ばかりを良しとし心に暗黒面やトラウマを持たない人間はこの世に存在しない。それが行動原理を決めることもあるし、それが逆に人間的魅力となることも多い。若干ピーキーな性格の方がキャラは立つが、極端に振りすぎるとただの嫌な奴になりかねない。
また、近年では積極性がなく足を引っ張るだけのヒロインはただの邪魔者扱いされ姿を消しつつある。ぶりっ子はもはや流行りではないのだ。
作中の様々な事情を無視して突出したカオスキャラを作り上げるのもご愛嬌。
弱点
主人公が超人だったりするならともかく、その成長を描く意図があるならば読者を感情移入させるための重要な要素となる。もちろん超人に成長の余地がないわけではない。肉体能力や才能は無敵でも、技量や経験が伴わず精神が未熟であればそれこそが欠点となるし、無理に陳腐な「少年誌・スポ根」的な特訓などさせなくともその精神の成長こそが話の主軸となりうる。
完全無欠なキャラクターに意外な弱点が判明するとそこから共感を与えやすく、そうでなくとも単純に萌えるため、弱点はあるに越したことはない。ポピュラーなものとしては幽霊が苦手、高所恐怖症等が挙げられるだろう。ただしあまりにも陳腐で単純なものは、ただわざとらしく「あざとい」だけにも受け取られかねないため、本人の過去やトラウマと併せて血肉の一部として考える方がよいだろう。
ex. 『ときめきメモリアル』のメインヒロイン・藤崎詩織は完全無欠キャラの代表格であり、メインヒロインであるがゆえの攻略難度の高さからラスボス扱いされ、人気ではサブヒロインに負けている。
ex2.『Hellsing』の主人公アーカードは作中で無敵の能力を有するが、人間であった頃は捕虜になった際凌辱をうけ心身ともに深く傷ついたことがあり、国王となった後は敗北の末、絶望から人間をやめ真祖の吸血鬼になったため、人間であることを拒絶した弱い化け物である自分は、人間に倒されることを望んでいるなど、同時に悲しきラスボスでもある。
特技
職業と同様にそのキャラクターが生きる世界での特性を表す。
ここでの特技とはファンタジーなどに見られるような特別な力に限らない。平凡なキャラクターにこそ意外な特技や目を見張るような技術を持たせることで、思わぬ化学反応が起きるものである。
世界環境と能力の差異そのものがストーリーになることもある。
その他
必要に応じて設定するべき項目は多岐に渡る。学園ものであるならば学年や学級、恋愛ものなら恋愛遍歴や人間関係における好き嫌いを(男性向け作品なら女性キャラのスリーサイズなども)設定する場合が考えられる。
たとえ作中で一切用いられず裏設定と化すにしても損をすることはないので、必要以上に設定しておくといいかもしれない。
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別名・表記ゆれ
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