ならば退屈なマスターなど放逐して当然でしょう。
吾輩はマスターに仕える者ではなく、物語に仕える者故に!
プロフィール
真名 | ウィリアム・シェイクスピア |
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クラス | キャスター |
性別 | 男性 |
身長 | 180cm |
体重 | 75kg |
出典 | 史実 |
地域 | イングランド |
属性 | 中立・中庸・人 |
イメージカラー | ゴールデンイエロー |
特技 | 不朽のベストセラー作品の執筆 |
好きなもの | 非凡、逸脱、突出、拍手喝采(Apo)、言葉と文字(FGO) |
苦手なもの | 平凡、平穏、凡庸、ブーイング(Apo) |
嫌いなもの | 凡人(FGO) |
天敵 | スランプ |
設定担当 | 東出祐一郎、賀東招二 |
ILLUST | 近衛乙嗣 |
CV | 稲田徹 |
概要
『Fate/Apocrypha』に登場するキャスタークラスのサーヴァント。
ユグドミレニア一族に対抗するために、魔術協会が用意した「赤」陣営の英霊。
マスターはシロウ・コトミネによって半傀儡状態にされているが、その事を承知の上でシロウを「マスター」と呼び彼に加担している。しかし、バーサーカーを敵陣に向うように唆すなど、ただ従っている訳ではなく自分勝手に動いている。
真名
イギリスの伝説的な劇作家、「ウィリアム・シェイクスピア」。
『ハムレット』を始めとする四大悲劇や、『ロミオとジュリエット』が特に有名。
有名な作家でありながら、その半生は謎に包まれている。
例えば「1582年に結婚してその三年後に双子を儲けたが、その後1592年に演劇の世界に飛び込むまでの七年間の記録が全く存在しない」、「現在発見されている彼が署名した4つの文書の筆跡が全て異なる」等、かなり謎が多い人物である。
このため、一説では「彼は実在した人物ではない」、「複数の人物がシェイクスピアの名義を共有していた」、「ゴーストライターがいた」等と言われている。
ともあれ彼は幾つかの作品を執筆し、その名声は留まるところを知らなかった。
当時の先輩劇作家から「成り上がりのカラス」と罵倒されるほどには、やっかまれていたらしい。
シェイクスピアは短く、そして効果的な言葉で人間が普段隠しているものを暴きたてる。
それは漫然と、形にならないものを突然突きつけられる驚愕もあるのだろう。
人物
一人称は「吾輩」。
当事者意識が薄く、物語の外からものを見る人物。他人を値踏みし、つまらなさそうな人間は冷淡にあしらうが、面白そうな人間にはつきまとって不躾な質問を繰り返す。ナルシストでもあり、台詞に自分の作品の一節を引用する。最近は死亡フラグなど現代の言葉も好む。
彼自身に戦闘能力はないが、マスターを強化して代わりにサーヴァントと戦わせることが可能。彼自身は安全圏から戦いを見物し、いちいち心境を聞いたりして楽しむ。
一言で言うと、作家なだけに人々が織りなす「物語」を面白くしてくれる側の味方といった所。
同じ文化人キャスターのハンス・クリスチャン・アンデルセンが“人間嫌いの捻くれた毒舌家”に対し、シェイクスピアは“人間好きのお節介焼きな愉快犯”ともいえる真逆の性格をしている。
聖杯戦争において屈指の「戦わない」サーヴァント。
マスターの選択が面白ければ面白いほどに、彼の筆は冴え渡り、逆に凡庸であればあるほど彼はやる気を出さずに放り投げるだろう。
それはいかなる状況においても、変わりはないようだ。
とはいえ、作中ではエンチャントや宝具など自分の持てる能力を活かしてシロウ・コトミネ神父のサポートを行うなどキャスターらしい仕事もきっちり行っている。
また、作家ゆえの博識ぶりからスパルタクスやアストルフォなど英霊の能力や伝承を解説する狂言回しとしての顔も持つ。
能力
キャスターでありながら通常の魔術師としての能力は一切持ち合わせていない(この点はアサシンがカバーしている)。
彼自身は観客として戦闘を見物したり、心境をいちいち聞いたりしてマスターを苛立たせる。つまり、本人は全く戦わない。
ステータス
保有スキル
陣地作成(C) | 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。だが彼が作るのは工房ではなく、物語を紡ぐ"書斎"である。 |
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道具作成(−) | 道具作成スキルは、「エンチャント(A)」により失われている。 |
エンチャント(A) | 概念付与。他者や他者の持つ大切な物品に、強力な機能を付与する。基本的にマスターを戦わせるための強化能力。彼自身は観客として戦闘を見物したり、心境をいちいち聞いたりしてマスターを苛立たせる。 |
自己保存(B) | 自身はまるで戦闘力がない代わりに、マスターが無事な限りは殆どの危機から逃れることができる。そのくせハイリスク・ハイリターンな戦術ばかり好む。 |
国王一座(C) | ザ・グローブ。シェイクスピアの宝具である「開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を」のミニチュア魔術。宝具と異なり、魔力の消費は然程ではない。戦闘能力を持たない影役者を召喚、自在に操作する。影役者のセリフはシェイクスピアが決められるが、セリフの細かな部分(普段の口調や呼び掛けなど)は、真似た対象に自動的に追随するため、その点で露呈することはない。論理では偽物と分かっていても、この魔術を打破するには強い精神力が必要となる。 |
宝具
開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を(ファースト・フォリオ)
- ランク:B→B+
- 種別:対人宝具
- レンジ:1~30
- 最大捕捉:1人
「さあ、我が宝具よ幕開けだ!席に座れ!煙草は止めろ!写真撮影お断り!野卑な罵声は真っ平御免!世界は我が手、我が舞台!開演を此処に─────万雷の喝采を!」
Lifes but a walking shadow a poor player.(人間の一生は彷徨い歩く影法師、哀れな役者に過ぎぬ)
That struts and frets his hour upon the stage(己の出番の時は、舞台の上でふんぞり返って喚くだけ!)
対象者の精神に働きかけ、シェイクスピアが書いた物語を幻覚のように体験させることができる世界改変型対心宝具。世界を閉塞させ、脚本を産み出し、物語を強制させる。
自身と対象の記憶・認識に依存する宝具であるため、相手のよく知る人物を鮮明に映し出す事もできる分、両者に実感がない光景の再現には限界がある。
また、魔術の心得がある者はレベル次第である程度抵抗できる。
詳細は該当記事を参照。
企画段階での宝具
国王一座(ザ・グローブ)
性能はファーストフォリオと同じ。
またファーストフォリオの効果が、今と違う。
『Fate/Grand Order』ではスキルとして復活する。
他作品での活躍
Fate/Grand Order
初期から召喚できるキャスターとして参戦。レアリティは☆2。
ストーリーでは第1部4章『死界魔霧都市 ロンドン』にて登場。魔霧の影響で召喚されたはぐれサーヴァントの一人で、主人公たちの味方となる。
同章に参戦している同じ文化人キャスターのハンス・クリスチャン・アンデルセンとは、お互いに皮肉を交えながらも作家論を交わし合う、同好の士といった間柄である。
場を引っかき回して面白くするのが大好きで、絆クエストでは特異点である町中で即興劇を始めて主人公たちに強力なモンスターを嗾けて戦わせ、それを演劇に見立てる(しかも自分から召喚した疑惑アリ)という、はた迷惑なことをやってのけている。
そして、2015年バレンタインイベント『チョコレート・レディの空騒ぎ』のストーリークエストでは、チョコ作りに奮闘するマシュに代わって主人公の相方を務めるという、破格の待遇を獲得。主人公をイジリながら、面白おかしくなってしまったバレンタインデーの混乱の解決(と、ついでに新作のネタ集め)に臨んでいる。
なお、最終再臨のセイントグラフが「なんか怖い」「黒幕」と評されており、バレンタインイベントでネタにされてしまった。
第1.5部亜種特異点Ⅰ『悪性隔絶魔境 新宿』では、黒幕によって拘束された挙句、半分反転させられて彼の4大悲劇の内3つを模した敵を生み出す事を余儀なくされた。ちなみに、外見は第3再臨の姿で性格自体はほとんど変わっていない。
なお生み出した怪物の内訳は
- リア王:スプリガンの亜種
- ロミオとジュリエット:大型ゴースト
- マクベス:ラーマのシャドウサーヴァント
となっている。
ゲーム上での性能
ステータスは同格のアンデルセンとほぼ同じ。
カードバランスは《Quick:1/Arts:3/Buster:1》と、キャスターの定型。
スキルは、味方全体のBuster性能をUPさせる「エンチャント(A)」と、自身のHPを回復しつつ1ターンの無敵を付与する「自己保存(B)」。
宝具は「開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を」。属性はBusterで、効果は【敵全体に強力な攻撃&低確率でスタン付与】。
相手のトラウマを触発して戦意を低下させていた『Apocrypha』とは違い、無数の人影に轢き潰されるという幻影を見せ、ダメージを与えている。
一応「エンチャント(A)」で補強可能で、かつ味方にBuster宝具がいれば、宝具チェインで怒涛のBusterラッシュを仕掛けて敵戦線を壊滅させることも可能。
同じ星2キャスターであるアンデルセンが長く居座ることで真価を発揮する長期戦型・防戦重視のサポーターであるのに対して、こちらはここぞという場面で出てきて一気に勝負を決める短期決戦型・攻撃重視のサポーターと言える。
当初は第3スキルが実装されていなかったが、サーヴァント強化クエスト第3弾で「国王一座
(A)」が追加された。
効果は味方1人に対して【NP+20&1ターンの間スター発生率アップ】。これでNPチャージに加え多段ヒットするBuster宝具を持つサーヴァントとの相性が良くなった。
更にサーヴァント強化クエスト第7弾で「開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を」が強化され、宝具威力の上昇に加え、スタン確率が更に上がった。
これによりエンチャントを使うことで星4キャスターの未強化の宝具Lv1に匹敵する威力になり、宝具チェインの後ろに置けば高確率でスタンするため自分自身が宝具を打つメリットが大きくなった。
後に上位版に近い性能を持ったマーリンが登場しているが、エンチャントは全体効果であり、コストも低く、何より手に入れやすいため差別化は十分にできている。
関連人物
Fate/Apocrypha
ジーン・ラム
「疾風車輪」の異名を持つフリーの女性魔術師。本来のマスターである。
親族には『Fate/strange Fake』の世界でエルメロイ教室に属するオルグ・ラムがいる。
イヴァン雷帝の書庫を探し求める読書家の一面を持っており、そうした一面もあってシェイクスピアが召喚されたのであろう。
しかし、自身の欲の為なら手段を選ばないシェイクスピアに裏切られてしまった。
その野望に興味を抱き、率先して鞍替えしたマスター。因みに同行していた時に自身の作品の視聴を進めた結果、後に令呪で「(私に対しては)悲劇を描くな」と命令された。
この際、「あまりに酷い!」と抗議していたがどの口が言うのだろうか。
同陣営のアサシン。主にマスターとの関係をからかって遊んでいる。
アニメ版ではよりにもよって彼女の恋心を指摘する役に抜擢され、その内容の鬱陶しさも相まって危うく縊り殺されかけた。
聖杯大戦における正規の裁定者。彼女の正道に興味はなく、割と辛辣な評価を下していた。
著作で彼女を散々悪し様に描いたことに一応の罪悪感はあり、当人からは宝具の件で今も恨まれている。
聖杯大戦が生んだイレギュラー。(意識的に)無関心の立場を取ったシロウ・コトミネとは逆に興味を持つ。
最終決戦で彼が起こした奇跡を目の当たりにした際にはいつも以上に興奮し、「彼らは素晴らしい結末を迎えた!」と万感の思いをもって称賛した。
Fate/Grand Order
この世界で契約したマスター。
平凡な者を嫌う彼だが、ひたすら困難に立ち向かう彼/彼女のことはそれなりに気に入っている様子。
彼にしては珍しく、幸福な結末がふさわしいと思っている模様。
文学サークル仲間。未だサークル名決まらず。
第1部4章、第1部終章、第1.5部亜種特異点Ⅰと2人で共闘する機会が多い。
音楽P。アンコモン文化人仲間。
プロデューサー。プロデューサー……?
一見、仲は良さそうだが「自分の欲の為なら手段を選ばない」シェイクスピアと「道化の様に振る舞いながら芯は通っている」黒ひげでは最終的に破綻する可能性は高いと思われる。
画家サーヴァントの皆様。このうちダ・ヴィンチちゃんは変人文化人仲間。
特殊会話では挿絵のオファーをかけている。
自身における最高傑作と言える娘のような存在。
バレンタインでは彼女を「ある提案」で罠にはめたため、火刑にされた。
『輝け!グレイルライブ!!』において、アイドルユニット「ザ・グローブ」としてプロデュースした面々。〆切を過ぎた仕事が山積みの状態で逃げたため彼らに追跡される羽目に。
同イベントで「聖マハトマ歌劇團」のミーティングに乱入した際に、上述の納期トラブルを察知した彼女に5年前に語った〆切論を踏まえた手痛いツッコミを貰う。
自著『夏の夜の夢』にてモチーフとした結果、一躍名を挙げて英霊の座に召し上げられた妖精王。
同時にフィクションである妖精女王ティターニアの存在をはじめ、伝承に残る姿よりも戯曲の「放埒で無責任な王様」を基盤に霊基が編まれたせいで、彼自身の存在に相当な悪影響が及んでいる。
結果、奇縁に引き寄せられてカルデアに召喚された折には、シェイクスピアへ意外にも「感謝の手紙」をしたためたかと思いきや、封蝋(手紙の封をするための蝋)に致死量の毒物を混ぜ込んでいる。
……と言っても第2部6章でやっていた行為はまんまシェイクスピアと同じ、「自らの作品を完成させる為ならその手段は選ばない」という物なのである意味似た物親子と言えるのかもしれない。まあ、あちらの方がいくらか誠実だが……
その他
方向性や程度に差があるが、シェイクスピアもまたその有名度に反して不明な部分が非常に多く、それ故に彼にも「複数人による創作集団だった」、「架空の人物だった」等の説が存在する。
余談
マクベスは本当に召喚できたか?
本来のマスターであるジーンはマクベスの召喚を狙っていたが、この「マクベス」とはマクベタッド・マク・フィンレックという11世紀に存在したスコットランドの王。つまり実在の王である。
結果としてシェイクスピアが召喚に応じており、のちに判明した「幻霊」という概念から、本当にマクベスが英霊として存在するかは不明な所であるが、『新宿幻霊事件』でのマシュの言を借りると、先述の通り、マクベスには明確にモデルが存在するので(『Apocrypha』の時と同様に)下手をすれば本物の英霊が召喚される恐れがあったとの事なので、英霊として存在する可能性は高い。
英霊たちのあり方を鑑みるに、シェイクスピアの悲劇によって世界的に知名度が広まっているため、幻想と史実両方の側面を持つカール大帝同様に悲劇『マクベス』の要素を持ったマクベスが召喚される事態も大いにありうる。