ピクシブ百科事典は2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

シェム・ハ=メフォラシュ

しぇむはめふぉらしゅ

シェム・ハ=メフォラシュ(ヘブライ語: שם המפורש‎、英語: Shem HaMephorash)はユダヤ教における唯一神の御名を意味する。
目次 [非表示]

概要編集

ヘブライ語で「その明示的な(ハ=メフォラシュ)名(シェム)」を意味し、ユダヤ教の口伝律法の集成書タルムードでは、唯一神(YHVH)の名を指す言葉として記されている。これはユダヤ教において神の御名は「口に出してはならない」として発話が禁じられていたため。


ユダヤ教の神秘主義カバラおいては四文字だけでなく、12文字、42文字、72字からなる神の名が語られている。

この他にも、エジプトシナゴーグで発見されたゲニザ(不要文書保管庫)「カイロ・ゲニザ」にあった護符には22文字による神の名が記されている。


72字による神の名編集

「72字からなる長い名前(単数)」と「72つの名前(複数)」がある、という2パターンがある。


後者は旧約聖書『出エジプト記』14章の19節、20節、21節の章句の原文(参考)を構成する文字を組み合わせている。


「このとき、イスラエルの部隊の前を行く神の使(つかい)は移って彼らのうしろに行った。雲の柱も彼らの前から移って彼らのうしろに立ち、」(14章19節)

「エジプトびとの部隊とイスラエルびとの部隊との間にきたので、そこに雲とやみがあり夜もすがら、かれとこれとに近づくことなく、夜がすぎた。」(14章20節)

「モーセが手を海の上にさし伸べたので、主は夜もすがら強い東風をもって海を退かせ、海を陸地とされ、水は分かれた」(14章21節)

(訳文は『口語訳聖書』から引用)原文ではそれぞれ72個のヘブライ文字で書かれている。


牛耕式(ブストロフェドン)」と呼ばれる方式で書いていく。

これは文章の続きを書く際に、改行するのではなく、最後の文字の所から引き返して逆方向に記述する。というもの。


図にするとこうなる。


①14章19節を矢印方向に向けて書く
(72文字目)←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←(1文字目)
②72字書き切ったらその真横から14章20節を反対方向に向けて書く
(1文字目)→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→(72文字目)
③72字書き切ったらその真横から14章21節を更に反対方向に向けて書く
(72文字目)←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←(1文字目)

同じ文字数(72個)からなるテキストが三行並んだ形になる。ここから、横向き、水平方向に並んだ文字をそのまま拾っていき、

その三文字をそれぞれ神の名であると解釈する。


こうして出来る1つ目の名前「וַ(V、ヴァヴ)ה(H、ヘー)וַ(V、ヴァヴ)」は14章19節の最初の一字、20節の最後の一字、21節の最初の一字から構成されている。


72の天使編集

ドイツの人文学者ヨハネス・ロイヒリン(Johannes Reuchlin)は、1517年の著書『De Arte Cabalistica』のなかで72の天使について論じている。

ロイヒリンは旧約聖書『出エジプト記』14章19節~21節から導き出された神の72の名にヘブライ系の個人名にも見られる「エル(el、神)」や「ヤー(iah、主)」の語を付け足し、これらを天使の名前とした。


この天使達は「シェム・ハ=メフォラシュの天使(angels of the Shem HaMephorash)」等と呼ばれる。

錬金術師ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパが1533年に出版した『隠秘哲学について』 (De occulta philosophia libri tres) 第三書二部25章でも紹介されている(該当箇所英訳)。


1700年頃に記されたとされる「ラッド博士の論文集」に含まれる写本「ラッド博士のゴエティア(The Goetia of Dr Rudd)」では、ソロモン王の72柱の悪魔に対抗する存在として紹介されている。

悪魔を召喚する際に呼び出しておき、悪さをしないよう監視させる事ができるとされる。


72天使一覧編集

順番ロイヒリンによる天使名72の悪魔(ラッドによる対応)
1.ヴェフイヤ(Vehuiah)バエル
2.イェリアル(Ielial)アガレス
3.シタエル(Sitael)ウァサゴ
4.エレミヤ(Elemiah)ガミジン
5.マハシヤ(Mahasiah)マルバス
6.イェハエル(Iehahel)ウァレフォル
7.アカイヤ(Achaiah)アモン
8.カへテル(Cahethel)バルバトス
9.ハツィエル(Haziel)パイモン
10.アラディヤ(Aladiah)ブエル
11.ラヴィヤ(Laviah)グシオン
12.ハハイア(Hahaiah)シトリー
13.イェツァレル(Iezalel)ベレト
14.メバヘル(Mebahel)レラジェ
15.ハリエル(Hariel)エリゴル
16.ハカミヤ(Hakamiah)ゼパル
17.ロヴィヤ(Loviah)ボティス
18.カリエル(Caliel)バティン
19.レヴイヤ(Levuiah)サレオス
20.パハリヤ(Pahaliah)プルソン
21.ネルカエル(Nelchael)モラクス
22.イェイアイエル(Ieiaiel)イポス
23.メラヘル(Melahel)アイム
24.ハイヴィヤ(Haiviah)ナベリウス
25.ニトハイヤ(Nithhaiah)グラシャ=ラボラス
26.ハーイヤ(Haaiah)ブネ
27.イェラテル(Ierathel)ロノウェ
28.サイーヒヤ(Saeehiah)ベリト
29.レイアイエル(Reiaiel)アスタロト
30.オマエル(Omael)フォルネウス
31.レカベル(Lecabel)フォラス
32.ヴァサリヤ(Vasariah)アスモデウス
33.イェフイヤ(Iehuiah)ガープ
34.レハヒヤ(Lehahiah)フールフール
35.カヴァキヤ(Chavakiah)マルコシアス
36.マナデル(Manadel)ストラス
37.アニエル(Aniel)フェネクス
38.ハーミヤ(Haamiah)ハルファス
39.レハエル(Rehael)マルファス
40.イェイアゼル(Ieiazel)ラウム
41.ハハヘル(Hahahel)フォカロル
42.ミカエル(Michael)ウェパル
43.ヴェウアリヤ(Veualiah)サブノック
44.イェラヒヤ(Ielahiah)シャックス
45.セアリヤ(Sealiah)ヴィネ
46.アリエル(Ariel)ビフロンス
47.アサリヤ(Asaliah)ヴアル
48.ミハエル(Mihael)ハーゲンティ
49.ヴェフエル(Vehuel)クロセル
50.ダニエル(Daniel)フルカス
51.ハハシヤ(Hahasiah)バラム
52.イマミヤ(Imamiah)アロセル
53.ナナエル(Nanael)カイム
54.ニタエル(Nithael)ムールムール
55.メバハイヤ(Mebahaiah)オロバス
56.ポイエル(Poiel)グレモリー
57.ネマミヤ(Nemamiah)オセ
58.イェイアレル(Ieialel)アウンス
59.ハラヘル(Harahel)オリアス
60.ミツラエル(Mizrael)ヴァプラ
61.ヴマベル(Vmabel)ザガン
62.イヤハエル(Iahhael)ウァラク
63.アナヴエル(Anavel)アンドラス
64.メヒエル(Mehiel)フラウロス
65.ダマビヤ(Damabiah)アンドレアルフス
66.マヴァケル(Mavakel)キメリエス
67.エイアエル(Eiael)アムドゥスキアス
68.ハブイヤ(Habuiah)ベリアル
69.ロエヘル(Roehel)デカラビア
70.ヤバミヤ(Yabamiah)セーレ
71.ハイアイエル(Haiaiel)ダンタリオン
72.ムミヤ(Mumiah)アンドロマリウス

作品での言及編集

メイン画像。登場人物シェム・ハのフルネームが「シェム・ハ・メフォラシュ」。

「case.剥離城アドラ」にて「シェムハムフォラエ」表記で言及。部隊となる城に招かれた魔術師達が、上述の天使名がつけられた部屋に割り当てられる。

アプリゲーム『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズG』では上記の72天使に由来する名を持つモビルアーマーが登場。ネマミアは57番目に由来。メハイア(Mehaiah)は55番目のメバハイヤ(Mebahaiah)、ハラエル(Harael)は59番目のハラヘル(Harahel)に相当し、フランスのエッセイストで神秘主義者のロベール・アンベラン(Robert Ambelain)が書いた『実践カバラ(仏:La Kabbale pratique、英:The Practical Kabbalah)』に見られる表記からとられている。

関連記事

親記事

YHVH やはうぇ

兄弟記事

pixivに投稿されたイラスト pixivでイラストを見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ 総閲覧数: 32

コメント

問題を報告

0/3000

編集可能な部分に問題がある場合について 記事本文などに問題がある場合、ご自身での調整をお願いいたします。
問題のある行動が繰り返される場合、対象ユーザーのプロフィールページ内の「問題を報告」からご連絡ください。

報告を送信しました

見出し単位で編集できるようになりました