光鬼(ドンブラザーズ)
ひかりき
サンタクロースの「時代とともに変わった人々に復讐する」という欲望を叶えるために誕生した、光モデルのヒトツ鬼。
ベニツ鬼が、機械のディティールが入った左右非対称の仏像のようなスキン・“燃えるオーラ”を身に纏った姿。如来像や千手観音を思わせるアルカイックスマイルをたたえた黄金の右半身と、阿修羅像や不動明王を思わせる憤怒の表情の黒い左半身に分かれた上半身から五対十本の腕が伸びた構成で、内八本の腕が炎のシルエットを思わせる形状で配置され、残る二本の腕は胸中央で三角形を作る格好で配置される。更に額へは太陽を模した鏡が付き、背中の光背も左右に分かれており右半身は宝珠を左半身は炎を象っている。
総じて非常に複雑かつ豪奢な外見になっているが、色合いの微妙な安っぽさやどこか恨みが滲み出ている顔の形相等が仏像に不可欠な神々しさを打ち消しており、結局は宿主のひねくれた感情を具現化した面妖かつ悪趣味な偶像以外の何物でもない。
変貌時にはオーラと共に「蜈画姶髫」(光戦隊)の文字化けと、光戦隊マスクマンのクレストが浮かび上がる。
自身がこれまで喜ぶ顔見たさに本気のプレゼントを用意したにもかかわらず、それを喜ばない子供達にどんどん気落ちし、その復讐のために歪んだ愛のソルジャーとなってこっそり家に侵入しては食べ残しが付いた缶詰や使い古した歯ブラシ、使い潰して臭くなった靴等の身の毛がよだつ不気味なプレゼントを贈りつけてくる。
宿主に戦闘経験が無い為基本は逃げを優先するが、戦闘ではメディテーションで一気に浮遊して、生意気な敵をオーラパワーでねじ伏せる。攻撃する際は「アイヤー!」と叫びながら攻めてくる。
このヒトツ鬼は他の個体とは異なり、宿主自らの意思で変貌したのに加えてヒトツ鬼にしては珍しい復讐というストレートな欲望から生まれている。
人々の波動で成り立つ世界イデオンは波動のお礼にとクリスマスにサンタとなってプレゼントを配る風習がある。そして今年のサンタは脳人三人衆が務めることになるのだが彼らはサンタクロースを知らない。
それでタロウらドンブラザーズに教えて貰おうとし、介人から紹介される事に。
だが、今の彼はかつての苦い経験で人々に絶望して荒み切り、ヒトツ鬼となって人々に不幸のプレゼントを届ける、人を超えた苦労の鬼と成り果ててしまっていた。
彼から経緯を聞いたドンブラザーズと脳人三人衆は彼等に同行していたサンタを信じる少女・アキの言葉を投げかけて、サンタクロースを励まそうとする。
ソノイ「そうです。あなたはリアルサンタ。もう一度サンタに戻り、どうか私達を弟子に……」
「……黙れ!!黙れ!黙れ!黙れ!お前達のような青少年に、私の心の傷が分かるか!」
しかし、人間に絶望しきった今の心に純粋な言葉はもう届かず、そのまま光鬼へと変貌して逃亡。大任を控える脳人三人衆を特訓に向かわせ、ドンブラザーズはルパンレンジャーアルターとパトレンジャーアルターを召喚し、暴走する光鬼を追跡する。
そして逃亡先の工場地帯にて2機のアルターに追い付かれた光鬼は繰り出される攻撃に怯み、ドンモモタロウアルターはそれらを合体させたVS武器グッドストライクバズーカから放つビームで足止めされて真一/サルブラザー、はるか/オニシスター、つよし/キジブラザーの合流を許して戦闘に発展。光鬼は相手の繰り出す攻撃をのらりくらりと避けて、メディテーションで空中に浮遊すると広範囲のオーラパワーを放って反撃する。
すると、遅れてジロウ/ドンドラゴクウとニンジャークソードを手にした翼/イヌブラザーが駆けつけ、そのままニンジャブラックにアバターチェンジ、彼の放つ「隠れ流忍法・雷鳴の術」を受けて地面に落とされ、繰り出される斬撃を連続で叩き込まれる。
そして最期はイヌの出番を強引に横取りした形でゴールドンモモタロウの『抱腹絶桃・フェスティバル縁弩』とドンドラゴクウの『ライトニングドラゴンフラッシュ』の同時必殺技を受け「ナンカ良イ気持チ……♡」と浄化・極楽気分に浸りながら爆散・敗北した。
- モチーフ戦隊は『光戦隊マスクマン』。また、電子鬼以来ヒトツ鬼ングにならなかったヒトツ鬼となった。
- ジャッカー電撃隊を除いた戦隊名が三文字の戦隊をモチーフにしたヒトツ鬼で唯一変貌の描写があるヒトツ鬼となっている。
- 「未知の力が秘められていたオーラパワーを鍛え上げた事で無限の力を発揮し、『戦う君は美しい』を体現した」存在と成ったマスクマンに対して、光鬼は「未知の存在のサンタが一度の過ちで落ちぶれてしまい、不気味なプレゼントを押し付ける『美しさとは程遠い』存在へと成り果ててしまった」というこれまた皮肉が効いた存在である。また、過去の出来事で起因してサンタを辞めようとしたのは、原典におけるX1マスクの変身者である飛鳥リョオと境遇が似ている。
- また、双子の兄妹(姉妹)でありながらタケル/レッドマスクを介する形で対立したイアル姫と地帝王子イガム、あるいは醜悪な正体を豪奢な装飾を纏う形で隠していた地帝王ゼーバ/リサールドグラー2世のイメージも複合しているとも考えられる。なおイアル/イガムの双子は、自分らの生まれた一族を守護するイガム竜と共にゼーバの正体を暴き、最終回で地帝王ゼーバによって絶体絶命のピンチに陥ったマスクマンを救出する大役を務め、勝利へ導く大きな役割を果たした。
- 今回翼がニンジャブラックにアバターチェンジをしたが、今回登場する『忍者戦隊カクレンジャー』のクリスマス回で本物のサンタクロースが登場する回があったのが理由だと思われる。また、マスクマンに登場するイエローマスクは忍者の家系出身であり、何の偶然か名前はハルカである。
- また、タロウがルパンレンジャーアルターとパトレンジャーアルターを使用したのはあのエピソードが由来と考えられる。
- サンタを信じるいたいけな少女アキ役を演じるのは上村結羽。あの『犬塚翼が犬小屋でドックフードを食べる』という衝撃のラストで知られるドン23話にて、犬化した翼を拾った少女である。ちなみに今回もドン23話も渡辺監督。
- 宿主はサンタクロースであるが、サンタクロースは地域によっては悪い子にお仕置きしたり、内臓や石炭をプレゼントする黒いサンタクロースの伝承がある。まさに光鬼の容姿のように二面性を持った存在となっている。ただし仏教系の見た目に対して宿主はキリスト系という真逆の関係となっている。
- 脚本を担当した井上氏は光戦隊マスクマン第8・13・16・34・39・42話の脚本を書いていた。
- 「完全読本」によると、ヒトツ鬼では一番最後にデザインされ、元々はラスボスとしてデザインされていたとの事。
- pixivでは登場以前にオリジナル怪人として光鬼が投稿されていた。
- また、光鬼ングも投稿されている。