概要
『機動戦士ガンダムSEED』において、地球連合とプラントの戦争を激化させるきっかけとなった事件。
勘違いしている人も多いが、この事件がサラエボ事件や盧溝橋事件のような開戦の直接的原因ではなく、第1次連合・プラント大戦の開戦日はあくまで地球連合がプラントへ宣戦布告と侵攻を開始した2月11日である。
C.E.70年2月14日、月面のプトレマイオス基地よりプラントへ侵攻した地球連合軍宇宙艦隊とザフトが交戦、ザフトはモビルスーツ部隊をもって連合の攻撃を殲滅するも、そのどさくさに紛れて農業プラントであるスペースコロニー「ユニウスセブン」に大西洋連邦のブルーコスモス派将校(漫画版「Re:」ではウィリアム・サザーランド)が独断で持ち込んだMk5戦術核ミサイルが撃ち込まれ、24万3721人にも及ぶ人命が失われた。
その中には、アスラン・ザラの母親であるレノア・ザラも含まれていた。
事件後
連合側
大西洋連邦軍はこの核攻撃の事実そのものを強引に否定し、それだけに飽き足らず「ユニウスセブンの崩壊はプラント側の自爆作戦」と批判・応酬した。プラント側にこそ非があるとする表明を行うという暴挙に走る。
あまりにもふざけたこの表明はプラント・ザフトからの非難に留まらず、地球連合軍内部からの反発も噴出させる結果となった。
小説版ではブルーコスモスが独断で核攻撃を行うという事態を地球連合の政府機関は全く想定していなかったため、苦しい言い訳に奔走するしかなかったという事情があった(アニメ本編でも核による総攻撃を主張したムルタ・アズラエルに対して「あれは君たちが……」と連合上層部の一人が反論する場面がある)。ある意味、連合側もこの事件は不本意な出来事だった事がうかがえる。
プラント側
プラントでは4日後の2月18日に犠牲者を弔う国葬が行われ、その際に当時のプラント最高評議会議長シーゲル・クラインが独立宣言と地球連合への徹底抗戦を明言した。この出来事は「黒衣(喪服)の独立宣言」と呼ばれている。
さらにシーゲルは地球連合非参加国に対しては優先的に物資を提供すると勧告し、非プラント理事国である大洋州連合と南アメリカ合衆国はこの勧告を受諾した。この勧告は「シーゲル議長による積極的中立勧告」と呼ばれている。
その一環としてニュートロンジャマーを地球全土に散布して核を封じていたが、その余波で「エイプリル・フール・クライシス」と呼ばれる世界規模の飢餓が起きてしまい、ナチュラルとコーディネイターの対立を悪化させてしまった。ちなみにシーゲルの友人であるパトリック・ザラは核ミサイルを地球に撃ち込むという報復を提案していた。
また、この事件を切っ掛けとして同年2月21日に、アスラン、イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン、ニコル・アマルフィはザフトへ入隊している。
続編のDESTINYにおいて
この事件によって大切な者を亡くした一部のテロリストによって、ユニウスセブンの残骸の軌道を変え、地球に落下させようとする『ブレイク・ザ・ワールド』が引き起こされ、再び地球とプラントの戦禍を巻き起こすこととなってしまった。その後、地球連合は「フォックストロット・ノベンバー」によりユニウス条約を一方的に無視してプラントへ核攻撃を実施し、あわや血のバレンタインの再来になりかけた(もっとも、核攻撃自体はザフトの秘密兵器ニュートロンスタンピーダーにより失敗に終わった)。
余談
C.E.の年表において開戦と同時に行われ初侵攻(初作戦)の中で起こったのがこの事件であり、要するに開戦初っ端から民間人へ核兵器を使用するという、古今東西のフィクションでもそうは見られない超展開となっている。
関連イラスト
果たしてオーブ連合首長国にも製菓会社の陰謀はあるのだろうか。
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DESTINYから2年後を描いた『機動戦士ガンダムSEED_FREEDOM』では黒幕の策略によって地球にも核ミサイルが撃ち込まれる事となった。