pixivではそのハードさ主人公のタフさから、しばしばパロディのネタにされることも。
概要
自称「デューク・東郷」。裏の世界では知らない者のいない、本当に世界一腕の立つ殺し屋、または超A級スナイパー。
急に、もしくはこっそり、または武器などを持って後ろに立つと問答無用でぶん殴られる。最悪撃たれる恐れもある。
ちなみに第1巻(第1話「ビッグ・セイフ作戦」)冒頭で本当に悪意のない(ちょっと驚かすつもりの)娼婦を殴って捕まる(それが元で刑務所送りになってしまう)。
最初の頃は饒舌に殺しのプランを語ったりジョークをとばしたりするなどかなりのおしゃべりだったが、シリーズを重ねるにつれ、感情表現が少なくなり、次第に無口になっていった。
第162話「スキャンダルの生まれる日」で「思いつきで行動するのは愚か者のすることだ。それを得意げに話すのはもっと愚か者のすることだ」と言っている。現在では、物語の根幹に絡まない場合は、セリフのほとんどが「…。」だけで構成されることもある。
これはゴルゴが成長したというより、さいとう氏が「ゴルゴを饒舌にするより、周囲の人物に喋らせた方が面白くなる」と考えが変わったからという面もある。
ファンの間では、初期の小池せンせいイズムあふれるゴルゴを「ヤングゴルゴ」「アーリーゴルゴ」と呼び区別する場合もある。
しかし、全部ではないが、ある場面では一見不必要に饒舌に喋る事もある。それは、狙撃相手、ないしゴルゴの敵対相手がゴルゴを倒す為に作戦をねって、「やったか」→失敗から、ゴルゴがその相手の前に現れ、「私の作戦は完璧だったのに、なぜ失敗したんだ?」と相手が観念したかのように言った後に、ご丁寧にもゴルゴは失敗した理由を相手に詳細に解説してくれる。
何事にも合理的なゴルゴにしては、時間を無駄に浪費するだけで非合理的に見えるが、これはゴルゴが状況を解説してくれないと、なぜ相手の対ゴルゴへの作戦が失敗したかが、読者に対し分かりづらいからというメタ的な理由ともあるから、と見られる。
彼の名台詞はお笑いコンビ「庵。」(現在はピン芸人のジョーク東郷)のコントで披露されるほど。
最近の彼は決して「ちょろいもんだぜ」とか「そのキレイな顔をフッ飛ばしてやる!」とか言ったりはしない。
作品内容
社会の裏側、あるいは裏と表の境界線上がゴルゴ13の活躍の舞台である。ストーリーの題材は、脚本家が多数に及ぶこともあって、非常に多岐にわたる。諜報戦に代表される国家間の暗闘、戦争・紛争、ゲリラ活動、テロリズム、麻薬組織など犯罪組織、企業活動、芸術・スポーツなど文化活動、歴史問題・地理問題、最新テクノロジー、ミステリー、自然災害なども題材となっている。
作品には、現実に起きた事件に交えて実在の国名・組織・企業・団体そして個人の名前がしばしば登場する。作中のリード文に『A国のBという組織の存在により、C国との関係が芳しくない』といった主旨の内容が書かれる影響もあると推察されるが、この作品で世界情勢を覚えることができるという話もあったり、この作品をモチーフに世界情勢を語る書籍も発行されたりしているが、物語自体はあくまでフィクションである。
なお、ゴルゴ13シリーズと表記されるがこれはゴルゴ13自体が単独作品という位置づけではなく、各エピソードが一作品として扱われている為である。例えば「PARTⅠ」「PARTⅡ」と話の流れで付いていたりするのも「ゴルゴ13シリーズ (エピソードタイトル)」の中のサブタイトルというわけである。
その為エピソード最終話のラストには原作者のさいとうを始めとした脚本家・スタッフ・考証協力者の名前を並べたスタッフロールがあるのが特徴。
2021年4月にはついにコミックスが200巻を達成。あのこち亀とコミックス巻数が並んだ。
200巻かつ40周年を機に終了したこち亀と違い、まだ連載中である為200巻越えは確実になるという。
身体的特徴
現在のところはっきりしていることは、「利き腕が右手」「血液型がA型」であることのたった2つだけ。
それ以外の情報に関しては「推定」でしか語ることができない。
身長
・182cm(推定)
体重
・80kg(推定)
年齢
・40歳前後(推定、ルーツ編ではおおむね1940年代生まれと推定されている)
瞳の色は鳶色。髪の毛は黒で直毛。角刈り。肉体は筋肉質で傷だらけ。
右利きだが、左手でも問題なく狙撃可能なため、実質両利きで銃が使える。
また、年に一度ぐらいの間隔で、突然右腕が麻痺する症状を発することがあるため、作中、左手でも拳銃の早撃ちができるよう訓練する場面があった。
この際は、右腕での射撃に比べて若干速度が劣るとされたが、それでも十分高水準の技術であった。
ゴルゴ13自身の知識を持ってしてもギラン・バレー症候群としか認識できなかったが、実は全く別の神経系の麻痺である事が判明している。
現在では特別にブレンドした漢方薬を服用することで何とか症状を抑えているが、根治することは不可能とのこと。漢方医曰く「常人だったら即死するようなストレスに常時晒され続けていることの代償で、むしろこの症状で済んでいることの方が異常」とのこと。
もちろんその漢方薬も一回毒見させてから服用する。
……だったのだが、532話「震える修験者」にて大峯山の山伏の元で修行した事で克服した。
先達の山伏曰く「お前の右腕の震えは内なる恐れと、心の迷いの現れだ」との事なので、病気というより精神的なものだった模様。
病気が再発した際は治療が終わるまで依頼を一切受けず、大型ヨットで静養している。
なお、神経系麻痺が起きていなくても年に一度、ゴルゴが自分の目で選んだ優秀なドクター達をヨットに呼び寄せて健康診断をしてもらっている。
それぞれが分野の違うドクターであり、健康診断時以外でも必要とあらば連絡をとることもあり、そのために多額の援助を行っている。
レーザーを照射され目にダメージを受けたゴルゴが眼科医を呼んだ際には夜中であろうとも駆けつけている。
任務遂行中に症状が出て、銃器を扱えなくなり窮地に陥ることもあったが、その都度機転で切り抜けている。
彫りが深い顔立ちで、猛禽の羽のような太い眉と、非常に鋭い三白眼が特徴。「いい男」の部類には入るが、特徴的なためネタにされやすい。
顔が濃い割に変装は適当の一言で、服を多少変えたり帽子を被ったりする程度。
だが、敵は大概、まさかゴルゴ13が出張ってきているとまでは考えないため疑うだけで終わる。
ただし、必要とあれば専門家を雇いしっかりとした変装を行う。
最近は、自身の手でメーキャップもするようになった。(顔のない死神)
ルーツ
彼のルーツは謎に包まれており、それを探ろうとする者もいるが、彼によって始末されるか恐怖により自ら調査を放棄するかのどちらかに終わっている。
また、彼の出生にまつわるエピソードを主題とした作品もいくつか語られたことがあり、その中には、ゴルゴの正体ではないかという疑惑を持たれた人物が複数名、登場している。
- 東研作:幼少時、母親と米軍将校の不倫を目撃し、2人を射殺。その後、旧日本陸軍大佐が組織した諜報員養成組織「I機関」に引き取られ、工作員の訓練を受ける。脱走を図った年少の仲間を眉一つ動かさずに殺害するなど、冷徹な性格。
- 芹沢五郎:終戦直後に起きた「芹沢家殺人事件」の唯一の生存者。捜査に当たった元刑事は、芹沢家が代々暗殺者の家系であり、幼い五郎も教育を受けていたと推測。また成人後の五郎が整形手術を行ったと仮定した場合、専門家が予想した術後の顔はゴルゴの顔そのものであった。
- (本名不明):伝説的なロシア人軍事顧問、アレクセイ・スメルジャコフと、日本の女諜報員との間に生まれた男。ゴルゴが稀に発症する、腕が一時的に麻痺する症状を、スメルジャコフも持病としていた。
- 五島貴之:父親は中国の馬賊の頭目、母親はロマノフ朝の末裔。幼少時の初陣で敵兵10人を射殺するなどの非凡な才能を持っていた。劇中では貴之の異母弟に当たる人物が父親のボディーガードをゴルゴに依頼。ゴルゴの目元は若き日の頭目のそれと瓜二つであった。
- 東郷狂介:父親は東郷平八郎の孫、母親はチンギス・ハンの末裔。大戦末期に中国軍に保護され、その才能を毛沢東に見出される。その後は彼とその側近らから直々に英才教育を受け、将来を期待されていたが、突然消息を絶つ。
- 英治・マインベルグ・東郷:日本軍人の父親とユダヤ人の母親を持つ。幼少期、大戦の動乱の中で両親を失い、建国後間も無いイスラエルに渡り軍に入隊。中東戦争で活躍したとされる。
- グレゴリー・皇士・東郷・ロマノフ:父親は日本軍人。母親は最後のロシア皇帝ニコライ2世の皇女。米国の国家予算に匹敵すると言われるロマノフ王朝の遺産相続人候補。狙撃の腕前は天才的だったが同時に心優しい少年でもあった。生存していた母からは「生きていれば感情を破壊され、機械の様な人間になっている」と憶測されている。
- 東堂高志:日本軍人の子だったが孤児となり、殺人武術の師範であった中国人に「馬禿鷲」と名付けられ育てられる。その後、匪賊(武装盗賊)の元で射撃を学び、さらに傭兵としてベトナム戦争に参加。米軍から「ホーク・アイ(鷹の目)」と呼ばれ恐れられる。
これらの人物のうち何名かについては、既に死亡が確認されている、即ちゴルゴではなかったことが判明しているが、その他の人物に関しては可能性が残されている。中には彼らの関係者がゴルゴに直接問いかけたケースも何度かあるが、いずれの場合も彼は否定も肯定もしていない。果たしてゴルゴはこの中の誰かなのか、それとも全く別の人物なのか、作中でも最大の謎と言っても過言ではないだろう。
また、彼の出自を探ろうとした科学者により、極秘裏のDNA鑑定で日系かモンゴル系の生まれとまでは絞り込まれている(なお判明直後、彼らは研究所ごと始末された為作中では不明の扱いのままである)。
弱点が見当たらない彼だが、もしかしたらそのルーツに弱点が・・・
ガゥゥゥ――…ン
作者のイメージなど
外見は作者曰く「40歳頃の俳優・高倉健のイメージ」で描いていたらしく、実写映画化に難色を示していた際も「主演俳優を高倉健にする」という説得が理由の一つとなってOKを出したほど。しかし、爆笑問題との対談で自分の兄もゴルゴのモデルの1人と答えている(ゴルゴが背後に立つ人物をいきなり殴るという行為は、作者が若かった頃、兄が後ろの人を突然殴ったことに由来する)。
他にも実写映画では千葉真一版もあり、TVアニメ版の声優は舘ひろし、劇場版アニメの声優は瑳川哲朗、OVAでは玄田哲章など、長い歴史があるだけあって複数名のキャスティングが行われている。
性格
冷静沈着。本人曰く、「ウサギのように臆病」(後述)。
依頼者に対しては、それがどんなに偉い人であろうがタメ口(敬体)で接することがほとんど。
自身の正体を隠すため、恩人の家族の依頼を受ける際など、状況によっては丁寧に話すこともある。
(※実際には、相手の出身国における公用語で会話しているはずであり、また言語によっては常体・敬体を区別しない場合もあるため、作中における日本語の台詞は雰囲気をつかむためあえて敬体のタメ口にしていると思われる)。
依頼者と会う時も、壁に背を預けたまま話す、握手はしない、資料を取り出す際はゆっくりと出すことを強要するなど、慎重な姿勢を見せる。
ただし、握手は相手の実力を図るためなど必要とあればするし、事前に心得ていた場合は行う場合もある。
裏切り者(彼を騙した依頼者)や、狙撃の瞬間を見た、あるいは見ようとした者、偶然でも彼の写真を撮影した者、彼の使う道具を入手しようとする者、彼の任務を妨害する者、ゴルゴの存在を利用しようとするものについては徹底的に始末しようとする。
特に目撃者と妨害者、利用しようとする者、取り分け自分の配下・手下にしようと画策する者には容赦がなく、たとえ偶然や別の意図からのものであっても撃ち殺される。
例外はゴルゴの方に多少落ち度があり、なおかつ「一切口外しない」という約束が間違いなくできた場合(またはゴルゴの方が信頼できる人物と判断した場合)だけである。
また逆に、依頼人や協力者にミスがあってゴルゴの生命に危険が及んだとしても、「仕方がない」と割りきって見逃してくれるケースが多い。
特殊な例だが、オリンピックの射撃選手にその集中力の秘訣のひとつを教えたこともある。
依頼に利用するためとも見られるが、その真相は不明なままである。
その反面、基本的に負傷したゴルゴを助命しようとする人間には「俺に関わるな」と警告するが、それでも損得なく親身かつ身の危険を顧みずに自分の命を救ってくれた恩人や信頼の於ける人物だと判断した場合は普段からは考えられないほど丁寧な態度で接することもあり、非常に義理堅い一面も持っている(後述)。
依頼や自身の生存に関係のない殺生は絶対にしようとせず、また例え自らの生死に関わる理由から殺生を行った場合でも、最大限の償いをする。
例としては、真夜中の山中でのトレーニング中に托卵により地面に落とされたカササギの卵を捻挫の危険を犯してでも避ける(しかし卵を巣に戻すなど助けることもない)、目標が医者で妊婦の命を救おうとしている場合は救急隊員が駆けつけるまで遂行を延期(「ジンネマンの一時間」)、目標が妊娠した女性だった場合は出産後まで依頼の遂行を延期(「許された命」)している。
やむを得ず自分のミスで罪なき一般人が巻き添えに死んだ場合、遺族へ匿名での多額の慰謝料を払うなどの行動も見せる。
例としては、とある牧場の近くで休暇中に刺客に襲われ、その牧場の息子の馬を無断借用し死なせてしまったことがあったが、その後ゴルゴは慰謝料としてその牧場主の借金を全額肩代わりし、その息子には死んだ馬と同じ品種の馬を、同じ名前を付けてプレゼントした。
依頼の目撃者となってしまい殺害することになってしまったがゴルゴの正体を知らずに助けようとした女性に対しては彼女が行なっていた難民支援に対し、匿名で寄付による支援を行なっている。
ただし、依頼において殺人の依頼ではなく、建物等を狙撃によって完全破壊することを依頼された場合、その中にいる人物の生死は考慮していない面もあり、例えば兵器工場を偽装した工場を銃弾で粉塵爆発を起こすことで完全破壊しているが、中にいた従業員は死亡している(この依頼内容には従業員の殺害は入ってない)。
また、意外と子供には優しく接することが多い。
敵の攻撃で負傷したゴルゴを介抱した少年(とその家族)に対して、回復後に少年の家の仕事を手伝ったり遊び相手になってやる(エピソード「黄金の男」。なお、この話では本業一切抜きでコーヒー農園の農夫として、短い間ながら穏やかな日々を過ごす珍しいゴルゴの姿が見られる)など、受けた恩義には子供だろうと老人だろうと関係無く報いる。
これとは逆に、劇中では少年や少女を射殺したこともあるが、彼に恨みを持つ祖父によって刺客として育てられたからであったり、ゴルゴを監視・脅迫してきたためであり、彼は自分の身を守るためにやむを得なかったに過ぎない(監視・脅迫した少年はその命を報酬としての依頼の為にわざわざ殺されるような行為をしたのであるが)。
結構動物好きなのか、前述の致命傷を負って死なせてしまった馬や、任務に使用して始末せざるを得なかった5匹の犬に対しても、申し訳なさそうな表情をしていた。(エピソード「黄金の犬」)
任務に使用するために調達し、負傷により引退せざるを得ない犬に対しては最後の晩餐となる食事の際にゴルゴなりに優しく接し、介錯に使用した拳銃を墓に供えるといった行動も見せている。(エピソード「寡黙なパートナー」)
作中では、ゴルゴと長年因縁を持ってきた作家から、「オンの時は自身の任務遂行にあらゆるものをためらわず犠牲にする一方、オフの時はあらゆる生死に関わらないという哲学があるのではないか?」と推測されている。
「鳩のレースでドーピングをしている鳩を狙撃してほしい」という依頼では鳩そのものを撃たず、鳩の足に付けられたレース用のIDナンバーの書かれた足輪(右足と左足の両方にそれぞれ一つずつ着けられてた、二つとも紛失させないと失格にさせれない)だけを狙撃してレースを失格にさせる(「ダーティー・ウイング」)、「ロケットの打ち上げを妨害するものの排除」という依頼でも鳩の足に付いている妨害電波発信器を破壊(「リスキー・ビジネス」)と言う離れ業をやってのけた。
負傷し記憶を失った彼を助けた女性に、正体を知られてしまった時も、銃撃戦の流れ弾に当たって死亡した彼女の遺体を、地面に横たえ手を胸で組ませて弔っている。
自身の名を騙る者や同じ顔に整形した者は抹殺される。そのことを知らずにゴルゴをサポートすべく顔を変えた協力者でさえもその対象となったこともある。ただし、その相手が完全に降伏した場合は別の措置が取られることも。
また、本当に偶然顔と名前が似ていたトニー・トウゴウなる人物が依頼者からゴルゴ13と間違われて仕事を実行することとなった時は、彼に知られぬように標的を始末するという実質無報酬での依頼遂行などが見られるあたり、偶然自分に似ていたり、もしくは依頼者がゴルゴ13と間違えて仕事を依頼した場合はその限りではないようだ。
とはいえなんやかんやでこういったエピソードの最後には、実はゴルゴの利害が絡んでいたりむしろ冷徹なまでのポリシーがそうさせているので無いかと語られたりし、結局ゴルゴという人物がどういったものなのか、ということははぐらかされる。
むしろはぐらかさないと作者の命が危ない。
前述の病気とは無関係に、休養をとっているときもある。
「禍なすもの」では、発電機完備、手榴弾でも崩れない上に核シェルターを備えた要塞同然の強固なログハウスを訪れ、常にM16を持ち歩きながらという形ではあったが、屋上で横になってくつろぐ様子が見られた。
このときは多少機嫌が良かったのか、途中でよったガソリンスタンドの店主に過分なチップを与えたりしている(多額のチップに気を取らせ、自分の行先を悟られまいとしている、もしくは自分の印象を少しでも薄くしようとしていると解釈することも可能)。
女性関係
ゴルゴを語る上で外せないのがベッドシーンである。ゴルゴは無愛想で自分を一切見せない性格ながら女性には好かれ、性的関係を持つことがとても多い。
また、仕事に臨む前には娼婦を買って抱いている描写も多々見られる(特に初期)。
ゴルゴが仕事前に女を抱く理由については作中で明かされてはいないが、ゴルゴの仕事は常に命のやり取りがつき纏うものであるため、極限状態に置かれたことによる生殖本能の高まりが仕事に悪影響を及ぼさないようにするため等の考察が為されている。
「ゴルゴくらいの精神力ならば性欲くらい抑えられるのでは?」と思われるが、万事に慎重を期すのがゴルゴである(メタ的な理由としては劇中にベッドシーンを挿入することが、当時の青年男性向けの劇画という漫画ジャンルにおける一種の「お約束」でもあったためでもある)。
敵の中にはゴルゴのこの習慣を利用して罠を仕掛けようとする者がしばしば登場するものの、その全てが返り討ちに遭っている。
東洋系ながら黒人もびっくりなレベルの巨根のうえ、百戦錬磨の娼婦だろうが房中術に長けた女工作員だろうが不感症だろうがたちどころに絶頂に導いてしまう凄まじいテクニックの持ち主。
ゴルゴ自身は情事の最中であっても全く表情を変えることがなく、女の方が一方的に彼にイかされているのがお決まりのパターンで、ゴルゴが快楽を感じているかどうかは不明である。凄いような、勿体無いような…。
また、装備の作成等を依頼した際等の時間つぶしの場合はその時間となると中断して受け取り等に赴く。
作中で彼が射精したところが明確に描写されているのも実は一度だけしかない(エピソード「VOODOO」)が、ゴルゴの血を引くと思われる子供が現段階で二人登場しているので、描かれていないだけで射精自体は普通にしているとは思われる。
好みのタイプは不明(というか作中で描かれてるのはだいたい美女ばかり)だが、とりあえず高飛車なタイプは好きじゃないらしい。
なお、相手の膣括約筋の具合から人種を判別できるという謎の特技を持つ。
自分で娼婦を買う場合を除くと、女性のほうから情事を誘ってくるのが殆ど。
ただし、任務遂行上の手段の一環であれば自分から女性に近づくこともあり、あるエピソードではターゲットの動揺を誘うためにその婚約者を強姦して悲鳴を録音するという手段に出ている(「氷結海峡」。ゴルゴの歴代エピソードの中でも抜群に評価が低いことで知られる)。
初期の頃は一夜限りのものだが、幾度か真剣に恋したこともある。
「白夜は愛のうめき」のエピソードでは一夜限りの恋に落ちた女性に仕事の現場を目撃されてしまい、やむを得ず射殺してしまう、悲しい結末を迎えてしまった。
(ちなみにその際のゴルゴの表情は、なんとも言えない悲し気な表情をしていた)
仕事について
世界一とも評される狙撃が主な仕事。
たまに狙撃以外の依頼があるが、ボディガードは基本的に断っている。
ただし、「○○の命を狙ってくる敵を排除してほしい」という風に言い換えれば、実質的にボディガードを引き受けることもある。
「事故に見せかけて」、「標的が依頼者を殺害するため雇った殺し屋を始末し、その殺し屋が自分を撃つ予定の時刻に狙撃を遂行」、「別の標的への狙撃ミスに見せかけて標的の殺害」、「素人の射撃に見せかけて数発は致命傷を与えない」などといったリクエストにも答えてくれる。ただし、「できれば」という形ではなく、依頼の際に要望を明言することが条件。
なお、「腕利きのガンマンを他の組織に渡したくない」という依頼に対し、命を奪うのではなく利き腕を使い物にならなくするという形で遂行した事があり、あいまいな依頼に関してはゴルゴによる解釈で仕事が行われることもある。
特殊なケースでは、「開発者の始末と新型戦闘機の奪取、奪取が不可能と判断した場合は戦闘機の破壊」、「過去の狙撃の再現」、「依頼者が依頼に同行する事(目撃者となる事)」を依頼の条件として挙げられたことも。
「おれが、うさぎのように臆病だからだ… だが…臆病のせいでこうして生きている…
虎のような男は、その勇猛さのおかげで、早死にすることになりかねない…
強すぎるのは、弱すぎるのと同様に 自分の命をちぢめるものだ…」
のセリフに代表されるように非常に慎重な仕事をする。
背後に立った人物を反射的に殴るのも恐らくその性格からだと思われる。
例を挙げると拳銃を使用する際は弾を撃ちつくす前に必ずリロードしており、このことは同業者からも用心深いと目されている(エピソード「キャサワリー」より)。
連絡方法
一般的な連絡方法は、刑務所の中のマーカス・モンゴメリーという人物に手紙を送り、ラジオで賛美歌13番をリクエストさせ、新聞の『13』の数字に関わりがある広告(13年式G型トラクターなど)の連絡先に連絡すること。
政府高官などは彼への連絡方法を知っていることが多く、『13』にかかわる何らかの行動を起こすこと(国際ニュースに『13』の数字を紛れ込ませるなど)で依頼の連絡になる。ゴルゴとしては好む手法ではないが、緊急時にしか基本的に使われないので、ゴルゴ側も釘をさす程度で収める。
CIAなど一部の組織は直接依頼を行う秘密通信回線を持っている。
その他、依頼者がゴルゴが近くにいることを察知し、彼が痕跡を残しそうなところを嗅ぎ回ると彼の方からコンタクトを取ってくる(ただし、依頼と関係がなければ死の報復が待っている)。
他には新聞に「英国R、G&M商会、船員募集」の広告を出す、イギリスのペンザンスに住むウィリアム・パートリッジに6桁の数字を書いた絵葉書を出す、「ユナイトホライズン土地開発株式会社」の株を買って暴騰させる、のような方法もあるが、世界各地に居る仲介人に仲介してもらうといった方法がある。特定の人間しか知らない特殊な連絡方法が存在し、使用できる人間が限られているものもある。
これらの依頼方法は妨害される事も多く、特にマーカスの連絡方法は2度の妨害で一時的に麻痺していた事もあった。場合によっては連絡方法自体が破棄されることもあり、もし仲介に関わっている人員がいた場合は連絡ルートが使われなくなった場合でも死ぬまで報酬が支払われる。
また、連絡方法そのものが仲介人がゴルゴとのコンタクトを望んでいることを知らせる合図となっているものもあり、マーカスは依頼人が居ないまま讃美歌13番をリクエストして自身が収監されている刑務所へとゴルゴを呼び寄せ、連絡ルートの危機を直接伝えている。
その際には妨害を行ったものに対し報復が行われる。(エピソード「300万通の絵葉書」、「バイルス・チェイス」等)
直接会える仲介人がいる場合は依頼に当たってのアドバイスをもらえる事もあるが、依頼者が不適格であった場合は仲介人の命を支払うこととなるため、仲介人に断られる可能性もある。
CIAなど一部組織には専属となる連絡員がいるが、あくまでそれらの組織の担当者と言うだけであり、ゴルゴと直接的な協力関係は無い。
こういった依頼方法はもちろん一般には知られることはなく、多くは国家の政府や情報組織などが知る所であるが、国連の歴代事務総長も引き継ぐ際に依頼方法を後任に伝えるという場面がある。
裏の世界とかかわりの薄く連絡方法を知るはずがないと思われる相手には、どうやって知ったのか問う場合もある。
稀にオイルマネーで物を言わせて無理矢理コンタクトした依頼人もおり、ゴルゴは命は取らなかったものの厳重に警告している。
もしかしたら、Pixivで描かれた13に関わる投稿絵も依頼方法の一つかも知れないが・・・おやこんな時間に誰だろう?
ただし、ここで挙げられているコンタクト手段はあくまで「ゴルゴと会う約束をする」手段であり、最終的にはゴルゴの指定する場所に依頼者側が赴き、直接会って依頼する必要がある。
本人が直接ゴルゴの指定する場所に赴くのが原則であるが、障碍者であるなど正当な理由でゴルゴに来てもらうことが必要な場合や緊急を要する依頼の場合にはある程度の融通は効く。
なお、代理人による依頼も原則NGだが、死者の遺言による依頼などであれば認められる。
また、組織から依頼をする場合に一々ボスが出向くことは要求されておらず、信頼のおけるエージェントであれば問題はない。
依頼に際しての注意
必ず依頼者が知っていることを洗いざらい正直に話すことが最低条件。内容の前に例えば「落語」における「枕」のような事を依頼者が言い出したら「おしゃべりはそこまでにして本題にはいってもらおう」「それは依頼に関わるのか」と不要な会話として釘を刺してくる。ただし、本題と関わるものとゴルゴが判断すれば「確か~だったな」といった風に話に乗ってくる。
少しでも後ろめたい内容があればゴルゴは決して依頼を受けないし、もし承諾後に偽りや隠し立てしたことが判明した場合は裏切りとみなされ、必ず報復される。
この報復は相手の殺害だけでなく、自分の影武者を狙撃させることで死を偽装しようと部下を介して彼に狙撃を依頼した相手には、影武者ではなく本物の方を狙撃することで報復としたエピソードも存在する。
また、罠や裏切りの可能性も考えて依頼者を事前に調査を行なっており、依頼人も利用されているだけと判断した場合は報復は行なわれない。
しかし、すべてを話した相手についてはゴルゴ自身のポリシーに基づいて、承諾に値する依頼と分かれば、依頼者の立場・イデオロギーに関わらずどんな相手でも依頼を請け、また依頼内容の関係で自分の経歴に傷が付く様な内容でも正当な依頼内容であれば引き受ける。またちゃんと筋道の通った内容であれば「自分をイエス・キリストだと思い込みAI化したプログラムが逆恨み的にゴルゴを狙っている」という傍目からは素っ頓狂な内容の情報でも信頼する。
逆に承諾に値しない場合は、どんなに報酬を積まれても断わる。
依頼人と、不適格な者を仲介した仲介者を殺したこともある。
上記のように狙撃や破壊といった依頼のみを受け、護衛任務は受けることはなく、敵対者の排除など、間接的に護衛であれば受けてもらえる。
依頼の遂行まで長く期間を置く依頼に関してはゴルゴ自身がその時点まで生きていられると限らない為に断られるが、依頼の準備期間として扱う、依頼人がなぜその期間をおくか正直に話すなど、ゴルゴが承諾に値する理由がある場合は受けてもらえる。(エピソード「未来への遺産」「一年半の蝶」)
なお、ゴルゴは依頼自体は依頼者の裏切りなどが無ければ責任を持って最後までこなすが、結果については責任を負わない。
真意を確認して裏切りが判明したとしてもそれが依頼人の信念に繋がっていた場合は報復後に依頼を遂行する事もある。(エピソード「ビリニュスの光と影」)
つまり、標的を殺害したことで結果的に依頼者にとってもっと不都合が発生してもゴルゴの責任の範囲外である。
ただし、依頼をこなした後の結末も考慮することもあるようなので、すべてはゴルゴ次第、ということだろう。
かつて受けた依頼の遂行が不十分であったなど、後始末が必要となった場合、その事に関しての依頼を受けた際に、依頼金を受けずにその依頼を受ける場合もある。(エピソード「贋作工房」等)
依頼人との再接触
依頼の承諾後は、ゴルゴが必要と判断した時や依頼時の条件とした場合以外は依頼人とコンタクトを取ることは依頼の完了報告等も含めて一切ない。
(狙撃の際に不発だった時と旧ソ連(ロシア)の女性超能力者に狙撃を阻止された時は、自分から依頼者の元に現れ、相手を驚かせた)
ただし、MI6のヒュームに対しては標的の犬の牙を送ることで依頼の完遂を報告している(しかしでヒュームは危篤状態にあり、受け取って中身を確認した執事は「タチの悪いイタズラ」と誤解して牙をゴミ箱に捨ててしまった上にそのまま亡くなったため、為に受け取ることは出来なかった。エピソード「ヒューム卿最後の事件」)。
また、依頼に関係する追加事項として事件を起こした黒幕の排除という依頼の追加の為に依頼人側から再接触した例もある。(エピソード「ブラックジャイアント伝説」他)
作中ではその他、「裏切りあるいは偽りがあった事への確認」、「その確認が事実であると判断しての制裁」、「依頼人が別の依頼人の標的となった」等様々。
依頼人が死亡した場合
依頼の遂行中に依頼者が死亡した場合でも受けた依頼は最後まで実行する。
これは依頼人の裏切りが発覚し、依頼遂行前にゴルゴ自身が依頼人を殺害した場合でも同様。
後述の「停止命令」ルールとの兼ね合いにより、依頼人が死亡した時点でゴルゴへの依頼をキャンセルすることは不可能となる。
依頼のキャンセル
基本的にキャンセルは不可能。
だが、依頼者本人による「停止命令」(ストッペイジ・オーダー)があった場合に限り、依頼のキャンセルを了承する。
当然その場合はキャンセルの事情を正直に話し、依頼時と同様に彼のルールに沿う理由でなければならない。また既に支払われた報酬も返却しない。
依頼前であれば報酬の支払いは必要ないが、同様に正直に事情を話す必要がある。
また依頼の中に依頼者判断による狙撃の決行中止の判断を盛り込む事は可能。依頼遂行直前でのキャンセルなど、緊急であれば依頼の連絡と同様に「13」が含まれた内容をラジオなどで流すことでキャンセルを行うことが出来る。(ルールに沿わないことからおそらくキャンセルではなく一時延期で、依頼主の意思を確認後に正式にキャンセルになると思われる)
キャンセルされた場合、事故死に見せかけてなどの依頼の条件が達成されてしまう状況を防ぐため、それらによる死を防ぐ行動がゴルゴによって行われることもある。
この「本人による停止命令」以外にゴルゴを止める手段は一切無い。
依頼人に近い第三者が停止命令を下そうが、慌てた依頼者に命を狙われようが本人による停止命令がない限り絶対に依頼を中断しないのである(エピソード「110度の狙点」では停止命令だけで事は収まっていた)。
このため、依頼人が死んだ場合はキャンセルは永久に不可能となる。
報酬
報酬はおおむね数万ドル~20万ドルが相場で、アニメ版では300万ドルと大幅に増えていたが、ゴルゴ自身が具体的な額を提示することはほとんどない。
一部の依頼では、経費の方が明らかに依頼料を上回っていた場合もある(潜入先の施設の間取りを再現した建物を建てて予行演習する、WW2時のある戦場を完全再現する、潜入のために必要な滑走路を作る島を購入する、等)。
依頼者が自分の命を担保に出す場合や、命を賭しての依頼であれば格安(子供の小遣いや指輪1個など)で引き受けてくれる。
あるエピソードで報酬について問われた際にはものさしの一つに過ぎないと答えている。
報酬は先払いが原則だが、命を賭した依頼などの場合、死後に保険金から支払われるなど、後払いで受けることもある。(ゴルゴ自身が巻き込まれた事件の解決の際には後払いで受けたが、信用のあるヒュームの依頼であったという事も後払いで承諾した理由と思われる)
同一の目標に対する依頼が複数有る場合(特に依頼内容に於ける利害関係が一致してる場合)でも、報酬の多重取りをしない事や依頼者毎の動機や依頼内容の違いなどを考慮し最初の依頼のみ報酬を受け取り、以降は依頼すら受付けない。
依頼人に対して依頼を受けない理由を明かすことは無いが、「あんたの願いは届くだろう」といった形で既に標的への仕事を依頼されていることを仄めかすなどのフォローがある場合もある。
また、過去に依頼とは無関係の場で彼を助けた恩人などには無償で依頼を受けることもある。
例としては、アーノルド・ノイマンという老医のエピソードが有名。
ある依頼で重傷を負い、逃げ込んだ先の核実験場で事故が起きたことで被爆の危険に晒されたゴルゴをノイマンはその危険を省みず、彼を安全な場所まで運び手当てした(そのおかげで、何とかゴルゴは被爆を免れている)。
ゴルゴは自分の命を救ってくれたノイマンに感謝し、彼自身が「困ったことがあったらいつでも連絡してくれ」と連絡先を教え、ノイマンが命を狙われた際には陰ながらその暗殺者を狙撃し、彼の命を救った。
ノイマンはその後病死したが、その夫人から連絡を受けると直ぐに駈け付け依頼を受けるなど、彼の義理堅さを伺えるエピソードも多々ある。
ちなみにこの依頼は夫人の知り合いが被害者となった事件の証拠品となるパッチワークが盗まれたので、それを取りかえしてほしい、というもので到底狙撃の依頼と呼べるものではなかったが、ゴルゴは無条件で依頼を受けている。
恩人が依頼を拒否した場合でも、多額の寄付を匿名で行うなど何らかの形で恩を返している。
何らかの事情で依頼の達成が不完全になった場合は、報酬の一部が返金される。
ゴルゴによらない事故などで標的が死んだ場合は、それまでに使った経費などを差し引いて返金となる。
違う殺し屋によって標的が先に始末された場合は、経費を差し引かずに全額返金する。
病死などによりゴルゴが手を下すことなく死亡していた場合はゴルゴ自身の調査により死亡の確信後に返金される。(エピソード「カリブの人喰い菌」)
これらの事態が発生しても基本的に依頼者には何も説明しない。
わかった、やってみよう…
特にルールに抵触する部分が無いと確認されたら、ゴルゴが「わかった、やってみよう…」と言い、依頼成立となる。
用心深い性格からか、依頼の成功を確約したり余計なセールストークをしたりすることはなく、ただ「やってみる」としか言わない。事情を知らない者は「言い方が軽すぎる」と文句をつけることがあるが、多くの依頼者はゴルゴが「やってみよう」と発した時点で「おおっ!」と喜びのリアクションをとる。
使用武器
アーマライトM16A1→M16A2
ゴルゴの基本装備。愛銃と言ってよい。
M16は本来、狙撃に適さないアサルトライフルだが、
- 複数の敵との予期せぬ近距離戦にも対応できる
- 体格に合っている
- 高い性能、汎用性、信頼性を併せ持つ
といった理由から採用している。
いみじくも自らを「一人の軍隊」(カラシニコフの開発者に、M16にこだわる理由を問われてこう答えた)と言い表すゴルゴにとっては、M16が最適の獲物であるようだ。
狙撃以外にも単独で大勢相手の破壊工作を請け負うことがあり(エピソード「ガリンペイロ」、「百人の毛沢東」ほか)、その際大勢と交戦することがあるので、そのことも考えてM16を使用していたのではないだろうか。
また特に、現在世界でもっとも長く・広く使用されている銃の一つであり、改良が重ねられて高い信頼性が確保されていることは、彼にとって重要な点である。ゴルゴは、どれだけ性能が高くとも、「開発されたばかりの新型」などはまず手にしない。A2でさえ、米軍が正式採用してから10年も待ってようやく自らも使用を開始したほどである。
とはいえもちろん、狙撃に特化するように入念にカスタマイズされており、ときには勘のいいキャラが「彼の仕事では」と気づくほどである。
A2導入時には、世界最高の武器職人(後述するベリンガー)に最高品質のバレルを何個も吟味させ、持てる技術を投入させることで異常な高精度を誇るバレルを入手することに成功している。
狙撃用のスコープも、現代では時代遅れの感がある光学式にこだわっている。その理由を探ろうとした者もいたが…やはり消された。
暗闇や霧の中での狙撃など依頼内容によっては、微弱な光を増幅するスターライトスコープ、熱を映像化するサーマルスコープを使う。
弾丸の選出にも注意を払っており、100発の銃弾を手に入れた場合、ランダムにそのうちの80発を選んで射撃し、1発たりとも不良がないことを確認した上で残りの20発を使用するようにしている。もし1発でも不備があれば弾丸は全て破棄して新たに調達を行う。ちなみに好奇心で不発弾を混ぜて渡した売人には…やっぱり死の報復が待っていた。
デイブに高精度の銃弾を頼んだ際には20発要求し、10発が試射に用いられた。
特殊な弾薬の作成を依頼した場合も試射用も含めた数を要求するが、タイムリミットがわずか、特殊過ぎる等により数が用意できない場合はぶっつけ本番で使用している。調達を依頼した相手はデイブ等の信用できる相手なので、その腕を見込んでだろうが。
後にエピソード「Stock」にてスイスに住む職人により木製の調整式ストック及びグリップ、ハンドガード(これらはPSG-1のものとほぼ同形)が作られ、以降のエピソードではM16は変更されたものが用いられることもある。
なお作中の世界では「ゴルゴが使っている」ということが広く伝わっているために、現実よりもM16の人気が高いという設定がある。中にはM16人気を疎んじた銃器メーカーがゴルゴの命を狙うというシナリオも存在する。(エピソード「激突!AK-100vsM-16」においてはたった一人の人間が銃の評価を変えており、ゴルゴが敗れればM16は数年で姿を消すとまで言われている)
ちなみに、製作上の本当の採用理由は、作者のさいとうが連載開始にあたって、銃器に詳しい友人に主人公の愛銃をどれにするか相談したところ、M16を紹介されたからというもの。この時に「主人公は狙撃手」という肝心な情報が抜けていたため、長距離狙撃にアサルトライフルを使うという変な設定が生まれてしまったわけである。
しかし、これを逆手にとって、上記のようにゴルゴがあえてM16を使用する理由を描いたエピソードがいくつも作られている。これらはおおむね傑作・良作揃いであり、連載開始時の齟齬が良エピソードを生み出すという皮肉な形になっている。
また、アメリカ軍のM16にはキャリングハンドルを除去してフラットトップ化して高精度銃身を使用など、偶然にもゴルゴの仕様に近い狙撃銃が生まれている。
ただし、初期の時点で「ロング・マグナム弾を使用するアーマライトM16変造銃」と書かれており、通常の5.56mm弾とは違う狙撃仕様と明言されている。
(その割には後年、銃弾を特注する際に「5.56mmM-16」と発注している話もあるが)
設計は東京マルイ(数年前にゴルゴ13をイメージした限定モデルが発売されてから漫画でもそれに準じたデザインになっていたが、上記のようにエピソード「Stock」以降は更に改修されたものも登場するようになった)。
サブアーム
多くの場合、S&W M36 チーフススペシャルをはじめとするリボルバー(回転式拳銃)を携行しており、近距離ではこちらを用いて迅速に応戦する。
弾詰まりの危険性がないことから、オートマチックではなくリボルバーを選んでいる。
ちなみに、作中ではこのリボルバーにサプレッサーを取り付けて射撃することも多いが、現実には普通のリボルバーにサプレッサーは意味がない。だが、ありえないくらい太いものを使用していることから、本来の機能範囲にとどまらない、銃本体も含めた何らかの特殊なカスタムによって音を消しているのかもしれない。
また、任務によってはオートマチックピストル(自動式拳銃)も使う。
その他の武装
M16はあくまで基本装備であり、任務に応じて様々な武器を扱う。
超遠距離や高い精度での狙撃が求められる場合では、ボルトアクションの狙撃銃を使用することが多い。
重火器はもちろん、ナイフ、ダイナマイト、ボウガン、弓矢など一通りの武器に精通しており、任務に合わせて多様な武器を使い分ける。使ったことのない武器でも、任務達成に必要と判断した場合には、猛烈な速度で使用方法を学習してしまう。
和弓を用い、宇宙空間で攻撃衛星を無力化した任務もあった(ちなみにこの任務を受ける際、背後に人が立つことを許さない彼には珍しく、女性弓道家に背後からの指導を許す場面があった)。
日本の火縄銃を用いた狙撃の依頼を受けた際も、短期間で扱いに習熟し、依頼どおりの狙撃を成功させた。
あまりないが、場合によっては銃器を現地調達する。武器を自作する能力も優れており、非武装状態に追い込まれても、折った木の枝を歯で齧り尖らせて刺突武器にする、廃材から吹き矢を作る、車両の排気管に釘などを入れて排圧で即席のショットガンにするなど、その場にあるものを利用するなどして即座に反撃できる。
そして、従来の武器では不可能と思われる本当に困難な仕事の場合は、後述するデイブなどに専用の武器を作ってもらう。
宇宙空間でも問題なく使用可能なライフルや、150mmの装甲板を貫通する威力を持つ対物ライフルなど、いずれも無茶にすぎる代物ばかりで、作るのはもちろん使いこなすのも難しい。だがゴルゴはすべて使いこなし、任務を達成している。
協力者
銃器職人
劇中では主にカスタム銃の製作をしてもらっているデイブ・マッカートニーと、M16の製作をしてもらっているベリンガーと言う職人がいる。いずれも作中では世界有数の職人である。
デイブは前述のとおり、依頼によっては、実現不可能としか思えない無茶な銃器を制作させられる。おまけに見積もりの何分の一もの短い期間での製作を求められるため、ゴルゴの注文には毎回「無理だ」「無茶だ」「おお、クレージー!!」と悲鳴を上げている。それでも必ずなんとか形にしてしまうあたりは本当に凄腕である(とはいえ、さすがに妥協せざるを得ないときもある)。
簡単な要求をされると不審に思うが、簡単な仕事をあえて頼むのはそれだけ信頼されている証拠であると納得している。
なお、全てがデイブの手によって調達・調整されるわけではないようで、同じように高い腕を持つ同業者に調達や検品を頼むことがある。(エピソード「武器屋の長い午後」)
デイブの作品には以下のようなものがある。
- 1,000m先の対象の頭部を打ち抜く精度を持ったライフル(初仕事)
- 宇宙空間で使用可能な無反動M16
- 150mmの装甲板を撃ち抜く対物ライフル(本来はこれに30mmのコンクリートが加わっていたのだが、その場合はいくらゴルゴでも到底携行できない大型ライフルと化してしまうことから、デイブの判断で威力が減衰された)
ベリンガーは天才的なバレル職人で、ゴルゴがM16A2を採用するに当たり、会社で製造するオリンピック競技にも使えるような高精度の銃身の中から寸分の狂いもない「スーパー・バレル」を十数年にわたって探し、持てる技術を注ぎ込んで加工した。更に銃本体にも手を加えて完璧なA2を用意した。だがアニメ版ではこの手柄をデイブに取られている。哀れ。
ゴルゴは、何日もかかる製作を短時間で済ませるなど、自分の無理な依頼をこなした職人には、プロ同士として相手の仕事ぶりを認め、敬意を払う。特にデイブに対してはほぼ無条件の信頼を置いていると言ってもよく、デイブと接する時は彼の口から「ありがとう」の言葉が出る貴重な機会である。またベリンガーによれば、無茶な要求をするだけあって、十分すぎるほどの報酬を支払っているようだ。
小物の職人
ゴルゴの腕時計は、スイスの一流時計職人であるハインツが全くのハンドメイドで製作している。
電磁波などの影響を受け難い機械式にこだわり、またとっさの時に武器にもなる工夫が凝らされている。
この腕時計も、ハインツの娘を利用して時計を手に入れて解析しようとした職人は…分解中に一発の銃弾で彼に消され、時計も破壊された。
この事件を担当した刑事も証拠品の時計を修理して調べようとしたが、消されることなく警告のみで済んでいる(この場合は好奇心ではなく警察と言う仕事上やむを得なかったということをゴルゴも理解したためだろう)。
手袋も、非常に繊細な作りの特注品を職人に依頼することがある。
気の毒にもこの職人は、彼の正体を知らないまま手形を取ろうと背後に回り…強烈な一撃を食らわされたが、再度別用途の手袋の製作を請け負ってもらい完成品を貰う際、彼に「俺は仕事柄人に手を預ける事は出来ない、この十年で人に両手を預けたのはアンタだけだ」、と謝罪を兼ねた労いの発言をしている。
調達屋
アメリカ在住の老人。
本名は不明。
武器や人材などどのようなものも調達する。
F-104やメッサーシュミットme109といった様々なものを無茶なスケジュールで頼まれるが、その全てを成功させているあたり腕は確か。
その他
情報屋の他、医療など各種分野に精通している彼だが、コンピューターシステムのハッキングや、携帯電話の解析、装備の密輸、などは、その道のエキスパートに協力を依頼することがある。
その際にはデイブによる紹介が行われる事もある。(エピソード「神の耳・エシュロン」)
依頼内容によっては計画立案や仕掛けの設置などに協力を依頼する事もあり、依頼の内容によっては協力者に依頼内容の全貌を明かすこともある。
また、脱出時や移動中での事故の遭遇などの対策に世界中にいる連絡員に常に資金援助を行なっており、必要な状況となれば自動的に連絡が回り、ゴルゴの回収へと向かうようになっている。
銃弾でダイヤモンドを砕く依頼を受けた際にはダイヤ加工職人の下を訪れて実際にダイヤを砕かせて参考にしており、狙撃が職人に伝えられた際にはその結果に満足した職人に弟子と認められている。(もっとも職人が勝手に弟子と認めているだけだが)
基本的に協力者にはどのように使うのかを明かすことはないが、普通であれば銃弾の射程圏外となるはるか遠くの目標へ熱に弱いバクテリアを届ける特殊な銃弾の作成を依頼した際には詳しく説明している。
ゴルゴの正体を知る・知らないに関わらず協力者に会う際には裏切りの可能性も考慮しおり、エピソード「36000秒分の1秒」においては合流場所に偽装した武器を隠して反撃を行なった。
最近は変装が苦手なゴルゴが雇ったプロのメイクアップアーティスト『トマス・フィール』(「ティモールの蹉跌」以降)やゴルゴに直接売り込みに来た日本人ホワイトハッカー(「ホワイトハッカー」「AIメティス」に登場)も登場している。
財産
明確な総資産は不明。単純な成功報酬の総計だけでも相当なものになると思われるが、さらにスイス銀行の資産運用によって増やしていることが示唆されており、想像を絶する額を貯め込んでいると推察される。
ただし、恩人への寄付や巻き込まれたものへの補償等で大金を寄付しており、報酬の項目で述べられたように目的達成のためには明らかに赤字になるとしか思えないような手段を躊躇することなく選択するため、金銭に対する執着自体はほぼ皆無と思われる。
あるエピソードでは事態解決のために、自然保護活動を名目としてその時の全財産200億ドルをポンッと国連に全額寄付している(エピソード「G資金異聞 潮流激る南沙」)。
定住する住所は持ってはいない(当たり前)が、先述の休暇用ログハウスや改造クルーザーのようなセーフハウス(隠れ家)を世界各地に所有しており、中には高級リゾート地の別荘地に紛れこませた豪華なものもある。
ちなみになんと日本の静岡県浜松市に隠れ家として使っていたマンションがあったが、残念ながらこちらは公安にバレてしまったため破棄している。完成が怪しくなったマンション建築の際に名を偽って支援して部屋を確保すると同時に本来存在しない階を作り上げて武器庫にしており、住人として話好きな老人を入れる事で自然に訪ねてきた人を監視できる体制を作っていた。
余談
「浦沢直樹の漫勉」内で明かされたのだが、作者のさいとう氏は彼を含めて自身の作品内でキャラクターを描く際には一切の下書きをしないらしい。番組内ではゴルゴの他に鬼平犯科帳の長谷川平蔵も下書き無しで描いていた。
その理由は「下書きをすると表情がそこで固定されていしまい、死んでしまうから(大意)」らしい。作者自身もわりと人間離れしている。
また、別のインタビュー番組では「よく仕事が早いと言われるが、下書きを描かない(=工程を1つ抜かしている)から他と比べて早く見えるのであって、自分自身はそこまで仕事が早い方ではない」とも述べている。
理髪店によく置かれる漫画本としてゴルゴ13シリーズも有名である。理由はあまりよくわかっていないが、どこから読んでも問題ない内容の構成である事や、待ち時間を潰すのに丁度よい話の長さだからだとも。
またさいとう氏の実家が理髪店だからではないかとの説もある。
一方で外科医達の間でもよく読まれるともいわれており、一見人命救助の術を持つ外科医、かたや狙撃暗殺のA級スナイパーと正反対だが、仕事への精密さが重視される外科医に共感を持たれているからともされている(ちなみに、原作においてもゴルゴが外科医の手術により重症を負った腕を治療してもらったことで、スナイパー稼業を継続することができたというエピソードがある)。
単行本は基本掲載元であるビッグコミックの小学館ではなく、さいとう氏の運営する出版社のリイド社から発行されている。ただし、雑誌掲載時のサイズで不定期に出るより抜き版は小学館から出ている。
先述の200巻達成では2021年4月9日発売のビッグコミック8号に特別仕様の200巻コミックスカバー+しおりが付録として収録された。
「東郷」という苗字は作者であるさいとう・たかをの中学校時代の恩師の名字を拝借したもの。
大の試験嫌いであったさいとうが、ある時答案を白紙のまま提出したところ、その東郷先生から「これを白紙で出すのは君の意思なのだからそれは構わない。でも、この答案用紙を提出するのは君の義務なのだから、その責任の証明として自分の名前だけはちゃんと書きなさい」と諭された。さいとうは彼の説教に感銘を受け、それ以降人間の義務と責任について深く考えるようになったのだという。
別名・表記ゆれ
関連イラスト
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シモ・ヘイヘ:フィンランドの狙撃手。別名「ムーミン谷のゴルゴ13」。
遠見真矢:蒼穹のファフナーの登場人物。またの名を「マークゴルゴ」。