作品情報
作者 | あっと |
---|---|
フォーマット | ストーリー漫画 |
ジャンル | 日常系 |
出版社 | KADOKAWA(旧メディアファクトリー) |
連載誌 | 月刊コミックアライブ |
連載期間 | 2009年11月号~2021年4月号 |
単行本既刊 | 15巻+ガイドブック(8.5) |
アンソロジーなど | 公式アンソロジー4巻/4コマアンソロジー1巻 |
※2021年2月末現在
作品紹介
全校生徒が5人という田舎の分校「旭丘分校」に通う子供達や周囲の人々の日常を描いたコメディ作品。一話完結型のストーリー漫画。ゆるいテーマにあわせたコミカルなキャラクターに、それとは対照的な風景画レベルの超精密背景という一見不釣り合いに思える組み合わせが大きな見所である。
いわゆる日常系または空気系と呼ばれる作品で、同じジャンルのタイトルは数あれど、ここまで精密に背景を書き込んだものは珍しい。
この背景の書き込みこそが作品全体の雰囲気を高めており、アニメ版でも風景の描写がカットされることなくしっかりと映し出されていた。
コミックスの表紙も特徴的であり、すべて横向きで描かれている。四季折々の情景とキャラの生活ぶりが見て取れるイラストで、1巻から少しずつ絵柄が変化している。9巻まではメインキャラ4人が描かれていたが、10巻では初めて宮内三姉妹が描かれた。
アニメに関しては後述。
主な登場人物
- 宮内れんげ(みやうち れんげ)
CV:小岩井ことり
宮内家の三女。小学1年生で校内最年少。教師の宮内一穂の妹。あだ名は「れんちょん」。
紫色の髪をツインテールにしており、頭に双葉のような大きなアホ毛がある。
挨拶代わりに発する「にゃんぱすー」、歌いながらのヘッドスライディング、あやとりで宇宙を表現するなど、意味不明な言動が多い。またタヌキに「具」、カニに「お塩」と命名するなど、非常に独創的な感性の持ち主。
- 一条蛍(いちじょう ほたる)
CV:村川梨衣
東京から田舎の旭丘分校に転校してきた小学5年生。あだ名は「ほたるん」。
小学生とは思えないほど発育がよく、雰囲気も大人びている。
言動も普段は大人っぽいが、たまに子供が露呈する。
- 越谷夏海(こしがや なつみ)
CV:佐倉綾音
越谷家の次女。中学1年生。ボサボサの赤い髪を後ろで縛っている。身長155cm、あだ名は「なっつん」。
クラスのムードメーカー的存在。トラブルメーカーでもある。
- 越谷小鞠(こしがや こまり)
CV:阿澄佳奈
越谷家長女。中学2年生。茶髪のロングで目は緑。頭に双葉のように飛び出したアホ毛がある。
蛍と正反対で、この歳にして身長が140cmに届かない。思考もどこか子供っぽいが、子供扱いされることをひどく嫌う。
「こまちゃん」と呼ばれることが多い。
- 越谷卓(こしがや すぐる)
CV:?
中学3年生で校内最年長。越谷家長男で小鞠と夏海の兄。眼鏡男子で、おたく少年。身長171cm。
とても存在感が薄く、滅多に出てこない。無口・無表情でセリフがほぼ無く、「ウン」としか言わない。また誰からも名前で呼ばれず、担任教師である一穂ですら「兄ちゃん」呼ばわりする。
- 宮内一穂(みやうち かずほ)
CV:名塚佳織
宮内家の長女。れんげの姉で旭丘分校の教師。24歳。
ポニーテールの糸目キャラ。生徒が5人なので中学生と小学生の担任を兼任する。
とてもマイペース、もといいい加減な人物。
- 宮内ひかげ(みやうち ひかげ)
CV:福圓美里
宮内家の次女。東京の高校に通う高校1年生で、帰省時のみ登場する。
黒髪のサイドテールで、妹と同じく半目キャラ。度々東京自慢をしている。イタズラ好きな性格。
元々は作者の前作「こあくまメレンゲ」のメインキャラクター。
- 富士宮このみ(ふじみや このみ)
CV:新谷良子
越谷家の隣の家(本当にすぐ隣の家)の娘。地元の高校に通う高校3年生。
よく越谷家へ遊びに来る。越谷家の内部事情をなんでも知っている。面倒見がよく、越谷家のお姉さん代理を務め上げている。
- 加賀山楓(かがやま かえで)
CV:佐藤利奈
分校の卒業生で駄菓子屋を経営する20歳の女性。なんでもレンタル業もやっている。
周囲からは単に「駄菓子屋」と呼ばれる。ややボーイッシュなところがある。
個人主義的に見えるが面倒見が良い姉御肌で、子どもたちの人気者。ただし、かなり商魂たくましい。
- 越谷雪子(こしがや ゆきこ)
CV:平松晶子
越谷家の母。面倒見は良いが怒るととても怖い(ただし怒られるのはほぼ夏海に限定される)。
夏休みには、一穂の代わりに、子供達のラジオ体操の監督もしている。
- 石川ほのか(いしかわ ほのか)
CV:高垣彩陽
都会の学校に通う小学1年生。
夏休みの帰省で村を訪れていたところでれんげと出会い、仲良くなった。
CV:田中あいみ
このみが通っている高校の後輩。
人見知りが激しく、常におどおどしている。
CV:平松晶子
一条家の愛犬。
れんげには「ひざカックン」と呼ばれた。
舞台
村名等は不明であるがステレオタイプな田舎。5巻で「村役場」がある事が判明している。
1巻後書きによると、作者は「自分の家周辺や、じーちゃんばーちゃんち」の記憶を混ぜ合わせた「日本のどこか」としている。わかっていることは、鉄道とバスが走っており、新幹線や飛行機が比較的利用しやすく、内陸であり、四季がはっきりしている地域だということ。また、柑橘類畑があることが地味にポイントで、実はこの時点で福島県以南であることが確定している。
山を個人所有するのも珍しくない。しかし田舎だけでなく首都圏の景色も使っているため何故か突然都会的なオブジェクトが山奥に登場したりすることもあり、「実在しない不思議な田舎」が出来上がっている。新幹線で東京から6時間かかるらしい。
都会的描写の例
- 駄菓子屋がある:元来駄菓子屋は東京や大阪などの大都市の下町文化で田舎にはあまり見られない。田舎では八百屋・青果店・酒屋などが専門外の食材などもついでに扱っていて、駄菓子もその一環として店先に置いてあることが多い。ただ結果的によろず屋的な設定に発展しているのはそれに近づいたとも言える。
- カルキ抜きを使っている:ここまでの田舎だと、都市型の集約上水道があるのは稀。各戸ごとの井戸か、深井戸などの水源を集落ごとに分配している簡易水道がメイン。薬物殺菌はしていないことが多い。ちなみに豪雪地では水道より都市ガスの方が先に敷設されていることも多い。
- 電車の車種と編成長:原作では過疎地であるにもかかわらず4連を超える長大編成の電車が走っており、しかもその車種は205系がモデルになっている。もっとも原作開始当初はまだまだ山手線圏内で活躍していた205系も現在では日光線など地方に追われており、現実の方が原作に近づいたと言える。後に地元を走る側の電車は単行に変更されたが、205系を単行用に改造したような電車が走ることになった。なお、JR以外の私鉄では地方鉄道でも電化されていることは多く、また、“長大編成の走る幹線に接続する単行程度の地方線”も常磐線と水郡線・鹿島臨海鉄道・ひたちなか海浜鉄道といったように存在する。この為アニメでは是正しようとして尚の事カオスになってしまった。
旭丘分校
どこかの学校の分校。これ以外の義務教育学校はこの地域にはないようである。生徒が多い時期もあったのか、保健室・配膳室のほかに理科室・音楽室・プールもある。
生徒に給食が提供されているが、配膳室で作られているかは不明。
現在は生徒がれんげ(小1)・蛍(小5)・夏海(中1)・小鞠(中2)・卓(中3)の5名のみ、教師はセリフのなかでは校長がいるらしいが一穂しかいないため、全生徒が1つの教室で授業を受ける複式学級となっている(基本は自習)。建物はバケツが置いてあるところが床が抜けやすくなっており老朽化が著しい木造。校舎から離れた所にうさぎ小屋と焼却炉がある。蛍やれんげたちの住む場所からは離れており、みんなで揃ってバス通学をしている。
一穂もここ出身であり、ひかげ・このみ・駄菓子屋(楓)も同様。越谷家の母・雪子も例外ではないと思われる。
ちなみに元来小中一貫校なのか、それとも“同一地所に存在している2つの分校”(「○○小学校旭丘分校」と「△△中学校旭丘分校」がたまたま同じ建物の中に入っている)なのかは不明。
ただし一穂の年齢(24歳)では中学校の全科目の教職免許を取得することは不可能なので、少なくとも画面に登場していないだけで他に職員はいるはずである。
※【免許外教科担任制度】といって、中学校の教員免許を教科は何でも良いから一種類でも持っていれば、教育委員会の許可を得た上で、免許外の教科を教えることは出来る。「文部科学省、教員免許制度の概要 例5 山間地・へき地等の生徒数が少ない中学校で、全ての
教科に対応した教員を1人ずつ採用できないなどの場合」を参照
各住宅
越谷家
平屋建ての古典的木造家屋でいかにもな田舎の農家といった佇まいの家(ただし現在は農家ではない)。台所もかつて土間だった部分を後から戦後型キッチンにリフォームしたと思しき構造である。縁側が廊下になっており居間は和室、平屋建てだが部屋数は多い。アニメでは縁側にアルミサッシが追加されている。デカい池があり、鯉(ヒカリモノ親方)を飼っている。
宮内家
やはり古典的木造家屋の農家だが二階建て。キッチンは越谷家同様に近代化されていて、カウンターダイニングのLDKになっている。
一条家
昭和56年耐震基準後の新建材住宅。もっとも田舎でも新しく建てられる住宅はほとんどこれ。2階建ての戸建で決して小さい部類ではないが、越谷家や宮内家に比べると小ぢんまり感が抜けない。
ほぼ唯一、子供部屋(蛍の部屋)にテレビがある。
加賀山家
駄菓子屋。古いタイプの木造住居一体型商店。原作ではカウンターから直接店先でやり取りできる窓があるが、これは駄菓子屋と言うよりタバコを取り扱っていた商店に多い構造。アニメでは変更されている(詳細は下記)。
アニメ
第一期
2013年10月から12月までテレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、AT-Xにて全12話が放送。その他、ニコニコ動画、バンダイチャンネルにて配信もされている。
全12話の放送分に加え、未放送の第13話が単行本7巻特装版の特典として制作された。
第2期の放送・配信開始に併せ、GyaO!、DMM.comなど他のサイトでも配信が開始されている。各サイト、第1話は無料視聴が可能である。
原作との差異として、鉄道が非電化になったり、バスの本数が5時間から2時間間隔に増えたりしている。主人公たちの住んでいる地域に「日和」という地名がついた。
また、ある程度は順を追っているがコミックスから色々な個所をより集めて1話にしているため、その都合で変更されている部分も多い。
その都合で変更された部分も含め、アニメオリジナル部分でも作品のイメージを壊さないようシナリオ決定の後一度あっと氏がネームに起こしている。
この為、「まったくのアニメスタッフオリジナルの部分は無い」らしい。
各話タイトルは原作には存在しないため新たにつけられており、「~~をやった」などという語尾に統一されている。
旭丘分校のモデルとして埼玉県比企郡小川町にある町立小川小学校下里分校を選んだため、舞台が「東京から遠いド田舎」というよりも比較的「関東の片田舎」に近い景色となっている。ただし信号機の形状から雪深い地域という設定になっているとみられる。また駄菓子屋は東京都23区内にある実在の駄菓子屋を参考にしており、やはり田舎と都会がごちゃまぜになった独特の田舎像となっている。
度々登場する気動車はひたちなか海浜鉄道・樽見鉄道・北条鉄道で使用されている旧三木鉄道「ミキ300形」の車両をモデルにしている。路線はJR只見線がモデルである。さらには接続する路線は絶滅危惧種である国鉄色のキハ40形100番台が走っており(100番台は北海道用)。やっぱりごちゃまぜになってしまっている。
他に登場するアイテムとして農村地帯らしく軽トラックがあるが、これまたなぜか農家に不評で短命に終わったDA63T型スズキキャリイに統一されている。ご丁寧に宮内家の軽トラもこれに変更されている(原作ではKS3/4型スバルサンバー)。
他に大人の事情として作中に登場するテレビが全て薄型テレビに変更されている(原作で最初から薄型テレビがあったのは一条家のみ)ほか、越谷家のテレビアンテナがすでにUHFアンテナのみになっている(旧い住宅では撤去の手間を惜しんだり、またFMラジオ放送受信の為VHFアンテナを上げっぱなしのことが多い)。デジタルチューナーを追加する程度で渋るだろう加賀山家のカウンターのテレビまで薄型テレビになっている。
因みに原作開始当初、作者は薄型テレビを持っていなかったとのこと。
制作スタッフ
原作 | あっと |
---|---|
監督 | 川面真也 |
シリーズ構成 | 吉田玲子 |
脚本 | 吉田玲子・志茂文彦・山田由香 |
キャラクターデザイン | 大原舞 |
総作画監督 | 大原舞・井本由紀 |
撮影監督 | スタジオシャムロック |
色彩設計 | 木幡美雪 |
美術 | 草薙 |
美術監督 | 大泉杏奈(草薙) |
音響監督 | 亀山俊樹 |
音楽 | 水谷広実 |
音楽制作 | ランティス |
アニメーション制作 | SILVER LINK. |
主題歌
オープニング曲『なないろびより』
作詞・作曲 - きみコ / 編曲・歌 - nano.RIPE
エンディング曲『のんのん日和』
作詞・作曲 - ZAQ / 編曲 - 松田彬人 / 歌 - 宮内れんげ(小岩井ことり)・一条蛍(村川梨衣)・越谷夏海(佐倉綾音)・越谷小鞠(阿澄佳奈)
各話タイトル
話数 | タイトル | 原作相当話 |
---|---|---|
第1話 | 転校生が来た | 1話・オリジナル・3巻番外編・2話 |
第2話 | 駄菓子屋に行った | 3話・8話 |
第3話 | 姉ちゃんと家出した | 6話・5話・25話 |
第4話 | 夏休みが始まった | 9話・2巻番外編・17話 |
第5話 | 水着を忘れたふりをした | 11話・12話・13話 |
第6話 | おばけになってがんばった | 10話・15話・16話 |
第7話 | せんべいがカレーになった | 7話・4話・19話 |
第8話 | 学校でごはんを炊いた | 20話・35話・21話・31話 |
第9話 | 文化祭をやってみた | 22話・23話・42話 |
第10話 | 初日の出を見た | 29話・40話 |
第11話 | かまくらを作った | 26話・27話・32話 |
第12話 | また春が来た | 37話・36話 |
第13話 | 沖縄へ行くことになった | オリジナル(※) |
(※):6巻巻末の46話・47話と、このディスクが特典とされた7巻48話・49話の幕間。ただし漫画ではボーイング747が描かれているが、アニメではボーイング777に変更されている。
関連動画
第二期
詳細はのんのんびよりりぴーとを参照。
第三期
詳細はのんのんびよりのんすとっぷを参照。
劇場版
詳細はのんのんびよりばけーしょんを参照。
余談
田舎と都会がごちゃまぜになった独特の田舎像
特に群馬と栃木はそれなりに雪の降る地域もある。
また、茨城県はつくばエクスプレス+バスで+αでこういう地域に出くわす。
(新幹線で6時間どころか、秋葉原から全行程2時間内外)
さらにアニメ的には関東広域圏の為水戸・宇都宮・前橋の集合中継局がテレビ東京を中継しているのもミソ。
(ちなみに民放は基本的に在京キー局全局が全域で受信できるが、NHKは水戸中継局のみ東京局ではなく水戸放送所ローカルとなる。県南地区ではスカイツリーから東京局も受信可能)
ただし群馬県・栃木県は内陸県であり小1連れで日帰り海旅行は難しい。
例:日光市(栃木県)~日立市(茨城県、海水浴処)の自家用車日帰り旅行は子供連れでも普通に可能。群馬からとなるとスケジュールや移動手段次第で一応可能であるが早朝出発→深夜帰宅とかなりの強行軍になり非現実的と思われる…が、一穂が最終便に乗り遅れているので、100%ないとも言えない。ちなみに、日光市から23区内は東武特急「けごん」で2時間弱(東武日光駅→浅草駅)。新幹線の利用率が高いのは圧倒的に群馬の降雪地帯。
一方、沿岸県である茨城県では降雪はほとんどない。(一シーズンで数センチ程度の積雪が三度あったら「この冬はかなり降った」扱い。積もらない程度が一回だけというのも珍しくない)
また、「テレビ東京系が写る田舎」としては滋賀県説・岐阜県説・福岡県説(降雪量は東京・茨城より多い)もある。
公式アンソロジー&ガイドブック
アンソロジーが出版されており、無印、「あきっ!」「ふゆっ!」「はるっ!」の順番で4冊続いている。他にも4コマアンソロジーが発売された。
コミックス本編と同様に表紙のイラストは横向きで、それぞれの季節に沿った絵とメインキャラ4人が描かれている。
本作品のアンソロジーの特徴として、角川系ではなく芳文社のまんがタイムきらら系列で活動している作家が多く参加していることがあげられる。特に「きんいろモザイク」の作者・原悠衣と本作品の作者・あっとは相互にお互いの作品のアンソロジーに参加している。
また、原作8.5巻として公式ガイドブックも発売されている。これも横向きの表紙なのでわかりやすい。
関連イラスト
関連タグ
妖怪百姫たん!…2015年にコラボした。れんげ、夏海、小鞠、蛍の4人が妖怪百姫たん!の世界に迷い込みあるじや猫又らと交流するスペシャルシナリオがあり、またこの4人がゲーム中に妖怪として登場した。
ビビッドレッド・オペレーション - 2期6話で夏海と蛍という直接の絡みが少ない同士での会話があるが、その二人の中の人は当作で主役として共演をしているという共通点がある。夏海は会話のきっかけを作ろうと「プリティキュット」の話題を出してくるが、蛍は後作の「トゥィンクルシスターズ」の方に興味があったことから会話が噛み合わず焦っていた。なお「プリティキュット」はワンカットながら3人のキャラが登場し、主人公のキャラを夏海の中の人が声を当てていることや色の組み合わせなどから、当作も元ネタになっている可能性はある…かもしれない。