マジンガーZ
まじんがーぜっと
概要
1972年~1974年に放送された東映動画のアニメーション。
原作者の永井豪による漫画版が週刊少年ジャンプに同時並行的に掲載されたが、放送途中で「続きはテレビで見てね!!」と唐突に連載終了、その後講談社のテレビマガジンに移籍し、完結した。
漫画版を元に、旧TVアニメシリーズ版と異なる新規シリーズとして制作されたのが、*「真マジンガー 衝撃!Z編」である。
日本国内では最高視聴率が30%を超えるなど歴史的なヒットとなり、海外でもヨーロッパなどで人気を博した(スペインでは視聴率70%を記録した)。放送話数全92話という記録は、ロボットアニメ史において未だに破られていない。
地味に、操縦者と開発者を、肉親として紐付けた最初の作品でもある。鉄人28号の金田博士は後付け設定。
漫画版連載前の紆余曲折
実は企画が持ち上がった時、永井豪は連載を4本抱えており、これ以上同時並行して描くのは不可能だった。そんな時、ジャンプで連載していた『ハレンチ学園』が巻きに入っていたというのもあり、永井はこれを終わらせようとする。
マジンガーの企画が東映で本決定した際、条件として「週刊誌でコミカライズしてくれ」と言うのが出され、消去法でWJでの連載が決定した、と言うことであった。かくしてアニメ放送に3か月先駆けてWJにて連載が開始したのである。
なお、経緯から分かるように漫画版とアニメ版はどちらがどちらの原作という訳ではない。なので漫画版を「原作」と呼称するのは厳密には誤りである。
ちなみに同時期に週刊少年マガジンで描いていたのがデビルマンである。
また、週刊少年ジャンプで巨大ロボットがメインの作品はこれが唯一では無いのだが、マジンガーZの知名度からかほとんど話題にされない。
余談だが、WJでの連載時にはボスがガミアQに服を破かれるシーンで「ウヒャーコレじゃハレンチ学園じゃーい」という台詞を発している。
ストーリー
ミケーネ人の古代遺跡の調査に訪れた科学者・兜十蔵博士は、同行していたDr.ヘルがミケーネ人の遺産である超ロボットを利用して世界征服を企み始めたことを知り、新元素・ジャパニウムを利用し特殊合金『超合金Z』と『光子力エネルギー』を開発。それらをエネルギー源に動くスーパーロボット「マジンガーZ」を完成させるが、Dr.ヘル率いるあしゅら軍団の襲撃により命を落とし、息絶える寸前に孫の兜甲児にマジンガーZを託した。
祖父の遺志を継いだ甲児はマジンガーZのパイロットとして、日本防衛の要として、機械獣軍団を率いるDr.ヘルの野望を打ち砕くべく戦う。
(以上アニメ版のあらすじ。漫画版とは設定が微妙に異なる)
メカとしてのマジンガーZ
身長18m(後述の真マジンガーでは24m、INFINITYでは25m)、体重20t、出力は50万馬力(出力増強で65万馬力、二度目の出力増強で95万馬力)、鉄(くろがね)の城の異名を持ち、アメリカ第七艦隊に匹敵する火力をたった1機で保有する神にも悪魔にもなれる巨大ロボット。
鉄人28号は外部からコントローラーで操縦するというラジコンのようなシステムであるが、こちらはパイロットがロボットに搭乗して操縦するというところに決定的な違いがある。
ちなみにこの発想は永井豪が「渋滞の時に車から足生えて歩いて行けりゃいいのになあ」と考えたのが発端らしい。
※最初期のラフスケッチ及び企画段階においての詳細は、「アイアンZ」の項目も参照されたし。
漫画版やそれを元にデザインされた『マジンカイザー』『真マジンガー』だと目の周りが赤いのが特徴。
鉄人28号、鉄腕アトム、ジャイアントロボ以降ヒット作に恵まれず、ジャンルとして終わったとみられていたロボット物は本作で息を吹き返すどころか、本作のヒットを受けて雨後の筍のごとく「有人搭乗式ロボットアニメ」が作られるなど、その後のロボットアニメ界におけるスタンダードとして君臨する事になる。
なお、人が乗り込んで操縦するロボットものという作品やアイデア自体はマジンガーZ以前にもあり、あくまでマジンガーZは後続に多大な影響を与えた金字塔としての作品であることに留意されたし。
全身に無数の武器を格納し、
光子力ビーム†で「部分破壊」、
ロケットパンチで「貫通」、
ブレストファイヤー†で「高温で溶解」、
ルストハリケーンで「錆び付かせて風化」、
という風に主要必殺技の絵的な効果が全て違う、という特徴がある。尚、真マジンガーとは†の武装の相対的強さが異なる(最強の武装が原典はブレストファイヤーだが、真マジンガーでは光子力ビーム)。
兜博士は孫達にマジンガーZを託す際に「あのロボットは完全だ、もう何一つ修正するところも調整するところも無い」と語った。しかし、Dr.ヘル一味が次々送り出してくる機械獣は兜博士の想定以上のものだった。
こういう事もあり、後に脚部に水中活動用の専用機関が追加装備された。さらにそのままでは空が飛べないという弱点に対して、追加装備「ジェットスクランダー」とドッキングして克服するという、パワーアップの要素もある。
又、ロケットパンチは飛行安定性と対象切断能力を付与されたアイアンカッターや、遠心力で飛行速度を加速し、運動量を増大させて破壊力を増す大車輪ロケットパンチへ、更に元来は二の腕内蔵だったホーミングミサイル(劇中未使用)を、貫通力を高めたドリルミサイルへと強化されたり、耳には冷凍光線照射装置が備えられたりしている。ジェットスクランダーも、サザンクロスナイフと云う十字手裏剣を射出可能であるし、主翼を斬撃に用いるスクランダーカッターと云う攻撃技もある(これらの強化は真マジンガーでは為されていない)。
なお、ゲーム「スーパーロボット大戦」にて元祖スーパーロボットとして扱われる事から、ノリや根性や気合いによる解決の多い作品と勘違いされる事も有るが、実際は初起動の際の操縦法がわからず混乱する甲児の有様や理詰めの戦いや描写も多く、リアルロボット系含めた巨大ロボットもの全般に大きく影響を与えている。
この点は、「マジンガーZ以上の強敵を作り出すこと、そしてその強敵を倒すためにマジンガーZをどう立ち回らせるかを考えることで、マジンガーZの圧倒的な強さをリアリティを持って表現する」というスタッフの考え方と苦労によるもの。
決してただ巨大ロボットが暴れるだけの絵空事ではないリアリティに満ちているのが本作の魅力なのである。
そしてその最終回はマジンガーZが突如現れた新たな敵勢力に対してなす術がなくボロボロにされるという衝撃的なものであった・・・。
その時甲児は颯爽と現れ敵勢力を叩きのめす新たな魔神とそれを操縦する者を目の当たりにするのである。
余談として、以前より「兜甲児が必殺技名を叫ぶのはマジンガーZに武器使用のための音声認識システムが搭載されているため」との言説を見かけることがあるが、明確な典拠は不明である。これについてはアニメ・漫画ともに作中で明言されたことはなく、アニメにおける初期エピソードや漫画版では技名を発さずに各種武装を使用することが複数回あった(アニメ初期に関しては戦闘シーンの演出方法について試行錯誤を重ねていたためと思われる)ことから、作中の描写をそのように解釈することも可能、という程度に考えておくべきであろう。ちなみに初めて機械獣との戦いの際、甲児は内蔵武器をボタンを押す事で発動させている事だけはアニメ版第2話で判明している。
テーマソング
OPテーマ「マジンガーZ」は、アニキこと水木一郎の代表曲の一つとして有名だゼーット!
EDテーマ「ぼくらのマジンガーZ」は、マジンガーZの内部構造が背景になっており、ロボットの構造というリアリティを追求している。
実はEDテーマとマジンガーZの発進のテーマである「Zのテーマ」はOPテーマの候補だったが、曲調や歌詞などの理由で上記が採用された逸話がある。
登場キャラ
関連タグ
バイオレンスジャック(セルフパロディとしてマジンガーZ章「鉄の城編」が存在する)
パロディ・オマージュ
アニバーサリー
余談
ミラーマン:前番組。その前番組はアタックNo.1であり、ある意味で本枠がスポ根ブーム、変身ブーム(第2次怪獣ブーム)からスーパーロボットブームへの変化の象徴であった。
ちなみに本作で語られる「神にも悪魔にもなれる」という言葉は、鉄人28号で描かれた「良いも悪いもリモコン(操縦者)次第」という表現を操縦者側に置き換えた秀逸な表現とも言える。
マジンガーZ対暗黒大将軍とテレビ版最終回で、マジンガーZはズタボロにされ満身創痍のマジンガーとなるが、劇場版がズタボロにされながらもマジンガーZの強さの演出を忘れていなかったのに対し、TV版はそうしたフォローが無く一方的にマジンガーがやられていた為、劇場版の方が高く評価されている。
2022年11月には関智一が座長を務める劇団ヘロヘロQカムパニーの第39回公演で「立て!マジンガーZ!!」として舞台化。もともと2020年3月に上演予定だったが新型コロナウイルスの影響で延期となり、約2年半越しにお披露目となった。