「わたしはプリンセス・ローズマリー。」
概要
CV:宍戸留美
ナージャと同じくアップルフィールド孤児院で育った女の子で、フルネームも「ローズマリー・アップルフィールド」である。
ウェーブのかかった金髪と赤いリボンと青い瞳が特徴の美少女。(登場人物にも、"えらいべっぴんさん"と評価されるなど、公式で美少女)
幼い頃からプリンセスとなる事を強く夢見ており、幼い頃はナージャとプリンセスとその従者のごっこ遊びをしていた。
スペインではゴンザレス家でメイドとして惨めな下働きの日々を送りながらもナージャとの再会を喜ぶが、彼女がフェルナンドの誕生パーティに招かれた際に、レオナルドとティエリによってドレスを着せられた上に(しかもコレットが着ていたドレスとは別のドレス)、彼らと共にその姿で現れたナージャにフェルナンドがうっとりしていた光景を見てしまった事で、嫉妬に燃えてしまう。
更にナージャがローズマリーと再会したという情報を孤児院の院長先生から得たロッソとビアンコの情報でナージャが自分の思い描くプリンセス(貴族の娘)だったという真実を知ってからは、彼女に対する嫉妬と黒い欲望を抱くようになり、そして、願いを叶えるために周りの人間を傷つける事も陥れる事も厭わなくなる。
この憎しみを晴らすべく、ヘルマンと手を組み、ナージャと同じ年頃と金髪碧眼である事(本物のナージャよりは濃い金髪であるが)を活かし、持ち前の演技力、頭の良さ、美貌でナージャに成り済まし、彼女を苦しめ、自身がプリンセスに成り代わろうと画策するが、全てを手に入れたと思い込んでいた彼女に待っていたのは夢見ていたプリンセスの生活とは正反対の欲に駆られ腐敗した貴族社会の現実だった(ただしこの辺りの描写はアニメ本編ではあまり描かれておらず、後述の描写がやや唐突な感があり、ご都合主義ではある)。
彼女に優しく接してくれたのは、皮肉にもナージャの母・コレットだけだったという。
ナージャの身分を知っただけでも失望は大きかったが、失望は二重底だったわけである。
その後ヘルマンは破滅し、自身が偽者である事が露見してしまった際には、追い出される前に自ら屋敷を出て行く事を宣言し、最後はナージャに全てを返して自分の夢を掴み取るために旅立った。最後まで開き直った態度を取り続け、ナージャとは最後の最後まで和解には至らなかった。
ただし、彼女の矜持は「どんな生まれの人間でも自分の夢を追い続ける権利があるはず」という自由主義な思想であったため、ナージャの夢である「母との再会」を奪った事に関してのみは謝罪している。
ドラマCD版と小説版
ドラマCDでは生きていく術に乏しかったためあっと言う間に困窮し、恥も外聞もかなぐり捨ててナージャ一座に転がり込み、そして再び悪事を考えているとの事。
一度覚えた憎しみはそう簡単には収まらないあたりは相当にリアルな人間描写である。
現実を知って失望すると言う意味では、挫折は三重底だったようだ。
ドラマCDとはパラレル路線の続編である小説版では、持ち前の立ち回りの良さや取り入りの上手さを駆使して(裏社会の方ではあるが)生きていけている様だが、それ故に狡猾さやダーティーさは更に増長しており、ナージャがダンテライオン一座の為に劇場を購入しようとしていると知ると、金で雇った偽弁護士を駆使してその資金を騙し取るなど、相変わらずナージャを影から妨害する悪女ぶりをみせた。
ナージャから金を騙し取った(一応本人曰く「金は一時的に借りるだけで、事業が成功したら返すつもりでいる」というが、果たして本当かどうか…)後は、独自に事業を起こすべくアメリカへ渡った模様。
漫画版
こちらではあまり深く本編には関わっていない模様。
評価
対象視聴者である小さな子供達には、主人公ナージャに対する陰湿な嫌がらせや裏切りから凄まじく嫌われたが、大きなお友達には不遇の境地の最中に生きる女性が抱え持つ心の闇と欲念を生々しく体現し、理想や夢を追う者に対するアンチテーゼともいえる強烈な個性、人物設定や、最後まで自分を貫き通したその生き方から良い意味でも悪い意味でも人気と話題を獲得し、なんと2004年のアニメ最萌トーナメントにて、主人公のナージャを抑え優勝している。
また、ローズマリーの容赦の無さとブレのない悪女ぶりは、ニチアサの歴史において2つの人気アニメシリーズに挟まれて、影に埋もれがちな今作品の良い意味でも悪い意味でも強いアピールポイントの一ひとつにもなっている。
そもそも、「持たざる者が持たざる事を自覚してしまい、しかも友人だったはずの者がそうではなかった事」を想像してみれば、足元から崩れ落ちる気分になっても不思議ではないだろう。
もしも彼女を主役にして制作されたなら、一歩間違えれば本作が欝アニメになっていたかもしれない境遇である。
より世界名作劇場らしい作品になったではあろうが。
余談
担当声優の宍戸留美はナージャの前クールであるおジャ魔女どれみにてメインキャラの一人・瀬川おんぷを演じていた。
彼女も当初はどれみらに対するライバルという位置づけで、どれみとその仲間達に対して上から目線でどこか高飛車に振る舞うキャラ(もっとも、おんぷの場合は魔女見習いとしてはどれみ達よりも優秀で、かつ人間社会でも子役タレントとして働いているという、この年齢の子供から見れば立派な方である)だったが、最終的にはどれみ達と友情を結び、2期以降はレギュラーキャラとして活躍するようになった。
ちなみに、どれみのキャスト陣はナージャにも引き続き出演しており、レギュラーを問わずかなりの共通出演者が多い。
ついでに宍戸留美の誕生日は11月6日であり、その日は意外にも同作品の主題歌を歌った本田美奈子の命日でもあった。
また、本田氏の歌った主題歌『ナージャ!!』の中には「みんな笑顔で会えたら 争いも きっとなくなる」という歌詞があるが、作中"笑顔"で再会しながらも、その後、争い合う関係になり、最後まで和解する事のなかったナージャとローズマリーにとっては皮肉の様な一節ともとれる。
関連イラスト
関連タグ
ダークヒロイン / ヒロイン 金髪碧眼 吐き気を催す邪悪 リボン 悪女 ソシオパス メンヘラ 悪役令嬢
狡兎死して走狗煮らる:一歩間違っていたら、彼女はこの言葉通りの末路をたどっていたのは間違いない。
モンスターより人間の方が、生々しくて怖い…:後年のニチアサ作品に登場した台詞。モンスターは一切登場しない『明日のナージャ』であるが、作中一番のモンスター(よりも怖い人間)は間違いなく彼女であろう。
キビ・ポイント:こちらも後年のニチアサ作品に登場した。『誰かを不幸に落として、自分の願いを叶える』という、このシステムの全容を知った視聴者の中には、彼女の事を思い出す者もいた。
共通点があるキャラクター
仲代壬琴/アバレキラー、草加雅人/仮面ライダーカイザ:ナージャと同時期にニチアサ枠で放映されていた爆竜戦隊アバレンジャー、仮面ライダー555の両作品を代表するダークヒーロー達で、ローズマリー同様に視聴者からの評価を二分させた。「陰湿な策略で主人公を追い詰める」などその手口も彼女と共通するものがある。ただし、前者は、事情があり、終盤&映画で主人公達と共に戦い、最終的に改心・和解した他、後者は最後まで改心する事はなかったものの、主人公側の原因も強くお互い様な面もあった。
滝沢直人/タイムファイヤー:未来戦隊タイムレンジャーに登場した彼女とよく似ている(上昇志向が異常なほど高い、主人公の浅見竜也/タイムレッドを敵視する)追加戦士。しかし彼女と違い、強過ぎる野心が災いして組織を追放され、戦闘員の凶弾に倒れて死亡という彼女より悲惨な末路を迎えた。
雉野つよし/キジブラザー:登場当初は善良且つ無害な人物であったが、嫉妬(こちらは恋愛絡みと更にややこしい)に駆られて吹っ切れると、他人を蹴落としたり、排除する事も厭わないなどの共通点がある。
ラビニア・ハーバート:フジテレビ系列で放送されたアニメ小公女セーラの登場人物で、こちらもローズマリーと同じく主人公に陰湿な嫌がらせをしていた上に、最後まで和解に至らなかったなどが共通している。
また、ラビニアもローズマリーと同じく金髪セミロング、碧眼にリボンをしているなどと容姿もどことなく似ている。
レジーナ:ドキドキ!プリキュアに登場するブロンド長髪、赤いリボン、青い瞳と言う、ローズマリーと似た特徴を持つ悪役繋がり。ただし彼女はローズマリーと違い改心した。
ローズマリー(プリキュア):デリシャスパーティ♡プリキュアに登場するニチアサの同名繋がり。ただしこちらは善人の男性(オネエ)である。
ビート:ポケモン剣盾の登場人物だが、若干不幸な生い立ち(彼は養護施設出身)でありながら、主人公らと衝突し我欲の為に沢山の悪事を行っていたという点がかなり似ている。ただし、ある事に対してだけは主人公に謝った事以外和解も改心もしなかったローズマリーとは異なって、ビートはある人物との邂逅を機に改心し主人公らとも和解している(改心の内容はかなりアレだが…)。余談だが、どちらも関わっていた中年男性が後から罰せられた所も似ており、ビートに関わっていた中年はローズマリーと名前がかなり似ている。
スワマ:ベストウイッシュのゲストキャラだが、ローズマリーと同じく「最初はモブ程度の出番だったが、後々主人公と対立し、最後まで改心しなかった悪役」。孤児院出身という不憫な過去がある為同情できなくないうえヘルマンやプレミンジャー公爵と違って謝ろうと思えば謝れたローズマリーと違って、スワマには謝る気も無ければ哀しき過去も無い。(未遂で終わったとはいえ)小動物を絶命させるような悪事を犯す為、その残忍さは同じ悪役であるラビニアやレジーナがマシに見えてしまう程である。最終的には改心しなかった彼だが、受けた罰は直人よりはマシなものであった。
間桐慎二:自らが喉から手が出るほど欲しかったものを友人である主人公が持っていたことを知って嫉妬に狂った共通点を持つ。
ディオ・ブランドー:金髪、貧しい生まれ、最後まで悪を貫き通す、高い身分の主人公をあの手この手で追い詰めるなどの共通点がある。
マルチェロ:本来は富豪の跡取りとして裕福な人生を送るはずだったが、本妻との間に正当な跡取りが生まれた為、母親共々無一文で家を追い出され全てを失ったことで、その弟を終生恨み続け、その後様々な悪事に手を染め堕落していく様が共通している。