《逋セ迯」謌ヲ髫》
「みほちゃん……ミホチャン……帰ッテ来テヨォ〜!ミホチャ〜〜ン!」
データ
身長/192cm
体重/236kg
スキン/牙吠の猛獣
概要
フェズントコンサルタントの会社員・雉野つよしの「みほちゃんに帰ってきてほしい」という欲望を叶えるために誕生した、百獣モデルのヒトツ鬼。
シソツ鬼が、胸部中央に凍てつく死の星と化した地球を覆い被さんとする、白骨の獣のようなアーマー型スキン・“牙吠の猛獣”を身に纏った姿。
星獣鬼に似た青白い獅子の顔、鷲の両翼を模した鬣、鮫の横顔に見立てた角、後頭部に配置された牛の頭蓋骨、虎の頭骨を乗せた頭部(だが、頭蓋骨の形が人に近いのでゴリラの頭蓋骨のようにも見える)で構成された頭部パーツに加え、宇宙鬼の物に似た象の頭をかたどった鎧で覆われた両肩と様々な動物の意匠が組み込まれており、寒色系で統一された外見は正に邪気が集合して生まれた怪物の如き忌々しい容姿は、獣人の作った夢幻でしかなかった妻の名を叫びながらさまよう様は完全に幽鬼その物である。
また、口元に配置された青い牙を俯瞰すると歯を食いしばりながら号泣しているように見える。
変貌時には「逋セ迯」謌ヲ髫」(百獣戦隊)の文字化けと、百獣戦隊ガオレンジャーのクレストが浮かび上がる。
行方知らずとなった愛妻のみほの名を悲しさ混じりの大声をあげながらどんどんと捜し回り、行手を阻む敵をガオラオと覇者の百獣拳で退散させる。
宿主がドンブラザーズの一員である都合上戦闘経験はある物の、しばらく間を置いて鬱積した欲望に理性を飲まれて場当たり的な行動しか取れず、冷静に自分を消去しようと迫ってくる脳人の攻撃にはほとんど対応できなくなってしまっている。
また、欲望が強過ぎる故か倒されずともエネルギーが暴走してヒトツ鬼ングに変貌、その状態で倒されてもヒトツ鬼の姿に戻るだけと破格の耐久力も獲得しており、つよしが穏やかな振る舞いの裏で妻への執着を拗らせて蓄積させた欲望の凄まじさや根深さを感じさせる。
活躍
前回の一悶着でみほが再び行方知れずとなり、その原因となった翼に怒るつよしは、彼の歓迎会を行う喫茶どんぶらに怒りの形相で殴り込んで来た。
そこで翼とその獣人と対話した事のあるタロウから獣人であるという現実を伝えられるも認めることができず、「みんな…大っ嫌いだ〜!!」とその場を飛び出してしまう。
翌日、無数のみほの捜索チラシを町中に貼りつつ行方を捜していたが、拭いきれない深い悲しみに支配された事で百獣鬼へとヒトツ鬼化。
人を超えた雄叫びの鬼と化し、存在しない妻を求めて探し回っていると真一/サルブラザーとはるか/オニシスターと遭遇。
「ミホチャ〜ン、ドコ〜〜!?アッ!ミホチャン……ジャナイ! アァ…ドコ行ッチャッタノ……ミホチャ〜ン‼︎」
はるか「あれは、雉野?」
真一「二度あることは三度ある……か」
三度のヒトツ化に呆れつつも気を取り直し、暴走した仲間を止めるべく交戦するも、百獣鬼は「自分がいなければドンオニタイジンにはなれない」と言うまさかの禁じ手を実行、まだ撃破されていないにも関わらず暴走する欲望でそのまま百獣鬼ングへと変貌。巨体に物言わせてタロウ、翼、ジロウが不在で巨大戦力を繰り出せないドンブラザーズ2人を追い込む。
しかし、突如巨大なロボタロウギアから出現した謎のロボによって倒され、百獣鬼に戻ったところにソノシ、ソノゴ、ソノロクが乱入。
必死の抵抗も虚しく3人の猛攻によって撃破され、元に戻ったつよしも消去されてしまう。果たして彼の運命は如何に……。
また、撃破された際にガオレンジャーギアをドロップした様子。
余談
- モチーフ戦隊は百獣戦隊ガオレンジャー。スキン名もガオレンジャー達の名乗りである「(二字熟語)の(モチーフの動物)」を踏襲している。
- 「パワーアニマルに認められ、緑豊かな地球とそこに生きる生命を守るためにオルグと戦った」ガオレンジャーに対して、百獣鬼は「白骨化したパワーアニマルを身にまとい、自然と生命が死に絶えた地球が張り付いた鬼」と対比となっている。また、オルグはこの世の邪気が具象化して「鬼」のような姿となった者であるため、このヒトツ鬼は姿を併せて「地球が邪気に満ちてオルグ」へなった様にも思える。
- また、パワーアニマルの骨を集めて構成したような顔が、人間の顔のパーツをモチーフとしたハイネスデュークと、それが集合して誕生した究極オルグ_センキを彷彿とさせる。しかもセンキはガオレンジャーに与するパワーアニマルを全滅させた上で、地球よりパワーを奪い取ってオルグの星に変えようとした。
- 素体がシソツ鬼なのは、大昔のガオの戦士でありながらその時代のオルグの王を倒す力欲しさに禁断の力に手を出してデュークオルグ・狼鬼へと身をやつした、大神月麿/ガオシルバーが由来と考えられる(何の因果かネーミングもヒトツ鬼と一致している)。また、前述の関係から考えると今回がシソツ鬼ベースな理由も狼鬼=ガオシルバーであったと考えられる。
- 咆哮も対照的で「命あるところ、正義の雄たけびあり」がガオレンジャーならば、「みほのいないところ、声にならない怒りあり」が百獣鬼となっている。
- そして雉野がこれまで「ヒーローにあるまじき行為を仕出かした」ツケが、「ヒトツ鬼になった一般人として消滅される」という形で自らに跳ね返ってしまった。
- 妻と幸せに暮らしたいという「夢」が潰れ、「太陽」の様な妻が月のようなまやかしの存在という現実を突きつけられ、それでも妻を追い求める「叫び」を上げながらも、その「邪気」と共に物語から「退散」させられる結末を迎えてしまった。脚本が井上である以上、こうなる定めだったのだろう。
- ちなみに原典のガオレンジャーも宿主である雉野が属するドンブラザーズも鬼を退治する戦隊であり、鬼を退治するはずの存在が鬼へと変貌するのは両戦隊にとって皮肉な物である。
- 計算か偶然かは不明だが、かつて雉野がなった激走鬼、太陽鬼の元ネタである激走戦隊カーレンジャー(20作目)と太陽戦隊サンバルカン(5作目)のスーパー戦隊シリーズとしての数を足すと25になり、これは百獣戦隊ガオレンジャー(25作目)と同じになる。
- 原典の最終決戦ではパワーアニマルが斬り倒され、ガオの宝珠が砕け散る描写があるが、同じくソノシに斬られた雉野は戦隊メンバーであるためかキューブに閉じ込められて転送されただけで魔進鬼のようにキューブが砕ける描写がなかった。
- pixivでは登場以前にオリジナル怪人として百獣鬼が投稿されていた。
関連タグ
炎神鬼:等身大で倒されずにヒトツ鬼ングになったヒトツ鬼繋がり。
激走鬼、太陽鬼:過去につよしが変貌したヒトツ鬼。ただしいずれもベースはベニツ鬼。しかもガオレンジャー含めて3戦隊ともアニバーサリー戦隊の周期にある戦隊である。後者とは動物戦隊モチーフである事も共通している。
秘密鬼、恐竜鬼、魔法鬼、轟轟鬼:ゼンカイな戦隊のモチーフ元の鬼繋がり。
海賊鬼、超力鬼、侍鬼、未来鬼:こちらはツーカイザーモチーフの戦隊のヒトツ鬼。
手裏剣鬼、魔法鬼、轟轟鬼:過去に3回もヒトツ鬼へ取り憑かれた人物のヒトツ鬼。更に前述の星獣鬼も最初はこの人物に取り憑いていた。
動物鬼:動物スーパー戦隊モチーフのヒトツ鬼の内、生気を感じられない動物(の彫像)を外見としている。
天装鬼:同じく愛人に帰って来てほしいという欲望から生まれたヒトツ鬼。宿主はつよしとも面識がある。
ゼンカイガオーン:前作に登場したガオレンジャーモチーフの戦士。
オルグ魔人:原点における鬼繋がりの怪人。そのうちの1体が奇しくもヒトツ鬼と同じくヒーローの力を宿していた。
アナザーアギト(2019):ガオレンジャーと同期のヒーローを歪めたアナザーヒーロー。