概要
ドラゴンクエストシリーズに登場するモンスターである。
初登場は『ドラゴンクエストⅤ』で、緑色のスライムの上に小さい騎士が跨っているという、名前のままのモンスター。
騎士部分は中々スタイリッシュな出で立ちであり、シリーズのマスコットキャラクターであるスライムを華麗に駆る姿からプレイヤーに強い印象を残した。
後のシリーズでも毎作のように敵として登場するが、大体の場合登場するのは序盤から中盤に移り変わってくるあたりで、搦め手こそ使わないものの「つうこんのいちげき」や「ホイミ」による自己回復、「イオ」などの初級攻撃呪文を使うなど騎士の名に相応しい能力を持っている。
初登場の『ドラゴンクエストⅤ』では仲間になるモンスターの1体であり、以後の作品でも定番的に仲間になってくれる(後述)。
上の騎士と下のスライムの関係
上に乗っている騎士とスライムの関係性は作品によってコロコロ設定が変わっており、これといって固まっているわけではなかったりする。
ナンバリングタイトルの公式攻略本では「スライムに乗った魔族の騎士」であると書かれている場合が多く、実際戦闘中の攻撃アニメーションでもスライムの反発力を利用して飛び上がった際に完全に体が浮いていたり、『ドラゴンクエストⅩ』以降ではフィールドを移動中はスライムを降りて徒歩で移動している。
また、「弱いものいじめの対象となりやすいスライムを守るために立ち上がった誇り高い騎士」と説明されているタイトルもある。
一方で、一部の作品や攻略本等では「騎士もスライムの一部」という記述がされていたり、『小説 ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』では「スライムが『騎士の芽』を生やして進化した姿」と説明されるなど、騎士部分は一種の疑似器官のような扱いになっている事もある。
いのまたむつみによる同作の挿絵ではこの設定を反映し、スライムから直接騎士の上半身が生えているような表現となっていた。
スライムの体の一部説は『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』でも採用されており多くの人を驚かせたものの、続く『ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵 ルカの旅立ち・イルの冒険』では別個体説のように読める文章になっており、ドラゴンクエストモンスターズシリーズでは今ひとつ統一されていない感じだったが、近年に発売されたものではナンバリングシリーズと近い扱いになっている場合が多い。
また、一部の作品やスピンオフ作品ではスライムナイトのようにスライムに乗せてもらう事が出来る場合もある。
逆に、スライムが主人公のスライムもりもりドラゴンクエストシリーズではナイト部分がアイテムとして登場し、装備するとスライムナイトのように剣を振って攻撃できるようになる(説明文曰く、本物の騎士ではなくあくまで模したおもちゃや道具らしい)。
こうした扱いから、自分がスライムナイトの騎士になったイラストもある。
各作品での活躍
ドラゴンクエストⅤ
スライムナイトの晴れ舞台と言えば、何と言っても初登場の本作だろう。
モンスターを仲間にできるようになって間もない頃から加入可能で、かつ加入率は一匹目が1/4とかなり高い。初期ステータスは十分に高く、装備品も主人公のおさがりをまるまる使え(同時期に仲間になる他のモンスターの装備品はキバやこしみのなどの微妙な物ばかり)、最初から命令を聞き、なおかつイオ系(「イオナズン」は覚えないが)とホイミ系の呪文も覚えるなど非常に優遇されており、序盤から優秀な戦力となる。
ステータスも終始よく伸び、冒険を進めるにつれてギラや炎系のブレスヘの耐性も長所として際立ってくる。そして終盤では弱点であるザキ系ヘの耐性を補助する「エルフのおまもり」、吹雪耐性を補う「ほのおのよろい」等の登場により安定度を増すことができ、まさに主人公の股肱の臣ともいえる存在にまで上り詰める。性能の割に不遇とされる終盤の魔界エリートとは逆に、加入時期にちゃんと有利をとれる相手と戦える点でも恵まれている。
以上のように、序盤から終盤まで、ダンジョン探索からボス戦まで全てに使えるオールラウンダーとして、人間キャラ顔負けの大活躍を見せる。『ドラゴンクエストⅤ』発売当初から仲間モンスターシステムを代表し続ける不動の存在と言っても過言ではなく、1匹目を仲間にしたときの名前「ピエール」はスライムナイトの愛称としてあまりにも有名。より冒険を楽に進める為に、2匹目(アーサー)、3匹目(ちゅん)を粘った人も多いのではないだろうか。
さすがに、グレイトドラゴンやキラーマシンなど最強クラスのモンスターが仲間になるクリア後となると、攻撃呪文が「イオラ」止まりな点も手伝いパンチ力に欠けるようになってくる。そのためクリア後にはモンスターじいさん送りにされることもあるが、序盤から長い間苦楽を共にしてきた戦友を手放せず最後まで馬車で連れていくというプレイヤーも多い。実際は最終盤にも、守備力の低さをカバーし「ふぶきのつるぎ」などの強力な装備を持たせることさえできれば、裏ボス戦まで十分通用するポテンシャルを持っている。
また、ある意味当然だが、敵として登場したときも油断ならない存在である。幼年時代ではおそらくもっとも恐ろしい存在だろう。集団で現れ、「マホトラ」でそれはそれはしつこくMPを吸い取り、弱った所に「つうこんのいちげき」をぶちかましてくる。味方になった時にあれほど強いのだから、敵として弱いはずがないのだ。
リメイク版が重なるに従い、敵側からの状態異常の成功確率が上がるため、ザキ耐性への弱点が目立つようになってくる点は要注意。特にマヒ効果は装備によるザキ耐性補強が反映されないため、ゲマ戦によるやけつくいきの影響を受けやすい。ここは耐性が優秀なメンバーに頼ろう。
特にきついのがニンテンドーDS版であり、もはやザコ敵のやけつくいき・まひこうげきが恐怖に感じるぐらいよく受けるうえ、よりにもよって完全耐性をそなえた仲間が滅多にいない青年時代前半にこれらの脅威を一通り受けることになることから、該当地域での運用にはかなり気をつけておくこと。
また、RTAにおいてもカギとなる戦力で、いかに早く仲間にできるかが成否を左右する。ピエールが仲間になることを麻雀の門前清自摸和に見立てて『ピエールツモ』、略して『ピエツモ』などと呼んだりすることも(ピエールが仲間になる確率は麻雀の自摸と同じく1/4。最初の戦闘で仲間になれば『ピエール一発ツモ』と呼ぶ。他にもRTAプレイヤーの間では『スラツモ』や『アプツモ(リメイク版のみ)』という呼び方もある)。
10回戦闘してピエールが仲間にならない確率は、(1-1/4)^10=59049/1048576≒5.63%
小説 ドラゴンクエストⅤ
リュカの母・マーサの友人で、元はピエールという名前のただのスライム。マーサを守りたいと強く思ううちにスライムナイトへの進化の道を歩み始めた。だが完全な進化を終えるまで数年を要し、その間にマーサはエルヘブンを去ってしまっていた。ピエールはマーサを探すため放浪の旅へと出て、長い年月が経った頃、マーサの息子であるリュカと出会った。
以後はリュカの仲間となり、マーリンと共にリュカを支える参謀のような立場におさまった。
またスミスとは、リュカがビアンカと結婚した事で自分の事を構ってくれなくなった時にはスミスのいい所を沢山挙げスミスを励ましたりする仲間モンスターのまとめ役でもあり、リュカとビアンカが行方不明になった際にはラインハットへの使者も務め、双子の剣術の師匠も務める。
またゴンズ戦では養父の仇という事もあり、リュカと戦いの最中で口論し、その隙をつかれ倒されてしまう。
しかしそれはピエールの策であり、リュカをいたぶる事に専念したゴンズがリュカの反撃により体勢を崩した際にゴンズにとどめを刺す。
自ら策を用いてゴンズを討ち取る汚れ役を買って出るだけでなく、「復讐とは、こんな風に醜いものです。あなたには似合わない」と子供たちの前で父の復讐に逸ろうとしたリュカを諫め、冷静さを取り戻させるあたり「股肱の臣」としての気高さが見て取れる。
ちなみにハードカバー版第2巻の表紙や彼単独の挿絵がある。
CDシアター ドラゴンクエストⅤ
同じく主人公の側近とも言うべきプックルとコンビを組むことが多い。
ドラゴンクエストⅥ
スーパーファミコン版では「魔物使い」が参加した戦闘よって、ニンテンドーDS版では、ある城で締出されている所で仲間にすることができる(DS版では、魔物使い(マスター)がいても戦闘でモンスターを仲間に出来ない)。
どちらも、『ドラゴンクエストⅤ』に比べると即戦力としては難しい。しかし装備に関しては相変わらず優秀であり、転職を上手く使えばスライム格闘場等で活躍できる。また、プラチナ系の武器防具を装備できるため、ベストドレッサーコンテスト・モンスターの部での活躍も見込める(職業にもよるが)。プラチナ一式とバンダナがあれば、モンスターの部は簡単に突破し、賢者の石を手に入れることができる。
以上の事から『ドラゴンクエストⅤ』ほどではないにしろ優秀な仲間であることには変わりない。青い人も見習って貰いたいものである。
また、DS版では一番はじめに仲間になるモンスターであり、スライム系およびドランゴしか仲間にならなくなった事もあって彼の活躍の場はますます増えた。とは言えDS版以降青い人の初期能力が引き上げられた事もあって、彼の出番を奪える程では無くなってしまった。なおに加入後に締め出した本人に会いに行くと「スライムが怖かった」と言って謝ってくれる。かわいい。(残念ながらピエール側の反応は無し)
ちなみに、今回の「ピエール」はナイトの部分の名前であり、またがっている緑色のスライムの名前は「ハイド」であるという設定である。
小説 ドラゴンクエストⅥ
『小説 ドラゴンクエストⅤ』の時に比べ活躍は少なめ。後にアモスや他の仲間モンスターと共にロンガデセオに残った。
ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド
スライム系×悪魔系の基本配合で生まれる。ボス戦で有用な「スカラ」「ホイミ」を覚える上に、耐性も補助系呪文や即死系を中心に充実しているため、ストーリー攻略では役に立つ。
ドラゴンクエストⅦ
本作ではアントリアの部下として非常に邪悪なスライムナイトが登場するシーンがある。ネリスを自分たちのオモチャとして弄んでおり、彼女が復讐の為に魂の剣を使って身も心もボロボロになる様子を堪能しているという。
また、モンスターパークに送った際の反応も独特で、なんと「無口」。『小説 ドラゴンクエストⅤ』での「忠臣」、同作リメイクでの「活気」、そして上記アントリアの部下である「邪悪」のいずれともまったく異なるまさかの反応に驚いたプレイヤーは多かったようである。
ドラゴンクエストⅧ
ピエールがスカウトモンスターとして登場し、勿論仲間にすることが可能。
肩書きが「愛の戦士」と恥ずかしいことになっている。
能力は出現時期相応の微妙な物だが、その微妙さがかえってメタル系モンスターと組んだ時に高いシナジーを発揮する同族思いのいぶし銀。
ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー
スライム系のランクDのモンスターとして登場。野生個体は存在せず、位階配合で調達可能。
一例としてベビーパンサー×ホイミスライムの位階配合で作成できるが、ベビーパンサーのスキル「けものみち」とホイミスライムのスキル「HP回復」、自力スキルの「ホワイトハンター」で、属性物理特技や特効系物理特技、状態異常特技、回復呪文による粘り強さ、力強さ、安定感を発揮できる。
バトルGP参加登録後には既に他国マスターから奪うことができる。サンドロ島到達可能時点では貴重なDランクの位階配合素材である。コイツを素材に状態異常のスペシャリストであるヘルホーネットを作って良し、物理のスペシャリストであるくびかりぞくを作って良しと、序盤の攻略を楽にしてくれるモンスターの作成に繋がり、夢が広がるであろう。
ドラゴンクエストⅨ
一応、アユルダーマ島辺りで敵として登場するものの、仲間になるわけでもないしNPCとしても登場しないため他作品と比べてかなり地味である。
ドラゴンクエストⅩ
コロシアム内部のモンスター酒場に「アーサー」という個体が登場。
ドラゴンクエストⅪ
神の民の里にNPCとして登場。警備を任されているらしい。
星のドラゴンクエスト
本作の「ピエール」は従来のスライムナイトとしてではなくシーズン2のストーリー上の重要キャラクター及びボスとして登場する謎の白いスライムナイト。宇宙政府を内部から変えると主張するがストーリーを進めていくと意外な人物の正体が判明する。ストーリー上では2回(2018年春のアップデート時点では)戦うことになり、2回とも戦闘の途中でスライムジェネラルに似た形態(新規デザイン)にパワーアップしてくる。1回目はそのまま白いスライムナイトが巨大化したような形態だが、2回目は禍々しい漆黒のスライムになる。
ドラゴンクエストタクト
モンスターとして登場する他に、伝説のまもの使いが使う特技の「まもの呼び」で召喚出来るモンスターのひとつとしてピエールで登場する。
同系統のモンスター・関連モンスター
メタルスライムの上に騎士が乗っかったモンスター。
詳細は個別記事にて。
- ダークランサー
ドラゴンクエスト モンスターバトルロードシリーズに登場。
スライムダークの上に赤い鎧を着た騎士が乗っている。
槍による攻撃を得意とする。ほとんどの攻撃呪文に強い反面、多くの属性攻撃に弱い。
ドラゴンクエストモンスターズシリーズに登場。
ダークスライムの上に邪悪な騎士が乗っかったモンスター。
詳細は個別記事にて。
- ハートナイト
ピンク色のスライムの上に騎士が乗っかったモンスター。
『ドラゴンクエストⅩ』や『ドラゴンクエストモンスターズ2 イルとルカの不思議なふしぎな鍵』に登場。
スライムナイトを倒しつづけることで出現する転生モンスターとして登場している。
- クリスマスライムナイト
『ドラゴンクエスト モンスターバトルスキャナー』に登場。
サンタクロースの帽子をかぶったスライムナイト。
- Vスライムナイト
『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』に登場。兜にVサインが描かれたスライムナイト。
スライムナイトの亜種で、その名の通りスライムナイト界のジェネラル(将軍)。
モンスターバトルロードで合体モンスターとして初登場。
同種のモンスターにゴッドライダー、デンガー、テンカーが存在。
詳細は個別記事にて。
関連イラスト
読んで字のごとく、スライムに乗っかっていれば誰しもスライムナイトになれる模様