概要である
映画『侍戦隊シンケンジャーVSゴーオンジャー 銀幕BANG!!』のボスキャラクターで、蛮機族ガイアークの真の支配者たる害統領。
ゴーオンジャー本編ではGP-FINAL(最終回)にてボンパーの「行方不明とされていた"害統領"がグラスワールドを滅ぼし、ガンマンワールドに攻め込んだ」と言及されるのみにとどまっており、彼を倒すために別次元の「ガンマンワールド」へ向かう所で終わっているため、テレビ版でのラスボスは総裏大臣ヨゴシマクリタインとなった。
「大統領」と「総理大臣」といえばどちらも国のトップを担う立場だが、ガイアークでそれらに相当するであろうヨゴシマクリタインとバッチードのどちらが上だったのかは不明。少なくともヨゴシマクリタインは自分を「11次元の覇者」と名乗り、ガイアークの支配者として振る舞っていた。
侵略作戦として月面に「バッチリウムプラント」という設備を建造しており、穢れに満ちた三途の川の水を引き込むことで汚れたガスを撒き散らし、全世界を汚染することが目的。
またヨゴシマクリタインと違って配下はいないようだが、外道衆と手を組んだ事で、血祭ドウコクが遣わしたアヤカシ・ホムラコギを協力者(手下?)に迎えている。
ちなみにバッチリウムプラントに三途の川の水を引き込む際は能力を使って空間を繋げる方法を取っていたが、汲み上げ自体は人力。ウガッツ達が川辺に立ってバケツでポンプに汲み入れていた。
容姿である
まず上半身は3つの歯車が組み合わさったような造形で、大きな歯車の中央に厳めしい顔があるのは輪入道を彷彿とさせる。3つ目なので鼻眼鏡のレンズも3つある。
右腕は大きなスパナになっており、左腕は普段はヒト型の手だがドライバーを装備することも可能。
そして足の先は右がニッパー、左ははんだゴテ。また左肩にはドライバーとスパナ、ペンチが並び、まさに全身工具尽くし。
なお腹部の歯車は強力なバルカン砲「バッチードバルカン」になっており、右肩の歯車には蛮機族のエンブレムがついている。
ボディと頭部の歯車を同時に回転させることで、強力な歯車型エネルギー弾を繰り出す「バッチードスパイラル」という技を撃てる。
性格である
やはりというか冷酷かつ卑劣な手段も厭わないタイプのようで、いくつかの場面からそれがうかがえる。
ボンパーと彦馬を人質にした際は、走輔と丈瑠に対してウガッツとナナシ連中をけしかけつつ「最後まで無抵抗だったら解放する」と条件を出したが、丈瑠はバッチードがその条件を守る気など無い事を見抜いている。
そして全炎神と全折神が宇宙にまで追いかけてきた際には、同行していたホムラコギを盾にして自らは逃げるアリサマ。
ただホムラコギが倒された後「ご苦労である…役に立ったのである」と一応の労いの言葉はかけている(そもそもコイツが一方的に身代わりにしたのだが)。この仕打ちはヨゴシマクリタインもやっているものの、一応は労っている点でこいつの方がまだ温情はあるか。
※とはいえヨゴシマクリタインが盾にした奴等は自身に歯向かってきた逆臣であり、バッチードは協力関係にあった相手を躊躇いなく…と見ればどっちもどっち。まあヨゴシマクリタインは独裁的な態度のせいでキタネイダスとケガレシアの反発を招いたのだがそこはそれ。
活躍である
ガンマンワールドではいきなり巨大戦に突入しており、ゴーオンジャーとの早撃ち対決を行う。しかしバッチードはコインを使って射撃を防ぎつつ不意打ちを仕掛け、そのまま彼等を異世界に飛ばしてしまった。
その後は「次元を越える」能力で直接三途の川の六門船に赴いて交渉を持ちかけ、外道衆と手を組んだ(ただ外道衆ではないので当然のごとく不審者扱いで、幹部陣からは悉く怪訝な対応をされていた)。ちなみにキタネイダス・ケガレシア・ヨゴシュタインのガイアーク三大臣にも協力させようとしたが、三途の川の環境があまりに快適すぎたせいで彼等は既に汚染事業に興味を失っており、源太の屋台で寿司を食べながらセカンドライフ(死んでるけど)を満喫中という体たらく。
そのため迎えに来たというバッチードにもまるで応じようとせず、「わらわ達の事はほっといてほしいでおじゃる!!」とか「あんなトコロ(バッチリウムプラント)であくせく働きたくないでおじゃるよ!!」とバッサリ。
バッチードも負けじと「ワガママは許さないのである!!」とウガッツ達をけしかけるが結局逃げられてしまい(しかも三大臣はちゃっかりテーブルを持ち逃げ&食い逃げしている)、彼らを協力させるのは諦めたのか「同族はアテにならないのである…」とホムラコギと共に計画を進めることになった。
ヒューマンワールドではシンケンジャーを散り散りにした後、ボンパーと志葉家の重臣日下部彦馬を拉致。
しかし2人のレッドの一芝居にまんまと乗せられて隙を見せた事で二人を奪還され、全員揃った2大戦隊に敗北した。
そしてホムラコギが二の目になった直後「頼もしい奴である……こうなれば余も…!!」と産業革命を発動させて巨大化。電撃を放って牽制した隙に姿をくらました。
しかしケガレシアたちとバッチードの会話を聞いていたシンケンゴールドは彼等の行き先が月面だと見抜き、宇宙へと追撃。
この時炎神は折神をリードして「モヂカラキャノンボール」を放つも、バッチードはホムラコギを盾にして逃れ、月面でエンジンオーG12とサムライハオーの2大究極ロボと対峙。そして奥の手として自らにコード(ワイヤー?)を巻きつけ接続する形でバッチリウムプラントと一体化し、「手始めに貴様等から汚染してやるのである!!」とガスを吹き付け先制攻撃を仕掛けた。
意外と攻撃力があるらしく、2大ロボも押され気味だったが、シンケンブルー/池波流ノ介が発案したサムライフォーメーション23「侍炎神スーパー大開砲」に押し切られ今度こそ敗北。
バッチリウムプラントもろとも爆散し、計画は阻止された。
「負けたら終わりなのではない…辞めたら終わりなのである…!! 辞任!!」
余談である
- 巨大化
映画の冒頭からいきなり巨大戦だったが、以降はホムラコギが二の目になるまで等身大だった。
元々巨大サイズのホロンデルタールは別として、いきなり巨大化状態で登場した蛮機族は彼だけである。
なお海賊戦隊ゴーカイジャーに登場した後任・害統領ババッチードは等身大で登場し、そこから巨大化というお約束の流れであった。
- 最期のセリフ
第37代アメリカ大統領・リチャード・ニクソンの残した言葉が元。ちなみにババッチードは「まだ望まれているうちに退陣するのが一番であーる……辞任!!」と言い残しているが、こちらは第30代大統領のジョン・カルビン・クーリッジが元ネタである。
ヨゴシマクリタインは「総裏」大臣だけに「アイムソーリー!」というシャレをかましていたが、こっちは特におふざけ無しのシリアスなもの。「害統領」だけに(アメリカ)大統領の言葉をチョイスしたのだろう。
- 中の人
声を担当した銀河万丈は『爆竜戦隊アバレンジャー』の爆竜ブラキオサウルスで特撮デビューし、3年後の『轟轟戦隊ボウケンジャー』では『幻のゲッコウ』演じた。本シリーズへの出演は4年ぶりとなる(2010年公開のため)。
- バッチリウムプラント
作中では崩壊したヘルガイユ宮殿だが、メタ的なことを言うとバッチリウムプラントに改造された。
それにしても設備のコードを数本体に巻き付けただけで「合体」と呼べるのだろうか。
- 侍炎神スーパー大開砲
弾を発射するパートでは実際に火薬を用いる(流石に最後の爆発シーンはCG)という、この時代の作品としては稀有な演出がなされている。
二大戦隊のロボによる合体技という最大の花形が、ただの牽制技程度にしか見えないという絵面は落胆の声が頻出したが、冒頭の早撃ち対決でバッチードが懐に忍ばせていたコインで弾を防いでいたのを考えると「単発ではなく手数で押せばいける」と考えたのかもしれない。まあ発案者は「あの」流ノ介だし……。
千明「流ノ介、お前また変なこと考えてんだろ!?」
流ノ介「"また"ってなんだ!! ジャンクワールドで折神と炎神の話をした時に出た名案だぞ!!!」
- 疑問
そもそもシンケンジャー本編の三途の川は、仏教などの伝承と違って「生者も死者も渡れない」「アヤカシはそのどちらでもないから存在できる」という設定なのだが、バッチード自身はともかく3大臣や、背景にいたヒラメキメデスが何故三途の川に普通に渡っていたのかは謎(これは次回作の血祭のブレドランにも言える事で、特に彼がはぐれ外道になったという設定もない。まあそうなりそうな奴ではあるが)。
さらに三途の川の水は現世の水とは相反する性質を持った全く異なる概念のものなので、アヤカシでもないバッチードがどうやってガスにしていたのかも不明。この辺はあくまでVSシリーズ時空の話だから気にしたら負け…というやつなのかもしれない。
関連タグである
害統領ババッチード:海賊戦隊ゴーカイジャーに登場した後任の害統領。CVと容姿は同じだが関連は不明。
創造主デビウス:4年後の戦隊のTV本編の最終回でその存在が示唆され、VS映画に登場した敵繋がり。こちらは明確にTV本編のラスボスより上位の立場にいる存在である。
戦隊VSシリーズ敵キャラリンク