0号ロボ
ぜろごうろぼ
スーパー戦隊シリーズに登場するロボには、登場順で1号ロボ、2号ロボ、3号ロボ、4号ロボ…などと分類されている。
とはいえ、公式でこの分類が完全に確立している…とは一概には言い難く(後述する「分類」でも触れている様に「本編の登場順」と「設定上の位置付け」は必ずしも一致しない場合がある)、むしろ自然発生的に漠然とした概念で「ファンの間で『暗黙のルール』として経年的に累積」しているとも言える。
誰もが疑う事も無く「その作品に最初に登場したロボ≒1号ロボ」だと、さもありなんと綿々と積み重ねて現在に至った。いや、そもそも(良い意味で)あまりに当たり前過ぎて「議論する」という余地にすら達していなかったのである。
しかし、そんな普遍的な論理に途轍もなく大きな一石を投じたのが、2022年放送の「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」のドンゼンカイオーであった。
だが、そのドンゼンカイオーが初登場したのは前番組である「機界戦隊ゼンカイジャー」であり、その「ゼンカイジャー」の1号ロボに当たる「ゼンカイオー」との(一部で)互換性があるという斜め上を行く仕様であった。
「前作のロボとの互換性」どころか「次回作の1号ロボが登場する」という事自体が前代未聞の話である(なお、パワーアニマルやシノビマシンの様に「玩具のジョイントが『共通の規格』である」ために互換性があるという前例はある)のだが、いざ「ドンブラザーズ」が始まると、それを更に上回る衝撃の事実が判明する。
序盤こそ「1号ロボ」として活躍していたドンゼンカイオーであったのだが、ドン12話には早くも「2号ロボ」としてドンオニタイジンが登場した。近年の2号ロボとしては平均な登場時期かと思われた、のだが…
「何か2番目に登場したドンオニタイジンの方が『1号ロボ』っぽい風格がある」「いくらなんでも1クール過ぎてから『1号ロボ』と呼ぶには違和感しかない」「いや順番的にはドンゼンカイオーが最初に登場しただろ」「そもそもエンヤライドンの方が『ゼンカイジャー』の技術入ってそうじゃね?」などと「ドンゼンカイオーは『ドンブラザーズ』の何号ロボなのか?」という論争に発展した。
当初はファンの間での内輪もめだけかと思われたが、その後バンダイ社内でも「ドンゼンカイオーとドンオニタイジンの線引き」に悩まされたという話が漏れ伝わると、各界を巻き込んだ論争の結果、次のような提唱がなされた。
―1号ロボとは『その戦隊固有の技術』で構成された『最初』に登場するロボである、と。
その結果として「作品としての『ドンブラザーズ』の1号ロボはドンオニタイジンである」と結論付けられ、ドンゼンカイオーは「番外ロボ」として位置付けられる事になった。
かくして、この「ドンゼンカイオーの一件」が「1号ロボの再定義」のみならず、正式な(と言うとやや語弊があるだろうが)「0号ロボ」の定義へと至ったのである。
2024年時点で戦隊での明確な「0号ロボ」と言えそうなのはドンゼンカイオーのみであるが、ここでは参考として「1号ロボの構成する要素の一部として先行登場」ないしは「実際の登場順では1号ロボより後だが、ある意味では『0号ロボ』とも言えなくもない」例を紹介する。
1号ロボの構成する要素の一部として先行登場した例
「五星戦隊ダイレンジャー」に登場した1号ロボである大連王の中核を成す。
立ち位置にはまさに「ドンゼンカイオー」に相当する…と言いたいところだが、龍星王で言うところの「1号ロボの中核」というポジションはドンロボタロウが担っている。
「特命戦隊ゴーバスターズ」に登場した1号ロボであるゴーバスターオーの中核を成す。
ちなみにタテガミライオーとゴーバスターライオーのそれ(強化合体に「1号ロボの中核」が存在しない点)は、龍星王でいうところのウォンタイガーと牙大王との関係性に近い。
「騎士竜戦隊リュウソウジャー」に登場した1号ロボであるキシリュウオーファイブナイツの中核を成す。
…同作では「キシリュウオースリーナイツが1号ロボとみなされている」ので、厳密にはファイブナイツの方が「1号ロボの強化or派生形態」とすべきだろうか。
「爆上戦隊ブンブンジャー」に登場した1号ロボであるブンブンジャーロボの中核を成す…と断じていいのかは微妙な所だが、ブンブンカーを装備していない状態でもフォルムとしては成立してはいて(現時点では「巨大ブンブン単独での戦闘シーン」こそないものの、ゴーバスターエースとキシリュウオーと立ち位置的には同等である)バクアゲ35では戦闘員相手に優勢に戦ってたので、便宜上記載する。
実際の登場順では1号ロボより後だが、ある意味では『0号ロボ』とも言えなくもない例
「超力戦隊オーレンジャー」に登場した2号ロボ…ではあるが、実は1号ロボに当たるオーレンジャーロボよりも先に完成していた。
しかし、未調整だった上に(独断で出撃させた)テストパイロットの事故死により運用は凍結。以後、作品中盤になるまで鳴りを潜めていたのであった…
「轟轟戦隊ボウケンジャー」に登場した4号ロボ…ではあるが、開発そのものは1号ロボたるダイボウケンと同時期に行われていた。
しかし、そのスペックがあまりに規格外だったので一度は実戦投入が見送られ、その後実戦投入される際に当初搭載されていたパラレルエンジンからネオパラレルエンジンに交換(性能の観点もあるが、これとは別にパラレルエンジンに対する耐性があるゴードムエンジンを埋め込まれたクエスターに対抗する向きもある)し、日の目を見る事になった。
1号ロボより先に開発・製造されたロボのことを指すが、所謂プロトタイプ的なものが多い。経緯としてはとある理由により計画が凍結したり機体そのものが封印され、後の時代になって日の目を見るパターンや同時期に開発された機体(プロトタイプガンダムなど)、1号ロボの元になった機体などがある。主にリアルロボットでその設定が生かされるパターンが定番と言える。デザイン的にはボツデザインの再利用もしくは細部の訂正で出されるケースが多いが、物語の立ち位置の関係で完全新規のケースもある。
0号ロボは主人公とは別の人物(主に別動隊の人物(外伝の主人公など)が多い)が乗り込むことが多いが、稀に敵の手に落ちるパターンもある。立ち位置上基本的には主人公が乗り込む機会はないが、後半の主人公機(もしくは準主人公機)として扱われるケースもある。
主な0号ロボ
- プロトタイプガンダム『機動戦士ガンダムMSV』:正確にはRX-78シリーズの1号機だが作品によっては0号機扱いされるケースも
- エネルガーZ『マジンガーZ』:Zの準備稿だったものが後の作品ではプロトタイプの立ち位置として扱われることに
- ウイングガンダムゼロ『新機動戦記ガンダムW』:AF世界におけるガンダムの祖
- プロトタイプキングスカッシャー・サイダロン『NG騎士ラムネ&40』:元は準備稿だったものの再利用。この時点では『キングスマッシャー』『クイーンサイクロン』だった
- ガンダムアストレイ『機動戦士ガンダムSEED』:ある意味連合系・オーブ系ガンダムの礎ともいえる機体。主人公機よりも長い期間活躍している珍しい0号ロボでもある
- ガンダムアストレア『機動戦士ガンダム00』:ガンダムエクシアのプロトタイプであり武装類の互換性がある。こちらも活躍期間が長い
- プロトゲッター『ゲッターロボ』:正式機より前に開発された宇宙開発用ロボット。非武装ゆえに恐竜帝国のメカザウルスに歯が立たず、機体は破壊されてしまう。そのことを踏まえ、正式機は武装が施されることとなった。また『ゲッターロボG』ではより戦闘向けの後続機が登場する。『ゲッターロボ號』では主人公機だが、改造により戦闘向けになる点が異なる
- ソルΣグラヴィオン『超重神グラヴィオンZwei』:コアロボである「グランΣ」がゴッドグラヴィオンのコアロボ「グランカイザー」のプロトタイプであるため、立ち位置的に0号ロボともいえる