しかし なにもおこらない
ポケモンのわざとしてのデータ
初出 | 第1世代 |
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タイプ | ノーマル |
分類 | 変化 |
威力 | - |
命中 | - |
PP | 40 |
範囲 | 自分 |
直接攻撃 | × |
追加効果 | 何も起こらない |
英語名 | Splash |
ポケモンのわざとしての概要
第1世代から存在する技。
効果は上の通り何も起こらない。
バトルに影響することが何も起こらない技は他にも存在するが、それらと一線を画すのは「何も起こらない」ことをステータスとすることであり、メッセージウィンドウに表示される「しかし なにもおこらない」という文字のインパクトである。
ポケモンスタジアムシリーズではさらに「おや?何も起こりません!」「おーっと!ただ跳ねてもどうしようもないぞ!」という若干煽っている実況までついてくる。
英語名
この技の英語名は「Splash」だが、これは「(魚などが)水しぶきを上げる、ピチピチはねる」の意である。
コイキング専用技だった頃の名残だが、このせいで海外のプレイヤーには「なぜハネッコやバネブーが覚えるのか」「なぜじゅうりょくで無効化されるのか」「なぜみずタイプではないのか(水しぶきのエフェクトがあるにもかかわらず)」と言う疑問が生まれてしまった。
そのため英語版ポケモンWikiでは最後の方に注釈が入っている。
この影響からか、ポケモンGOではみずタイプの技になっている。設定ミスか仕様なのかは不明。
ポケモン本編
おなじみ 世界一なさけない さかなポケモン・コイキングの代名詞と言える技。
初代のおつきみやまのポケモンセンターでコイキングを買ったはいいのだが、このわざしか使えず、しかもこのわざを使っても何も起こらず、落胆したトレーナーは数多い。
おまけにPPも40と無駄に多いので、わるあがきまで持っていこうにも時間がかかる始末…。
「ながねん いきた コイキングは はねるだけで やまをも こえるが わざの いりょく は よわいまま。」___ポケモンBWのポケモン図鑑のコイキングの記述より。
「はねる」というわざも極めれば山を飛び越えるほどの跳躍力になることが証明されているのだが、やはり戦いでは なにもおこらない。
そんな技だが、代を重ねるごとに何故か習得者が増え、今や全部で36種類以上ものポケモンが(タマゴ技も含めて)習得・使用することが出来る。
元が水しぶきをあげて“はねる”技なのでウデッポウやケイコウオなどのみずタイプはもちろん、ハネッコやバネブーやミミロルのようなジャンプが得意な陸上ポケモンも習得できる。
覚えていても違和感の無いポケモンも多いが、一方で全長14.5mを誇るホエルオーまで使うことができる。
ここまで大きいポケモンが跳ねると絶対何か起きそうな気がするがやっぱり何も起こらない。ホエルオーなどの巨大なポケモンが使用すれば「じしん」や「じわれ」が発生しそうなものなのだが、わざの効果として当然ながらそのようなことはない。
不思議なものである。
コイキングから進化することもあり、ギャラドスも使用できるが、やはり何も起こらない。
ちなみにコスモッグも覚えるので、なんと伝説のポケモンであるソルガレオとルナアーラも覚えてしまう。しかし、当然ながら何も起こらない。
なお、変化技扱いなのでちょうはつで止まり、空中関連の技なのでじゅうりょく下では使えなくなる。
使い道
通常のバトルでは本当に何の効果も無いが、ポケモンコンテストでは立派に使い道がある。
第3世代では最後に、第4世代では審査員のボルテージが低いときに使うとハートを多く稼ぐことができるという変則的な効果だが、はねるを使って優勝を狙う事は可能である。
バトルでの使い道としては、ソーナンスにこの技を覚えさせる戦略がある。
変化技扱いなので、先制技「ふいうち」が失敗する。
ソーナンス同士のミラーマッチでは、攻撃手段が「わるあがき」しか存在せず、しかも使ったほうが負けるので、PPの多いこの技で時間稼ぎをして相手を自滅させることができる。
…と、ネタ技の代名詞以外の何物でもなかったはねるだが、サン・ムーンポケモンUSUMでは話が違ってくる。Zワザの存在である。
1回の戦闘中に1度だけ、ポケモンのワザを強力なZワザへと変化させる新要素だが、変化技に適用した場合には能力アップや体力回復などの追加効果が発生する。
(例を挙げると、でんじはをZワザにすると使用したポケモンのとくぼうが上昇。リフレッシュでは使用者の体力を100%まで回復する)
では、もともと何の効果もない「はねる」をZワザ化するとどうなるのか。
Zパワーを身にまとったポケモンが全力ではねることで、攻撃が一気に3段階(ゲーム内表記で「ぐぐーんと」)上がるのである。
本来はなにも起こらないはねるで技スペースを埋め、その上持ち物までノーマルZ限定となるためおいそれと使える戦法ではないが、つるぎのまい以上の効果を1ターンで、しかもはらだいこのようなリスクなしで得られるのは非常に強力。
初代から何の使い道も無かった、無力の象徴でもあったあの「はねる」が、大真面目に戦略として一考される時代となったのである。
ただし、はねるを覚えるポケモンは案外少ないので、そのポケモンが使える戦略をよく考えた上で全力ではねること。
第8世代ではZワザが廃止され、なおかつ全ての変化技はダイウォールになってしまうため、再び無力の象徴になってしまった。
ただし、コイキングは変化技がこれのみであり、攻撃技はハイドロポンプ/とびはねる/じたばたの3つで十分なため、ダイウォール用の技として有力候補である。
第9世代ではレイドバトルで有用性が見出される。
ポケモンSVのレイドはソロの味方が弱くない代わりに敵がガンガンバフを積んできたり状態異常を撒いてきたりする「敵が強め」の環境になっており、当然メタモンが相手でも警戒する必要はある。だがメタモンは必ずレイドを募集したプレイヤーのポケモンに化ける仕様があるため、わざとレイド募集者がはねるしか覚えていないコイキングを繰り出すことでメタモンを無力化できるのである。
外伝作品
ポケモン不思議のダンジョン
いっしょうけんめい はねて ついに むくわれた
てきも みかたも とびこして はいごに まわる
まわり8方向のうちのどこかに移動し、移動先にポケモンがいた場合は自分と相手に僅かなダメージを与えるというささやかな効果が追加されていた。
しかし、いままでの努力が報われたのか『ポケモン超不思議のダンジョン』以降の作品では「目の前にいるポケモンすべてを飛び越して向こう側に移動する」効果になった。
これを利用して、通路で【こうちょく状態】になったポケモンを飛び越えて階段へ急行したり、挟み撃ちを回避したりと、さまざまな使い道ができた。
『風来のシレン』シリーズに出てくる「とおせんりゅう」も驚きの性能である。
みんなのポケモン牧場
ポケモンたちが輪になって「はねる」を披露する「ピョンピョンダンス」が登場する。
当初はピィのみが対象だったが、プラチナ対応版に更新後は「はねる」を覚えることができるポケモンすべて(第四世代当時)が参加できるようになった。
ポケモンGO
変化技でありながら実装されている技。上述の通りみずタイプになっている。
この技の存在意義はズバリ「コイキングの弱さを再現すること」。
あくびと似た境遇の技である。
なんせ威力0な上に本作のコイキングは通常技はこれしか覚えられないのである。
進化するまでの敷居が高いが戦わせるならさっさと進化させてしまおう。
コイキング以外にも習得者がいるのは内緒。
他媒体のはねる
漫画
マサキが溶岩の海に落ちるのを避けるためにこの技をコイキングに使わせて回避した。おそらくこの技が役に立ったのはこの漫画が初めてだと思われる。
アニメ
本編終了後のおまけコーナー「オーキド博士のポケモン講座」でレベル100のコイキングがはねるを使用し、オーキド研究所の屋根を突き抜けている。ダメージが全くない技ではなかったのか…!?
更にアニポケ第7期ではムサシがガチャで引き当てたホエルオーが使用。今作でも規格外な性能を見せており、跳ねた際の振動で起こった波でサトシ達を思いの外苦戦させていた。アニポケだと使う側の機転次第で化ける技なのだろうか?興味深いところである。……もっとも、その振動はロケット団も被害を受けており、しまいには自身で破壊したイカダの丸太により頭をぶつけて暴れだしてしまったので、結局ここでもハズレ枠としての扱いだった。
外部作品
大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ
アイテム「モンスターボール」、「マスターボール」(for以降)から登場したトサキントが使用する。「トサキーントトサキントトサキン…」と色っぽい大谷育江ボイスを発しながら跳ね回るが、もちろん何も起こらない。所謂ハズレに当たる。
ちなみに、本編でトサキントは「はねる」を使用できないが、ディレクターの桜井政博が「アニメ版での大谷ボイスのトサキントのインパクトに衝撃を受けてハズレ役を割り振った」ことを明かしている。
類似技
バトルに影響することが何も起こらない技一覧。
いずれも配信限定ポケモンのみが持つ技である。ポケモンが誕生日をお祝いしてくれたり幸せな気持ちになれたりするといった記念の技であり、何も起こらないことは「はねる」ほど問題にならない。
- きあいだめ(第一世代のみ。効果がなくはないのだが、設定ミスで自分の急所率を下げる技になっていた)
- プラズマシャワー(ポケモンUSUMでは、バグにより必ず失敗する技になっていた。現在はアップデートで改善済み)