概要
ナムコのアクションゲーム『ドルアーガの塔』の主人公で、バビリム王国の王子である。通称は「ギル」。
名前の元ネタはギルガメシュが由来である。
『ドルアーガの塔』バックストーリー
大河ユーフレイトのほとりに位置する小王国バビリムは、国王マーダックの下、神々の王アヌ神から授かった『ブルークリスタルロッド』が注ぐ聖なる光の恩恵を受け、豊かな繁栄と平和を謳歌していた。
しかし、その噂を知った隣国のスーマール帝国皇帝バララントは王国の繁栄をねたみ、天高くにあるロッドを奪うため、バビリム王国に侵入。軍を持たない国であるバビリムは瞬く間に滅ぼされ、捕らえられた民は奴隷にされ、天まで届くほどの高い塔を造らされていた。
それを知った主神アヌは激怒して雷を落として塔を破壊するものの、奴隷として働かされていた王国王子ギルは破壊された塔の崩壊に巻き込まれて重傷を負ってしまう。
更に悪いことに、塔がロッドからの光を遮っていた事で、バビリム王国の守護神である女神イシターとの戦いに敗れ、ロッドに封印されていた悪魔・ドルアーガが復活してしまったのである。
蘇ったドルアーガは自分の魔力で破壊された塔を修復して天上界にあるロッドを奪い、塔の中に立てこもった。そして、ロッドが失われたことに伴い、地上は闇に包まれ、大いなる災いに見舞われた。しかし、アヌ神は人間の我儘と無知に失望しており、地上をドルアーガのなすがままにさせていた。
ギルの恋人であり、女神イシターの巫女であるカイは、ドルアーガに奪われたロッドを取り戻すべく単身で塔に挑む(カイの冒険)が、ドルアーガの魔力に敗れ、石に変えられて最上階に囚われてしまう。
昏睡から目覚めたものの、未だ床にあったギルを謎の男が訪ね「巫女は捕らえられた、剣の力を用いよ」と告げて姿を消す。それを聞いたギルはカイを救うための力を求めて天に祈り、主神アヌは人類への最後のチャンスとしてギルに『勇気を力に変える黄金の鎧』を授けた。こうして、ギルはロッドを奪還し恋人のカイを救うべく、ドルアーガの塔に単身で挑むのだった……。
ギルの性格
謙虚で落ち着きがありながら、内に正義の心を秘める熱血漢だが、元は争いを好まず、優し過ぎるほどの性格だった。帰依する神々への信心は篤く、王子として民を慈しむ心を持つが故に、多くの人々から慕われ、神々からも一目置かれている。とりわけ恋人であるカイとの絆は深く、互いに相手の為に自らの命を差し出すことを女神イシターに申し出たことがあるなど、互いを深く愛している。しかし、ただ軟弱なだけではなく、神々への強い信仰を基盤とした勇気を持っており、その勇気を力に変える黄金の鎧を以て60階に及ぶドルアーガの塔へと踏み込む。その後も多くの経験を積み、生来の優しさと共に力と知恵を身に着け、騎士として、またバビリムの王としての資質を着々と備えていくことになる。
ギルのスペック
上記のギルがドルアーガの塔に挑むまでの経緯からも分かるように、ギルは元々は王子で国に軍がなかったことから戦闘経験がなく、ゲーム開始の時点では足が遅い、攻撃力も防御力も体力も皆無に等しく※1、おまけに運が悪い※2と短所多しで実に頼りないのである。しかし、塔の中にはギルをサポートしてくれるアイテムや装備品が多数あるので、各階の仕掛けを解いてそれらが入った宝箱を出現させながら、塔を登って行くというのがドルアーガの塔のセオリーである。
※1:実際どれだけ上手い立ち回りでギルを操作しようとも、現時点での装備が悪ければ道中の(スライム系とマジシャン系以外の)雑魚敵に絶対に勝てないことも珍しくない。
※2:ゲーム中では『バランス』という天秤のアイテムで鑑定することにより、宝箱の中にある見た目が全く同じ『最終装備』と『呪いの装備』から前者を入手していくのだが、バランスがないと絶対に後者を入手することになる。
装備品・所持品
ここではギルの装備品及び使用するアイテムについて記述する。(ただし、数がとても多いため、ドルアーガとの決戦時の装備品を主とし、一部は省略する。)
エクスカリバー
ギルが装備している剣で色々な作品でおなじみの伝説の剣。本作でもギルが使用する最終武器であり、これを持ってないとドルアーガに一撃でやられてしまう。
派生作品(ゲームブック)によっては『クロムの魔剣』という二つ名での呼び名があるようで、ナムコクロスカプコンでこの剣を用いて(後述のハイパーガントレットの力もあって)連続突きを行う際は「クロムの魔剣よ!」と叫んでいる。
ハイパーシールド
ギルが装備している盾で、青色の横線があるため作品によっては『ブルーラインシールド』と呼ばれることもある。構えるとその方向にキャラ半分程度のバリアが発生し、通常よりも早く魔法使いの呪文攻撃を防御することができる。こちらもエクスカリバーと同じく持っていないとドルアーガに一撃でやられてしまう。
ナムコクロスカプコンでは必殺ゲージを10消費することであらゆる攻撃を完全防御する防御スキルとして登場している。防御時に「ハイパーシールドなら!」もしくは「この盾は貫けない!」と叫ぶことからその堅牢な守りをギルは相当に信頼しているようである。
ハイパーアーマー
ギルが装備している黄金の鎧(ちなみに、主神アヌから授かった鎧とは別ものらしい)で、『1回だけHPが1になるかわりに魔法使いの呪文を受けても死なない(ミスにならない)』という特殊能力があり、こちらもハイパーシールドと同じく持っていないとドルアーガに一撃でやられてしまう。
ナムコクロスカプコンでは『敵から攻撃を受けた際に、受けたダメージの5%の数値分だけMPを回復する』という特殊能力として登場している。
ハイパーヘルメット
ギルが装備している、青色の一対の角をもつ黄金の兜。装備すると『HPの上限が増える(具体的には48から96にアップする)』という地味な効果を持つが、こちらもハイパーアーマーと同じく持っていないとドルアーガに一撃でやられてしまう。
ナムコクロスカプコンでは『HPが最大値の30%以下の時に、スキル使用時のMP消費量を80%に減少させる』とこれまた地味な特殊能力として登場している。
ハイパーガントレット
ギルが装備している黄金の籠手(ガントレット)で装備すると素早く剣を振ることができるようになる。こちらも例に漏れず持っていないとドルアーガに一撃でやられてしまう。
ナムコクロスカプコンでは『自分のターンのに1回だけ、戦闘時に出せる攻撃技の回数を1つ増やすスキル』及び『素早い連続突きを繰り出す攻撃技』として登場している。
ジェットブーツ
ギルが履いているブーツで、装備すると素早く動くことができるようになる(具体的には、2倍の移動速度になる)。
こちらは前述の装備品達とは異なり、『持っていないとドルアーガと戦えない』といった事にはならないが、ジェットブーツなしのギルは実に足が遅く、タイムアップによるミスを招くことも珍しくないので縛りプレイでもなければ絶対にゲットしておきたい。
ブルーネックレス
ネックレス系アイテムの最上位で、ドラゴン系モンスターの炎のブレスに対して無敵及び通過可能になる。また、レッドネックレス(ファイヤーエレメントに対して無敵及び通過可能になる効果を持つ)の効果も兼ねている。
ブルーリング
リング系アイテムの最上位で、グリーンリング(無敵モンスターの一種『ブルーウィルオーウィスプ』に対して無敵及び通過可能になる)とレッドリング(これまた無敵モンスターの一種である『レッドウィルオーウィスプ』に対して無敵及び通過可能になる)の効果を兼ね備えている。
ゴールドマトック
マトック系アイテムの最上位で、外壁に使うと壊れてしまうが、内壁に対しては1フロアにつき255回まで壊すことができる(ただし、1フロアの内壁の総数は255枚を遥かに下回るので実質無限である)。
ナムコクロスカプコンでは『障害物やアイテムが入ったオブジェクトを破壊する行動を行ってもAP(移動や攻撃等のアクションを行うと消費するポイント)を消費しない』という特殊能力として登場している。
カイの救出後は……
ドルアーガを撃破してカイを救出した後の時系列である『イシターの復活』でもプレイヤーキャラクターとして登場しているのだが、ギルはカイの救出後にドルアーガに呪いをかけられたのか、この作品でのギルはドルアーガと戦っていた頃からは想像もできない程に弱体化している。そのためブルークリスタルロッドで魔法が使えるようになったカイが『ゲームクリアのカギ』ともいえる程に重要な存在になっており、逆に大きく弱体化したギルはカイの手下のように動く他作品におけるあのキャラのような立ち位置に落ちぶれてしまう……
とはいえ、これはゲーム上での扱いの話であり、ギルとカイは深い信頼で結ばれ、力を合わせて(実際、同ゲームのラスボスに相当する『アキンドナイト』はカイの攻撃魔法に対して完全耐性をもっており、カイの補助や回復魔法の援護を受けたギルでなければ倒せないようになっている)崩壊するドルアーガの塔から脱出。その後、天界にブルークリスタルロッドを返しに行くことになり『ザ・ブルークリスタルロッド』へと繋がっていく。
外伝作品では……
『ザ・ナイトメア・オブ・ドルアーガ』では、本編の3年後、ギルがバビリムの王位に就き、カイと結婚する前日にカイがさらわれるところからストーリーが始まる(なお『ザ・ブルークリスタルロッド』のどの結末とも繋がらないパラレルストーリーである)。ちなみに、カイをさらったのは仮面の魔導士であるスカルドという女だが、その正体は……。
『ドルアーガオンライン THE STORY OF AON』では、本編から8年後、バビリムの王として善政を敷き、国に未曽有の繁栄をもたらしていたが、予言の書により国が滅び愛する王妃カイが死ぬという運命を知り、それを防ぎ未来を変えるべく異世界のオーンへ馳せ参じる、というストーリーになっている。これまで得た力と経験により、優しさや正義感はそのままに、常に正々堂々として迷わない、バビリムの英雄王たる貫禄を身につけるに至った。戦う術を知らないオーンの人々にかつてのバビリムの姿を重ね、彼らを護りつつも戦闘の訓練を施すなど、この世界でも黄金の騎士としての武勇は健在。その確固たる意志と勇敢さは、この世界で共に戦う女神ワルキューレからも高く評価されている(曰く「イシターが入れ込むのも分かる」)。また、この世界で出会うカイは並行世界の若い頃のカイ(ヤング・カイ)で、8年を経た風貌は彼女から「し…渋い!」と評されていたりする。加えて、ギルに強い憎悪を燃やすライバルキャラクターである黒金の騎士・クロムナイトも登場するが、その正体は……。
ナムコクロスカプコンでは……
恋人のカイと共にペアユニットとして登場。ゲーム中でのギルの声は石田彰氏が演じている(カイの声は田中理恵氏が演じている)。
また、ドルアーガを討伐した実績から『黄金の騎士』の二つ名で呼ばれており
『乙女の騎士』であるワルキューレ、『白銀の騎士』と呼ばれるアーサーの二人と共に英雄のように扱われている。
新たなる挑戦へ
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIALのダウンロードコンテンツ第7弾でマインクラフトの実装の際、Miiコスチュームとして登場することが発表された。
ムービー内ではドラキュラ城のステージを使いドルアーガの塔を登るシーンを再現したりしている。
また、彼の金ピカ鎧を使って黄金聖闘士や英雄王に見立てるものも出てくるかもしれない・・・。
しかーし!
Miiファイターでギルを再現したスマブラユーザーが出現した!(YouTubeで『スマブラSP』『ギル』と検索すれば、あっさりとヒットする)
関連イラスト
出演作
関連タグ
テイルズオブファンタジア、テイルズオブシンフォニア:どちらも同じナムコが制作したRPGシリーズの中の作品であり、ゲーム中ではギルガメスがドルアーガとの最終決戦で使用した装備品が入手できる。それらを全て揃えて特定の行動を行うと、味方キャラクターが『ギルガメス』という称号を取得する。
関連キャラクター・人物
ナムコ関連
カイ:ギルの恋人であり、戦闘でも頼れるコンビである。
ドルアーガ:ギルの宿敵とも言える悪魔。ちなみに特定のモードや派生作品ではギルにそっくりな姿になったドルアーガと戦うことになる
リック・テイラー:ナムコが制作したホラーゲーム『スプラッターハウス』に登場する主人公で、『装備品によって戦う力を得て、悪者に捕まった恋人であるヒロインを救うために単身で挑む』とバックストーリーが似ている。
平景清:こちらもナムコによって製作されたゲーム『源平討魔伝』に登場する主人公。ギルガメスと同じく『装備品をコンプリートしないとラスボスは倒せない』という設定を持つ。そしてナムコクロスカプコンにもギルガメスと共に出演している。
ナムコ以外
ギルガメシュ:ギルガメスの元ネタである『ギルガメシュ叙事詩』の主人公。
ギルガメッシュ:『Fateシリーズ』に登場するキャラクターで、容姿の元ネタはドルアーガの塔のギルガメスである模様。(言及はされていないが、関係性的にも見た目的にもカイを元ネタにしたキャラクターはエルキドゥである可能性が高い。)
アーサー(魔界村):カプコンが制作したゲーム『魔界村』に登場する主人公。ギルガメスとは『悪者にさらわれたヒロインを救うべく鎧を纏って一人で悪に立ち向かう勇敢な騎士』『道中で手に入るアイテムを揃えないとラスボスには勝てない』といった共通点があり『ナムコクロスカプコン』では共演した上に、同作ではカイも合わせた三人で繰り出せるオリジナルの合体技がある。