概要
由来は日本武尊の東征において、駿河に差し掛かった際に野火(自然発生の火事、ただしこの話では放火とされる)に遭い、命の危機にさらされる。
しかし、日本武尊は自身が火打石を持っていたこと思い出し、伊勢神宮で授かった天叢雲剣で周囲の草を薙ぎ、迎え火を起こして妃の弟橘媛と共に難を逃れたという。
この逸話から、日本武尊は天叢雲剣を草薙剣と名付けなおされ、自らの愛剣として長く使うこととなる。
→名前の由来については諸説あり、「草を薙いだ剣」の他に「蛇の剣」を意味しているという説もあり、本来の剣身も八岐大蛇の尾から出て来たことから、龍の尾のように波打った蛇行剣だったという説がある。
日本武尊は尾張国で結婚した宮簀媛に草薙剣を預けたまま伊吹山の悪神を討伐しに行くが、草薙剣を置いたまま出陣したため日本武尊は神剣の加護を失い、これが原因で伊吹山の神によって病に罹り、大和国への帰路の途中で亡くなる。そのため、その剣を祀る為に熱田神宮が建立された。
新羅の僧侶により盗難されるが、その際には無事戻り、宮中に置かれていたものの、天武天皇の病気がこの剣の祟りであるとされ、熱田神宮に戻された。
なおその剣の形代(この剣が日本武尊に渡される以前に作成されていたもの)は源平合戦において平家滅亡の際、水中に没し、発見されることは無かったとされる。今現在皇居に祀られているのはそれよりも前、伊勢神宮より献上されたものであり、レプリカの代用品といえるものである。
ただし三種の神器としての価値は天皇家が所持することが条件であるため、天皇家が所持する剣は三種の神器となるため、伝説にある性能はともかく、役割の上では代用品でも問題ない。
逆に言えば、天皇家の管理下から離れたものは厳密には三種の神器ではなくなる。
(※日本書紀では「駿河」としているが、他の史料では焼津である場合が多い)
創作での扱い
原典同様に神器・神剣とされる場合が多く、和系の最強・もしくは上級武器として扱われる場合が多い。
『玉籤集』の裏書に収録された目撃談によれば、形状は刃先は菖蒲の葉のようで中心が厚く、根本は魚などの背骨のように節だち、色は白く、霧が立っていたという。
剣殿の暗がりの中での情報ではあるが、諸刃の銅剣のような形状と思われる。
また都市伝説だが戦時中のルーズベルト呪殺に用いられたときの目撃談として、七支刀に似て分かれた剣先が八岐大蛇の頭を表現するように左右に広がり、材質は金ムクで、儀式中に動き出した剣を抑えた神職が焼け死んだという。
関連の深い作品
ウルトラマンオーブ
オーブオリジンの専用武器であるオーブカリバーはゼッパンドンの尻尾(マガオロチのもの)から生成されており、草薙剣の神話を元にしていると思われる。
ウルトラマンティガ 古代に蘇る巨人
クラヤミノオロチが飲み込んでいた武器としてヤミナギノツルギが登場。
ザ・キング・オブ・ファイターズ
主人公の名前が草薙京であり、彼の家系はオロチ封印に関わる『剣』の一族とされる。
ゲゲゲの鬼太郎
アニメ第3期の第79話「妖怪やまたのおろち」にてヤマタノオロチが倒れた後に出現した剣であり、鬼太郎がこれを手にダイヤの世界を砕いて夢子達を脱出させた。
アニメ第4期の第74話「大蛇神ヤマタノオロチ!」ではぬらりひょんがヤマタノオロチの封印を解くために使用。子供達に奪われると鬼太郎の手に渡り、再度封印するために使用された。
デジモンアドベンチャー02
アーマー体デジモンシュリモンの必殺技が「草薙」(ただし手裏剣である)。
東方香霖堂
東方Projectシリーズの1作。
「霧雨の剣」として登場。
NARUTO
Fate/Grandorder
千子村正はこれの名前を冠したこのゲーム独自の「村正」の一振り無元の剣製という宝具を行使できる。
Fate/SamuraiRemnant
セイバーの持つ宝具であり、本来の姿を隠蔽宝具『水神』時では蛇行剣の姿にしている。宝具の擬似解放時の対人剣『絶技・八岐怒涛』、宝具の『界剣・天叢雲剣』にてその剣を見せる。
また、慶安神前試合にて登場した伊吹童子の共鳴絶技として神剣・草那芸之大刀、宝具として『八脈裂破・神剣一閃』の最後の一撃として神剣・草那芸之大刀を振るう
ブレイブルー
μ-12の二つ名がカミゴロシノツルギクサナギ。
火ノ丸相撲
ライバルの一人久世草介がこの剣の名を異名として呼ばれ、大相撲編ではそのまま四股名として名乗るに至る。
TVアニメ版ヤマトタケル
同作の主人公機魔空戦神スサノオの武器がそのまんま『草薙剣』である。
