大人はね プライドが ジャマしてね
正直に 話しあえないんだよ
概要
『ポケットモンスター ソード/シールド』の登場人物のひとり。
スーツ姿と髭が特徴的な中年の男性。
キャラクターデザインは宝石の国などでお馴染みの市川春子先生。
優れた商才の持ち主であり、巨大企業グループ:マクロコスモスの社長として多数の鉱山や企業を所有している。また、ナックルシティのエネルギープラントにてねがいぼしから抽出したエネルギー(=ガラル粒子)を電気に変換し、ガラルの各地に供給を行うといったガラル全土のインフラを担っており、ガラルの発展に貢献している。
大企業の総帥であると同時にガラルポケモンリーグの委員長を務め、ジムバトルにダイマックスを導入したことでガラル地方のポケモンリーグを世界的に有名にした。
彼自身も過去にチャンピオンカップ準優勝の成績をおさめた優れたトレーナーであり、繰り出すポケモンはすべてはがねタイプ。いわば本作のはがねタイプのエキスパート枠でもある。
ちなみにゲームスタート時、過去作では通例ならその地方のポケモン博士(本作ならマグノリア博士)が発言する「ポケットモンスター…縮めて『ポケモン』」の文言と解説は、剣盾では彼がスタジアムの観客に問いかける形で進行する(合わせて呼び出すポケモンはゾウドウ)
お洒落なネクタイの結び方をしている。詳しくは「エルドリッジノット」を調べよう。
人物
名前の由来はバラの英名「ローズ(Rose)」から。
バラはガラル地方のモデルとなったイギリスの国花でもあり、ガラルを代表する指導者である彼にふさわしいモチーフと言える。
一人称は「わたくし(ゲーム)」「私(薄明の翼、アニポケ)」。
二人称は「きみ」「○○くん」。
常に笑みをたたえた温和な表情の紳士だが、「考えていることと 会話が 異なるため ときどき 話が かみあわないと いわれる」「行動こそが 正義との ポリシーから 説明もないまま 物事を 決定なさいます」とのリーグカードの記載にもある通り、彼の頭の回転の速さと人並み外れた行動力に周囲の人間はしばしば振り回されることも。
また、人の才能を見出す確かな審美眼を持ち、現チャンピオンダンデをジムチャレンジに推薦した過去もある他、アニメ『薄明の翼』では研究に行き詰っていたオリーヴを引き抜き、彼女のダイマックスに関する研究を大成させている。
今大会ではビートを推薦した……はずなのだが、再会した時は名前をど忘れしていた。他にも、ダンデが推薦した主人公にも注目している。
秘書兼副社長のオリーヴを始めとした作中キャラクターからの評価は高く、ガラルの人々は「大会委員長の ローズさん いろんなことを やってるけど どれもこれも ガラルの ためなんだ」「ローズ委員長が ガラルを 発展させた といっても おおげさでは ないのですよ」と彼を称える。
その人気が高じ、お忍びでジョギングスタイルで赴いても外では野次馬が大勢集まってしまっている。(余談だが、公式イラストではあまり気にならないものの、ゲーム中でのスーツ姿やジョギング姿では若干お腹が出ているようにも見える)
尤もそうした野次馬に対しても「まだまだ サインするよ? わたくしの リーグカードも みなさんに プレゼント しますよ!」「ファンが 支えて くれるからこそ わたくしたちは やっていける」と邪見にせず、律儀にサインやリーグカードを配布しているようで、オリーヴからはそうした旺盛すぎるサービス精神を窘められる一幕もあった。
多くの人々が彼を称賛する一方で、ジムリーダーのネズを筆頭とした一部のスパイクタウンの人々は、ローズが提案した「パワースポットのないスパイクタウンを町ごと移動する」という急進的な改革案に拒否反応を示しており、町にはビリビリに破かれた落書きまみれのローズのポスターが貼られている。
(とはいえ、スパイクタウンにも「ローズ委員長 あんた すごかったぜ」と発言するモブトレーナーがいることから、全てのスパイクタウンの住民が彼を嫌っているわけではない)
殿堂入り後、ガラル鉱山にいるオリーヴに話しかけるとローズのレアリーグカードを入手することができる。その際に彼女から「ローズさま…… 昔は 炭鉱の お仕事も なされていて」というセリフを聞くことができるが、このセリフだけでは鉱物の採掘を行う所謂「炭鉱夫」として働いていたのか、あるいは炭鉱の経営者として働いていたのかハッキリしない。(なお、アニポケ独自の設定ではローズの父が炭鉱夫であったことが明かされるが、ローズ自身が炭鉱夫であったかの言及は無く、不明)
『冠の雪原』ではピオニーという弟やシャクヤという姪がいたことが判明。
詳細はそちらの記事を参照して頂きたいが、弟との関係はお世辞にも良いとは言えず、自分のリーグ委員長就任に反発してチャンピオンの座も捨ててしまった模様。
ストーリー終盤
ちょっと いいかな?
きみから すれば わたくしは
ひどいことを しているのだろうね
微塵も 理解できないのだろう
だがね わたくしには
ガラル地方が 永遠に
安心して 発展するために
無限の エネルギーを もたらす
信念と 使命が あるのだよ!
いいかね? ガラルの 未来を
守る 計画を ジャマするなんて
もってのほか なんですよ!
実は、彼がトップを務めるマクロコスモスグループは、今作のもう1つの敵対組織ポジションであった。
とはいえ、ストーリーの終盤でこちらの妨害をしてくるという形での「敵」ポジションであり、今までのような悪事を働くことそのものを目的とした「悪の組織」ではない、真っ当な会社である。
組織の構成員も自己中心的でポケモンを道具としか見ていないような『見るからに悪人』という者はまったくおらず、『企業のいち従業員』として立ちはだかっている。
前作のような悪の集団との癒着というのも特に無く、秘書であるオリーヴも、ポケモンを大事にしている事が窺える描写が見られる。
またローズ自身も、問題を起こしたビートへ情に流されず厳しい判断を下す辺り、委員長や社長としての立場相応の冷酷な判断も辞さない一面もあるが、それでも処分はジムチャレンジ資格剥奪に留めている。このことから、トレーナー生命までは断たず、再起や改心はちゃんと期待していたことが窺える。
「ガラルの滅びの未来を変える」という自らの信念と使命に生き、主人公との戦いに敗れた際にも『悪の組織のボス』として主人公を恨んだり貶したりはせず、「さすがですね ○○くん!」「いやあ きみと チャンピオンの チャンピオンマッチ 見たかったね!」と『リーグ委員長』として、主人公の健闘を称えて拍手をしている。
ローズはダンデとの会話の中で、「もう 100回は 話しただろう」と述べていることから、自身の計画について前々からダンデに話していたようであるが、ダンデとどこまで計画の内容を共有できていたのかは不明。
一方で、協力を断ったダンデも、ガラル地方最大の興行であるポケモンリーグの決勝戦直前で「翌日に」実行するのを断っただけであり、「明日の 決勝が 終われば 委員長を 手伝いますから」と発言していることから、実質タイミング以外は共感、賛同していた節がある。
しかし、直接の描写が無いが、後日のホップのセリフではムゲンダイナはダンデに一時意識不明に陥る程のダメージを与えていたとの事で、事件解決自体は迅速に行われたものの負傷者が生じてしまっていたとも言える。
最終的に主人公との直接対決に敗れ、暴走したムゲンダイナがホップや駆け付けたザシアン・ザマゼンタの協力も得て主人公に捕獲されて事態が鎮静化したことを知ると、警察へと自首し、逮捕されたことが後日語られている。
自首後も手のひらを返して彼を罵倒したり呼び捨てしたりするようなNPCは確認できず、彼がいかにガラルで慕われていたかがわかる。
目的
伝説ポケモンを利用しようとしたのも、個人的な私欲や支配欲によるポケモンや人の支配、世界の征服・破壊を目的としていたわけではない。
そんな彼は何を目的としていたのか?
その答えは「エネルギー」である。
彼はガラルの行く末を心から憂慮しており、1000年後にはガラルのエネルギーが枯渇すること、ガラルの人々はその際に生き延びられないことを危惧していた。
その問題を解決すべく、無限のエネルギーを得るためにかつてブラックナイトを引き起こした程の力を持つムゲンダイナを目覚めさせ、チャンピオン・ダンデの反対を押し切り強硬手段で解決しようと目論んだ。
ローズ本人はあくまで『ガラルの未来』を思って行動したのである。
ちなみに、伏線自体は張られており、ナックルシティの地下にエネルギープラントがあり、シナリオ中盤でここを起点とした謎の地震が発生すること、それと前後する形で野生ポケモンが突然ダイマックスする騒ぎが発生する等している。
詳細は不明だが、これもムゲンダイナを目覚めさせようとする計画の一環だったらしい。
但し、「1000年も先のエネルギーの枯渇という抽象的かつ確実性もない出来事に今ここまで狂気的になる意味が分からない」などといったストーリー編成への批判意見も無いわけではない。このような批判はORASのエピソードデルタに際してアンチヒガナ派が主張した彼女の無計画さへのそれに似ているのかも知れない。
ここで、チャンピオン戦後のダンデの言葉を引用してみよう。
「(主人公)くん おめでとう! 無敵の チャンピオンを 倒した キミが 新しい チャンピオンだ!
キミという すばらしすぎる ポケモントレーナーを 心の 底から 賞賛する!
キミが 強くなった いま オレも 未来のことを 考えよう
未来に つながる 今現在を オレたち 大人も よりよくする!
さあ (主人公)! これからも 自分自身と! パートナーの ポケモンを 信じて 突き進め!
自分たちが 望む 明るい 未来を つくるために!
ガラルの みんな! いま ここに! 新しい 伝説が 生まれた
(主人公)!! すごい 力を 持つ 者なら どんな 未来でも 描けるだろう!
(主人公)が みせてくれる 未来 みんなで 楽しみに しようぜ!」
未来を良くするのは飽くまでその未来を生きる若者であり、大人はそれをサポートする立場、というのが本作の主張であると見ることが出来る。
つまり1000年後の未来の問題まで自分が解決しようとするローズはこれと対照をなす、「若者を信じてやれず、彼ら自身が取り組むべき問題を奪ってしまう過保護な大人」の象徴と言えよう。
手持ちポケモン
前作のグズマに続いて特定のタイプの統一パーティとなっており、彼ははがねタイプのポケモンを使用する。
キョダイマックス時のボールの投げ方は、主人公と同じように両手でのオーバースロー。
はがねタイプの弱点であるかくとう・じめん弱点を克服しているポケモンがいる中で、ほのおの弱点だけは全員が共通して持っている。ほのおタイプのポケモンで挑めばある程度余裕を持って戦えるだろう。
ただし、硬さが持ち味のはがねタイプなだけあって、タイプ一致で弱点を突いても火力が足りなければ一発では倒れないことがある。
さらに、シュバルゴはドリルライナー、ダイオウドウは10まんばりきとしねんのずつきで弱点対策もしているので警戒は怠らないように。
薄明の翼
CV:山路和弘
第1、2、4、5、6(セリフなし)、7話に登場。
ジョンやトミー等の闘病生活を送る子供たちのいる病院の慰問に訪れたり、成績不振のルリナに発破をかけたり、埋もれた研究者だったオリーヴとの出会いなどが描かれている。
この『薄明の翼』にはムゲンダイナを用いた計画等に関する描写は一切ない。
アニメ
『素晴らしい…まさに無限のエネルギーだ…』
『多少の犠牲はやむを得ない ガラルの未来のためだ』
CV:松田健一郎
新無印にゲストとして登場。
だいたいの設定はゲームと同じだが、ポケモンリーグに関わる設定が全く言及されていないという違いもあり、ダンデは一貫してローズのことを「委員長」ではなく「ローズ社長」と呼んでいる。ひょっとすると、アニメではポケモンリーグ関係者ではないのかもしれない。
なお、何故か番組表ではキャストが桐本拓哉氏と誤植されていた。
初登場はダンデとキバナの初バトル回である第27話。この時、2人のバトルを観戦していた。
その後、ソード・シールド編(第42話~第45話)にて本格登場。ナックルシティの地下にあるマクロコスモス社の格納庫を眺め、大災厄が放つエネルギーを見て、当項目最初のセリフを放っていた。
後に視察に来ていた炭鉱場でキョダイマックスし暴走していたセキタンザンを鎮圧したダンデとサトシと邂逅。サトシの強さを高く買い、彼をローズタワーへ招待しご馳走をふるまい、自身の援助を受けないかと提案するが断られる。この時サトシのピカチュウは初対面のローズに対して非常に警戒心を露わにしていた。
「ガラルの未来のためなら多少の犠牲は厭わない」という狂気を内に秘めており、かつてダイマックスバンドを共同開発したマグノリア博士は薄々それに勘付いている。
真の目的はゲーム本編とほぼ同じであるが、本作のローズは「かつてエネルギーを得るために鉱山で働いていた父がいたが、不慮の事故で帰らぬ人となってしまった」という過去について語っている(この設定がゲームでも存在するかは不明)。
ブラックナイトを起こそうとしたのも無限大のエネルギーがあれば父のような悲劇が起こらずにすむという考えも一因であった。
ブラックナイトことムゲンダイナを止めようとするサトシをダイオウドウとナットレイで足止めするが、ダイマックスの類は使わず、サトシのリオルが進化したルカリオに2匹とも撃破される。
その後ヘリに乗ってムゲンダイナの圧倒的な戦闘力に歓喜するが、伝説の英雄の助力あって形勢が逆転し、今までにない狼狽ぶりを見せ、最終的に敗北したムゲンダイナがゴウにゲットされる結末に終わる。戦いの余波でオリーヴやヘリ共々吹き飛ばされた後、ゲーム本編と違って自首する余裕もないままヘリを残して消息不明となる。
その後132話にて、彼とオリーヴと思しき後ろ姿が登場。シュートスタジアムの強烈なエネルギーを受けて一時的に現れた後、技を放ち飛び去っていったムゲンダイナの姿を目撃していた。今はガラルでひっそり暮らしているのかもしれない。
ピオニーとの関係
冠の雪原に登場する人物、ピオニーはローズの弟にあたる。
関係性はピオニーのページに詳しいが、二人のすれ違いからローズの新たな一面が垣間見える。
劇中でも明かされている通り、ローズにはチャンピオンリーグ準優勝という経歴がある。
DLC前の時点では強者としてのステータス以上に読み取れることはなかったものの、バトル直前にローズの視点で手元のハイパーボールを見つめる演出が入ることから、何かしらトレーナーとしての未練があるのではないかとファンの間で囁かれていた。
兄弟の関係性はあまり良好でない。
弟のピオニーは、常に優秀な兄のローズと比較され続けてきたためである。
一方で、弟のピオニーは元チャンピオン、つまりチャンピオンリーグ優勝者というトレーナーとしてローズ以上の肩書を持つ。
そして、ピオニーがチャンピオンになったすぐ後にローズはリーグ委員長となり、ピオニーはそれを嫌ってリーグを去ったとされている。
ピオニーがチャンピオンになったのはジムリーダーとしての活躍を経た後であり、この時既にローズはマクロコスモスを創設していた可能性が高い。
ローズとピオニーがお互いにどう思っていたかについては様々な考察がされているが、ゲーム内の台詞だけでも複雑な家庭事情であることは十分察せれる事であり、これらに関してはストーリーとは全く関係のない本当に彼等家族の問題でしかないため周囲が知った風な口で語るのは野暮以外の何物でもないのであまり深く考える事ではないだろう。
それこそ他人からすれば「犬も食わない」というものである。
余談
- 彼が作中であのような行動に走ってしまったことについて、理由としてはただ単純に彼がせっかちだったからだと推測されるが、ネットでは「動機がせっかちだったからは薄い」と言われることがある。しかし、彼が類稀なまでの行動力によって坑夫から成り上がりガラルリーグ委員長、そしてガラルトップクラスの大富豪へと登り詰めた成功体験に引きずられてしまい、あと一日ダンデの協力を待てなかった……と考えると、納得できるかもしれない。
- また、ガラルの今のエネルギー体制を作ったのはローズであるため、彼には「ガラルを1000年先に枯渇するエネルギーに依存させてしまった」と言う負い目があり、「自分の不始末は自分がやらなければならない」という信念で動いていたとも考えられる。
- あと1日を待てなかった理由について、「ダンデが主人公に負けることを予感しており、ダンデがまだ最強であるうちにブラックナイトを鎮める英雄に仕立て上げたかった」という考察もある。
- 『ポケモンサイドストーリー』にて彼と同名の人物(CV:皆口裕子)が登場している。
関連タグ
タマランゼ会長:アニポケにおけるポケモンリーグ会長。
オモダカ:他地方におけるポケモンリーグ委員長。ローズの姪っ子と思われるキャラを職員としてヘッドハンティングしている。
他のはがねタイプの使い手