概要
二次創作のガイドラインは、一次創作の作者などの権利者が二次創作についての考え方を示した目安。二次創作者はこれに則って同人活動を行うことが求められる。
二次創作は著作権者の黙認の元に成り立っているグレーゾーンなコンテンツである。一般的にはファン活動の一環として認められているものの、度を越した二次創作(特に性的描写を伴う作品など)は原作のイメージを損なうものとして権利者の怒りを買ったり、最悪訴えられるリスクが付きまとう。しかし、公式が「ガイドライン」で二次創作で許される点と許されない点を示すことで、二次創作者は安心して同人活動ができ、また公式側も「二次創作歓迎」の姿勢を積極的に示すことができるのである。
商用・非商用を問わず個人であれば二次創作は自由としているガイドラインもあれば、「非営利」に限って二次創作を認めているガイドラインもある(ただし、ガイドラインによって「非営利」とみなす範囲が異なる)。
また、営利非営利共に禁止(大手企業はむしろ営利非営利問わず禁止している傾向がある)、あるいは性的表現や暴力的な表現を禁止しているものもある。かといって、二次創作ひとつひとつにすべて法的に動くことは企業や作家にとっては非現実的なうえに、もし本当にそうなろうものならファンが自由に二次創作できなくなって最悪ファン離れが起きかねないため権利者にとってもファンにとってもデメリットしかないのも事実である。
一部のガイドラインは「公式は二次創作作品を自由に二次利用できるものとする」といった独自の規定を設けているので注意。
商業作品の他に、オリジナル同人でもガイドラインを設けている作品がある。
なお、出版社等が示している二次利用についての方針には、一切の二次創作を禁止しているように見えるものもある(例:NHK・集英社・小学館・講談社・芳文社・フレックスコミックス)が、同人誌の作成などを禁止しているわけではない、という意見も散見されるが、同人誌を例外とする記述は無い。ガイドラインを参照されたし)
ほとんどの作品の著作権は出版社ではなく作家に帰属するため、二次創作についての方針は各作家に委ねているという意見もある。
ただし、これらの発言は10年以上も前のものであり、最新情報は各社の公式サイトを確認すべきである。
例えば、講談社の最新の見解は以下のページで確認が行える。
https://www.kodansha.co.jp/copyright.html
以下引用——————————
小社刊行物の二次利用について
(省略)
個人のお客様への使用許諾は、許諾管理の都合上行っておりません。ご容赦ください。
(省略)
以下のような行為をすることは禁じられています。
2.出版物やホームページ上の文章・漫画等の要約を掲載したり、出版物やホームページ上の画像・文章・漫画・キャラクター等をもとにした漫画・小説・文章等を作成し、掲載すること
3.出版物やホームページ上の画像・漫画・キャラクター等を使用・改変してイラスト・パロディ・画像等を自分で作成し、掲載すること。
引用ここまで——————————
同人誌を例外とする記述はなく、最新の情報が守るべき内容である。
出版社は作家との出版権などの独占契約を結ぶことが多い。また、一度出版されると、出版物の著作権は出版社に帰属するため、その二次創作を行う場合は、原作者および出版社の許諾が必要である。
さらにアニメ化した場合は、製作委員会などにも著作権の権利が発生する。
(そのため、アニメの映像を出版社が利用する場合は製作委員会の許諾を得る必要があったりする)
このように著作権は分散することもあるので、原作者が許可を出しても他が許さない場合は利用できないケースもある(出版社の作品やコンテンツに於いてガイドラインが別に制定されている場合は上記の引用例より優先的に適用される)。
二次創作ガイドラインを設けている作品・キャラクター
※50音順。キャラクター名、作品/シリーズ名、企業/グループ名が混在しているので注意。
※追加時はガイドラインへのリンクもお願いします
「アークナイツ」二次創作・ゲーム実況配信及び動画投稿に関するガイドライン、「アズールレーン」二次創作・ゲーム実況配信及び動画投稿に関するガイドライン、「ブルーアーカイブ」二次創作・ゲーム実況配信及び動画投稿に関するガイドライン、「雀魂-じゃんたま-」二次創作・ゲーム実況配信及び動画投稿に関するガイドライン、「ガーディアンテイルズ」二次創作・ゲーム実況配信及び動画投稿に関するガイドライン
yostar系列作品。「個人または法人格のない団体は...自由に行っていただいて問題ありません」とあり、「当社ゲームのイメージを損なう内容」でない限りは、性的・暴力的な二次創作も禁じられていない。
ガイドラインは、「フィギュアやグッズ制作など」、「コスプレに関して」はそれぞれガイドラインがあるものの、同人誌については規定がない。
「ガイドラインに記述がなくとも、作者が「NG」と判断した場合、禁止させて頂く場合がございます」としている。
コンシューマ版はPLAYISMとなっているので作者のサイトも要確認。
法人格がない個人、サークル団体などの利用は認めている。
法人格がある団体かつ、商業利用する場合は問い合わせくださいとしている。
ストーリー閲覧を目的とした自作ホームページでの掲載は禁止されている。
R-18二次創作が原因でサービスが終了するといった根も葉もない噂が広まったことにより誤解されがちではあるが、これはファン活動を否定するためのものではない
- エヴァンゲリオンシリーズ(派生作品を含む)
創作物の公開に関するガイドラインが設けられている。
「ポルノ表現そのものを目的としたもの」「過度に暴力的・グロテスクなもの」は「控えてください」としているが、制作会社である株式会社カラーは規制や禁止するためのものではなく活動の自由を阻害しないようあえて解釈が曖昧になるようにしていると公言しており、またファン同士で取り締まりを行うことは最も望まないとしている。
クリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンス(より正確にはCC BY-SA 3.0またはCC BY-SA 4.0)に基づき、適切なクレジットを示すことで、一部の例外を除くほぼすべてのコンテンツについて、R-18や商用を含む二次創作を行うことができる。
なお、二次創作した作品にもCCライセンスを適用する必要があり、他者による三次創作を拒むなどはできない仕様になっている。
詳細はライセンスガイドを参照。
改造版を含め、関連のソフトウェアを作るにあたって、それによって商用として販売するということだけは、禁止させて下さい。
- カプコン作品全般
他の作品と同じく常識的な範囲で行うことに加え、「精華町に迷惑をかけない」ことを条件にしている。
このため、性的な二次創作をする場合には胸とヘッドセットの町章を描かないことが推奨されている。
著作権に厳しい円谷プロダクション作品としては珍しく、二次創作物のガイドラインが公開されている。
けものフレンズプロジェクトとしてのガイドラインを公開している
放送から21年経った2019年に二次創作ガイドラインが公開。日本国内の個人に限り、商用・非商用問わず二次創作が許諾される。
「趣味の範囲と運営がみなすことができる小規模の創作活動に限り」二次創作を認めるとし、販売方法や販売金額などについてガイドラインで細かく規定している。
- セガ作品全般
- TYPE-MOON作品全般
ガイドラインが制定されている。
表現の内容に関しての規定は設けられていないものの、フィギュア等立体物の頒布はイベントで当日版権を許諾された場合を除き禁止となっている。
2021年11月22日に『千銃士:Rhodoknight』二次使用・二次創作に関するガイドラインが発表されている。
尚、前作「千銃士」には現時点で同様のガイドラインは発表・制定されていないので個別に扱う事を推奨。
公式より東北ずん子利用の手引きが制定されている。
個人及び団体での利用についての他、商用・非商用利用などについて図入りで分かりやすく解説されている。
性的な二次創作に関しても「運営や一般の人に見つからなければOK」と公認しており、ツイートに「コッショリ」という単語を含めてもらうことでゾーニングを図っている。
一方、ずんだもんを酷い目に合わせる二次創作やYouTubeに多く投稿されているずんだもんを利用した政治や陰謀論系の動画はガイドライン違反になる危険性大。
条件・禁止事項を設定した上で「個人でのファン活動としての二次創作は、常識の範囲内で基本的に自由です。」と明記している。東方Projectの二次創作ガイドラインも参照。
- NieRシリーズ
『NieR』シリーズ二次創作ガイドライン 「当社から二次創作及び二次創作物の利用中止の要請があった場合には、遅滞なくその利用を中止すること」との記述がある。この他にはスクウェア・エニックスのガイドラインも幾つかある。
- ドラゴンクエストシリーズ
スクウェア・エニックスの公式サイトを参照。
ANYCOLOR二次創作ガイドライン 公式による二次創作の二次利用(二次創作の公表時点で「当社及び当社が指定した第三者が....事前の確認をすることなく、ライブ配信やSNS等において二次創作作品を公開、配信、紹介その他の方法で利用すること」を許諾したとみなすというもの)条項がある。
- ニトロプラス(ニトロオリジン/ニトロプラス キラル作品を含む。)
著作物転載ガイドライン参照。
また『刀剣乱舞』については『刀剣乱舞-ONLINE-』二次創作活動に関してよくお問い合わせいただくご質問も併せて参照することを推奨する。
アマチュア作家の創作活動限定で申請、監修、許諾等を一切不要の版権フリーとされている。
詳細はProject NIPAKOガイドラインを参照。
ダイハードテイルズの「ニンジャスレイヤーなどの二次創作活動やファンイベントに関するガイドライン」を参照。
- 任天堂作品全般
ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン
基本的には任天堂が関わったキャラクターなどが含まれる。
- ピアプロ・キャラクター・ライセンスに準じたキャラクター群
クリプトン・フューチャー・メディアが著作権を有しているキャラクターのうち、MEIKO、KAITO、初音ミク、鏡音リン、鏡音レン、巡音ルカが該当する。
※ちなみにプロジェクト世界の場合では上記のキャラとは別に同作のキャラ向けのガイドラインが制定されている。
「「カードファイト!! ヴァンガード」等の著作物の利用に関するガイドライン」「「BanG Dream!(バンドリ!)」著作物利用に関するガイドライン」「「D4DJ」著作物利用に関するガイドライン」とそれぞれガイドラインが公開されている。
ゲーム要素を含めたもの、R-18の同人グッズ制作、R-18を含むコスプレ写真集の頒布が禁止されている。
なお、探偵オペラミルキィホームズ、少女☆歌劇レヴュースタァライトはガイドラインが制定されていない。
※ちなみにD4DJは音楽作品に関するガイドラインも公開されている。
- ブロッコリー(企業)作品全般
「弊社コンテンツを題材にした二次創作物に関して」と称したガイドラインを公開している。二次創作は非営利かつ私的なものに限り、「グッズ、フィギュア、コスプレ等を対価を得て販売する行為」が禁じられている。
キャラクター使用ガイドラインを設けている。
- VOICEROIDに準じたキャラクター群
AH-Software個人・同人サークル作品の配布・公開についてを参照。
公式サイトの「OTHER」にある「コンテンツガイドライン」に記載。
「夢のステラリウム」関連二次創作・ゲーム実況配信及び動画投稿に関するガイドラインを設けている。
ただし、ネタバレに関わるストーリーの投稿または配信が禁じられている。
四ツ目神-再会-やウーユフの処方箋などが対象、ゲーム作品によっては許容範囲が異なるので作品個別に注意して確認する必要がある。
自社キャラクターのアリアル・ミリアル・アベルーニに適用されるキャラクター利用ガイドラインが制定されている。
創作の内容は公序良俗に反しない範囲で自由とされており、年齢規制のあるものに関しても「当社は一切関知しなません」としている。
ただし、キャラクター利用ガイドラインとは別にCoeFontそのもののサービス利用規約も存在するため、卑猥な目的での音声利用といったこちらの禁止事項にも抵触しないよう注意が必要。
音楽
アーティスト本人及び所属事務所などによって制定されている。フリーBGMも該当する。
詳しくは上記記事リンクを参照。
「ずっと真夜中でいいのに。」 著作物に関するガイドライン | ずっと真夜中でいいのに。公式サイト
キャラクターについては別規約となる。
詳しくは上記記事リンクを参照。
- うっちーゼロ(作曲家)
無料では非商用(フリーゲーム配信)であれば利用可能。
有料音源を指定のストアで購入しない場合は商用利用ができない。うっちーゼロ公式サイトを参照。
D4DJについては、「D4DJ」音楽著作物の利用に関するガイドラインを設けており、オリジナル曲のみが対象で、動画共有サイトに投稿する場合は、作詞・作曲者を明記しらければならない。
曼荼羅イブについては、公式サイトの「OTHER」の中に「コンテンツガイドライン」という名目で二次創作などに関するガイドラインが策定されている。