白泉社「ヤングアニマル」誌に1994年から1997年まで連載されていた。
作品概要
混迷続く日本。そんな中412年ぶりに成立した織田政権。非常に高い支持率と共に政権をスタートさせ、その持ち前の型破りな行動で日本中を混乱 (?) に陥れる。
歴史上語られている「改革者」織田信長の人となりをもとにした社会風刺ネタを痛快に展開しつつも、しばしば真面目な問題提起もなされる。
また、歴史マニアの好むネタが、各所に散りばめられている。
主な登場人物
織田信長
本作の主人公。内閣総理大臣。新党のぶなが党首。愛知県選挙区。
子供のように純粋で、常識に囚われず、物事を根本から考え直す発想力と、だだっ子のような実行力を併せ持つ。(おそらくは)平和主義者。国内外の諸問題に対し、常識外れの政策を打ち出し、その大半は(当初の目論見とはいささか異なる形で)成果を上げている。しばしば、無謀な行動を取って肉体的な窮地に陥り、秀吉らに救出される。
衆議院の解散を国会議事堂の爆破撤去と勘違いして、国会議事堂を爆破して総選挙に出るが、テレビの開票速報ですぐに当確(わずか40秒)が付くなど、選挙区での人気は絶大と思われる。
当初は外来語を無理して言っていた(「すぽぉつまんでござる」etc.)が、だんだん現代に馴染んで来て、最終的には自身を「天下のオールジャパンの覇者の織田」と言うまでになった。また現代にやってきた当初は鋭い目つきだったが、単行本5巻表紙からは穏和な顔つきに変貌した。
現代人とは段違いの体力の持ち主であり、大相撲の千秋楽ではあけのぼ(元横綱・曙太郎がモデルと思われる)がふらつく程の重さの祝杯を軽々と抱えていたり、デパートに買い物に行ってゴムチューブを自身の右足首に巻きつけいざ、トルネードバンジー!と言って、高層ビルの最上階から吹き抜けを使ってバンジーをして、軽い脳震盪で済んだ事もある上、(常人なら即死するほどの)感電をしても軽傷ですんでいる。
また、ニューヨークでは「どこからどう見てもニューヨーカーじゃわい(こんなニューヨーカーはいない、との突っ込みもあり)」と自画自賛するほど軽々とローラーブレードを駆り、さらに街頭の女性歌手に絡んでいたチンピラを踵落としと日本刀による脅しで撃退するなど、一国の宰相とは思えない身のこなしを見せていた。容姿にもかなりの自信があると思われ、女装すると、美人の誉れ高い妹のお市にそっくりになる。
また信長の野望らしきシミュレーションゲーム(ゲームタイトルは「信長の大望」)をプレイしている。実年齢の一割までは自己の意思で増減できるとした年齢自由化法案が国会を通過した際、1534年生まれだから「33歳」と申請したが、区役所側が1994年に突如現れた信長を1996年時に「51歳」と扱って却下された事に腹を立て、国を訴える事もした(実際は信長の計算に従うと1996年時で実年齢は462歳。1割減としても416歳になってしまう)。靴のサイズは26.5cm。
高校教育の授業について文部省の担当者を集めて、科目をフリップで見せて「これじゃぁ、デニーズのメニューより多いではないか!」と言う事から、(作中には描かれていないものの)現代にタイムスリップしてデニーズに行った可能性は極めて大。
羽柴秀吉
大蔵大臣、外務大臣、通産大臣、科学技術庁長官、他3つの大臣職を兼任。大阪府選挙区。
信長の右腕で、可能な限り彼の意に沿おうと努力するが、異常事態の収拾に走り回らされることも多い。
現代にタイムスリップしたとされる連載中では一番武将らしくない外見が特徴で、髪型も現代風のリーゼントスタイルの上、スリーポイント仕様のメガネをかけている。解散後の選挙では「阪神タイガースの10連覇!!!」を公約にして、当選した。
徳川家康
農林水産大臣。別名をミスター農林。新党のぶなが徳川派会長。信長とは幼少時からの盟友。静岡県選挙区。
非常に保守的な上に臆病な性格。また徹底した農本主義者で、内閣予算案で国家予算の三分の一(約20兆円)を、農業振興費に充てるプランも出したほど。農業への異常なまでのこだわりは、静岡駅北口前の家康像の説明文で「駿河で革新的な農政を行った」と言う説明文が書かれている事から、農林水産大臣になったと思われる。
鈍重そうな外見に似合わず運動能力は非常に優れている。しかし太りすぎを気にして、ダイエットに励む一面も。意外とパチンコ好きで、パチンコの腕はパチプロ級。パチンコ球には家紋を入れて米俵に山積みにして保管していたが、信長にパチンコ屋ですべて使われてしまった。
信長から贈られた東京事務所ビルをもらったのはいいが、事務所を置いた1階以外はテナント経営をしたり、天下一のばら撒きと題して国家予算を自衛隊機から1万円札で全国にばら撒いた際に、袋一杯に集めた挙句、利率の良い郵貯に預金しようとするなど、金銭感覚に優れた面もある。また自衛隊の拡張には非常に否定的な面があり「そんな金があるなら、少しは農業対策に当てるべきだろう。兵器がなくても国は滅びないのだが、鍬や鋤がなくなると国は滅ぶのだ」と言う持論を持っている。
全般を通じてイジラれ役になっており、信長内閣初の総選挙で、選挙ポスターに女子高生に加藤茶のハゲオヤジの落書きをされたり、でっちあげゴシップの談議上で蘭丸が「こんなのはどうでしょう?徳川幹事長、女子大生(21)としのび愛」と言ったら、秀吉が「ウソはいかん。真実味がないと」と言われた。それを聞いた家康は「ワシの立場は....」とガックリしてしまった。
また、総選挙では連日静岡に信長と秀吉が応援遊説にやってきて、静岡県の有権者は信長と秀吉を候補者と勘違いして投票し、家康の得票数は2000を切る(得票数はわずか1968票)有様だった。結局、信長と秀吉の集めた票は無効票となり、家康はお情けで当選した形になるのだが、それでも感極まっていた。
また蘭丸を除けば(主要閣僚では)最年少だが、一番オヤジっぽい外見である。
臆病な性格を示すエピソードに運転免許証を取得した際に、免許証発行間の安全講習ビデオを見て極度に怯えてしまって、免許証を金庫に入れてしまったほどだし、ハワイで行われる農相会議に飛行機が怖いと言う理由で泣き出し、信長に「新幹線でもハワイに行ける」と言われて、新幹線に改造していたYS-11に乗せられたりしている。
実際の家康の出身地は、愛知県三河地方だが、この作品では静岡県出身として扱われており、本籍地も静岡市だった。
柴田勝家
防衛庁長官。福井県選挙区。
信長に対する信義は厚いが、ミスが多い。お市との結婚を信長に反対され、秀吉の協力のもと、昭和基地まで駆け落ちし、ようやく認められた。1582年からタイムスリップしたと考えたら、齢60歳の還暦ではあるが見た目はかなり若々しく、蘭丸の次に若く見える。
森蘭丸
内閣官房長官。秀吉とコンビで行動していることが多い。京都府選挙区。
若さゆえ生真面目で融通の利かないところもあり、ODAに対する信長との意見の違いから、辞表を提出しようとしたが、秀吉に慰留された。ユニセックス的な容姿の持ち主。描写から、おそらく髪を染めている模様。
お市
信長の妹。私人だが、信長の執務室にもよく出入りしている。
気が強く、よく信長をいさめているが、結局は似たもの兄妹で、味覚や発想、顔の骨格は信長と似通っている。女性閣僚を欠いた織田政権に、女性(特に若年主婦層)の観点を取り入れる役目を果たしている。また一番現代人っぽく、最初は黒髪だったが、途中から世間の流行に合わせて茶髪のような描写もされている。
千利休
衆議院議長。大阪府選挙区。日本を訪問する外国の要人たちに茶の湯を振る舞っている。
冷静に信長を諌める役回りだが、重要文化財の「初花」をトロフィーに改造したり、内閣不信任決議を野党選出の副議長に丸投げするなどの行動も見られる。
本多忠勝
織田内閣の閣僚(役職不明)で、新党のぶなが徳川派所属。
家康の側近で徳川家臣のまとめ役をしている。家康と行動を共にすることが多いため、主従共々信長の言動に振り回されている。
ビル・クリリントン
アメリカ合衆国大統領。物語上、信長のライバルに近い位置を占めている。
偵察衛星を使って信長を脅迫しようと試みたこともあるが、脅迫し返されて不発に終わった。
グランドキャニオンに信長の顔を彫刻されたりと振り回されている。
モデルはビル・クリントン。
ボリス・リエツィン
ロシア連邦大統領。信長の破天荒な所業(自衛隊を率いて雪祭りに参加)に振り回される役回りを演じた。
だが本人も泥酔しながら部下に「酔っ払ってるんじゃないかお前」と言うなど、完全にボケキャラとして扱われていた。
モデルはボリス・エリツィン。
タイアナ
第二十二話で離婚問題を抱えている最中に来日。日本側の差し障りのない笑顔にうんざりしていた。
信長のチャールス皇太子(モデルはチャールズ皇太子)に対する暴言の数々に、反論するどころか逆に感謝し離婚してしまった。このことが原因で、日本とイギリスの間には溝が出来てしまったらしい。
一コマだけではあるが前田利家・丹羽長秀・羽柴秀長・黒田如水・ねねが登場している(いずれも現代風の格好だった)。
また名前だけではあるが、西郷隆盛が紙幣投票・鹿児島選挙区で登場した(西郷は第1巻の「大西郷伝」と言うショートギャグにも登場している)。
中曽根康弘・小沢一郎・村山富市などの実在する政治家も多数登場している。
新党のぶなが及び、織田内閣が打ち出した政策
ほとんどが信長の私情絡みの政策で、これに秀吉が露骨に冷たい態度をとったり、呆れ果てたりする事が多く、結果として「瓢箪から駒」のような結果になると、秀吉は「私が愚かでした」と信長の私情を、単に「時代の先読みによる深読み」と勘違いする事が多いのが特徴。
でっちあげゴシップのリーク
織田政権が発足してから、信長に対する批判的な新聞・雑誌の記事に怒る信長に、閣僚たちは居酒屋で機嫌を直すべく秀吉の「ゴシップには、ゴシップだ」と言うアイデアで、新聞社等に自らを自虐したゴシップ(羽柴秀吉大臣、ニホンザル説濃厚・森官房長官、年齢詐称・柴田大臣、ハンセンと蔵前決戦・徳川幹事長、天麩羅で食中毒)を送りつけ、新聞社はそれらを一面に載せるが、信長は「ワシを差し置いて一面を飾るとはけしからん!」と結局効果はなかった。唯一信長が関わっていない政策。
雨乞い巡業
この年は猛暑で雨が降らない日が続いていた全国だが、信長が怒ると突然雨が降る(桶狭間の戦いも雨だった)と言う事から、信長を全国に派遣して、閣僚たちが信長を怒らせて、派遣先に雨を降らせると言う政策。途中から、マンネリ化してきたのか「もう、アホらしくて怒る気にもなれん」とボヤく。
MHK(作中の公共放送)に第3の放送局開始
MHK の総合・教育の他に「MHKちょんまげ」と言う時代劇専門チャンネルを作り(尚、この連載時ではスカパーの時代劇専門チャンネルは開局前だった)は、自ら「華の織田信長」と言う大河ドラマに出演。これに秀吉は「私情絡みも甚だしい」と呆れ果て、官邸に届けられた MHK ちょんまげの読者の手紙を「抗議文章」と読まずに否定したりしたが、老人の視聴者からの意外な大反響に秀吉は「殿の考えを判らず否定して、私が愚かでした」と反省する。だが、信長の本心は不明で、ただ単に自分の大河ドラマを自分で作りたかっただけかもしれない。
織田総理自ら競馬に出走
自称「馬を見る天才」の信長を信じ、信長の競馬予想に乗った人間の馬券は壊滅状態で大規模デモが起こる騒ぎに。自ら騎手としてレースに出場し、国家予算を自分の馬に賭けた配当金で賠償金の補填を行おうとするが、信長の誇る戦国武将の乗馬テクニックは、現代騎乗技術の前に見事に惨敗。しかしながら、「殿に驕りが見えた」と、別の馬に賭けていた秀吉の機転で賠償金問題は解決される。ちなみに信長が推奨した「サクシャテンテコマイ」と言う馬は、現実には命名できない(日本中央競馬会競馬施行規程で9文字以内と決まっている)。ただし信長が規程を無視して押し通した可能性もある。
高校視察
この漫画で史上初の前後半に分かれた作品で、前作は進学校に通い塾通いに明け暮れる高校生を見て、信長は(突如)体育祭を開催し、そして騎馬戦を行って「ワシのカブトを奪ったら、どこの大学でも首相推薦で入れてやる!」と豪語し、あわやカブトを取られる寸前が前半。後半はカブトを取る事に失敗し、虚しく帰る高校生を見て「あの物達はどう言う道を歩むのであろうか?」と危惧する。
翌日、文部省(現:文部科学省)の高等学校担当の官僚を全員集め「この中で高等学校の教科が全て言える者がいるか?」と信長が尋ねるが、誰も答えられず授業内容を書いたフリップを見せ「これじゃぁ、デニーズのメニューより多いではないか!」と言う名言?が生まれた。尚その後「ワシは、高校生でなくて良かった」と洩らしている。信長は自身の首相在籍時1年毎に、1つの教科を削除する事を豪語するが、寿命的に(確実に)無理がある。
ニセ札製造
日本国の財政赤字の現状を知った信長は、返済不可能と断じ、周囲の反対を押し切り、国家として破産宣告する事を思いつくが、お市の「見損なった」と言う言葉で思いとどまる。
しかし、結局取った手段は、「一枚の札を剥いで二枚にする」と言うニセ札作りであった(当然、この方法で財政赤字は解消しない)。
名古屋ドラサンズ(中日ドラゴンズがモデルの球団)の監督就任
万年Bクラスのドラサンズの監督に就任し、火縄銃の弾をバッティングすると言う大胆な練習方法を取り入れ、打線は爆発するものの、火縄銃を相手にしているせいもあり、スローボールには全く対処できず、結果はBクラスのまま。しかしながら選手査定を細かく打ち出し、星野仙一らしき人物に「成績はともかく、去り際は名将」と言わしめた。
核兵器廃絶
1995年リヨンサミットにて、核兵器廃絶の為にサミット参加国が協力するとした外交文書の条文を隠し、「思い出のアルバム」と偽り列国首脳のサインをさせる。また、名作アニメを見せて拍手喝采のシーンを盗撮、アテレコと編集で、「信長の核兵器廃絶の提案を各国首脳が受け入れた」映像を捏造。それらを国連に提出し、核兵器廃絶がサミットで採択されたとでっち上げ報告を行う。この時、酔っていた為、記憶があやふやだったボリス・リエツィンが「この事に関しては、肯定もしないが、否定もしない」と言った事、国際世論がこの採択を歓迎した事から、結果としてクリリントンがこの外交文書の存在を認める事に。
紙幣改正
これは2回行われ、最初は1000円札に秀吉、5000円札に千利休、10000円札に家康の肖像画を載せ、自身は1千万円札の肖像画に載るが、1千万円札の流通度があまりにも低いために、結果見た人間がほとんどいないまま廃止された。
次に、47都道府県の1万円札を地域毎に設定して、地方分権の主張と言っていたものの、実際は大阪府の秀吉・東京都の家康の紙幣に、信長が図々しく写って、自身の地元の愛知県の1万円札の肖像権を確保し、東京・愛知・大阪の3都府県(静岡県も家康になっていた可能性は高い)の1万円札ジャックを試みるも、愛知県の紙幣案はイチロー似の「さわやかイチーロ」になってしまい、これをニュースで見ていた信長は泡を吹いて気絶した上「尾張半国から天下を統一したわしよりも、ドラフト4位から三年連続首位打者の方が上だなどと国民(しかし、愛知県紙幣案の投票ができるのは愛知県民のみで、この発言は矛盾である)はケーハクだぁ~」と悔し泣きをする有様だった。しかしその後、イチーロ側から「織田総理と握手するイチーロ」図案でもいいと申し込まれたが、信長は「その気づかいがよけいムネをせめる」と言っていた。
作中では鹿児島県の紙幣案は西郷隆盛が圧勝。青森県の紙幣案は太宰治、高知県の紙幣案は坂本龍馬が辛うじて吉田茂を破った上、千葉県は長嶋茂雄が(当確はしていないものの)テレビの中継で優勢だった。
年齢自由化
実際の年齢の10分の1の年齢を増減できる法案で、これこそ信長の私情の極み中の極み。法案が通過するやいなや落合博満らしき野球選手が松井秀喜らしき野球選手に「よぅゴジ。よく考えたら俺まだ38歳だったよ」と言ったり、定年退職した人間が「私はまだ定年まで5年あります!」と一見成功したかに見えたが、信長の「ワシは1534年生まれで、今が1996年だから、ヘタしたら赤ん坊にまで若返ってしまう。てな訳で33歳にしーとこ」と申請したのはいいが、役所側が1994年に現れた信長(当時49歳)に「51歳として処理しよう。これこそ、法の下の平等だ!」と却下されてしまわれ、自ら墓穴を掘る格好になった信長は、アイデンティティーを傷つけられたと、国を訴える騒ぎを起こした。尚、この時のマスコミの「判決が出る頃にはじいさんになってるぞ」と言うコメントが秀逸。
首都移転
東京の騒がしさに嫌気がさした信長は、突如「首都移転」をぶち上げる。46道府県が首都移転の誘致をした上で、日本武道館らしい建物で、年末ジャンボ宝くじのようなルーレットを回し、的に当たったのは「16番:京都」で信長は自身の青春時代をしみじみ振り返っていたが、矢の先端はゴムでできており、ゴムを外したら東の文字が現れ、結局は東京都に決定。信長は「東京を外しておくべきだった」とボヤいていた。尚、信長は新首都が決まったら即執務を行おうとして、大量の荷物をトラックに積んで「引越しの準備」をするほどの用意周到さだった。
国家予算100年プラン
パソコンの便利さを知った信長は、SEに国家予算作成ソフトを作らせ、大胆にも国家予算を100年分を決めると言うプランをぶち上げた。日本武道館に大量のパソコンを持ち込んだものの、パソコンの熱で室内温度が急激に上がりサウナ状態に。これを信長は秋葉原の電気街で大量のクーラーを購入し、スイッチを入れた途端、ブレーカーが落ちた上に信長は感電する有様。またパソコンも全て壊れてしまった。
蘭丸とお市が「こんなに大量のパソコン、どう処分しよう?」と悩んでいる時、信長は「パソコンの心配より、感電したワシの心配をしろ!」と激怒。尚、蘭丸とお市は信長の存在を全く忘れていた。
国家予算投げ捨て(別名・天下一のばら撒き)
国家予算に悩んだ信長は閣僚に予算の使い道を問うが、防衛庁長官の柴田勝家は防衛力強化、農林水産大臣の徳川家康は¥20兆も農業振興費にぶち上げるなど閣僚の意見はバラバラで、結局物別れに。予算を考えるのが面倒になった信長は国家予算を全て一万円札にして、自衛隊機から全国にばら撒く始末。秀吉は「公務員の給与は国債で賄えますし、消費の活性化につながる」と、このナンセンスな事を(珍しく)絶賛していたが、家康は一万円札拾いに夢中。挙句の果てには利率の良い郵便貯金(現・ゆうちょ銀行)に預金しようとして、家臣2人に止め抑えられている。この漫画では珍しい家康がオチとなった回。
美人税創設
信長の日課は官邸あてに届けられるファンレター(しかし60%は誹謗中傷の類らしい。ちなみにインターネットからも送れるシステムまで導入している)を見るのが楽しみだが、妹・お市あてのファンレターのつまった郵便袋に自身の郵便物が押しつぶされ、「この国は美人に対して甘すぎやしないか!」と激怒し、容姿で得をしている人間から税を得る・美人税を設立した。この法案に特筆すべきことは、いつもは反対に回る秀吉がこの案を支持し、美人税は成立。しかし女性議員連盟によるこの法案では性の指定はされていないとの指摘から、男性からの徴税も行われるようになり、自身の美貌に絶大な自信を持つ信長は「一体、ワシはいくら払ったらすむんじゃ」と泣いた。
自衛隊民営化
国家財政難により、自衛隊を独立採算制の「自営隊」と改称し、運輸ロジスティックス業務やゼネコン業務から自衛隊機のプラモデル製作まで、陸海空総員26万の自衛隊を、民間企業にしてしまった。野党側から「一体、もし他国から敵が来たら、総理はどうお考えなのでしょう?」の問いかけに信長は「果たしてワシが総理を務めている国に、戦争を起こそうという国はあるんでしょ~か?」と自信満々にふてぶてしく答え、翌日の新聞には「わしが安全保障だ!」と載る事となった。
山手グルグル幼稚園
山手線内に幼稚園を設立し、小児運賃1日¥60がこの幼稚園の安さのひ・み・つと答えた信長。閣僚一同が保育士等をやって幼児には評判が良かったものの、夜遅くまで車両内にいる幼児を残業続きで家族を省みることができなかった幼児の父達が見て反省、結局閉園。なお、ポスターには信長の似顔絵(よい子のみんな~、ワシが待っておるぞと文字まで書いてある)と厚生省不認可と大胆にも書かれているが、幼稚園の管轄は文部省(現・文部科学省)であり、厚生省が管轄するのは保育園である。
安土城築城
陸上自衛隊がさっぽろ雪祭りに協力しているため、自衛隊の総指揮権のある総理大臣である信長は、自ら陸上自衛隊の4個師団をつぎ込み、さっぽろ雪祭りで隊員総出で札幌の繁華街が埋まってしまうほどの、実物大の安土城を築城してしまった。自衛隊の北上を危惧したロシア政府の高官が、リエツェンに自衛隊が北上していますと報告するが、この時にリエツェンの迷言「酔っぱらってんじゃないのか?お前」が生まれた。
戦艦安土製造
安土城跡地を視察した信長は「なんじゃ!人のうちを勝手に史跡にしおって!」とボヤき、たまたま琵琶湖周遊船が航海しているのを見て、戦艦安土を建造を試みるが、お市に武田信玄の信玄堤の話を聞かされるが、信長は「信玄(ヤツ)と違って、ワシはアーティストだからな。美をもって、後世に素晴らしさを伝えるのじゃ!」と戦艦安土を建造。
しかし、処女航海の途中で海難事故に遭い高知県沿岸で転覆。住民は「これを信長(しんちょう)堤と呼ぶきに」と感謝をしていたが、信長は木にもたれ掛るように悔し泣きをする有様だった。
電話料金無料化
公共交通機関での携帯電話の使用マナーにウンザリした挙句、静岡に住む家康との毎日の長電話で、1ヶ月の電話料金を¥30万請求された信長は激怒し「電話料金の無料化」を(毎度の事ながら私情を込めて)ぶち上げ、国会の審議もスムーズに通ったが、NNT(NTTがモデル)が「184」(イヤよ)と垂れ幕をたらして応戦。結局、信長の主張に妥協したNNT側が譲歩して電話料金の無料化は成立したものの携帯電話についてはNNT側や、他の電機メーカーが「ヘッドフォン式電話」を開発し、かえって公共交通機関内の電話マナーが悪くなってしまった。
エアガン発射
国会にエアガンを持ち込み、居眠り議員をペイント弾で狙撃。「人の話も聞かんと己が職務を放棄し寝入りおる輩はすかさずペイント弾を打ち込み政治的死体であることをヴィジュアルに表現してくれる!」といきまくも、与野党総出で政治そっちのけのペイント弾合戦に。
宇宙遊泳
毛利衛らしき人物が宇宙観測をした事を官邸に報告したが、負けず嫌いの信長は宇宙の素晴らしさを説く毛利に反発。さらに彼を毛利家の子孫と思い込み「なんで天下のオールジャパンの覇者の織田が、毛利ごときに卑屈にならんといかんのじゃ!」と私情絡みの僻みが重なり、アメリカのクリリントン大統領を「宇宙に連れて行け!」と脅した揚句、ホワイトハウス前でハンストまで行った。妹・お市がクリリントンに「あの傲慢な性格を見つめなおすいい機会」と言った事で、信長は宇宙に旅立つ。宇宙空間に出た信長は己の小ささに涙するものの、宇宙帰還後「これによってわかったのは、ワシの偉大さであります」と発言。宇宙で見せた謙虚な態度は「あれは気の迷い」と言い、結局傲慢な性格は治らなかった。
その他、法案多数。
書誌情報
第1巻(1994年10月31日発行) ISBN 4-592-13161-4
第2巻(1995年5月31日発行) ISBN 4-592-13380-3
第3巻(1995年10月31日発行) ISBN 4-592-13381-1
第4巻(1996年4月30日発行) ISBN 4-592-13382-X
第5巻(1996年9月30日発行) ISBN 4-592-13383-8
第6巻(1997年3月31日発行) ISBN 4-592-13384-6
第7巻(1997年9月30日発行) ISBN 4-592-13385-4
第8巻(1997年11月30日発行) ISBN 4-592-13386-2