ピクシブ百科事典

山川純一

やまかわじゅんいち

かつてゲイ向けの漫画を描いていた作家の一人。主に80年代に活動し、後に消息を絶った。
目次[非表示]

pixivでは愛称であるヤマジュンの方がタグとしてよく使われている。

1980年代に主にゲイ雑誌「薔薇族」に寄稿していたが、男臭さに欠けるキャラ造形と、無理矢理すぎる唐突な展開が好まれず、人知れずに歴史の闇に消え去った幻の漫画家。

作風

無理やりとも取れる超展開も多々あるが、彼の作品のストーリーは良く練られており「くそみそテクニック」のようなコミカルな作品から「地獄の使者たち」などのシリアスな作品まで幅広い。逆に超展開を逆手にとって狂気を題材にした「教育実習生絶頂す」といったものもあるなど、漫画家としての技量はあった。

しかし、連載当時はゲイ漫画としては異端な作風からまるで人気が出ず、「少女漫画のようだ」と言われ嫌われたという。
というのも、当時も今もゲイ向けの作品では、筋肉体毛など男臭さをこれでもかというほど強調した画風と、悲劇性を強調したハード・シリアス路線のストーリーが主流。軽いコメディ調とレディコミ風のハンサムなキャラが持ち味の画風・作風は、ゲイ漫画の典型とはかけ離れていたのである。
いうなれば、コロコロコミック板垣恵介だの福本伸行だのが連載を持っているようなものである。

比較的に先述の通り異端故に画風がライトだと評されるが、当然ながら18禁のゲイ漫画である為、万人受けとは言えないので作品の閲覧に関しては注意が必要である。

編集長であった伊藤文學の推測では山川は実際のゲイの出会い・交流の場・いわゆる「ハッテン場」での交友経験がなく、ほとんどは彼の想像で作られた男性同性愛像ではないかとの見識を示している。
 

人物

有名な話だが「山川純一」はペンネームであり、本名や彼自身が同性愛者(両性愛者)だったのかも不明。
それ以外の情報は何一つない。
 
伊藤によれば、ゲイにはモテそうにない、30代後半くらいの気弱そうな人物で持ち込みの段階で生活に困窮したようなところが見受けられたという。原稿を届ける・原稿料を受け取りに現れても伊藤とは殆ど世間話を含む会話を交わさなかったとのこと。
 
なおこの伊藤という人物は「山川純一」の名付け親にして(逆に言えば作者名すら持ち込みの原稿に書いてなかったといえる)、当時から山川を高く評価していた唯一の人物でもある。
先述のように作風が本来ゲイに好まれるものではないものだった為、編集(編集長である伊藤を除く)や読者から不評であった事でいわゆる「干された」扱いになってしまっており掲載がない時でも山川に原稿料を入れるなど、一応の援助はしていたようだ。
 
掲載もないのに原稿料は支払われる事に段々と負い目を感じていたらしく、ある日を境に山川が伊藤の前に現れる事が無くなった。ここで人知れず多く謎を残して山川純一は忽然と消えたのである。
そして彼の行方は伊藤でさえ知らないとのことで、そもそも本名住所さえ名乗っていないので個人情報も特定できず、興信所でも調べられないという。
何故ここまで素性を明かさなかったのかは不明で、何かしらのワケアリだった可能性は高い。
一部では「気弱そうな人物は代理人に過ぎず、実際に執筆していた本人は別人(それこそ女性作家など)なのではないか?」という意見も。

また、後述の埋もれた作品を復刻した作品集以前に二冊程単行本を出していたそうだが、やはり大量の不良在庫となっていた事も伊藤は明かしている。つまり、原稿料はともかくとして単行本売り上げによる印税収入はもはや絶望的だったのだろう。
 
伊藤は山川の人となり等をもとに個人の見解として「死亡説」をコメントした事もあるが、山川自身の生死を含めたその後は現在でもわからないままとなっている。伊藤が死亡という見解をとっているのも、同性愛者の自殺率は異性愛者より高い傾向にあり実際薔薇族の読者や編集者も自殺者がいたという事実を踏まえてのことである。

山川は不遇の果てに薔薇族を去り、彼の遺した作品とその名は20世紀の終わりに向かう時の流れの奥深くに埋もれていくだけとなっていたのである。

再評価

ところが、21世紀に入って「くそみそテクニック」の「ウホッ!いい男…」・「やらないか」のコマがどういうワケなのかシュールで笑えるネタに使われる事態が発生し、「ぁゃιぃわーるど」、「ふたば☆ちゃんねる」、「2ちゃんねる」などのアングラな掲示板と、各所での(違法な)無断転載により「くそみそテクニック」が爆発的な人気になる(国立国会図書館にまで赴いて発掘した者までおり、埋もれていた他の作品まで判明したとの事)。何が流行るかわからないネットの世界の不思議な力というかカオスな面というか…その影響でファンの要望により「復刊ドットコム」で今まで発表した作品単行本化。
5000円弱という高値にも関わらず初版が瞬く間に完売し、その後何回も重版した復刊ものでは異例の大ヒットとなった。
このジャンルで脚光と再評価を受けた漫画家ではおそらく現在でも前例無き唯一の存在と思われる。ただし、復刊の際にも山川からの反応やコメントは出てくる事は無かった。
また、男性同性愛者向け作品でありながら、基本的にはノンケのネットユーザーからネタとして再評価されるといった特殊な例でもあったといえる。

その後さらに伊藤の自宅などで発掘された未発表作品を集めた作品集第二弾となる単行本が発売された。

2007年頃に未発表作品が薔薇族で掲載され、幻の薔薇族の漫画家として特集が組まれるなど、かつて編集からもゲイからも嫌われた事実が嘘のような厚遇。
異端ゆえに嫌われる→ネットで話題→薔薇族で再び扱われる……なんとも皮肉なものである。

当然だが、現在でも山川サイドからは何一つアクションはない。伊藤の証言を全て真とし、薔薇族に原稿に持ち込んだであろう1976~81年当時30代後半とみられる山川は、2020年現在も存命であると仮定すると最も年配であるとして80代半ば、若く見積もっても70代前半である。いずれにせよインターネットを日常的に使う世代ではなく、ふたば☆ちゃんねるといったアングラなものを使う人はごくごく限られてくる。
仮に山川が生きていても、まさかインターネットで売れないゲイ漫画家であった自分がさんざんネタにされているなど知る由もない人生を送っていると考えられる。

現在、山川作品の全著作権を「株式会社サイゾー」が管理しており、クレジットは「©山川純一/伊藤文學/株式会社サイゾー」の連名となっている。

正体にまつわる諸説

謎多き人物故にその正体について様々な推測がネットでも行われてきた。そのうち二名が有力視されていたもののそれでも現在でも明らかにされていない。

正体ではないかとされた人物

画風が似ている漫画家その一。
同一人物ではないかとされていたが、尾瀬本人からはきっぱりと否定されている上に漫画家としての活動が山川純一よりも早かった事が明らかになっている。

画風が似ている漫画家その二。
こちらの方がヤマジュンの画風との類似点は多く(特に男性の描写)、辻氏はレディコミで活動している事から先述の「レディコミ風のキャラ描写」を共通点として挙げられたが本人からのコメントが無い為、やはり同一人物なのかは定かではない。

女性説

山川の作品はゲイ漫画の典型とはかけ離れている為、作者は本物の男性同性愛者の世界を知らない女性ではないかという説も僅かながら囁かれている。(一応補足だが、一例として同性愛者ではないがBL(耽美)作品を描く魔夜峰央のような男性漫画家もいる)
編集長の伊藤の前に現れた人物・山川純一は素性を明かしていない・特に会話を交わす事も少ないところから「原稿を編集部に届ける役割の山川純一」と「実際に執筆をしている山川純一」は別人だった可能性もありうるのだ。
仮に作者の正体が女性だとすれば、何故BLを扱う出版社ではなく、似て非なるの男性の同性愛者向けのゲイ漫画雑誌に持ち込んだのかという謎も残る(当時ボーイズラブという言葉はなかったが、女性向けの美少年の同性愛を扱った「耽美」などと呼ばれるジャンルは存在しており、それをメインに扱う『JUNE』という雑誌も創刊していた)。
また、作風で性別を区別することは時に困難であることは近年の例でも明らかであり、そもそもなぜわざわざ代理人を使って原稿を持ち込んでいたのか、という謎に答えるのにも不十分であることから女性説はごく一部の支持者の間で支持されているにとどまっているのが現状である。

pixivで知られている代表作とあらすじ

※全てR-18のゲイコミック作品である。念の為。
くそみそテクニック
予備校へ通うごく一般的な男の子、道下正樹。彼が公園トイレへ急ぐ中、ベンチに座っていた若い男が自分のモノを見せ付け彼を誘う…。
やらないか」、「すごく…大きいです…」等のセリフが登場し、おそらく彼の作品の中で最も有名な作品。
今でこそ代表作の扱いではあるが、くそみそテクニック自体は中~後期の作品であり他の作品同様に埋もれた作品のひとつであった。
実写化(出演者は女性である)もされたが、山川作品の実写化はこれが初めてではなく、実は二作目の実写化。一作目は正真正銘のゲイ映画として作られた「海から来た男」。

俺がいちばんセクシー
ポルノ俳優、高梨亮。写真集の撮影の仕事を受けた彼にカメラマンが誘いをかけるが…。
「俺には俺さえいれば……な!」のセリフが有名。

僧衣を脱ぐ日
檀家巡りの帰りに浮浪者の性交を見てしまった新米の僧侶、英恵(えいけい)。あわてて逃げる彼だが、その肉体は自分の意思とは無関係に……。
タイトルゆえに、僧侶モノのエロ漫画(ノンケ向け)を探してこの作品に出くわした人もいたとか。

男狩り
刑事、日高雄介はモヒカン刈りの男が肛門裂傷で殺人を犯すという事件を追っていた。その中で、彼は事件の裏にあった悲しくも衝撃的な真実を知るのだった…。
シリアス路線の作品で、ヤマジュンがギャグ以外の作品も描けることが覗える。
また、この作品は前半部分が「ガチムチパンツレスリング フェラオの呪い編」、結末が「真夏の夜の淫夢 第一章 『極道脅迫!体育部員たちの逆襲』」に似ている。
もちろんそれらのネタが台頭しだすよりずっと前だったが。

地獄の使者たち
第二次大戦中・捕虜となった兵士、嶋本と小早川大尉。情け容赦ない氷のような男と知られるバウアーズ司令長官は二人の関係を知り、明日の宴の席での性交を求めるのだった。
その宴で見世物とされた上でバウアーズ司令長官に殺されると悟り、掠め取ったダイナマイトである作戦を思いつき…。

「小早川大尉殿、愛しておりました…」のセリフが有名な、第二次大戦と同性愛を融合させたシリアス路線の作品。

刑事を犯れ(デカをヤれ)」
サラリーマン、砂村俊介。雨宿りのために映画館へ入った彼はある男に出会うが、その男はホモを取り締まるために張っていた刑事で…。
考えさせられるシリアス路線の内容と共に、セリフ回しのセンスが光るヤマジュンの処女作

「やりすぎたイタズラ」/「ぼくらのスゴイやつ
柔道同好会の主将である長野太とその後輩の堂本は練習後の道場で性交に興じていた。
しかしその姿を盗撮されて掲示板に貼りだされてしまい、これ以上学校での行為を続けるなら名前を明かすとの脅しも付け加えられていた。犯人の正体とその目的とは?
「ぼくらのスゴイやつ」はその二年後が舞台。久しぶりに道場に訪れた長野は主将となった堂本と再会する。しかし、堂本は二年の間に柔道同好会から柔道部へと昇格していた顧問と付き合っていた。その顧問は堂本も知る意外な人物で…。
「バシィーッ」の擬音が有名。
一話完結の作品が多い中で、希少な二作品。

教育実習生絶頂す
体育教師志望の教育実習生がある時、体育教師に実はゲイである事を告白・教師に迫り体育倉庫で行為に及び、そしてそれを目撃した生徒とも身体を重ね…しかしそれらの出来事の真相は全く違うものだった…。

ヤマジュン作品で評される超展開を逆手にとった狂気を描いたシリアスな作品



なお、彼の作品に興味を持たれた方はニコニコ動画内にて彼の作品を朗読した動画投稿されているので、そちらの視聴をすすめる。

視聴はこちら。この記事で紹介した作品は全て見られる。
なお、「くそみそテクニック」はリストに載っていないので、ニコニコ動画内で各自検索してほしい。

関連タグ

キャラクター

阿部高和 道下正樹
青いツナギを着たいい男

台詞

ウホッ やらないか すごく・・・大きいです・・・
↑くそみそ由来
 

あおおーっ!!
↑地獄の使者たち由来
 
※勘違いされやすいが「アッー!」はヤマジュン作品とは無関係。淫夢に某野球選手の出演疑惑があった際の野球監督のコメントが元。

二次創作関連

アベ顔 混ぜるな危険

関連記事

親記事

漫画家 まんがか

子記事

兄弟記事

pixivに投稿された作品 pixivで「山川純一」のイラストを見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ 総閲覧数: 252444

コメント