概要
『ウルトラマンコスモス』の世界に存在する緑豊かな惑星(遊星)の一つで、第21話「テックブースター出動せよ(前編)」、第22話「テックブースター出動せよ(後編)」に登場する。
劇中では所々岩盤に囲まれたやや寂しい外観なのだが、茶色がかった空が特徴。何気に人間が生身で活動してもほぼ無害な程度には環境が安定しているようで、チームEYESの面々もほぼ地球と同じ装備でジュランを訪れていた(かつては異星人も住み着いていたらしい)。
千年間に一度だけ太陽系を通過することが知られており、ムサシの友人であるミツヤが搭乗する探査船が調査に向かったのが21話の事件のきっかけとなった。
また、惑星にはジュランの守り神である怪獣パラスタンが生息しており、普段は聖光として惑星を見守っていた。
本編以降の『コスモスVSジャスティス』以降ではコスモスとムサシの新たな拠点としてシリーズでも何度か再登場の機会に恵まれているため、知名度自体は割と高い。
というより、『ガイア』以降の平成作品では世界観が全て異なっており、最新シリーズとしての展開が終了すると、その舞台の宇宙の後日談が描かれることは一部の例外を除いてほぼなく、何気にウルトラマンの出身星でないにもかかわらず再登場の頻度が非常に高いシリーズ全体で見てもかなり珍しい惑星である。
歴史
『コスモス』本編以前
この時にはまだコスモスが地球を訪れる前、カオスヘッダーの襲撃を受けてパラスタンがカオス怪獣化、遊星の軌道を狂わせてジュランに住み着いた異星人を危機に陥れかけた際にコスモスの助力で復活。
カオスヘッダーは特に強い生命体が無数に生息する地球に目を付けたため、これに対してかつてバルタン星人との事件で自身と心を通わせた勇気ある青年、春野ムサシと一体化した…というのが『ウルトラマンコスモス』第1話である。
『コスモス』第21~22話
宇宙空間に残存していたカオスヘッダーの一部が再びジュランを襲撃。パラスタンは再びカオス怪獣と変貌させられ(※)、このままだと軌道が狂った遊星と地球が衝突してしまうという未曾有の大事件が発生する。
(※)なお、後にカオスヘッダー・メビュートの攻撃を受けたリドリアスがカオスヘッダーへの抗体を身に付けていたためにカオス化を逃れるという事例も見られたものの、パラスタンは2度目となる今回もカオスパラスタン化を果たしてしまう。地球怪獣のリドリアスとジュラン出身のパラスタンでは体内構造も多少異なるのだろうか。
ジュランに不時着してしまったミツヤの救出に向かった事で事情を知ったチームEYESは、コスモスと共闘して再びカオスヘッダーとパラスタンを分離、パラスタンの力も借りて星の軌道を正常化し、改めて静かな惑星は平穏を取り戻したかに思えたが…。
『ウルトラマンコスモス2』
本編の戦いから2年後、宇宙の秩序を乱す存在サンドロスが突如送り込んだ刺客スコーピスの襲撃を受けてしまい、奮戦虚しくパラスタンは殺害、惑星全体が空虚な砂漠に変えられてしまう。この時にスコーピスは地中からムサシを奇襲した描写を見るに、遊星ジュランは星の内部から更地にされてしまったようだ。また、パラスタンの殺害により軌道が変わってしまい太陽系内の惑星となった。
そこに居合わせていたムサシもスコーピスの攻撃を受けるが、間一髪の所で調査のため駆けつけたコスモスがこれを撃破し、遊星ジュランを共に脱出。ちなみに、同時期にはギャシー星人の面々がスコーピスの襲撃を受けたが、ウルトラマンジャスティスの活躍によって守られている。
その後はスコーピス軍団とジュランの仇であるサンドロス本人も地球に来訪したコスモスとジャスティスの両名に討伐され、多くの星を潰してきた悪魔の野望は打ち砕かれた。
『コスモスVSジャスティス』
前作から3年後、砂漠化した遊星ジュランを復興させ、鏑矢諸島の怪獣たちを移住させる『ネオユートピア計画』が発案される。
まずはテスト段階としてゴルメデ、リドリアス、ボルギルスの三体が選出、地道に惑星の開拓に挑むプランであった。序盤に怪獣たちを惑星まで輸送する宇宙ロケット「コスモノア」がグローカーによって破壊されてしまうなどの事件も起こったものの、最終的にはコスモノアも3機それぞれが修復、映画のラストシーンはムサシが搭乗したコスモノアとコスモスが共にジュランへ旅立つところで幕を閉じた。そして…。
『ウルトラマンサーガ』
今作では、遂にムサシたちの尽力でかつて砂漠だらけであったのが緑豊かな惑星に再生されたジュランが登場。リドリアスやゴルメデに加えて、他の怪獣達も移住を果たし、かつてムサシが救えなかったエリガルたちとも共生を果たした、彼の理想そのものであった。
スコーピスに滅ぼされたという状況の相似性もあるため、もしかしたら、ギャシー星人たちの「生命の根源を生み出す研究」の成果も提供してもらえたのかもしれない。
この時代には気候としては南国に近いものとなっている。ムサシも怪獣たちの健康管理員として活動しているようだ。
そしてパラスタンに代わって何とカオスヘッダー0が守護者となっている。かつての侵略者がかつて侵略した遊星の守護者となっているのは、以前自身がムサシやパラスタンにした行いの罪滅ぼしという所だろう。
『決戦!ウルトラ10勇士!!』
最序盤にて、エタルガーとコスモスの決戦の舞台として登場(この時には既にムサシが避難させていたのか、怪獣は登場していない)。一時的にとはいえコスモスと入れ違いでゼロも来訪しているが、エタルガーがコスモスを鏡に閉じ込めた直後に『ギンガ』の世界に移動したために間に合わなかった。
コスモスとエタルガーの戦闘時には土埃が舞うダイナミックな描写も存在しており、かつて砂漠に変貌していたジュランも肥沃な土に改善されていることが分かる(まあ今作の監督があの人なので彼の趣味という可能性もあるが)。
『THE_ORIGIN_SAGA』
今回ではepisode3にて、ボルギルスやリドリアスと共に登場。ムサシが餌を食べるボルギルスの体調をチェックする場面があった。ボルギルスのスーツは『コスモス』本編と同じものである。
『ウルトラマンジード』
最終回「GEEDの証」のとある場面で、遊星ジュランから何かを案じるコスモスと共に登場。何気に背景にはリドリアスも何頭か飛び立つ姿が確認できる。この時にはアクロスマッシャー繋がりでウルトラマンヒカリも画面内に写っていた(ヒカリに関しては光の国からだが)。何気に本編『コスモス』から久し振りにTV放送作品でジュランが登場したシーンでもある。
『運命の衝突』
プロローグで前作の戦いからコスモスを伝説の存在の鍵となる存在として超危険分子と判断したアブソリューティアンたちの襲撃を受け、劣兵からリドリアスたちを守るためにコスモスが応戦。
コロナ~エクリプスの能力を駆使して敵を圧倒し、人質に取られたリドリアスともコズミューム光線の特性で救出(敢えてコスモスを信用するかのような頷きをしていることやコズミューム光線を熟知している点などからして、この個体は『コスモス』本編のリドリアスと同一人物と思われる)。
余談
本編ではルナ・コロナ、『2』ではスペースコロナ、『運命の衝突』ではエクリプスと、フューチャーモードやミラクルナ以外のコスモスのほぼ全ての形態が登場している。
星の環境が明確に劇中でも激変したという点はウルトラシリーズ全体にかけても相当レアなケースである。
また現在ではマルチバース化により
「シーボーズを初めとする歴代のウルトラシリーズに出て来た温和な怪獣達もこの星に移住しているのではないか?」と言われている。
『ネオユートピア計画』での怪獣選定
何故『ネオユートピア計画』にてゴルメデやリドリアス、ボルギルスが選出されたのかははっきりと明言されていないものの、一部のファンの中では下記のように様々な憶測が流れている。
①発案者と怪獣の関わり
リドリアスやボルギルス(ゴルメデはイマイチ不明ではあるが)は『ネオユートピア計画』の発案者であるムサシと相応に深い信頼関係を築いており、最初に移住する怪獣を選出するのにも彼の意志が多少なりとも関係していた可能性は充分考えられる。
②怪獣の環境やストレスへの耐久力
当時のジュランはスコーピスの攻撃で砂漠化している都合上『サーガ』の頃よりも過酷な環境であったことは確かなので、ある程度の厳しい環境下でも安定して生息させれる怪獣が必要と見られる。
例えば前述したエリガルは毒ガスを放出するという特性上、最初にジュランに送り込む訳にはいかない。砂漠という環境では深海に住むジェルガ、地中に住むモグルドンとも相性が悪いだろうし、劇中でもやや臆病な点が見られたテールダスやネルドラントも急激な環境の変化に対応し辛い面もあるだろう。
リドリアスやゴルメデは『コスモスVSジャスティス』などでも見られたように自ら率先して本来の生息環境からグローカーたちと激戦を繰り広げていたことを踏まえると、ある程度人間慣れしていてかつ生命力も強い怪獣が優先されたのでは?とも言われる。
コスモスがいる事への懸念
一部のファンには「コスモスがジュランにいると逆に火種になるのでは?」という意見が交わされることもあるが、劇中では既に少なくとも3回コスモス関係なく侵略者の襲撃を受けている(その内一度滅亡の危機に陥った)。
また、コスモスとムサシによる『ネオユートピア計画』の実行後にはあくまでもコスモスだけが目的で遊星ジュランそのものを狙う襲撃が激減したことからも、ウルトラマンや怪獣が定住しているという意味ではある種の抑止力になるという側面もあるのだろう。
また、鏑矢諸島の怪獣たちは複数集まれば宇宙正義の劣兵程度なら互角以上に戦える戦力を持つことを踏まえると、パラスタンのみが星を守っていた『コスモス』本編当時からは遥かに侵略は困難になっていると思われる。