重甲!!ビーファイター!!
概要
地球侵略を目論む異次元軍団ジャマールと戦う大自然と科学の力の結晶、ビーファイター達の熱き物語。
メタルヒーローシリーズ第14作目の作品である。
前作『ブルースワット』が重苦しい雰囲気で子供受けが悪く、商業的にも惨敗したため、反省点を踏まえてシンプルかつ勧善懲悪な内容に原点回帰することを目標に制作された。
- 宇宙刑事のようなメカニックスーツや異空間での戦い
- レスキューポリスシリーズの三人でのチーム戦、支援組織
- 超人機メタルダー同様の敵組織の構成と幹部たちによるエピソード
- 仮面ライダーの様な昆虫をモチーフにしたアーマーデザイン(当然ながら、シリーズを通してバッタはいない)
- ハカイダー的なダークヒーローの登場
等々、東映特撮ヒーローの良いとこ取り全部乗せをしたような内容で、人気沸騰。
ユーモアのあるストーリーや宿敵・ブラックビートの登場などで内容的にも充実しており、放送終了から20年以上経過した現在でも根強い人気を誇る名作であり、海外にも輸出された。
EDが『地球孝行』であるなど、『環境問題』もストーリーに取り入れられている。
1995年4月15日には、『東映スーパーヒーローフェア』の一環として劇場版も公開された(ちなみに同時上映はかの有名な『人造人間ハカイダー』である)。
また従来のメタルヒーローでは、「スーパー戦隊シリーズとの差別化」を意識して設定する傾向にあったが、今回は差別化を意識せず開き直りだと明言している(戦闘のプロではない/変身アイテム/支援メカのデザイン、等)。
商業的にも成功を収めたからか、次回作もほぼ同じ路線であるビーファイターカブトが製作された。
BGMの一部は『仮面ライダーZO』や『仮面ライダーBLACKRX』から流用されている。
あらすじ
世界各地で昆虫の異常繁殖や大移動といった怪現象が続発し、学者たちが調査に乗り出すことになった。
昆虫学者の甲斐拓也は、森の中を散策していたところ、昆虫の長老・グルと出会い、異次元の侵略者・ジャマールの魔の手が迫っている事実を告げられる。昆虫達が大移動を始めていたのは、力を合わせてジャマールと戦うためであった。事情を聞かされた拓也はグルに力を貸すことを快諾。
アースアカデミアは政府に危機を訴えるが相手にされず、独自に侵略者を迎え撃つ装備の開発を進めていった。
向井博士が開発していたパワードスーツは開発が難航していたが、グルが昆虫の力を注ぎ込むと、人類の科学力と昆虫の生命エネルギーの結晶・インセクトアーマーが誕生した。
拓也と同じく、強い正義感と自然を愛する心を併せ持った若者である片霧大作、羽山麗も仲間に加わり、三人の若者は重甲ビーファイターとして、ジャマールに立ち向かうこととなった。
登場人物
呼称表
が\に | 拓也 | 大作 | 麗 | 舞 |
---|---|---|---|---|
拓也 | 俺/僕 | 大作 | 麗 | 舞 |
大作 | 拓也 | 俺 | 麗 | 舞 |
麗 | 拓也 | 大作 | 私 | - |
舞 | 拓也 | 大作 | - | 私 |
ビーファイター
甲斐拓也/ブルービート/スーパーブルービート(演:土屋大輔)
本作品の主人公で、23歳の昆虫科学者でありビーファイターのリーダーである青年。
自然や動物を愛する心優しい性格であり、ジャマールのような悪事を働く存在を見逃さない強い正義感の持ち主でもある。
物語の終盤では自分の影とも言えるシャドーの存在に苦悩し、一時はビーファイターから離脱していたが、自分の過ちに気付いた後は再び戦線へと復帰している。火炎獣ファイガの若返りエネルギーを浴びて子供になってしまい、一時は変身不能になった事も。第51話ではブラックビートと相打ちになるも、セントパピリアの能力で蘇生した。
ビーコマンダーを使って青いカブトムシの戦士、ブルービートへと重甲し、更に感情が高ぶって頂点に達するとスーパーブルービートへとメタルフォーゼできる。スーパーブルービートは全アーマー中最強の戦闘力を持ち、事実上のラスボスブラックビートの攻撃さえ効かず、圧倒して見せた。
23歳の樹木医だが、直情的かつ脳筋な一面があり、トレーニングを欠かさないからかチームの中では一番の肉体の持ち主であるなど、職業とは多少ギャップを感じる青年である。
実家は漁師を営んでいるが、雷親父のような父親と跡継ぎ話から逃げるようにして地元を離れている(漁師の息子であるにもかかわらず泳げない点など、彼なりに理由もあるようだが)。
しかし樹木の気持ちが分かるなど心優しい青年でもあり、森や自然を心から愛している。
ビーコマンダーを使って緑色のクワガタムシの戦士、ジースタッグへと重甲し、ジャマールと日々戦い続けている。
翌々年の夏には「今年は泳げるようになったぞ」という楽屋オチ発言を残している。演者の金井茂氏は泳げるので「泳げない人の演技」がとても難しかったらしい。
22歳の水族館のイントラスクターで動物科学者。
チームの紅一点で動物を愛するしっかりとした性格の女性であったが、物語の中盤に向井博士と老師グルの勧めでアースアカデミア南米支部へと転勤。
なお麗の途中降板はテコ入れではなく、撮影中に葉月がアクションシーンで首を負傷してしまったという大人の事情によるものである。
当初は夏にもかかわらずマフラーを巻いたり代役が声をアテレコしたりしていたが、やはり無理があったようで話数が進むにつれて彼女の出番自体が露骨に減ってしまい、後述の舞登場の直前にあたる20話では拓也、大作も含めて重甲前の出番が全く無く、続く21話ではほとんど拓也と大作だけで話が進むなどしていたため、止む無く降板になったとされている。
22話で初登場した19歳の学生。偶然パルセイバーを拾いアースアカデミアに訪れたことをきっかけとして2代目レッドルに選ばれた。
麗とは正反対の能天気な性格で非常に騒々しく、初期にはビートマシンをうまく操縦できず呆れられたり、ジャマールに対しても場の空気を読まずに説教をするなどマイペースな所もある。しかし2代目レッドルに選ばれただけはあって、正義感の強さとタフさは拓也や大作に負けず劣らず。
麗と同様にビーコマンダーを使って赤色のカブトムシの戦士、レッドルへと重甲するが、初登場の回がパルセイバー登場回だったため麗とは一味違った戦い方をする。
また舞の明るくユルい性格は、番組的にもそれまで主人公側のコメディリリーフを向井博士一人にほぼ頼っていた事による「おカタい雰囲気」になりかけたマンネリを崩す役割になったと言ってもよく、概要にもあるように怪我の功名とも言うべき存在であった。
番組後半のヒロインとして、ジャマールと死闘を繰り広げた。
ビーファイターの関係者
ビーファイターの支援者であり、地球科学研究所アースアカデミア日本支部所属の科学者。
インセクトアーマーのプロトタイプを制作するなど、彼らを支え続ける父親のような存在である。
ビーファイターが食虫植物怪人に苦戦していた時には、試作型強化服を身にまとって「ムカイダーK3!」とノリノリで名乗って、相性もあって善戦していた。
後のラストニンジャである。
ビーファイター誕生を促したカブトムシ型の生命体。
昆虫界の長老であり、その超能力を使って戦闘を行うこともできる。精霊のような存在だが、向井博士と親交を結んでからは頻繁にアースアカデミアに出入りしており、向井博士と将棋をするシーンもある。
劇中では幾度となくビーファイターのピンチを救い、そして自らも救われてきた。マスコットのような見た目だが中々強く、ガオーム第一形態とも互角以上の戦闘を繰り広げていた。
ビーファイターカブトにも登場しているが、諸事情の影響で「グル」ではなく「老師」と呼ばれるようになり、名義も単純に「老師」となった。
カブト(声:吉水孝宏)
老師の息子であり、様々な次元を渡り歩く商人。関西弁で話す。
母親に対する考え方からグルとは喧嘩別れをしていたが、後に仲直りしている。
当初はメガヘラクレスを操る新戦士として考えられていたが、諸々の事情により単なるゲストキャラクターになってしまった。
デザインがどう見てもビーファイターの仲間に見えるのは、その名残である。
特別編で再登場し、ヒーローたちと共に怪人たちと互角に戦いを繰り広げた。
ビーファイターカブトでは最終回のみ登場。テロップでは「白いカブト」名義。
セントパピリア(演:富永アミナ)
世界滅亡の際に現れて、滅亡した生命体を蘇らせることが目的。なので、滅亡寸前の生命を救うことが本分ではない。その能力を求めて生き永らえようとするブラックビートやガオームに狙われた。
ジャマールの侵略の有無を問わず、自分たちの業で人類が滅亡に向かうことを悟っていたが、それでもジャマールに抵抗しようとする拓也達に興味を持ち、ブラックビートと相打ちになった拓也を生き返らせ、彼に地球の希望を見出すと地球から去って行った。
ジャマール
(詳しくは上記のジャマールの記事を参照)
ジャマールの首領。
ギガロ(声:高橋利道)※同役のスーツアクター及び人間態も兼任。
合成獣軍団の軍団長。
戦闘メカ軍団の軍団長。
ジェラ(声:金野恵子)
傭兵軍団の軍団長を務める女戦士。
ガオームがビーファイターと戦った成果から、ジャマール科学によって生み出された悪の昆虫戦士。
ジャマールの司祭。異次元界でも屈指の呪術師で、邪悪な魔力でブラックビートを生み出した。
合成獣
ギガロが各次元に生息する様々な生物の遺伝子から生み出した動植物型の怪人。
戦闘メカ
シュヴァルツによって製造されたロボット怪人。
傭兵/傭兵戦士
ジェラが各次元で打ち負かし、支配下においた戦士たちによって構成される。
ジャマー
各次元からさらわれて来た生物を改造・訓練した下級戦闘員。
ビーファイターの装備
甲虫を模した通信機兼変身アイテムで、「重甲!」の掛け声で展開させればインセクトアーマーを適合者の体に装着させる。内部には縮小化されたインセクトアーマーが納められていて、アーマーの修理もここで行う。
収納されているインセクトアーマーは向井博士が製作していたプロトアーマーに昆虫の精が宿った生体装甲であり、機械類に干渉する電波などは受け付けないが、温度差や食虫植物に由来する攻撃など昆虫の特性に依存した弱点を有している。
万能光線銃で、テンキーが組み込まれており、入力した番号の組み合わせで様々な効果を発揮する。
番号の組み合わせの殆どが語呂合わせになっている。
劇中では818=ファイヤー、010=冷凍、026=熱湯(お風呂の語呂合わせ)、289=磁石、264=フラッシュ、110=ビーム、305=トリモチ、108=超音波ビーム(電波の語呂合わせ)、119=消火(消防の連絡番号)、967=反重力ビーム、054=対象の覚醒、088=笑いガス(わっはっはの語呂合わせ)、049=救難信号の発射、964=破壊弾、メディカルモードを使用した。万能という言葉に誇張はないのである…。
ヘラクレスオオカブトの能力を持つ短刀で、緊急時は繭を発生させて自身を保護する事が可能。ビーファイターの感情に呼応して切れ味が上がり、その状態で放つ必殺技はパルスラッシュ。インプットマグナムと合体させてセイバーマグナムに変形させる。モチーフからもわかる通り、メガヘラクレスの起動キーも兼ねている。
- ビートスキャン/ソニックフラップ
インセクトアーマーに内蔵された能力で、アーマーからは超音波、ゴーグルで対象をスキャンする事が出来る。
ガントレッド型のアタッチメントウェポン。ブルービートは「スティンガーブレード」と「スティンガードリル」、ジースタッグはブーメランにもなる鋏「スティンガークロー」、レッドルはプラズマ砲型の「スティンガープラズマー」を使用する。
スティンガーブレードの必殺技は敵を袈裟斬りにする「ビートルブレイク」、スティンガードリルの必殺技は「ストライクブラスト」。スティンガークローの必殺技は横一文字に敵を斬り裂く「レイジングスラッシュ」、スティンガープラズマーの必殺技は「トルネードスパーク」。
カブトが商品として持ってきた大型銃で、その正体はかつて「光の意思」に味方した昆虫次元の戦士が使っていた武器。また、開発者など起源は一切不明な代物でありながら、現代科学の粋を結集し開発された、パルセイバーと連動性を有しており、ブルービートをスーパーブルービートに強化させる力がある。必殺技はビートイングラムを展開し、パルセイバーを合体させたファイナルモードで放つ「スーパーファイナルブロー」。
- 超高周波発生装置
続編に登場した兵器。ニューヨークのコスモアカデミア本部で開発。ダーグリフォンの放つ闇の波動=超低周波エネルギーを押し返すことに成功したものの、装置も大破した。
マグネットアタッチメントに換装できるカブトムシ型の戦車ビートルーダー、ドリルアタッチメントに換装して地面を掘り進むクワガタ型の戦車スタッガータンク、メスカブト型のジャイロ戦闘機レッドジャイロの3機の総称。
挿入歌「出撃!ビートマシン」は、次回予告のBGMにも使われている。
飛行メカジェットヘラクレスと地上戦闘メカランドヘラクレスの2機に分離できるヘラクレスオオカブト型のスーパービートマシン。6足歩行でノシノシ歩く。必殺技は主砲の「メガキャノン」。
ビートマシンと合体して、メガビートフォーメーションになれば最大最強の主砲「メガビートキャノン」を放つ事が出来、ジャマールの日本全土を一撃で焼き払えるデスガオーム砲を上回る威力を誇る。
実は自我を持っていて、後に追加されたオートパイロットモードで搭載されたAIによって喋れる。(声:稲葉実)
各話リスト
主題歌/挿入歌
- 重甲ビーファイター(OP)
作詞:阿木燿子/作曲:宇崎竜童/編曲:石田勝範/歌:石原慎一
石原氏が初めてメインボーカルを務めた特撮主題歌となっている(石原氏はのちに『救急戦隊ゴーゴーファイブ』や『仮面ライダーAGITO』を担当しており、東映特撮シリーズの代表作を制覇した形になる)。
また、本作で使用された楽曲は全て石原氏が歌唱している。
- 地球孝行(ED)
作詞:阿木燿子/作曲:宇崎竜童/編曲:石田勝範/歌:石原慎一
- 出撃!ビートマシン
作詞:八手三郎/作曲:島田貴斗/編曲:石田勝範/歌:石原慎一
- この星のためならば
作詞:阿木燿子/作曲:宇崎竜童/編曲:石田勝範/歌:石原慎一
- 今こそ勝利を
作詞:阿木燿子/作曲:宇崎竜童/編曲:石田勝範/歌:石原慎一
- 進め!昆虫戦士
作詞:八手三郎/作曲:渡辺宙明/編曲:石田勝範/歌:石原慎一
作詞:岡田冨美子/作曲:渡辺宙明/編曲:石田勝範/歌:石原慎一
- 戦士たちよ
作詞:八手三郎/作曲:瑞木薫/編曲:石田勝範/歌:石原慎一
- 黒き十字架 BLACK BEET.
作詞:宮下隼一/作曲・編曲:石川恵樹/歌:石原慎一
ブラックビートのテーマ。
- 戦え!!メガヘラクレス
作詞:八手三郎/作曲:島田貴斗/編曲:石田勝範/歌:石原慎一
その他
- 最終回は特別編として、2話に渡って特捜ロボジャンパーソンとブルースワットのレギュラーメンバーが登場し、魔道士ジャグールが蘇らせたエイリアンクィーン、ビルゴルディと戦うと言う夢の共演を果たした。世界観は繋がっていないが、近年の共闘Vシネマのノリだし、気にしちゃいけない。
- ブルースワットは若手脚本家が中心となって製作されたが、これが商業的不振の原因であると当時の東映上層部から見なされた結果、本作では若手脚本家が排除されている。しかし、最終回を担当した小林靖子は、表向きは排除された事になっている若手脚本家達が実際にはベテラン脚本家の名義を借り参加していたと証言している(後に東映は鷺山京子が担当したとされるエピソードが実は小林靖子によるものだったと発表している)。
- レッドルのモチーフは上述の通り雌のカブトムシとされているが、当時はテントウムシと間違えた人もいた。そのせいか次作ではビーファイターテントウが登場した。
- 本作でギガロを演じた高橋利道は宇宙刑事ギャバンから本作までごく一部を除きほぼ毎年何かしらの役で出演していた常連俳優だったが、本作を以てメタルヒーローシリーズから離れ、1996年の超光戦士シャンゼリオンで闇神官モードスを演じた後にスーツアクターを引退した。
- アクションヒロインチアフルーツの劇中(第6話)にて『重厚ビーフファイター』なるローカルヒーローの名前が登場している。
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ブルースワット←重甲ビーファイター→ビーファイターカブト