ベルセルク
べるせるく
曖昧さ回避
[ベルセルク(三浦建太郎の漫画)
“竜殺し”と称される巨大な剣を得物とした主人公ガッツの、復讐と愛憎の物語を描いたダーク・ファンタジー。
作者は三浦建太郎。
白泉社刊行のコミック誌『月刊アニマルハウス』1989年10月号より連載開始。その後、同誌が『ヤングアニマル』としてリニューアルされ隔週誌になった後も主力作品として掲載が続けられ、単行本も40巻を数えた。
2002年の第6回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞受賞作品。日本漫画界が誇るダーク・ファンタジーの巨塔というべき作品であり、狭義のダーク・ファンタジーの定義に忠実に当てはまる。
度々の休載を経ながらも長年にわたり人気を集めていた。
三浦健太郎は休載期間中も過労に陥るほど原稿を描き続けていたという。掲載誌の巻末コメントで自身の体調に関する不安を度々述べ、「死ぬまでに頭の中を全て出せるのか」など完結に対する危惧を自ら語っていた。
そして後年、その言葉は最悪の形で現実化する。2021年5月6日、三浦は急性大動脈解離により急死。本作は三浦の絶筆であり、未完の大作となってしまった。
しかしヤングアニマル編集部としては「今後については未定」として、具体的な本作の処遇を明言していない。ただ「三浦だったらどう思うかを第一に」と述べているので、連載継続を前提に水面下で動いているのはほぼ間違いなさそうだが、最終的な結論を得て、対外発表にまで至るにはかなりの時間を要するとみられる。
2021年12月、三浦が生前にペンを入れた最後の原稿をスタジオ我画のメンバーが仕上げ、単行本第41巻が刊行。
キャンバスアートとドラマCDが付加された特装版、およびコミックのみの通常版が発売された。
評価
悲劇的で陰惨なストーリー、エロスとグロテスクを忌憚なくぶちまけた生々しい残酷描写、そうでありながら箸休めに挟まるコメディーや人間ドラマ、そして強大な敵との手に汗握る命がけの闘い……などなど、ダークファンタジーの王道ど真ん中をいく要素をちりばめ、各要素の完成度の高さから評価を高めた。いしかわじゅんは手塚治虫文化賞の選評で、「(剣と魔法のファンタジー漫画のほとんどは)単にわかりやすい形をなぞっただけの安易なものだ。『ベルセルク』は、本来の、想像力と創造に富んだ、美しい物語だ」と本作を激賞している。
作品の舞台
封建君主制度が支配している中世ヨーロッパ風の世界。いわゆる「剣と魔法の世界」ではあるが、概要の項にもある通り、狭義のダーク・ファンタジーの定義を忠実に守っており、おぞましい姿をした悪霊や魔物が数多く登場し、魔女狩りや異端審問と言った中世ヨーロッパの負の側面、血や臓物が飛び散る生々しい戦闘描写など、全体的に重くおどろおどろしい空気が立ちこめている。
国などの名称もある程度は設定されているが、具体的な世界地図の様な物は登場しない。
また『魔法』や『妖精』が登場するが、世界の住人として当たり前と言うよりは、人智を越えた存在として認識され、あるいは恐れられてもいる。ただ、妖精(エルフ)に関しては、一部では「幸運の精霊(スピリット)」として親しむ人々もいる模様。
影響
本作が後の漫画・アニメ・ゲーム作品に与えた影響は大きく、特に主人公ガッツの武骨で巨大な剣を振り回す剣士というキャラクター像は、一種のテンプレートとして数多くの作品に取り入れられている。
特に有名なのはFF7のクラウドのキャラクター造形がガッツをモチーフにしているというエピソードである。
その他、新生FF14の吉田Pも同作に登場するジョブ「暗黒騎士」のイメージ元の一つはガッツであると語っている。北米Balmungサーバーでは三浦の訃報に際し、プレイヤーたちが暗黒騎士の装備でウルダハに集合、その死を悼んだ。
また、フロムソフトウェアに所属するゲームクリエイターの宮崎英高氏はベルセルクのファンを公言しており、氏の製作したゲーム作品は全てにおいてベルセルクのオマージュ要素がちりばめられていることで有名。
ベルセルク公式ポータルサイトによるストーリーチャート
掲載単行本 | |
---|---|
1~3巻 | 黒い騎士篇 |
3~6巻 | 黄金時代篇Ⅰ 覇王の卵 |
6~9巻 | 黄金時代篇Ⅱ ドルドレイ攻略 |
9~13巻 | 黄金時代篇Ⅲ 降臨 |
14~21巻 | 断罪篇 |
22~35巻 | 千年帝国の鷹篇(ミレニアムファルコン) |
35巻~ | 幻造世界篇(ファンタジア) |
登場キャラクター
※特に明記がない場合、CV欄の左側は旧アニメ版(剣風伝奇ベルセルク)・DC版・PS2版。
黒い剣士一行
新生・鷹の団
ゴッドハンド
使徒
鷹の団
ミッドランド王国
- 国王(CV:大木民夫/勝部演之)
- シャルロット(CV:白鳥由里/豊崎愛生)
- アンナ(CV:―/竹内絢子)
- 王妃(CV:沢田敏子/―)
- 前王妃
- ユリウス(CV:水野龍司/小山力也)
- アドニス(CV:不明/水間まき)
- フォス(CV:辻村真人/西村知道)
- ラバン(CV:大川透/大塚芳忠)
- オーウェン
- ワイアルド(CV:千葉繁(GREE版)/河本邦弘(ベルセルク無双))
チューダー帝国
クシャーン帝国
法王庁
カラス覆面(CV:―/福田賢二)
拷問執行人(CV:―/藤巻大悟、中村章吾、各務立基、内野孝聡)
ヴァンディミオン家
- フェディリコ(CV:ー/北島善紀)
- ヴァンディミオン夫人
- ジョルジオ
- ポリティアーノ
妖精郷
幽界に係わる者
その他
アニメ
剣風伝奇ベルセルク
OLMの手によってTVアニメ化された際のタイトル。
1997年10月から1998年3月にかけて、日本テレビおよび福岡放送(こちらでは放送タイミング上1998年4月まで)で放送された。また、中京テレビや読売テレビでも放送されたことがある。
概ね原作コミックを踏襲する形で映像化されているが、一部の暴力表現やキャラクターの外観などがマイルドに変更されている。
主題歌
オープニングテーマ
「TELL ME WHY」
歌 - PENPALS
エンディングテーマ
「Waiting So Long」
歌 - Silver Fins
劇中歌
「BERSERK 〜Forces〜」
歌 - 平沢進
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | 黒い剣士 |
第2話 | 鷹の団 |
第3話 | 初陣 |
第4話 | 神の手 |
第5話 | 剣風 |
第6話 | 不死のゾッド |
第7話 | 剣の主 |
第8話 | 陰謀 |
第9話 | 暗殺 |
第10話 | 貴きもの |
第11話 | 合戦 |
第12話 | ふたり |
第13話 | 決死行 |
第14話 | 夢のかがり火 |
第15話 | 決戦 |
第16話 | 勝利者 |
第17話 | 栄光の瞬間 |
第18話 | 炎の墓標 |
第19話 | 別れ |
第20話 | 火花 |
第21話 | 告白 |
第22話 | 潜入 |
第23話 | 前夜祭 |
第24話 | 蝕 |
第25話 | 永遠の刻 |
劇場版
ベルセルク原作を全て映像化する企画『ベルセルク・サーガプロジェクト』の一環として、黄金時代篇を描いた三部作『Ⅰ・覇王の卵』『Ⅱ・ドルドレイ攻略』『Ⅲ・降臨』が、2012年~2013年に順次公開された。
配給はワーナー・ブラザーズ。製作はSTUDIO4℃。
新アニメ版
第1期は2016年7月から9月まで全12話放送。
第2期は2017年4月から6月まで全12話+特別編(総集編)1話放送。
放送局はWOWOWおよび毎日放送、さらにはCBC(第2期では離脱)やTBS、BS-TBS。
なお、WOWOW以外はアニメイズム枠での放送である。
アニメーション製作はGEMBAとミルパンセ。
主題歌
オープニングテーマ
(1期)
「インフェルノ」
(2期)
「サクリファイス」
歌 - 9mmParabellumBullet
エンディングテーマ
(1期)
「瞑目の彼方」※8話・9話は英語版
歌 - やなぎなぎ
(2期)
「一切は物語」
歌 - 南條愛乃 feat.やなぎなぎ
挿入歌
(1期・2期)
「灰よ」
歌 - 平沢進
(1期最終話ED・2期挿入歌)
「Ash Crow」
歌 - 平沢進
コンピューターゲーム
現在までに以下の3つがゲーム化されている。
- ベルセルク -千年帝国の鷹篇 喪失花の章-
1999年12月に発売された、ドリームキャスト用アクションゲーム。開発はユークス、販売はアスキー。
原作者の三浦建太郎は当初、完成作品を『ゴールデンアックス』の様な“横スクロールアクション”を想像していたため、実際に出来上がったゲームが3D作品であったことに関して、裏切られた様な思いがあった旨を述べている(最終的には出来に満足しているとも述べている)。尚、三浦建太郎はかなりのヘビーゲーマーである。
- ベルセルク -千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章-
2004年10月に発売された、プレイステーション2用アクションアドベンチャーゲーム。販売はサミー。
- ベルセルク無双-
2016年10月26日に発売アクションゲームで、対応プラットフォームはPS3、PS4、PSVitaの3機種。
開発・販売はコーエーテクモゲームス。
アニメ2作目を盛り上げたいという名目で開発されており、無双シリーズ史上でもっともグロテスクな作品を自負している。
トレーディングカードゲーム
2003年から2004年にかけてコナミから発売。全4弾。カードは全200種類。