植物
しょくぶつ
植物とは、草や木や海藻のように、自ら餌を摂取せずに主に空気や水や土から養分をとって生きているような生物のこと。動物と対置される存在。
概要
伝統的には木や草、藻類、キノコなどが「植物」に含まれてきたが、近年はキノコなどの菌類は植物とは別物と捉える認識が浸透している。
多くの植物は光合成をし、体が基質(土や岩など)に固定され、他の生物を捕食することはなく、能動的には動けないが、多くの例外がある。
多くの植物が葉緑体に由来する緑色の色素を持ち、植物の意味で「緑」と言われる場合もある。種子植物は花を咲かせ種子で繁殖し、シダ・コケは胞子で繁殖する。また、無性生殖をする種類も珍しくない。
分類
「植物」の範囲
かつて生物を植物と動物で二分していた頃には、植物には細菌(バクテリア)や菌類(カビやキノコや酵母)なども含まれており、「細菌類は微生物である菌類」で、「菌類は葉緑体を失った植物」というふうに思われていた。しかし顕微鏡が発達すると、これらは根本的に体のつくりが異なることがわかった。さらに分子系統解析が発達したことで、光合成を行う藻類が多様な系統に分かれていることが明らかになり、真核生物の光合成が藍藻(シアノバクテリア)の共生に由来することもわかってきた。
このような状況の中で、「植物」の範囲をどうするかは、それぞれの研究者ごとに異なっている。
特徴 | 含まれる生物群の例 | 別名 |
---|---|---|
光合成する真核生物 | 陸上植物、緑藻、紅藻、褐藻、ユーグレナ類 | 光合成真核生物 |
藍藻の一次共生により光合成能力を獲得した真核生物 | 陸上植物、緑藻、紅藻 | アーケプラスチダ |
クロロフィルaとbを持つアーケプラスチダ | 陸上植物、緑藻 | 緑色植物 |
多細胞・陸上進出の緑色植物 | 陸上植物 | 有胚植物 |
陸上植物であっても、中には二次的に水中生活をするようになったもの(水草)や、光合成能力を失い栄養を共生菌類から得ているもの(例・腐生ラン)がある。
本記事では陸上植物(有胚植物)を「植物」として扱っているが、ワカメ、コンブなどの海藻を「植物」と呼ぶことが誤りであるというわけではない(さすがに菌類は植物とは別物という認識は一般レベルにも浸透しているようであるが)。