概要
テレビマガジン1975年8月増刊号に掲載された『仮面ライダーストロンガー』の漫画作品。
著者は同誌でストロンガー(3話目以降)のコミカライズを担当した成井紀郎。ストーリー構成は海堂肇。
世界各国で起きた怪事件を追って日本に7人ライダーたちが集結、巨悪・ブラックサタンの企てた恐るべき計画を粉砕する為に立ち向かうというストーリー構成となっている。
話の筋立てとしては石ノ森作品のもう一つのサイボーグ戦士たちを思わせる。
現在は徳間文庫で読むことが可能(1話、2話より先に掲載されている)。
あらすじ
日本の博物館から大量の埴輪が盗まれるという奇怪な事件が多発していた。
この事件の裏に何か途轍もない陰謀が隠されていると考えた城茂と岬ユリ子は事件の調査中、仮面ライダー1号=本郷猛と出会う。
おりしも世界各地で、自由の女神を始め、スフィンクスやバド鳥といった巨大怪物が出現し、暴れ回っていた。
やがて一連の事件の背後にブラックサタンの一大計画が有る事を突き止めた7人ライダーたちはブラックサタンの野望を打ち砕くため、日本の九州・阿蘇山に集結しつつある7体の怪物を迎え撃つべく出撃する‼
登場人物
登場怪人
巨大怪獣人
身長50~100mを誇る化け物。出撃したアメリカ海軍、ソ連海軍、そして自衛隊機を難なく全滅させ日本へと上陸。
その使命は自らを人柱として火口へ飛び込み7体の怪物のパワーを1つに集結させた強大なパワーを持つ魔人・大魔人を生み出し、世界をその力を持って支配することである。その巨体たるや頭が大分、足が鹿児島に到達するほどで、その大きさは推定200㎞近く、完成していれば確かにひとたまりも無かったであろうことは容易に推察される。
ちなみに盗んだ埴輪は動力源にするつもりだったらしい。
なお、巨大怪獣人たちが改造人間かどうかは不明。その正体は巨大建造物に電子頭脳を埋め込んで制作されたロボットのような存在だと思われるが、詳細は不明。(一部の巨大怪獣人は、神話や伝承に基づいてブラックサタンの科学力で生み出された人造生命体の可能性もある。GOD神話怪人の超強い版みたいな)
右手に掲げる松明が本物となっており、ここから炎の火球を飛ばして攻撃する能力を持っており、能力テストでも行っていたのか、4日前から連続放火事件を引き起こしていた。
トロイの木馬に乗馬して日本に上陸後、阿蘇の火口に飛び込ませまいと必死に立ち向かうライダーたちの防衛網を掻い潜り、ジャンボコングに続いて火口へと突入することに成功する。
2号がインドで遭遇した、千夜一物語に登場する巨大な鳥の怪物。空中を自在に飛び回り、巨大な翼で強風を起こして周囲の田畑に甚大な被害をもたらした。羽ばたき一つでジャンボ旅客機を墜落させることができる。
日本に上陸後、阿蘇の火口に飛び込もうとするが、最後はアマゾンライダーの『モンキーアタック』や『大切断』で体を切り裂かれ、最後は『ジャガーショック』で喉笛を噛み千切られて絶命した。
V3がエジプトで遭遇した怪巨大獣人。スフィンクスに電子頭脳を埋め込み制作された怪人と推測され、真夜中に突如として動き出し、周囲の街を破壊しながら日本の阿蘇山を目指して進撃を開始する。圧倒的なパワーを持つ。また、周囲の景色に溶け込み、姿を消す能力を持っている模様。
スフィンクスの怪物だけあってナゾナゾを出題されると、答えを考えて立ち止まってしまう習性を持っており、日本に上陸後、阿蘇の火口に青銅巨人・タウロスと共に飛び込もうとするが、タックルに「人間の身体にある大きいけれど見えないものはな~に?」(答えは正義を愛する心)というナゾナゾを出題され足止めされてしまう。
その後、答えが分からず電子頭脳が狂って暴れるが、最後は7人ライダーの『ライダーキック』の同時攻撃を受け粉々に粉砕された。
ライダーマンがギリシャで遭遇した、トロイア戦争で使用された巨大な木馬の怪物。
空中を自在に駆け回り、口から全ての生き物を殺し、植物を枯らす猛毒の弓矢を吐き出す能力を持つ。
また、魔力で人間を壁画に変えて体内に閉じ込める能力を持っており、この能力を使ってギリシャで連続誘拐事件を引き起こしていた。
日本に上陸後、阿蘇の火口に飛び込もうとするが、ライダーマンの『ロープアーム』とXライダーの『ライドロープ』で足止めされた所へ、最後はライダーマンの『パワーアーム』を受け、顔~首の部分を破壊され機能を停止した。
Xライダーがスペイン・ジブラルタル海峡で遭遇したギリシャ神話のタロスに酷似した姿の兜を身に付けた全身が青銅で作られた巨人。
スフィンクスと同じく強大なパワーを持ち、青銅製のその体はミサイルすらも撥ねかえす。
海峡を出入りする船を巨大な剣で真っ二つにするなどの破壊活動を行っていた。
目から破壊光線を出す能力を持つ。
日本に上陸後、阿蘇の火口にスフィンクスと共に飛び込もうとするが、右足を『ライダー時間差攻撃』で負傷するが、傷口から流れ出した血を火口へと入れようと奮闘するも、最後は体が青銅出て来ている事をついてストロンガーが放った『落雷シュート』を受けてドロドロに溶かされてしまい、血が火口に入る前に絶命してしまった。
アマゾンライダーがブラジル・アマゾンの奥地で遭遇した巨大なゴリラの怪物。
大岩を軽々と持ち上げる程の怪力を誇り、ジャングルで暴れ回って周囲の動物たちを殺し回り、木々を次々に踏みつぶすなど、ジャングルを荒らし回っていた。
日本に上陸後、阿蘇の火口に飛び込もうとし、それを阻まんとするライダーたちに大岩を投げつけようとするが、タックルの『タックルウェーブ』を受けバランスを崩してしまう。
しかし、トロイの木馬の攻撃で注意が逸れたすとろとタックルの隙をついて、火口へ飛び込むことに成功。日本に集結した怪獣人たちの中で真っ先に目的を果たすことに成功した。
九州の地下に眠ると言い伝えられている巨人。
その巨体は九州全体を覆いつくすといわれ、その心臓部分に阿蘇山があるとされている。
この伝説に目を付けたブラックサタンは世界中から埴輪を集めて大魔人を作り出そうと暗躍。
大魔人の体の依代として伝説通りに阿蘇山を心臓部分として九州全体に魔人の形に埴輪を配置して魔人の体を作り上げ、魔人に命を吹き込むために6体の怪獣人を阿蘇へと捧げて6体分のパワーも持つ大魔人を生み出そうと企んだ。
ライダーたちの妨害を受けるものの集結させた怪獣人たちの内、ジャンボコングと自由の女神2体分のエネルギーを得ることに成功。
2体分のエネルギーで動かせる大きさの魔人がこの世に誕生せんとするが、最後はその直前に『ライダーエネルギーファイアー』で心臓部を破壊され粉々に吹き飛び、元の埴輪へと戻されその誕生は未然に防がれた。
その為、本来の力、能力は不明だが、誕生直前に1号ライダーが「今の俺達の力では倒せない」といっていた事から、もし誕生していたら確実に世界はブラックサタンに支配されていた可能性が高い。
※大抵は力やそのもの自身が封印から解放され、不完全ながらも誕生してしまい、ヒーローたちと激闘を繰り広げる事が多いパターンが多い中、誕生直前に倒された珍しいケースとなっている。
ライダーエネルギーファイアーとは?
読んで字の如く、全エネルギーを結集して放出すると言う技である。
本名称は本作でのみ使用されているが、『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』や『仮面ライダー大戦』においては栄光の七人ライダーを含む昭和ライダーたちが勢ぞろいして放つライダーシンドロームが使用された。いわばこの技はライダーシンドロームのプロトタイプ的な技とも取れる。
また仮面ライダーの没ネーミングとして『クロスファイヤー』という案が存在し、こちらも平成第14作『仮面ライダーウィザード』において「ライダーの力の根源とはクロス・オブ・ファイヤーというエネルギーであり、それはまた悪の怪人を生み出す力でもある」と紹介された。(こじつけのようであるが)ライダーエネルギーファイアーとはこのクロス・オブ・ファイヤーをそのままぶつける技とも取れる。
それを可能としたのも、目に見えないけれど体の奥底に流れる、正義を愛する熱い心あってのものだったのだろう。
城茂「行くぞ! 俺達の武器は、心だ!!」(成井版最終回より)