概要
平成ライダー第1作として鮮烈なデビューを飾った特撮番組『仮面ライダークウガ』のリ・イマジネーション漫画。
連載中に『月刊ヒーローズ』が休刊となり、その後はヒーローズ社のウェブサイト『コミプレ』で引き続き連載されている。
おおまかな用語や名称こそ踏襲されているものの、時代設定は連載開始の2015年からに変更され、それに合わせてキャラクター像も大幅に現代風に変更されている。
また、脚色の中でも特筆点として『仮面ライダーアギト』とクロスオーバーしていることがあげられ、従来のボツ設定・裏設定の枠を超え、グロンギとアギトに大きな関係性が示され、アギトの介入により物語は実写版と大きく異なる展開を辿っていく。
その他にも、一条薫の中盤以降の展開をはじめとした平成後期以降の展開を意識した変更や、実写版では裏設定や外伝要素だった設定の本格起用も見られる。
その他、対象年齢の違い等の影響か、(実写版でも充分に過激でったにもかかわらず)実写以上にグロンギの残虐性が強調されており、殺戮手段や能力もより誇張され事実上のパワーアップを遂げている。
脚本は、原作の全49話中9話(うち第33話のみ荒川稔久との合同脚本)を担当した平成ライダー名物の井上敏樹が手掛ける。そのため、原作の陰鬱な雰囲気をこれでもかと強調した凄まじいシナリオになっている他、昭和ライダーへのオマージュも見て取れる。
作画担当は横島一。
大胆な変化について、井上氏は企画段階で、「放送当時に視聴していた年齢層には、ヒーローが一人しかいない画面は地味に受け取られてしまう」と発言したとのこと。
一方、企画としてクレジットされている白倉伸一郎は、「井上はクウガのメインライターではなかったため、自分の独自色だけを出した状態を『原作と同じ』と主張することに抵抗があるのではないか」とも発言している。そのため、途中経緯こそ大きくアレンジされているものの、話の大筋自体は原作をなぞったものに落ち着いている。
登場人物(漫画本編のネタバレを含むため、注意)
リント
2015の技を持つ冒険家。変な髪形だが、ノリの軽さや自己犠牲等、内面は実写版をほぼ踏襲している。一方で、実写版以上に雄介のプライベートに迫るエピソードが多くなっており、その結果として実写版には無かった精神的苦難もたびたび描かれることになる。
実写版とは経緯が異なるが、偶然に古代の戦士から記憶と戦士クウガの力を受け継いだ。その後のフォームや装備の入手経緯も原作とは大きく変化している。
平和主義ながらも、原作のように暴力を嫌う一面はあまりクローズアップされておらず、序盤では怒りにかられて闇雲に突っ込む場面も。
警視庁捜査一課の敏腕刑事。本作のもう一人の主人公で、基本的に彼の視点で物語は進む。
剣道の達人で、キャラクター造形にもその点が大きく反映されており、物事を常に公平・正確な観点で見定める「正眼の構え」を重要視している。実力を高く評価されている一方、本作では駿河徹也という超人と(結果的に)共闘する場面が多いため、原作ほどの活躍には恵まれていない。
妹がおり、ラ・バルバ・デとの因縁が実写版よりも根深いものとなっている。
物語中盤からは仮面ライダーG3の装着者として活躍する。
一条の同僚。原作同様寂しい髪。
本作では警察関係の主要人物が増加した影響もあり、実写版と比べると現場よりもプライベート面での活躍が多いポジションに後退している
五代の友人の考古学者。ゴオマに襲われるがクウガによって助けられる。
原作では物静かで受け身な印象があったが、漫画版では雄介や一条に対し強気な態度で迫り積極的に物申す性格となっている等、実写版とは大きく人物像が変化している。
また、実写版では専門知識があるだけの一般人であったが、グロンギやバルバと大きな関りがあることが示唆されている。
科警研の女科学者。原作では常識人でシングルマザーの苦労人であったが、ファンキーで色っぽいヘビースモーカーとなっており、名前と役職以外はまるで別人。
マッドな一面を垣間見せるところも多く、開発する装備も、その開発のための雄介との関りも、原作とは大きく異なる。
四号の力を再現したスーツの開発を提案する。
蘇ったグロンギから守った謎の怪人。
ズ・グムン・バを弱体フォームである白の形態で倒すという活躍を見せたが、力尽きてしまい、その力を雄介へと託す。
駿河徹也
本作オリジナルの人物。一条の旧友の元刑事であり、無敵と言える「強運」という特殊能力を持つ。乱暴で女好きなど、基本的には一条とは対照的な関係。
海外で傭兵を営んでいたが、日本で人間を超えた怪物が暴れていると知り、怪物討伐を楽しむために帰国した。
常に飄々とした態度を取る狙撃の名手。自分自身を「武器」と見なしており、刀鍛冶からグロンギを殺しうる武器として名刀「雷切」を頂戴する。
井上脚本のナルシストキャラクターらしい振る舞いを多々見せる。
今のところ科警研等から新しいオモチャを頂戴する→概ね歯が立たず逃走を許す若しくは見せ場を一条か五代に譲るを流れを繰り返しているが全く焦る様子は見せず暗躍を続けている。
名前の元ネタはおそらく彼。
その由来の通りか「アギト」に関しての行動が多いが……?
刑務所に捕えられていた女性。濡れ衣を着せられたと主張していたが、ドルド一味に捕えられて霊石に取り込まれ、実験台にされてしまう。命からがら脱走し弟と再会を果たしつつ事件の真相を思い出すも、バルバによって操られギノガと共にクウガを強襲、力尽きその力は弟へ受け継がれる。自らの復活のため、「女達の精」を集める必要があったバルバによってツタのようなものを埋め込まれ傀儡にされてしまい、女性達を集める役割を行っていたのが一条妹を含む女性達誘拐の真相であった。
パン屋で働く好青年。雄介と偶然に親しくなり、ノリが合う友人として親しくなるが、次第に過剰なまでに雄介に肩入れしていく。
姉の能力を受け継いでアギトとなったが、原作と異なりまるでその能力も引き出せず戦闘経験も成長せず、雄介(クウガ)や駿河からはさんざんに素人や足手まといとみなされてしまっている。
雄介とはお互いの変身能力を知らないままで交流を重ねており、そのお互いの秘密が悲劇を招くことに……
雄介の妹。明るい性格だが、登場して1話でクウガの正体を知って愕然とする。
土倉さやか(高野玲子)
翔一が知り合った地下アイドル「テルテルガールズ」のメンバーである少女。常にどこぞのアイドルを思わせるヘンテコな口調で話す明るい性格。なんらかの理由で本名を隠している。
翔一とは恋人関係になるが、彼女もまたアギトであり、翔一とはお互いの正体を隠したまま関係を深めていくが、ヤンデレの片鱗を見せ始めていき……。
アギトへの変身時等、残虐な面が見え隠れしており、自身のライブや恋路を邪魔すると判定した人物にはグロンギでも人間でも容赦なく殺意を向けている。
名前の元ネタはおそらく『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』に登場する、加原紗綾香と本木レイ。
はるか
さやかのもう一つの人格。高野玲子はアイドルグループの仲間を殺害したとして服役し、アギトの力を得て脱獄している。この件について、さやかや関係者は、はるかの人格が犯罪を犯したと主張していたのだが、その真相は……?
こちらの人格でも引き続きアギトへの変身は可能だが、お互いの人格の記憶は共有されていない。
さやかとは異なり乱雑な性格のビッチであり、ややこしいことにはるかは雄介に惚れてしまう。
都沢聖子
元々の職業は菊の栽培家。
かつて心臓病の弟がいたが、唯一の治療手段である心臓移植手術の際、執刀医含む現場側のミスで弟を失い、復讐として関係者を皆殺しにし、死刑判決を受けた過去を持つ。
その凄惨な過去故に「菊花の魔女」の通称を持つ一方で、卓真が行っていたモーフィングパワーによる他者の治療を「手術」と称して行い人助けを行うなど、完全な悪人ではないようだが…。
グロンギ
原作終盤の服に原作初期の髪型を載せたようなド派手なデザイン。ズ集団を蘇らせた張本人。銀髪巨乳。
原作に比べ「バルバ」という存在に大きな秘密が与えられており、その能力や立場から様々な人物との因縁も生まれており、ただの管理者を超えて物語の最重要人物の一人となっている。
また、グロンギのゲゲルそのものには粛々とした態度だが、ゲゲル以外では理由なく殺生をさせない一面や、リント相手でも救命や恩義を見せる一面もあり、管理者の立場とは異なる彼女個人の価値観も見え隠れしている。
ゲゲルのゲームマスター。人間として刑務所に入れられていたが、囚人たちを手名付けて脱走した。
グロンギを倒せるものについて知っており、その力を復活させ「ガギションゲゲル」(最初のゲゲル)と呼ばれるリント狩りとは異なる従来のルールを再開させようとする。
原作とは立ち位置も役割も全てが異なっており、今作の黒幕の一人と呼べる人物。
原作に登場しない人間態が描かれている。
腕は4本存在し、かなりヒョロリとした体躯を有する。糸を吐いて相手を縛り、猛毒で溶かして体液を啜る習性を持つ。列車内で乗客を襲撃し、全員を食い殺すと東京で暴れ回る。
神父を殺害して成りすまし、若い女を攫い殺すというゲゲルを敢行。血を吸われた人間はゴオマによって操られるゾンビと化し、日光を浴びると死んでしまう。この能力により桜子も死んでしまうはずだったのだが……?
ゲゲルの失敗によりバルバからの制裁を受け、その後は原作以上のドMぶりとゾンビぶりを見せるギャグキャラとなっていく。
ダウナーっぽい外見の少女。肺が弱いというグロンギ共通の弱点を最初に明かした人物。
原作同様の獰猛さを有しながらも、外見ではかなり可愛らしいデフォルメがされており、リントの文化を理解できず首をかしげるなど、いわゆる萌えキャラ的なコミカルさを見せる場面も。
バヅー戦死後、バルバからの指定を受け「2日で30人を殺す」ゲゲルを行う。
怪人態はかなり脚が長い奇抜な外見。ゴオマを退けた翌日、五代の眼前で白昼堂々ゲゲルを敢行する。
バンダナを巻いたサングラスの大男。リントの文化に染まっており、煙草を嗜んだり、けん玉を持ち出したりしている。好物は焼き芋。醜い人間の心につけ込もうとする。
原作同様、権利がメ集団に移行したことに不満を募らせ、勝手にゲゲルを開始しようとしたが……。
より爬虫類的なデザインにリファインされており、ウザさも三割増し。原作同様かそれ以上の知性を見せ、現代日本語の習得を見せ、原作以上にウザいゲゲルを実行するが、その独自ルールがもとで思わぬ敗北を見せることに。
勝手にゲゲルを開始したことでバルバから見捨てられる。
硬派でストイックな実力者。自分より弱い者を狩るだけのゲゲルに不満を見せていたことで、バルバからビランの処刑を依頼される。
イケメンのストリートミュージシャンに化け、女性を次々毒殺する。
原作と異なり無駄な殺戮を嫌う温和な性格。
嘗て重傷を負って眠りについた場所に埋められた桜の木に心を洗われて温和になって現代に覚醒。ゲゲルを行うことを拒み逃亡したため、グロンギから狙われる生活を送る。やがて五代と知り合い、互いに惹かれあってゆくのだが……。
人間態は原作よりちょっと若く目つきも優し気。
天井を這い回るなどクリーチャーっぽさが増しており、引きこもり野郎だった原作に比べアクティブ。
目立ちたがり屋の道化。50円硬貨に興味を示している。大道芸を披露し、それに対して喜びお金をくれたギャラリーには手を出さないという独自のルールを課している。
ゴのファーストプレイヤー。原作同様にバイクを駆使しているが、バイクに武装が追加される等、殺意は大幅にアップしている。
原作同様に特別点を加味しており、クウガだけでなく、裏切者のガリマの諸兄も目論む。
原典同様ギャンブラー。しかし今作ではギャンブル無敵の豪運を持つ駿河が存在しているため、戦闘外での大苦戦を強いられてしまう。
ハイパーバトルビデオから参戦。バイト先のコンビニのトイレで拾った赤ん坊に興味を示し、世話しながらゲゲルを行う。その実力で着実にゲゲルを進行していくのだが、一方で、プライベートでも戦闘中でもあらゆることより優先して赤ん坊の安全と幸福を重要視するという一面を見せた。
人間態・怪人態ともに意匠が大幅に変更され不気味さが増している。「円」に拘りを示すなど、知的な部分は健在。
その知性と機動力もあってか、バルバの異変に対処するために「リントを殺さずにある目的を遂行する」ための中心となる。
筋肉質の大男
ゴ集団のグロンギ。おそらく正体は…
パンクな若者
ゴ集団のグロンギ。おそらく正体は…
穏やかな物腰で頭巾のような物を被っている。
その能力と「革命のエチュード」をモチーフとしたゲゲルを行うのは原典と同じだが、ゲゲルの内容が「革命のエチュードをモチーフとしたパフォーマンスを行った後に殺戮を行い、最後に観客として選んだ女性に直に手で触れて殺す」といったものになっている。
他のゴ集団のグロンギ達が陽動を行っている際に雄介の前に現れた人物。
誠実な性格で、雄介の前に現れた目的も交渉の為。
彼の言葉を聞いた雄介は「嘘をついていないのがわかる」と本能的に察知した。
しかし交渉は決裂、雄介が強行突破を選んだために彼と戦闘し、人間態のまま片手で放った攻撃でクウガを一撃で変身解除させた。
原作でもゴ最強として描かれた人物だが、その圧倒的な強さにより、雄介は彼を「ン」かもしれないと推測する。
ン・ダグバ・ゼバ/瀬羽卓真
襟裳岬に裸の状態で流れ着いた、優し気な風貌の少年。
連続殺人犯「Q」との関連が疑われており警察からマークされているが、記憶喪失と同時に失語症を患っているようで、まともに事情聴取ができない状態だった。
ある日、看護師に連れられて行った展望台で突如失語症が快復、看護師に促され、唯一思い出した自身の名を口にする。
その後は記憶喪失の快復のためのセラピーとして、養護施設「あらぶき学園」にて「ダグバ・ゼバ」を捩った「瀬羽卓真」の名で暮らすこととなる。
ガドルの独白によれば、彼が今の状態となったのはつい最近とのこと。
後に「Q」に殺されかけた際にダグバとしての力の一部が発現、超自然発火能力を取り戻す。
その後、翔一が勤務していた五代の叔母夫婦の牧場に新人アルバイトとして勤務することになる。
だが、近隣にはズ・ガズバ・デを始めとした、ドルドとの交渉でゲゲルの権利を放棄したグロンギ達が潜伏しており…。
作中では、超自然発火能力の他に動物との精神感応、モーフィングパワーによる他者の治療といった能力を見せている。
まさかの特撮版未登場個体が登場。
人間態は舌にゴキブリのタトゥーを入れたスキンヘッドの男性。
「男女の双子をまとめて殺す」というルールのゲゲルを始めようとしていたが、事前に存在を察知され、G3装着状態の一条、雷切装備の駿河、クウガ・マイティフォームのコンビネーションという明らかなオーバーキルで瞬殺された。
クウガをひるませるレベルの戦闘能力はあったのでそれなりに強かったものと思われるが、流石に相手が悪すぎた。
後述のガズボの例を考えると、彼も「ゴ」として設定されていた可能性がある。
ベ集団のグロンギ達
グロンギ全体の中で最下層に位置する存在で、固有の名前と怪人態を持たない奴隷階級。
「ゴ」のグロンギ達に憂さ晴らし目的で虐殺されるなど扱いは悲惨なもの。
作中ではとある兄弟が「ヌ」のグロンギ達が作っていた武器を持ち出し反乱を起こすが、武器無しでは一般人にも劣るほどの弱さや、怪人と認識されず想定外の出会いを果たす等、思わぬ展開を迎えることになる。
人間態は体格の良い髭面の男性。
他の「ヌ」のグロンギを取りまとめる役割を担っている模様。
彼自身はゲゲルを行えず、武器を作り続けるのみという自分たちの扱いに思うところがあり、後に「ゴ」の一同の自らに対する扱いに憤慨し「ベ」の兄弟を利用して反乱を起こす。
テレビ版ではメ集団だったが、実は彼は元々ヌ集団と設定されていた存在なので、本作の設定は初期設定に準じている事になる。
完全な本作オリジナルのグロンギ。
原典ではズ集団に属する設定だった個体。背中の蔦を自在に操り攻撃を行う。
後に弟である「ズ・ガズバ・デ」も登場している。
ガドルの次のプレイヤーとして指名されたグロンギ、人間態は肥満体の女性の姿。
原典から階級とモチーフの両方が変えられており、対象の肉体から水分を全て抜き取る毒を用いるヒキガエル型(原典ではアマガエル型)のグロンギとなっている。
人間態は頬に傷跡のある出っ歯の男性の姿、右頬に傷跡があるのがネズマ、左頬から鼻にかけて傷跡があるのがネズモ。
ガズバと同様にゲゲルの権利を放棄したグロンギ。
ガズバが焼き尽くされ殺された後、卓真の正体を探るべくネズマが自身の指からネズミの大群を生み出し、彼を誘拐するという行為に出る。
その後卓真を殺害しようとするも、寸前に雄介と翔一に追いつかれクウガ&アギトと戦闘、クウガとアギトのダブルライダーキックによって倒された。
合体攻撃を使用する等、「二人一組」のグロンギであることが原典よりも強調されている。
関連項目
Over Quartzer:本作品のクウガが登場。