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ファンネル

ふぁんねる

ファンネルは、ガンダムシリーズに登場する無線式のオールレンジ攻撃用兵器である。初出は「機動戦士Ζガンダム」。

曖昧さ回避

概要

ファンネルは、アニメ『機動戦士Ζガンダム』より登場する、無線式のオールレンジ攻撃用兵器である。

正式にはファンネル・ビット、またはファンネル型ビットというが、単にファンネルと略すのが一般的となっている。

基本的に宇宙世紀作品内で使用される用語であるが、宇宙世紀外の作品では特殊な世界設定である『機動戦士ガンダムAGE』や設定上は宇宙世紀の遠い未来である『ガンダム Gのレコンギスタ』で同様の用語が用いられている。

解説

一年戦争に登場したエルメスに装備されていた「ビット」の発展型である。

サイコミュ(人間の脳波によって機械を思考制御するためのシステム)を用いて、母機から分離して無線(正確には通常の電波による無線ではなくミノフスキー通信による)で遠隔操作され、搭載されているビーム砲を用いて攻撃を行う小型兵器である。この兵装を使用する際には機体本体の操作とファンネルの操作とを同時に行う必要があり、使用者に相応の高度な能力が要求される。サイコミュ自体がニュータイプ及び強化人間にしか使用できない特殊な装置ではあるが、なかでも特に高度な能力を有する者は単なる遠隔操作以上の機能を発揮させた例がある。エルピー・プルはファンネルの制御自体が極めて困難となる大気圏内・重力化においてファンネルの自在なコントロールを行い、プルツーは自身が機体から離れた位置にいながらファンネルと機体そのものを遠隔コントロールするといったものである。クェス・パラヤは訓練の際、ファンネル操作中はコントロールスティックから手を離して、全意識をファンネルに向ける事で操作していた。

最初に登場したファンネルは宇宙世紀0087年の『グリプス戦役』に投入されたネオ・ジオン軍のニュータイプ専用MSキュベレイに装備されたものであり、その形が漏斗(ファンネル)に似ていたため、ファンネル・ビットと名付けられた。

以降、ファンネル・ビットの略称である「ファンネル」がこの体系の兵器の一般名称となり、宇宙世紀0092年の『第二次ネオ・ジオン抗争』では漏斗型ではなく、円筒型(ヤクト・ドーガ及びサザビー)のファンネルや板状(νガンダム)のファンネルが登場する。

また、実用例は少ないが、ファンネル・ミサイルと呼ばれる、ミサイルをサイコミュでコントロールすることにより攻撃を行う兵器もある(後述)。

従来のビットとファンネル(ファンネル・ビット)の大きな違いとして、ビットにはジェネレーター(ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉が内蔵されていたため、稼動する際のエネルギーを単体で生み出す事はできたが小型化が難しく、当時はモビルアーマーほどの大きさの母機でないと扱う事はできなかった。このため、一年戦争時のニュータイプ用モビルアーマーは、有線式のブラウ・ブロで高さ60.2m、ビットを搭載したエルメスは同じく高さが85.4mもあった(ガンダムで18m)。

もっともこの高さはブラウ・ブロの場合攻撃端末2機(2連装)を、エルメスの場合はビット運用用のアンテナの高さを含むものだが、いずれにしても並んだモビルスーツがおもちゃに見えるほどの大きさであった。これは、サイコミュ自体の小型化が難しかった事が大きな要因となっている。

しかしグリプス戦役期において、エネルギーをジェネレータからエネルギーCAP方式に変更することで小型化に成功。母機(MS本体)に内蔵または懸架して戦場へ運搬する方式で投入された。サイコミュについても改良が続けられ、第一次ネオ・ジオン抗争期にはサイコミュ搭載MSも一般的なMSと殆ど変わらないサイズとなり、機動性の面でも一般的なモビルスーツと同等以上となった。

しかしながらジェネレーターの廃止や小型化=推進剤容量の減少は、威力と射程の面でビットからの性能低下を必然としてしまい、結果、ニュータイプ専用機の主兵装だったビットから、補助装備へとその位置づけが変化している。特に推進剤容量が非常に少なくなったことは、常に自重を浮かせる分のスラスターを吹かせ続けなければならない大気圏内(1G環境下)での運用に極めて大きな制限をかけてしまっている(使用できなくはないが、重力と大気の流れ等に反して“その場に留まる”機動を脳内でイメージし続けねばならず、更に推進剤の消費が猛烈なものになるため、射程は極端に短縮される)。

半面、小型化に伴う軽量化により、運動性能はビットに比べて大きく向上した。

ファンネルが戦場に登場したグリプス戦役後、数年間は中距離射撃戦におけるオールレンジ攻撃の優位性を発揮し、少数の高級機に採用されたが、高コストやパイロットの調達の困難さ、対抗戦術の開発といった理由から第二次ネオジオン抗争終結後には採用例が激減し、『ザンスカール戦争』の頃には、機動兵器に搭載されること自体が稀になっている。

なお、ヤクト・ドーガなど一部の機体を除き、基本的にファンネル採用機はファンネルのエネルギー・推進剤の再充填機構を有するため、前述の通りファンネルの推進剤容量が少ないとはいえローテーションによってオールレンジ攻撃を継続することが可能である。しかし、実戦(特に混戦)においてファンネルを回収するためには自機への帰還用の推進剤を考慮した操作を行わねばならず、高コストな兵装でありながらパイロットの能力によっては使い捨て武装となる可能性もある。

ファンネルの種類

マザーファンネル/チルドファンネル

MSの攻撃能力偏重が顕著であった、第一次ネオ・ジオン抗争期にロールアウトした、第四世代MSの代表機・ゲーマルクに採用されたモデル。

ジェネレーター内蔵・大型の『マザーファンネル』(厳密にはビット)を二基本体に装備し、更にマザーファンネル一基の内部に通常よりやや小型の『チルドファンネル』を十四基格納する。これにより、ゲーマルクのファンネル搭載数は合計三十基にも及ぶ。

チルドファンネル自体は特に特徴を有さないが、ジェネレーター内蔵かつ大型で推進剤量が豊富なマザーファンネルに格納されたまま射出され、戦場(敵機付近)へ到達するため、総稼働時間を大幅に延長している。また、マザーファンネルはサイコミュの中継機も兼ねるため、射程面でも『マザーの到達距離+チルドの到達距離』となるため、通常のファンネルよりも遥かに有利である。

なお、マザーファンネルは更に、ジェネレーター直結型のメガキャノンを内蔵しており攻撃力も申し分ないが、サイズの分だけやや鈍重なため、積極的には敵機に近づかない。

フィン・ファンネル

フィン・ファンネルは、アニメーション映画『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』より登場する、無線式のオールレンジ攻撃用兵器である。

νガンダムおよびその完成形であるHi-νガンダムに搭載された、アムロ・レイ考案のファンネルを指す。

その名の示すところは「(ヒレのような)板状のファンネル(小型ビット兵器)」

同時代のファンネルとしては珍しくジェネレーター内蔵型であり、出力と稼働時間に優れている。

シールドファンネル

フェネクス

開発着手は最も遅かったが、1号機に先んじて宇宙世紀0095年にロールアウトした、3号機 フェネクスの仕様武装(設計において付与されている機能)。

通常は背部アタッチメント・フレームに、増設ブースターとして装備されているアームド・アーマーDE二基を射出、搭載されたサイコフレームを通して遠隔操作端末として使用する。

RX-0共通シールドのIフィールド・ビームバリアと、アームド・アーマーのメガキャノン、ブースターにより、攻撃・防御・機動の各機能において、高いスペックを発揮する。

「不死鳥狩り」の時点では長期補給不可の状態であったため、下記のユニコーンガンダムの状態と同じになっている可能性が高い。

ユニコーンガンダム

宇宙世紀0096年に、特殊プログラムを与えられロールアウトしたユニコーンガンダム(1号機)の仕様外機能。ただし劇中で「シールドファンネル」の名称が使われたことはなく、あくまでもプラモデルや書籍の上での呼称である。本来はネェル・アーガマに保管されていた予備のシールドである。

最大数は三基。あらかじめ取り付けられていたビームガトリングガンをビーム砲として使用する。オールレンジ攻撃だけでなく、元のシールドの機能を生かしてIフィールド、三枚合わさることでサイコ・フィールド・バリアの展開が可能で、防御兵装としても破格の機能を有する。

推進方法、及びガトリンク稼働とIフィールド展開に必要となる電力供給源は不明であり、ガンダム本体のサイコフレームから発生したエネルギーによって自律機動を行うと考えられる。

ちなみにユニコーンはシールド・ファンネル以外にもサイコミュ・ジャックにより、クシャトリヤのファンネルを奪って使用したこともある。

ファンネルミサイル

小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場する、無線式誘導攻撃用兵器。

従来のファンネルと異なりビーム発生機構を必要としないため、非常に小型化することが可能であり、モビルスーツ単機の搭載数も格段に向上している。

通常のファンネルと異なり、体当たりさせた上で内蔵した爆薬でダメージを与える、従来の誘導ミサイルを意識した設計であるため、1G環境下でも長射程を確保でき、大気圏内(1G環境下)戦闘に特化した武装である。オールレンジ攻撃(対象に対して多方向からの射撃など)を想定していないため、相手の背後に回り込むような細かい機動を取ることはできない。

ヒルトファンネル

宇宙世紀0112年から試験が開始されたガンダムF90ミッションパックの一つ、Nタイプが搭載したファンネル。

ビームサーベルとしても使用可能だが射撃モードは搭載しておらず、自由に動かせるビームサーベルという後述のCファンネルに似た運用方法となっている。

フェザーファンネル

漫画作品『機動戦士クロスボーン・ガンダム』シリーズ(第一作のみ富野由悠季共作)に登場。

名前の通り羽根のような形をした簡易構造のファンネル。単純な構造によって搭載数の増加が可能となった。ただし“質より量”に特化したため再利用は考えられておらず、完全に使い捨ての兵器となっている。

攻撃方法はビームを射出するほか、目標に直接ぶつける事でダメージを与える。設計思想としてはファンネルミサイルに近い。

バックエンジンユニット

宇宙世紀0153年にロールアウトした、サイコミュ搭載型試作MSゲンガオゾが搭載した複合機動攻撃ユニット。

第二期MS登場以降は、ファンネルのような小型攻撃端末が姿を消して久しいが、バックエンジンユニットは逆に、端末を大型化する事で必要充分な火力と機動性、大容量のメガコンデンサーをパッケージングすることで、諸問題を解決した。ある意味、ビットへの先祖返りとも言える。

更に、携行可能数の減少(一基のみ)による同時攻撃不可のデメリットを、マルチプルビームランチャーの多機能性によりカバーしている。

加えて、空力学的にも無理のない形状で設計されているため、大気圏内においても問題なく攻撃端末として使用できる

ただし後に登場する機動戦士ガンダムSEEDシリーズのジャスティスガンダム系列の「ファトゥム」がかなり似た運用方法をしており、こちらは特にファンネル扱いされないため、現在ではバックエンジンユニットはこれはこれでファンネルとは別の武装と解釈される事も多い。

アナザーガンダムに登場するファンネル

Cファンネル

機動戦士ガンダムAGE』第4の主人公機・ガンダムAGE-FXに搭載されたファンネル。

全身に増加装甲のような形で配置される。

緑色の半透明の短剣のような形状をしており、敵機に突き刺さって攻撃を行うほか敵の攻撃に対して直接盾となって攻撃を防ぐこともできる。

その一方、他のファンネルのようなビーム攻撃機能は確認されていない。

その機能は、過去作における「ファンネル」よりも『機動戦士ガンダム00』に登場したGNシールドビット(ケルディムガンダム)やGNソードビット(ダブルオークアンタ)に近い。

なお「C」の意味するところは不明であるが(書籍によって「シグルブレイド」の略や「カッター」の略称などバラバラとなっている)、外伝作品において「Aファンネル」と呼ばれる別装備が登場しており、頭文字の「A」や「C」は開発順ではなく、製作者や構成素材の頭文字などから取られているとされている。現にCファンネルのブレード部分はシグルブレイドと同等の素材でできていることから空間で自在に操れるシグルブレイドと言っても差し支えない。

AGE-FXの他にもゲームオリジナルの機体であるAGE-2フェニキスはフェザーファンネルを、AGE-3ラグナはブラスターファンネルを搭載している。

スカート・ファンネル

Gのレコンギスタ』のG-ルシファーの装備。

腰部に3基装備されたハサミ状ユニットで、ファンネルとしては結構な大型。

射撃、ビームサーベルの発生、バリア、本体のスラスターなど複数の役割を兼ねる。

ソード・ファンネル

Gのレコンギスタ』のジャイオーンの装備。

小型砲台の他に刺突攻撃が可能

その他の作品に登場するファンネル

ガンダムビルドシリーズでは、透明なクリアファンネルを使用するキュベレイパピヨン、フィンファンネルをビームライフルと連動させたり粒子ゲートを生成するなどを行うHi-νガンダムヴレイブ、支援メカから更に分離し高速で動き回るTRYファンネルを持つガンダムTRYAGEマグナムなど様々な改造がされたファンネルを使うガンプラが登場している。

SD戦国伝』では武者仁宇頑駄無が特殊武器の「扇子龍(ふぁんねる)」を装備する。

フィン・ファンネルと同じようにオールレンジ攻撃が可能。

SDガンダム外伝』では電撃魔法の名前。

下位に「ファン」、上位に「メガファン」「ギガファン」がある。

他はムービルフィラムービサーベ、バズのようにもじっているのに、これ(とソーラレイ)はそのままである。

法術士ニューは鱗状の「ファンネル・スケイル」を持ち、魔法の増幅などに使用する。

備考

アニメーション映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)を最後に、2002年の『機動戦士ガンダムSEED』までオールレンジ攻撃用兵器はあまり登場しなくなった。

ガンダムローズのローゼスビットやベルティゴのビット等はあったがどれも主人公機やラスボス機ではなくあくまでサブ的な扱いでしかなかったのである。

これは元々、作品世界内で「ロボット兵器同士が銃や剣を使ってお互いの見える距離で堂々と戦う」という非現実に理由づけをするために「ミノフスキー粒子」などの創作設定を作ったにもかかわらず、『機動戦士Ζガンダム』以降の作品ではファンネルを使いすぎて超長距離からの狙撃や死角からの不意討ちシーンが増えるようになった。

これでは現実世界の無線誘導による戦争兵器の使い方と似通ってしまい、本来の意図から外れて作品設定を破壊してしまうため、監督の富野由悠季自身があえて使わないようにしたといわれている。

また、監督はインタビューで「(ファンネルを)多用すると戦闘シーンがあまりにも単調になりすぎる」という発言をしており、演出面についても問題を感じていたようだ。

ただし逆シャアの時代は手書きのセル画作画が主流で、オールレンジ攻撃による三次元的描写に限界が生じた当時の時代背景も大きいと言える。2000年代にアニメーションが徐々にCGを使ったデジタル作画に移行してからは三次元的表現も楽になったため、ファンネル系の武装も復活することとなった。それでも上述のような戦術面で本末転倒な事態にならないようビーム軸を細くするなど逆シャア以前ほど過剰なオールレンジ攻撃が演出されることは少なくなっている。

スラングとして

  • ガンダムのファンネルから転じて「有名人によるファン・信者・取り巻きを使った批判・炎上行為」もファンネルと呼ばれる事がある。所謂「信者ファンネル」と呼ばれる行為である。
    • こうした用法はスポーツライターの乙武洋匡が2013年5月に、またはアイドルタレントの中川翔子が2014年8月にそれぞれTwitterで起こした炎上騒動の頃から特に広まり知られるようになったと言われる。有名人をモビルスーツに、信者をファンネルに見立てたものだが、用法自体はガンダムとは一切無関係であり、むしろガンダムファンにとっては風評被害もいいとこである。この為、一切ガンダムと無関係な話題でファンネルという言葉を見かけたら、此方の意味を疑ったほうが良い。
    • 本来このような行為を正確に表現した言葉は犬笛を吹くと呼ばれる(元々は政治で使われた俗語)。元ネタの政界のみならず、悪徳インフルエンサーYouTuber関連でもこの現象は急増している深刻な社会問題と化しているため「犬笛」という言葉自体も徐々に知れ渡るようになり、以前ほどファンネルという表現を使う者は減ってきている。なお、この行為はTwitter(X)では報告理由にもはっきりと明記されるほどの規約違反行為となっている。
  • また、コミケ等のイベントで、サークル主のために同人誌を買って回る役目(要するにパシリ)をファンネルに例える人もいる。
  • その他、ガンダムシリーズのほかの作品に登場する遠隔操作する自律砲台(ドラグーンシステムなど)や、ガンダム以外の作品でも遠隔操作する自律砲台は、視聴者から俗にファンネルと呼ばれることがある。これについてはオールレンジ攻撃を参照。

トリビア

ガンダム好きのプロレスラー鈴木鼓太郎が自身が使用する、ロープにもたれて倒れた相手に向かって走り、ロープを掴んで半回転して相手の顔面に蹴りを叩き込む技にファンネルと名づけている。

錐揉み回転という意味では元ネタよりも正しく本来の意味(漏斗)に沿っており、攻撃方法で言うならファンネルよりもグレイズ・アインのドリルキックが近いかもしれない。

以下の動画は同じ動きの技であるWWE所属のプロレスラーのレイ・ミステリオの持ち技の619(シックスワンナイン)という技である。<この技を鈴木鼓太郎が使う際の技名がファンネル>

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