概要
1988年に既存の後楽園球場を置き換える形で隣接地にオープンした日本初のドーム野球場である。同名の会社が管理・運営している。
アメリカミネソタ州ミネアポリスにあった、空気膜構造屋根を持つメトロドーム(ミネソタ・ツインズの旧本拠地)をモデルとして設計された。
その形状から開場時には「ビッグエッグ」という愛称がつけられたが、2000年の時点で公式に廃止された。ちなみに中国語でドームスタジアム(野球場に限らずドーム屋根の運動場全般)を「巨蛋」(チュータン)と呼ぶのは「ビッグエッグ」の直訳に由来している(例えば台湾の高雄市にある多目的競技場の高雄アリーナは「高雄巨蛋」である)。
プロ野球球団の読売ジャイアンツが開場時から現在まで本拠地としている。
かつては日本ハムファイターズも、前身の後楽園球場時代から北海道へ移転する前の2003年まで、同じく本拠地として共同使用。移転後も準本拠地として2022年まで年に数試合程度主催していた。
また、パ・リーグの他の球団も使うことがあるほか、2021年には東京オリンピックの関係で横浜DeNAベイスターズ(横浜スタジアムがオリンピック野球競技メイン会場)や東京ヤクルトスワローズ(神宮球場を資材置き場として利用)の主催試合も開催した。
交通アクセスが非常に良く、巨人戦だけでなくパ球団の主催開催では近年のパ人気沸騰もあり本拠地以上に人が来ることも多い。
また夏場には社会人野球の都市対抗野球大会の会場となり、この他MLBの海外試合や、WBCなどの国際大会の会場、また後述の通りコンサート会場としても使用される事が多い。
隣接地には東京ドームシティアトラクションズ(旧後楽園ゆうえんち)やラクーア、後楽園ホールなどがあり、ドームも含めて株式会社東京ドームが所有・運営する。
ドームの地下には自転車競技用のトラック設備が存在する。
これはかつての競輪場跡地の上に建てられたという事があり、将来の競輪開催の復活も想定しているともされている。
単位としての東京ドーム
よく「東京ドーム何個分」と例えられる。
ドーム全体の面積は46,755平方メートル(4.7ヘクタール)、ドーム部分の単純体積は124万立方メートルを基準としている。
後楽園球場時代の「後楽園球場何個分」がそのまま引き継がれたもの。
野球場としての東京ドーム
日本初のドーム球場である。
国際規格に従って建設されたが、土地の関係や建設当時あったプロ野球の本拠地球場が狭かったこともあり、両中間の膨らみがほとんどない、四角形に近いフィールド形状となっている。
その後国際規格を満たす球場が次々建設された現在は却って「狭い」と認識されるようになり、特に膨らみのない両中間のスタンド前列に飛び込むホームランは、ファンだけでなく選手からも「ドームラン」と呼ばれ、「空調を使って(特定チームに有利な)風向きを作っている」という尾びれが着いた噂まで流通してしまっている。
なお、気圧を使ってドームを維持しており、気圧が変わると屋根が潰れる(=パンクする)可能性があることから、ジェット風船は厳禁となっている。
コンサート会場としての東京ドーム
東京ドームは日本最大級のコンサート会場としての側面もある。もともと野球場として設計された為、音響設備に関しては不十分な点があるものの、最大収用人数が約50000~60000人と、屋内施設としては最大級。基本的に少なくても50000人程度のキャパで開かれる。
記念すべきこけら落とし公演は1988年4月11日に開催された美空ひばり「不死鳥/~美空ひばり㏌ TOKYO DOME~翔ぶ!!新しき空に向かって~」
日本武道館が一流ミュージシャンとしての通過点なら、東京ドーム公演を成功させることは日本のミュージシャンの最高到達点と言っても過言ではない。故に大物ミュージシャンのラストライブの地に使われることも多い。……が、例外として、グラウンドにござを敷いて200人限定のライブを行ったグループも存在する(SPIRAL_SPIDER)。
ただし、ここまで巨大なハコをライブ会場として借りるというのは、普段球場としての役割を持つここのスケジュールの綿密な調整が必要となる。後述の影響もあり近年では日程調整並びに抑えづらい会場にもなっているため平日の開催、土日祝日を抑えられなかったためやむなく近隣の別会場での開催となるケースも増えている。
大晦日公演は1993年〜1997年はX JAPANだったが、1998年以降は年末年始も含めてジャニーズ事務所所属アイドルの特等席となっており、特に12月31日深夜から新年にかけ所属グループ総出演で行われる「ジャニーズカウントダウンライブ」はフジテレビ系列にて生中継。ジャニーズカウントダウンライブのステージはその時に同所で単独公演を行っているジャニーズアーティストのステージを流用しており、1998年〜2007年・2009年〜2015年はKinKi Kids、2008年はNEWS、2017年〜2019年・2022年〜はHey!Say!JUMPが公演を行っている。
近年では、声優ブームや配信者・歌い手の活動の活発化により、多様なアーティストによるライブの開催も増えている。しかし非常に限られた者、グループのみが許される舞台であることに変わりなく、声優の単独公演では、男性声優は行われておらず、女性も水樹奈々、μ's、Aqoursなど少数である。配信者や歌い手ではすとぷりやまふまふなどが単独公演を行なっている。
東京ドームを含む札幌、大阪、名古屋、福岡の5大都市のドームで行われるツアーは5大ドームツアーとして知られておりその先としてスタジアムツアー、国立競技場公演などと共に位置づけられている。
なお、5つが出揃ったのは2001年であり、比較的歴史としては浅く、最初は2001年のSMAP(この時稲垣吾郎は途中から離脱)であり、5大ドームツアー最多記録は嵐が持っている。
演奏は近隣住民の騒音への配慮により、原則として午後9時30分以降は音を出せない規定がある(大晦日のカウントダウンライブは午前1時まで)。ただし、終演が規定時刻を超過した公演もある。
格闘場としての東京ドーム
格闘技に於ける会場として、都心では日本武道館、両国国技館、後楽園ホールなどがあるがキャパシティが少なく(武道館が約11,000人・国技館が約14,000人、後楽園ホールが約2,000人)、ドームは大人数を動員可能なホールとして活用されている。
最初に使用されたのはプロボクシング興業で、1988年のマイク・タイソンの統一世界ヘビー級タイトルマッチが行われている(1990年にも開催)。
その翌年、新日本プロレスがプロレスでの興業を行って以降、1月4日の興業を含めて変則的にドーム大会を開催するようになったが、現在は「レッスルキングダム」のみが残る。1月4日に固定して開催されることから「1.4東京ドーム大会」の通称で親しまれるプロレスファンの年末年始の恒例行事となっている。
他のプロレス団体としては、過去には全日本プロレスやプロレスリング・ノア、UWFや全日本女子プロレスなども1回から数回ではあるが興業を行っている。
1997年からはK-1、およびPRIDEもドーム興業を行っている。
ちなみに、東京ドームの観客最大動員記録は2002年12月のK-1 WORLD GPによる74,500人である。また、それに抜かれる前の記録も1998年4月に新日本プロレスが開催したアントニオ猪木引退試合の70,000人(主催者発表)であった。
企業としての東京ドーム
元々後楽園球場を建設・運営する会社として設立された。2021年にTOBが行われ、以降は三井不動産の子会社。
戦後はホテルや競輪場なども運営・保有するようになり、現在は東京ドームシティの他各地にある後楽園ホテルなどを運営。子会社を通じて松戸競輪場を保有・管理したり、文京区内を中心としたケーブルテレビの運営やスポーツ中継を中心とした番組の制作などを行っている。
なお、三井不動産によるTOB後に一部株式が読売新聞社に譲渡されるまでプロ野球球団などとは広告や球場の貸し出し以外の資本的な繋がりはなかったが、かつてのファイターズの親会社・東映は例外的に繋がりがあり、東京ドーム社はスーパー戦隊シリーズのスポンサーを務め、東映が東京ドームに広告を掲示していた時期もあった。またプロボクシングとの繋がりも深く、ドーム社会長が日本ボクシングコミッションのコミッショナーを代々務めている。
アクセス
及び東京メトロ南北線・丸の内線から比較的アクセスしやすい場所にある。
新横浜線開業後は東急を経由して新横浜駅に向かう事も可能になっている。
東海道新幹線・東北新幹線共に最寄り駅は東京駅だが、東京駅に関しては三田線からでもアクセスは良好。
関連項目
後楽園球場 読売ジャイアンツ 日本ハムファイターズ(北海道日本ハムファイターズ)