この記事には『Fate/Grand Order』第2部6章『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ 「星の生まれる刻」』における重大なネタバレを含みます。
ネタバレをしてもいい者のみ通るがいい
真名熔解
多くの犠牲を払い、多くの惨劇を経て、ついに呪いの厄災・ケルヌンノスを調伏したカルデア。
しかし、それでもブリテン島の崩壊は止まらない。
超巨大な虫のような怪物が突如として出現し、島の大地を根こそぎ呑み込んでいく。
そしてボロボロの主人公らの目前に、罪都キャメロットで散ったはずの男が現れ……
俺はおまえたち汎人類史が創りあげた空想、妖精王オベロンのカタチでこの姿になったもの。
神秘の時代の終わりと共に、自らの破滅を望んだブリテン島の意思の具現。
────名をヴォーティガーン。
オベロン・ヴォーティガーン。
君たちと共に、妖精國を滅ぼした『奈落の虫』さ。
プロフィール
真名 | オベロン・ヴォーティガーン |
---|---|
クラス | プリテンダー |
性別 | 男性 |
身長 | 174cm(人間時)/ 全長1440km(虫竜時) |
体重 | 56kg(人間時)/ −−kg(虫竜時) |
出典 | 妖精國ブリテン、『Fate/Grand Order』 |
地域 | 妖精國ブリテン |
属性 | 混沌・悪・地 |
好きなもの | マスター(明らかに嘘とわかる棒読み)、ティターニア(口に出すことはない) |
嫌いなもの | 何もかも |
設定担当 | 奈須きのこ |
ILLUST | 羽海野チカ |
CV | 豊永利行 |
「真名? ああ、ヴォーティガーンでもあるけど、それがなに?
呼び名は多いほうがいいと言っただろう?」
概要
本当の真名を名乗り正体を明かすと同時に真名熔解が発生し、セイントグラフの意匠もルーラーからプリテンダーへと変化した。
その正体は、妖精歴12000年に消滅した本来のブリテン島による滅びの意思の具現が"オベロン”という役に当てはめられたモノ。オベロンを名乗る人型は、あくまで奈落の虫から分離したアバターだが、同時に本体でもある。
ブリテン島を崩落させる底無しの排水口であり、抑止力とは逆に、世界や人類史を成り立たせまいとする反作用。そしてノウム・カルデアのトリスメギストスⅡが予測した、ブリテン異聞帯消滅による地球崩落の元凶でもある星の終末装置。
ケルヌンノスは妖精國を罰し滅そうとする災厄であったと同時に、この奈落の虫を封じ込めるフタも担っており(ベリルが最初にたどり着いたブリテン異聞帯の姿からも分かるが、ケルヌンノスはブリテンの大地の消滅までは望んでいなかった)、オベロンの目的は自分を押さえつけていた彼を打倒し、穴から脱出する事だった。
何度打ち倒されようと別の存在として再誕する厄介な性質を持ち、かつてはモースの王として牙の氏族に呪いを残し、バーゲストの誕生を仕込むなど、次の災厄への布石を打っていた。
そして今回は"虚言の妖精王オベロン"として生まれ、オーロラ経由でウッドワスを氏族ごと自滅させる等、始祖の邪心を受け継いだ妖精たちが潰し合うよう様々な手を打ち、この度遂に滅亡を完遂させた。
異聞帯のヴォーティガーンである彼がオベロンとして顕現したのは、モルガンが汎人類史からの漂流物を許可した結果、妖精王オベロンの概念が異聞帯においても存在していたため。
ゆえに彼は異聞帯側のヴォーティガーンであると同時に、汎人類史から来た英霊の妖精王オベロンでもあり、その在り方はハイ・サーヴァントに近い存在とも言える。
根本的な性格や価値観こそ本来の彼と同じだが、終末装置としての在り方により、世界を滅ぼすレベルにまでその攻撃性は強くなっており、ヴォーティガーンとしての目的はブリテン島の消滅だが、オベロン本人の目的は人類史の根絶である。故に目的達成のついでに汎人類史も消滅させようとする。
口にする言葉は何もかも嘘まみれだが、世界滅亡は大真面目に叶えようと奔走していた、人類史とは決定的に相容れない正真正銘の敵。オベロンとして人理根絶を願うルーツは、本章の物語が大詰めを迎えた時に明かされる。
人物
本来の一人称は「俺」。
口を開けば今までのオベロンのように気さくで調子のいい言動に騙されそうになるが、その実態はまさしく希死念慮の擬人化そのものであり、目に映るもの全てに嫌悪感を抱き、ブリテン異聞帯や汎人類史を「気持ち悪いから」という理由で滅ぼそうとする。
獣のような愛や、降臨者のような人類史に侵攻しようとする敵意も何もなく、ただただ何もかもを滅ぼしたいだけの、自分ではどうしようもない、そして自分の責任ではない世界の終わりを望む者たちの代弁者。英霊を人間が生きたいと願うリビドーの化身とするなら、彼は破滅を願望するデストルドーを司る。
ヴォーティガーンが被った英霊オベロンの殻は、「すべて一夜の狂騒ならば」という性質を含むフィクションであるため、言動の全てが最終的にねじ曲がる。そのため一切の言動に信憑性が無く、どこまでが嘘でどこからが本当か判別する事が極めて困難な、根っからの大嘘つき。
彼が好きと言ったものが本当に好きなのか、嫌いと言ったものが本当に嫌いなのか、どうでもいいと言ったものが本当にどうでもいいものなのか――自分自身をも偽ってしまうため、真実は誰にも分からない。
全ての言葉が真偽ごちゃまぜで出力されるが故に、言葉によるコミュニケーションは困難を極める。これは英霊としての性であり、自分ではどうする事もできず、本人も相当うんざりしている。まれに心からの本心を口にすることもあるが、万が一それを本気の言葉と分かる形で発言してしまった場合、"その発言を信憑性のない嘘"にするために運命の方がオベロンの本心に反する形で確定されてしまう、ある種の因果操作的な特性もある模様。
例外として、"もう覆らない過去"となった事実や、そもそも口に出さず明言していない事はねじ曲がりようがないため、本当に大切なことに限ってはぐらかす。そう言う意味では、"断言しない"ことこそ彼なりの誠意なのかもしれない。
ちなみに彼はヴォーティガーンを特定の個人ではなく、ブリテンを終わらせる存在という役割のようなものと捉えており、その使命や責任は感じていても、自身がヴォーティガーン本人であるという意識は薄くどこか客観視している。
そのためか人格の主軸はオベロン寄りであり、無邪気だった箱入り王子が没落し、世の汚さを体感して荒んだと言った方が近い。ティターニアやシェイクスピアに言及する一方、本来オベロンとは接点の薄い汎人類史の円卓には特に言及していない。
他者への愛はなく自己愛もない彼だが、原典である物語「真夏の夜の夢」の運命の相手であるティターニアへは愛と執着がある。この世界に存在できなかった彼女の在り方に憤っており、「クソども。いずれ全部ブチ壊してやる」という攻撃性は彼女への愛からくるものであり、それ故に決して口にしない。
カルデアに召喚された彼は、妖精國での出来事を全て憶えている。6章攻略前と後のどちらであっても、複雑極まりない感情を抱いており、身震いすると語るのも武者震いではなく嫌悪感から。
基本的には妖精王オベロンである第1〜2霊基の姿で活動しており、真の姿である第3霊基の姿を見せることはほとんど無い。態度も基本的に無気力に振る舞い、誰に対しても涼やかな姿勢で皮肉を口走る。
異聞帯での自らの使命は果たしたためか、燃え尽き症候群を自覚する程にやる気を無くしており、カルデアをどうこうする気力もない。ただし口は悪いが態度そのものは割と紳士的で、自身が認めた相手には言葉を濁す一方で真摯な態度を見せるなど、意外と誠実。しかしやっぱり性根はひん曲がっているため、そういうところは人に見せたがらない。
マイルームでは「食堂に行ってメロン食べよっと」と言っているが、『material X』の項目によると別にメロンが好きでもなく、単に一番希少で高級そうなものだから嫌がらせのつもりで食べているらしく、キャストリアには「器ちっさ!」と突っ込まれた。同様の理由でか、早々に(必要もなく)返す気もない借金を口八丁で方々からしまくり、再び"借金王"の名を拝借していた。
なお、あくまで全てに嫌悪感が湧くだけであって、性的嗜好や美的感覚が乖離している訳ではないため、異性の好みやファッションセンスに関しては別に普通だったりする。
能力
戦闘方法は、第1、2霊基に比べて禍々しいものに変化している。
モーション中では、竜の爪を用いた接近戦で戦う他、自身の体を黒い虫の群れに変化させて体当たりしたり、木製の槍2本を遠隔操作したり、地面から槍を突き出したりすることが可能。
また、虫の操作能力も持ち合わせており、蝶を始めとした虫の奔流を操る他、蟷螂の前脚を模した大鎌や蜂の毒針を模したレイピアを用いたり、巨大化させたダンゴムシを蹴り飛ばしたり、地面から百足を出現させて噛みつかせたり、ツノゼミに騎乗して突進したりする。
保有スキル
対人理(D) | 人類が生み出すもの、人類に有利に働く法則、その全てに待ったをかける力。本来は『クラス・ビースト』が持つ力。憎しみも恨みも持てず、ただ空気を吸うかのように人類を根絶したくて仕方のないオベロンは、長い欺瞞と雌伏の果てに人類悪と同じスキルを獲得した。端的に言うと、人々の心の方向性(場の空気)をさりげなく悪い方、低い方、安易な方へと誘導する悪意。また同じ『夢の世界』の住人であるマーリンとは相性が致命的に悪く、オベロンはマーリンからの支援を拒絶する。クラス・フォーリナー以外のすべてのクラスに対し、精神耐性低下を付加する。 |
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陣地作成(E−) | ヴォーティガーンにとって『良い領地』は『領民にとって住みよい土地』とは=にならないため、このようなランクになっている。 |
道具作成(A+) | もともとものつくりなんて面倒なことはしない性格だったが、ある理由で道具作りをせざるをえない状況になり、やってみたら才能に溢れていた。 |
騎乗(A) | 動物の騎乗はそれなり。流行、情報、人間関係といったカタチのないものは自在に乗りこなす。 |
神性(−) | 「ハハ。あるわけないだろ」 |
夏の夜の夢(EX) | オベロンがその発生時より持っている呪い。『すべては夢まぼろし。ここで起きた出来事は真実に値しない──』世界で最も有名な妖精戯曲「夏の夜の夢」はそのように幕を閉じたが、それは転じてオベロンの性質をも表していた。人類史において、彼の言動は『何をやっても嘘』というレッテルが貼られてしまい、その結果として、「本当の事は(言え)無い」という呪いが刻まれてしまったのである。 |
妖精眼(−) | ヒトが持つ魔眼ではなく、妖精が生まれつき持つ『世界を切り替える』視界。あらゆる嘘を見抜き、真実を映すこの眼は、オベロンに知性体が持つ悪意・短所・性質に見せつけている。楽園の妖精達が保有する『妖精眼』同様、オンとオフを切り替える事は不可能であると思われる。 |
夜のとばり(EX) | 『いるだろ、夜明け元気で強気で万能だと思い込むヤツ。太陽が昇るまでは、誰だって超一流の専門家を気取れるのさ』 |
朝のひばり(EX) | 『すがすがしい目覚めは過去の罪まで洗い流してくれる。──もっとも、ふとしたはずみですぐに思い出してしまうものだがね』 |
夢のおわり(EX) | 『その夢を材料にして、飛べるはずのない空を飛ぶがいい。ああ、後先の事は何も不安に思わなくていい。墜落した時、目覚める理由もなくなっているさ』 |
宝具
彼方とおちる夢の瞳(ライ・ライク・ヴォーティガーン)
- ランク:EX
- 種別:対界宝具
- レンジ:無制限
- 最大捕捉:無制限
「良いだろう、今一度黄昏の空を……!」
「夜のとばり、朝のひばり。腐るような、夢のおわり……黄昏(たそがれ)を喰らえ!『彼方とおちる夢の瞳(ライ・ライク・ヴォーティガーン)』!!」
妖精國を滅ぼす際に見せた『空洞の虫』――真の姿である奈落の巨虫に変貌し、世界そのものを飲み込む宝具。飲み込まれた存在がどんなに強かろうと抜け出せない空洞としての性質を有し、ヴォーティガーンを撃破したうえで奈落の虫そのものが破壊されない限り脱出できないが、オベロンによってもたらされる"落ちていく夢"に囚われた状態で抗うのは不可能に近い。
「終わりがないのが終わり」とはまさにこの事である。
効果そのものは『彼方にかざす夢の噺』と同様に【敵全体に強力な秩序特攻攻撃+攻撃強化状態解除+睡眠状態を付与(1T)+無敵状態を付与(1T)〈デメリット〉】。しかし演出は、虫に集られたオベロンの姿が、黒い蚊柱が一斉に死滅するように醜く崩れ、ブリテン異聞帯に顕現した奈落の虫そのものへと変貌して、全てを飲み込み無限の奈落へ落とす、という悍ましいものに変わる。
ちなみに、第3段階のオベロン・ヴォーティガーンとしてのこの宝具につけられたBGMは、第2部6章の最終決戦のBGM「おしまい~妖精円卓領域:O・ヴォーティガーン」(ボイス依存で流れ始めの箇所が変化するため事実上2種類存在する)。
なお、宝具演出中の奈落の虫のボイスはSEではなく、加工した豊永氏のものとのこと。そのためか、ゲーム上でもSEではなく宝具台詞扱いであり、ボイスリストから聴き直しが可能。このボイスは息を吸って出したと『Spotlight Lostbelt No.6』でパートゲストで登壇した豊永氏本人が語った。
余談だが、この虫竜のデザイン原案もオベロン本人と同じく羽海野チカ氏。もともと(普段描いているジャンル上当然ではあるが)クリーチャーデザインなど経験がなく、また本作でも予定外だったものの、オベロンをデザインするにあたり、彼のイメージを深掘りしようと、奈須氏から受け取った奈落の虫についての資料を形にしたもの。
また、このデザインには、羽海野氏のトラウマである「密猟に遭い、頭を切り取られてしまった象」(検索するとそれらしき画像はいくつもヒットするがいずれも凄惨極まりないため閲覧注意!!)の姿も落とし込まれているとのこと。
宝具演出ではイトトンボ、オオミズアオ、オオスズメバチ、カゲロウ、コノハムシといった昆虫が確認できる。
関連人物
原典である物語「真夏の夜の夢」での妻。
存在しない運命の相手。手の届かない星。
他者への愛はなく自己愛もない彼だが、実際にはティターニアへの愛、執着がある。
この世界に存在できなかった彼女の在り方に憤っており、「クソども。いずれ全部ブチ壊してやる」という攻撃性は彼女への愛からくるものであり、それ故に絶対に口にしない。
汎人類史において、竜の血を浴びてブリテン島の意思と一体化した元人間で、最後はアーサー王と円卓の騎士に敗れ、討滅された。オベロン曰くやり方が甘く、何もかも消してやろうという気概が足りなかったとの事。
ヴォーティガーンは竜の姿に変じたとされるが、オベロンの翅は英語でドラゴンフライと呼ばれるトンボのものに似ており、どこか繋がりを感じさせる。あくまで結果的にだが、モードレッドやアグラヴェインもブリテンの破滅因子の一つであり、それらの役割を担ったともいえる。
相性最悪な夢の住人。オベロンはマーリンからの支援を拒否するが、この拒絶の元は"物語"に対するスタンスの違いである。一方異世界の女マーリンからの支援は避けられず、その対象に入ってしまっている。
マーリンは登場人物(個人)には基本的に興味を抱かないが物語(人類史)を好み、オベロンは物語(人類史)を嫌悪するが登場人物(個人)には感情移入しやすい。
マーリンは千里眼によって楽園の塔から他の世界を俯瞰できるが、プリテンダークラスの絶大な欺瞞能力をほぼ全てマーリンの千里眼除けに集中させていたオベロンだけは一切認識できず、主人公とオベロンとの会話も妙に多い独り言しか見えていなかった。
目的を達するのに重要な駒として注目し、ろくな教育を受けられなかった彼女にマーリンを騙って声を届け、苦労しながら魔術などの指導を行った(アルトリア曰く通信教育)。
しかし、それが巡りめぐって自らの悲願を最低限止まりで終わらせる結果になった。
マテリアルの記述によれば、彼女とオベロンはある一点を除きほぼ同じキャラクター性を持つ存在らしく、マイルーム会話において彼女は、宿敵にして同胞、同じ幻想でありながら、私は人を知らず、彼は人を知りすぎたと語っている。
これらの在り方はかの人類悪と魔術王の関係を想起させる。総じてその関係は親子とも兄妹とも師弟とも割り切れない、複雑だが近しいものであった。
モルガンの残した資料から、妖精國の真実=先祖の自業自得兼自分の暗躍だと知ってしまった彼女を殺害した。その際、自らが翅の氏族に牙の氏族を差し向けた元凶であった真実を明かしている。
むしゃくしゃしてやったとは言っているものの、本当の理由は分からずじまい。
初対面時から辛辣に嫌っていた相手。
それもそのはず、本質が人類愛であるコヤンスカヤと、人類大嫌いのヴォーティガーンとでは決して相容れない……と、深読みしてしまうかもしれないが、その実は意外と単純で、嘘つき同士の同族嫌悪であった。
向こうも彼が黒幕である事に気づいていたが、ムリアンの最後の願いを叶えるべく、オベロンを殺すのではなくその計画にとって邪魔になるカルデアを守る事にした。
その為にケルヌンノスの死の呪いを受ける事となり、後にこれが原因でカルデアに敗北したも同然の結果となったが、ビーストⅣ:Lのマテリアルにて、オベロンの企みによるものと判明した。
計画の要にできると踏んでいた"一番どうでもいい駒"であり、自分と同じ傍観者。アルトリア共々、自分の代わりがいなかった為に身の丈以上の使命を押し付けられ、否応なく歪まされた共通点がある。
彼/彼女とつい話しすぎたことが最大の誤算であり、相容れない敵同士ではあったが、失意の庭や決戦時の会話などを見るに、ある意味劇中における最大の理解者同士でもあった。
本編中でもイベントでも互いに色々な意味で遠慮のないやり取りをしており、異世界の天敵からは主人公の夢を守護していることが暴露された。
純粋で眩しすぎる彼女のあり方はオベロンとは相容れず、どちらの姿でもやや塩対応気味。しかし旅の仲間として気にかけていたのは本当だった。
巡礼の旅の仲間の1人。
マイルームでは「誰だっけ?ソレ」とすっとぼけている。恐らく彼女に抱いている心境は……
巡礼の旅の仲間の1人。
彼の強烈なキャラクターは嘘でも忘れることが出来なかったようで、同じ姿のサーヴァントを見かけた際は一瞬素に戻るほど驚愕し、呆れ混じりに感嘆していた。
ノクナレアと違い恋に生きる人生を全力で謳歌する彼女を、自由に生きているという理由で好きと語る。が、棒読みなので恐らく……
ちなみにティターニアは様々な妖精や女神の複合体として創作されており(いくつかの妖精・女神がモデルになっている)、そのモデルの一つにマヴ(=メイヴ)もいる。
感謝の想いを綴った手紙を「あのクソ野郎に届けてくれる?」と言ってマスターに押し付けてくる。しかも封蝋にはたっぷり毒が仕込まれており、触れないようマスターに忠告する辺り、確実に仕留める気である。内容も墓まで持っていくと書いてあるため、嘘でも感謝の言葉など伝えるつもりはないらしい。イベント中でも彼の話題を口にする時は完全に素に戻る。
余談だが、オベロンの結末はトゥリファスの聖杯大戦での彼の結末と非常に似通っている。ゲームにおける性能もBuster全体宝具、NP付与スキル、バスター性能アップスキル持ちと共通点も多い。
"誰かのための物語"であり、オベロンとは異種同質の存在。
"全ての読み手がいなくなった世界"でのお茶会に誘ったが、彼女の信念的にイエスと返せるはずもなく、とても優しく礼儀正しく断られた。
オベロン本人も断られる事は承知の上で、近しく理解し合える相手だからこそ、結果が分かっていてもあえて誘った点に彼の本心が垣間見える。
異聞帯での最大の障害。彼女さえいなければ自分は産まれる必要もなく、どうでもいい世界を滅ぼすという不快極まりない使命を押し付けられることも無かったため、排除すべき存在の一つと考えており、オベロン本人も仇敵と表現していた。
しかし、彼女が築き上げた國を一万四千年もの絵本に例えており、それ自体は嫌いじゃなかったと本気で語っている。妖精という存在と滅亡したはずなのにまだ続いているブリテンという国を無に帰したかっただけで、モルガンの理想自体に文句があった訳では無いのだろう。
ちなみに彼女からはクソ虫呼ばわりされており、その正体に気づいていた事が示唆されている。実際に、女王暦になってからモースの王を含めブリテンを二度も滅びに追いやろうとしたが、どちらもモルガンによって防がれているらしい。
駒の一つとしか見ていなかったが、ウェールズの森を虫達ごと焼き滅ぼした事により本気で怒り嫌悪。以降の共闘時でも辛辣な態度を取ち、彼女が決定的なタイミングで破滅するよう予め細工を施した事も自業自得と吐き捨てている。
劇中では彼女にコヤンスカヤをけしかけ、後にそのまま食われた可能性にも興味があったと嘯いた。正体がバレたカルデアでは問答無用で攻撃されかねない為か、顔を合わせないよう逃げている。
他2人とは異なり、劇中では特に絡みはなかった。
汎人類史ではなく妖精國の彼女を呼んだ事を知るや、今さら更生できると思ってるのか、悪の華はどこまでいっても悪の華だと断じる。
ウェールズの森の妖精たち
彼が召喚され、領地としていた場所に住む彼を慕う虫の妖精たち。
最初は彼らのことも嫌っていたが、カルデアと合流する頃には無意識ながらも憎からず思うようになっていた様子。また、オベロンの真実には彼らなりに気づいていたようで、彼らの会話にはぼーてがん=ヴォーティガーンやオベロンの相反する性に対して言及する場面がある。
本編で雌雄を決した時点でどうやら彼の精神の奥底に居座っている模様で、絆レベル4の会話で眠っている最中に彼らから色々と話しかけられて寝つかない事にウンザリしており、マスターに虫除けスプレーを持ってないかと聞かれる("殺虫"でない辺りやはり素直ではない)。
身代わりとなって呪いを引き受け死んでしまった彼女を、どうでもいいと放り捨てた。……が、彼の性質や、最終再臨後のセイントグラフや絆礼装を鑑みると、本心では決してどうでもいいと思ってはいなかったことがわかる。
最終再臨時の台詞でも、その最期に対し「あれがキミの満足の行く結末だったのか?」と問いかけている。死体とは言え、奈落の穴で無限落下するハメになるのを避けようとした結果、あのような言動をとったのかもしれない。
"間違ったブリテンを根絶する"という目的は果たせた自分と違い、"自分の世界を守る"という使命を果たせずカルデアに道を譲った為、お人好しと皮肉りつつ敗者だの負け犬だのと煽り倒している。
北欧神話における終末装置。
オベロンは『陥穽』の終末装置であり、ビーストとは異なる大災害という共通点がある。
生前敵対していたヴォーティガーンの気配を感じたらしく、妖精王のイメージと一致せず戸惑っている。
直接的な絡みは無いが物語の中で立ち回りがよく似ていた人物。気さくな隣人を演じ、味方として共に戦い、その陰に邪悪な本性を隠していた者繋がり。彼に関連付けて疑っていたユーザーも一定数存在した。
別世界の死徒。オベロンが人類史の根絶を願う破滅装置である事に対し、ワラキアは人類の存続を願った結果絶望し人類への破滅装置と化した存在。
オベロンは口にした真実をも嘘にしてしまうのに対し、ワラキアは一夜限りで嘘を現実にするなど、いくつか相対的な関係をもつ。
またこちらの世界での彼は、ロンゴミニアドと深い関わりを持っている。
元々の彼の名前にはオベロンの名が含まれており(オーベロン表記だが)、事件簿マテリアルにおいてちょっとした小噺程の関係があると明言されている。
似て非なる在り方のプリテンダー。
自分が口にすること全てが嘘になる呪いを持つ妖精王に対し、他人が口にしたことと真逆の結果を必ずもたらす反願望機。
どちらも災いの竜と人型アバターの双方が本体で、竜が妖精の役を羽織っていたのに対し、果実が竜の役を羽織るという点では真逆である。
余談
プリテンダー(Pretender)とは、詐称者あるいは王位を狙う者という意味でヴォーティガーンにピッタリなクラスと言える。
ユーザーからはそのままオベロン、または黒オベロンと呼ばれる事が多く、ヴォーティガーンの部分はだいたい省かれる。長いし。
サポートとしてオベロンが使えた頃より、秩序特攻宝具、サポートに登場するたびに変わるクラス、モースのようなエフェクト、マーリンの強化成功率が下がるクラススキル等、不穏なフラグと捉えるユーザーも多かった。更にヴォーティガーン自体がシナリオに登場する可能性も6章開幕前から示唆されており、終盤で満を持して現れたのは、両者が悪魔合体した代物だった。
NPC時のバーゲスト戦にて、人類の脅威特性付与の特殊デバフでアルトリア・キャスターを支援していた彼だが、これは皮肉にも自身が持つ特性のひとつでもある。
また、オベロンとしての妖精特性、ヴォーティガーンとしての竜特性に加え、「混沌・悪・地」「騎乗」「男性」といった複数種の特効が通用するため、最終決戦では弱点であるフォーリナーが不在でも特殊バフにさえ気を付ければ十分対処可能である。
シェイクスピアの劇の偽作(没後に新たに発見されたシェイクスピアの劇として宣伝されたが実際は別人の制作したもの)として、『ヴォーティガンとロウィーナ』というものが存在する。なお、ロシアに発生し、ニキチッチに討ち取られた"竜だか虫だか分からない生き物"との関連性は不明。
演出
妖精國を攻略し、絆5にしてもこの色々と真っ黒な正体についてはプロフィールでは一切語られず、真相は分からないままであるが、実は彼だけ妖精國クリアに加えて絆を6まで上げるという結構ハードル高めな条件を満たすことで全てのプロフィールが更新される。ここでようやく彼の本来の人となりを垣間見ることができるのだ。
上記でも触れたようにアルトリア・キャスター、主人公、オベロンの3人は共通点を持っていたことから躍動トリオなどと呼ばれている。
今章ではスキップできない選択肢が多く、不穏な展開や今までにない分岐に繋がる可能性を考察する声もあった(ただし、別のシーンにしか影響しない選択肢もある)。
それについても実際その通りで、該当選択肢でオベロンに踏み込んだ質問をするなど、状況をより深く推察していた場合、通常の選択肢に加えて赤文字の不気味な選択肢が追加される。
ここで赤文字を選んだ場合は主人公が真相に気付いていた流れとなり、会話の内容が膨らむようになっているなど、演出面でもかなり力が入っている。
彼を疑う態度を取る場合、下側の選択を選べばだいたい正解。更に赤文字を選んでいくと、最終決戦の最中(ゲーム的には戦闘後)にオベロンの心中に文字通り踏み込んでいく。
これに関しては、後の『竹箒日記』にて奈須きのこ氏本人が明かしており、ユーザーと主人公で認識の乖離が発生するのは良くないと思って追加したものらしい。不気味さ故にバッドエンドの可能性を感じて躊躇したプレイヤーも多かったが、実際は単に分かり易いよう赤くした所禍々しくなってしまっただけの模様。
第2部6章の真のラスボスとして登場した彼だが、仲間だった時期が長かったり、その悪行や言動、及びその使命自体がプレイヤーが思わず共感してしまうよう計算されたストーリーであった事から、ガチャでの登場が多くのユーザーに望まれていた。
早々にPU希望の集団幻覚じみた反応(時期的に通称として「夏の夜の夢」と呼ばれることもあった)が多数寄せられる事態となった程で、僅か一週間後に実装されなければ更に活発化していた事は想像に難くなく、以降もノリノリで続くトンチキイベントに連れまわしたマスターも多い。
やめて!オベロンの(胃の)体力はもうゼロよ!!
フローチャート
上記の通り妖精國を滅ぼす事には成功しているが、実際の所20年近いハードワークの賜物であり、成功したのは奇跡と言っても過言ではない。
- オベロン自身が授かった戦闘力は凡庸。自分でモルガンや有力者たちを倒すなどまず不可能。
- ブランカ以外に、援軍や手駒と呼べる味方が一切いない。劇中で築いた数々のコネも、全て本人の努力の成果。
- 大前提としてケルヌンノスをどうにかしないといけないが、ただ復活させても「現在女王暦として世界が存在する」という確定した未来を利用し、過去に飛ばす事でモルガンに(再封印にせよ討伐にせよ)対処されてしまう。
- 上手くモルガンを消せても、バーヴァン・シーやノクナレアが健在なら護國の王座を継いでしまう。
- 反女王勢力の下地として円卓を組織。マネジメントも全部一人で行い、各地で情報収集に奔走し続けていた。
- 予言の子アルトリアも劣悪な環境によりひ弱だったため、自分があれこれ面倒を見てやらなければとても利用できる器にはならなかった。そして彼女に魔術を教えるために3日づけで魔術を猛勉強。
- オーロラと同盟関係を築くが、刹那主義な彼女の矛先が自分やアルトリアに向くと大変な事になるため、好感度や注目度など色々と調整しなければならない。
- マーリンの千里眼対策にプリテンダーとしての能力を使い続けながら、妖精眼を持ち嘘を見抜くアルトリアとの距離感も注意しなければならない。
- コヤンスカヤという相容れぬイレギュラーもブリテンに現れ、対応を誤れば全てを台無しにされる可能性があった。
こんな感じで簡単にまとめてもかなりの無理ゲーであり、何よりも絶えず吐き気を催すような「キライ」の感情を押し隠して芝居を張り続けるというある意味拷問のような環境で、全てのピースが最高最悪のタイミングで噛み合う瞬間を逃さぬよう、必死に策謀を張り巡らせていた。
その上でオベロン個人の願いであった汎人類史滅亡が、ストームボーダーの乗員を単に抹殺するだけで叶うというヌルゲーにも程がある終盤の状況は、彼にとって千載一遇のチャンスに見えたことだろう。それが納得せざるを得ない理由で失敗したため、燃え尽き症候群になってしまうのもあながちおかしくはない。
そういう意味では、異聞帯の王達に対して自身は勝ち馬と煽るのは、彼らしい「嘘」……なのかもしれない。
どうすればオベロンを理解できるのか
2024年8月の周年イベントにて、声優、豊永利行さんから「どうすればオベロンの事を理解できますか?」に対する、奈須きのこ氏の回答は以下のようなものであった。
「そうなんです。
僕もオベロンの事がぜんぜん分かりません。
オベロンの骨子を言語化しようとすると鏡に向かって『おまえは誰だ?』を言い続けている気持ちになります。
なので短くまとめてみますね。
ブリテン島を滅ぼすための終末装置ではあるが、創作物をモデルにして生まれた事で人間味あふれるひねくれ者になった。
ひとでなしのロマンチスト。
外見は幸福の王子さま。内面は奴隷の王子さま。
外はキラキラ、中はドロドロ。どちらも『真面目である』事が共通している。
強いもの、努力できる物には笑顔で『がんばってね』と応援してバイバイし、弱い者、報われない者を『それ見た事か』と嘲笑いながら最期まで見届ける。
何もかもが嫌悪の対象で真実を隠す嘘つきだが、口にした嘘には真剣に、真摯に付き合う。
嘘で出来た関係、嘘をつく事でしか保てないものを、オベロンは真実とやらより評価しているからだ。
終末装置として全霊を尽くしながら、装置である事は卑しいと怒っている。
装置は責任を問われない。その免罪性、不誠実さがオベロンには許せない。
オベロンは他人を愛する事はない。
この世界のどこかに、生質として未来をなくした者がひとりでもいるかぎり、ひとりでも地の底で運命を呪う者がいるかぎり、彼が愛を口にする事はない。」
関連イラスト
pixivのイラストのタグはネタバレを防ぐため「オベロン」での登録が多いが、絵面が真っ黒なのであまり意味を為していない。
関連タグ
Fate/GrandOrder Cosmos_in_the_Lostbelt
無限地獄:仏教における地獄の一つに「阿鼻地獄」というものがあり、一説では「最も重い罪を犯した者達がどこまでも落下し続ける」地獄と言われている(ただし「そもそも辿り着くまでに何千年も落下する必要がある」だけであり、たどり着いた先でここまでの地獄が天国にすら思える責め苦を宇宙の寿命と同等の時間味わい、苦しみ続ける事になる)。
没落王子:現代においては領地も失い、有名無実な肩書きになったとマテリアルに明記されており、結果荒んだ詐欺師へ転向したと言える。
ワームホール:SFでも登場する別の空間と別の空間を繋ぐトンネルのような概念。尤も、彼の場合は文字通り虫型の穴なのだが……
^o^:2024年の「お正月特別パネルミッション」で入手可能な概念礼装・妖精國お正月興行において、奈落の虫の姿が某顔文字風のゆるキャラに成り果てていた。背中には同じくゆるキャラと化したケルヌンノスを乗せている。妖精國オワタ/(^o^)\
ちなみに、この概念礼装と同じくリヨ氏の手掛ける『マンガで分かる!Fate/GrandOrder』での所長の(自分で赤マジックで書いた即興の)令呪のデザインもこれだったりする。
『Fate/DreamStriker』:2024年エイプリルフールアプリ。プロローグから胡散臭いさすらいのサッカーコーチ「オベルト・ホンゴウ」として登場した。
デザインはリヨ氏が手掛けている。尚、騒動の黒幕はいかに――。