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1948年に創設された朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の軍隊。(共和国では、金日成が抗日パルチザンを組織したとされる1932年4月5日結成としている)

 陸軍、海軍、空軍、弾道ミサイルなどを運用する戦略軍と、治安維持活動を担当する内務軍、特殊部隊を運用する特殊作戦軍からなる。民兵組織の労農赤衛隊(労農赤衛軍)を含めて「朝鮮人民軍」と呼ぶこともある。


戦歴編集

 聖杯にかける願い… ではなく主な任務は朝鮮半島の武力による統一。

 実際に武力統一を目的として、1950年6月25日に南側に奇襲を掛けて「祖国解放戦争」こと朝鮮戦争を引き起こした。

 中華人民共和国ソビエト連邦の強力な支援を受けて、南側の首都ソウル(統一の折には平壌から遷都する予定)を陥落させて7月には韓国軍を追い詰めたが、その後アメリカ軍を軸とした国連軍の猛攻を受けて中国国境近くまで兵を引き上げている。絶体絶命かと思われたが、中国人義勇兵(事実上の人民解放軍)を加勢を受けて、38度線近くまで巻き返しをはかった。

 1953年に休戦合意が成されたが、戦争を終結を意味する平和条約の締結はなされておらず、国際法上では未だ戦争状態にある。

 また、世界各国の共産主義武装勢力や反米勢力に軍事顧問を多く派遣しており、兵士や将校の教育にあたっている。また、彼らへの武器の輸出、供与も積極的に行っている。現在では品質は不明だが、1990年代に国内情勢が極度に悪化するまでは比較的品質が良かったという。


兵力編集

 先軍政治を敷いている共和国国内において、朝鮮人民軍は非常に強い立場である。

 朝鮮人民軍は志願制で総兵力は120万人(H23年防衛白書)と言われているが、これは全人口2400万人のうち実に5%にのぼる上に、将校を除いた多数を占める兵士らが事実上の徴兵によって集められた応集兵である。

 そのため、如何に先軍政治を高らかに叫んでも、経済力があまり強いとは言えない共和国では、朝鮮人民軍が国家に対して非常に重い負担である事実は変わらない。

 英国のシンクタンクによれば、100万人以上が陸軍へ振り分けられているという。

 服務期間は10年以上(男子)と言われている。徴兵制を行っている国家では、休戦中であるが戦争中の敵国 韓国の兵役期間がおよそ2年、周りが敵だらけでアレなイスラエルが3年なので突出して長い。

 共和国では、準軍事組織や民兵組織を動員させると更に400万人近い兵力を追加で確保できるが、韓国もさほど変わらない数の予備役兵がいるので、画期的に優位に立てるほどではない。

 2010年代に入り、金正恩 最高指導者のもと服務期間の延長や志願年齢(というか徴集年齢)の引き下げが行われており、兵力の更なる増強が進むと思われる。


 上記のように大量の兵員を抱える原因は、建国前から西側の盟主であるアメリカ合衆国の軍隊が駐留し続けている南側に対し、東側の盟主ソビエト連邦朝鮮戦争時に共に戦った中華人民共和国の軍隊が国内に駐留することを強く拒絶してきたため、西側諸国が攻め込んできたときに同盟国が駆けつけてくれるまで持ちこたえれるだけの兵力を自国で賄わなければならなくなったからである。もっとも、冷戦体制が崩壊してひさしい現状で意味があるのかすこぶる疑問ではあるが……


 朝鮮人民軍は完全な志願制なので良心的兵役拒否は存在しない。しかしながら、男女問わず国民の殆どが志願する世界でも屈指の人気を誇る軍隊である。なお、利敵行為やスパイ行為は厳しく罰せられる体制である…


 ただ、10年という共和国の服務期間は長いものの更に苛烈な国は現在でも存在する。北アフリカに位置するエリトリアという国は、「徴兵制」「国民皆兵」という一見どこでも有りそうな制度だが兵役期間は無期限、国民は皆国家公務員で軍務以外では国営企業で働くことが義務付けられている。


基本戦略編集

 人民軍の最大の目的は南側になだれ込んで統一を成し遂げることである。朝鮮戦争の反省から、外国勢力に介入する隙を与えぬことを重要視している。

 具体的には首都ソウルをはじめとする重要拠点を快刀乱麻に続々と制圧していき、南側の戦争遂行能力を奪うまでの工程を七日以内に完了させる電撃戦(共和国の表現を使うなら速度戦)を基本戦略としている。


装備編集

装備の大半はソ連中国または自国製で占められている。戦車航空機など多くは旧式化、老朽化が著しく、稼働率は低いと見られる。

陸軍編集

戦車約4000両、牽引砲3000門以上、ロケット砲2500門等、保有数は多く、ソ連軍の流れを汲む軍隊らしく機甲戦力や砲兵を重視している。兵力は95万人程。15個の軍団から成り立つ。

現状は訓練より農作業や建設労働に割かれる時間の方が長いとされており、経済制裁により燃料や部品不足に悩まされている(これは海空も同様)。


主な陸軍の装備編集

戦車...天馬号暴風号先軍号T-54/55PT-76PT-85(国産の水陸両用戦車)

装甲車...VTT-323BTR-60M-2010M-1992

自走榴弾砲...主体砲、M-1991、M-1981等

自走多連装ロケット砲...BM-21、M-1985、BM-11、M-1989等

自走対空砲...ZSU-23-4シルカ、M-1978等

自動小銃...58式小銃(AK-47)、88式小銃(AK-74)等

拳銃...68式拳銃(ブローニングM1900のコピー等)


空軍編集

又は「朝鮮人民軍航空及び反航空軍」。防空、対地攻撃、特殊部隊の侵入等の任務を担う。人員は約11万。

保有機数は約1500機。うち戦闘機は約500機、攻撃機爆撃機は計200機近く。Mig-29のような比較的新しい機体はあるが数は少なく、Mig-21等の旧式機が主力。また輸送機は500機程だが多くがアントノフAn-2という小型の複葉機で、時代錯誤に思えるがその小型さと低速を生かし、特殊部隊を乗せ低空飛行で韓国に侵入することができる。短距離離着陸性能が高いためゴルフ場のような狭い場所でも容易に離着陸可能。また、il-76といった輸送機は北朝鮮唯一の航空社、高麗航空の機体で、有事には軍の指揮下に入り作戦に従事すると思われる。

経済制裁による燃料不足、部品の共食いが横行しているとされており、年間飛行時間は周辺国よりずっと少ないと分析されている。また、度々墜落事故も発生している。


主な航空軍の装備編集

戦闘機...Mig-17Mig-19Mig-21Mig-23Mig-29

攻撃機...Su-25

爆撃機...il-28(中国で生産されたH-5も有)

輸送機...An-2il-76An-24

ヘリコプター...Mi-2Mi-4Mi-8Mi-14Mi-17Mi-26Ka-28MD-500(アメリカ製ヘリ。西ドイツのダミー商社経由で密輸)等。このうちMi-14Ka-28はほとんど稼働状態にないとされる。


海軍編集

人員は約6万。黄海側の西海艦隊、東海(日本海)側の東海艦隊の二つの艦隊があり、その傘下に多数の戦隊が連なる。また沿岸防衛を担う地対艦ミサイル部隊、海上狙撃旅団も海軍の指揮下にある。

保有艦艇は計約800隻。うちフリゲート2隻、コルベット約10隻、ミサイル艇30~40隻、魚雷艇100隻以上、哨戒艇や警備艇も相当数保有する他、ホバークラフト揚陸艇も多数保有し、韓国への電撃上陸を担うものと思われる。

潜水艦は80隻以上保有し、これは世界一の数。但しいずれも旧式艦、潜水艦より小さく特殊部隊の浸透に用いる潜水艇で占められている。この他、工作員を秘密裏に韓国へ侵入させるための半潜水艇や工作船があるが、これらは前述の潜水艇も含め海軍ではなく諜報機関の所属と言われている。

沿岸防衛に特化した、いわゆる沿岸海軍である。それ故外洋に出ることはなく、燃料不足で満足な訓練もままならず繋留されっぱなしの艦も多い。艦艇の老朽化も著しく、訓練中に沈没事故を起こし殉職者を出している。近年新造の大型艦も確認されているが、ほとんど係留されたままで外洋に進出することは極めてまれである。


主な海軍の装備編集

フリゲート...羅津級フリゲートソホ級フリゲート(退役済み)、クリヴァク型フリゲート(ロシアからスクラップとして購入するが現在は解体済み)

コルベット...沙里院級コルベットトラル級コルベット鴨緑級コルベット豆満級コルベット

ミサイル艇...ヘサム級ミサイル艇ノンゴ級ミサイル艇コマール級ミサイル艇オーサ級ミサイル艇

魚雷艇...P-6(プロジェクト206)型、シンフン型等

哨戒艇/警備艇...海南型哨戒艇上海Ⅱ級哨戒艇

潜水艦...ロメオ級ウィスキー級新浦級

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