概要
語源
漫画『成恵の世界』の劇中劇『魔砲少女四号ちゃん』が魔砲少女の語源といわれている。
この作品は第二次世界大戦期の戦車をモチーフとしたキャラクター達によって構成されており、直接の語源はこの作品と思われる。ただしこの作品での魔砲少女は『魔法』+『大砲』であり、以下の意味とは大きく異なるといえる。しかしミリタリーと魔法とのコラボの源流ともいえる本作のコンセプトは、のちに(厳密には魔砲少女というわけではないが)『ストライクウィッチーズ』をはじめとする『ワールドウィッチーズ』などの派生を生むことになる。
それ以前にも魔法での砲撃戦を行っている作品(主にコンピュータゲーム(ドラゴンクエストやぷよぷよなど)やライトノベルなどの小説(スレイヤーズなど))はあったが、それらはいわゆるファンタジー系であり、「魔法少女」カテゴリにカウントされていない。
本流の魔法少女では『魔砲』に相当するものは2000年代初頭までほぼ存在しておらず、あっても洋弓やクロスボウなどの『弓矢系の飛び武器』を用いることが多かった(弓矢系は女子のイメージがあったためなのか多用されている)。スティック系アイテムから光線らしきものを発射する魔法少女もいたが、ごくわずかにとどまっている。
発展
魔砲少女の名称が広がる原因となったのはアニメ『魔法少女リリカルなのは』の主人公「高町なのは」である。
大威力砲撃魔法を得意とし、魔法少女ものとは思えぬ大火力で敵をなぎ払う姿に、なのはの中の人であり、『魔砲少女四号ちゃん』にも「ケイ・シャーマン」の中の人として出演した経験のある「田村ゆかり」がメガミマガジン誌上のインタビューで「魔砲少女」と発言。
これを契機にしてその名が広がり、銃火器や特大の魔法弾を使うキャラの代名詞となったのである。
女児向けでの魔砲少女
その影響で女児向けの魔法少女にも「魔砲」が広まったのかというと、そうはならなかった。
リリカルなのはと同時期に始まったプリキュアのように「魔砲」に相当するものはいくつか存在するが、時代が進むにつれて砲撃魔法タイプは鳴りを潜め、現在ではエネルギー放射タイプが主流となっている(もっともプリキュアの場合、敵を倒すことではなく救済することが目的なため、魔砲との相性が悪かったともいえるのだが)。
飛び道具に関しても従来の弓矢系武器もしくは武器以外のアイテムを採用することが多く、直接特大魔法弾を放つ女児向け魔法アニメは2010年代ではほとんど見られなくなっている(もっとも、この時代の純粋な女児向け魔法アニメは鳴りを潜めてはいるが)。ついには放射型の技すら使わずに救済するパターンまで出てきたため、結果的に破壊力の高い「魔砲」の方向とは逆行してしまうこととなった。
理由としては、破壊力のある魔法の演出が女児向きとはいえないからである。破壊力の大きい演出ではメインの視聴者である幼児には理解しにくいこともあり、相手(敵)を消滅させる描写は浄化されるような描写に変えているのがほとんどとなっている。
そもそも砲撃戦という発想自体、男児向けから来ているものであり、以下で述べられる魔法少女も男性向けが多いのも当然の結果といえる。
また、下記の作品にもある劇中での魔法少女同士の戦いも女児では嫌う傾向があり、大抵はそれを避けているものが多く、仲間割れが原因で敵対するなどといった方向性は持たせないようにしており、当初は敵でも最終的には味方になって共闘する流れにしている(それも深夜魔法アニメとの区別の要因となっている)。そのことも関係しているのか、ビジュアル的に規模が大きく破壊力の強い技は避ける方向へと持っていったようである。
現在の用法
大きく分けて以下の2パターンに分かれる。
- 直接砲撃魔法を放つ(アイテムから放出するパターンも含む)
- 魔法の媒体等を用い銃火器を使う
※「弓矢系」は女児向けも使用しているため含まれない。
主な魔砲少女達
追記募集中。
用法1
- 高町なのは(魔法少女リリカルなのはシリーズ)
直接砲撃魔法「ディバインバスター」など砲撃戦を得意とする砲撃戦魔導師。格闘戦でも十分強く、レイジングハートを用いての槍捌きを披露することも多い。
彼女の大威力砲撃魔法「スターライトブレイカー」は全力なら廃墟群一つを消し飛ばすレベルにまで達する(The MOVIE 1st)用法1の典型例。
得物も進化し続け第四期では「魔法の杖」では済まされない巨大な魔砲を得物としたため、少し用法2寄りに動いている。
「派手でなければ魔法じゃない。弾幕は火力だぜ」が口癖で、極太砲撃を放つスペルカード「マスタースパーク」を使用。ミニ八卦炉を介してではあるが銃火器を使用せずほぼそのまま魔法弾を発射するスタイルは、用法1の極北といえるものである。
このスペルカードの中には魔砲「ファイナルスパーク」、魔砲「ファイナルマスタースパーク」のように魔砲という言葉が含まれるものもある。
実は「魔砲少女」の名称が誕生する前から存在するキャラであるため、ある意味元祖「魔砲」少女といえなくもない。ただし『東方』の世界観がファンタジー系に近いこともあり、誕生当時はファンタジー系魔女にカテゴリー分けされていた、とのこと。
カレイドステッキという魔法の杖(マジカルルビー)の力で変身した魔法少女。
序盤のアイテム集め(なのはは宝玉集めに対してこちらは英霊の宿っているカード集め)からライバルとの対決に至るまで同じという実質的ななのはの後継者。使用する魔法もなのはと似通っているものが多く、「魔砲」に相当する技(フォイア)を持つことも共通する。さすがになのはレベルのメンタルは備えてはいないが。
2021年のハロウィンにディープログのバグによって誕生した100年前のロボット魔法少女で「寵夜のロール」の名が付いた。
外見が先述の変身後のイリヤに近く、備えているスキルがまんまなのはの魔法という魔法少女要素の複合体。
また、ランチャー系武器を得意武器とするなど2の意味にも近くなっている。
用法2
得物がマスケット銃で、戦闘方法は多量のマスケットを生成して一発ごとに使い捨て、止めの魔法は極太砲撃。
乱戦ではマスケット銃とガン=カタを組み合わせたまったく新しい魔砲少女の戦い方を披露してくれる。
格闘にも秀でており、リボンにより束縛や蹴りなどで接近戦に対応しているのも特徴であり、まさに遠近で隙を見せない戦闘のプロといえる活躍を見せる。
マスケット銃そのものは実在しているものではなく、彼女オリジナルのものであるため比較的用法1に近い。
また、その決め技(「ティロ・フィナーレ」)は用法1の魔砲少女そのものである。用法1の代表格の人にその能力を与えた人物と中の人が同じと言うのは何の因果だろうか。
映画新章叛逆の物語では後述の暁美ほむらとマスケット銃を使って「魔砲」少女同士の銃撃戦を繰り広げたり、
列車砲を使っての「スターライトブレイカー」顔負けの威力を持つ「ティロ・フィナーレ」を放っている。
注:実際のシーンと異なります。
外伝であるマギアレコードではさらなる強化形態ホーリーマミにホーリーアップ、礼拝のドッペルが変形して現れる巨大砲台ティロ・セントドッペリオンを必殺技として使用する。その破壊力はもはやスターライトブレイカーどころの話ではなくなっている(砲塔一つ一つがSRブレイカー相当の威力をもつ)。
第二次世界大戦期にソヴィエト連邦において開発された対戦車ライフルであるデグチャレフPTRD1941を振り回す。
なお、これは魔法によって実在兵器を生成し召喚する形(流星核の中から召喚するため、魔法で生成すると言って差し支えない)であるため、まだ魔砲の範疇に入ると思われる。
魔女一族の末裔で、触れたものを自在に操ることができる能力を持つ。
対戦車ライフルを箒代わりに空中戦を行うほか、跨ったまま発砲するシーンも多い。また、ライフル以外にも槍や魚雷なども使用、それを操る姿はまさに魔砲少女と言えよう。
ライフルをはじめとした武器は自ら作り出したものではなく軍が用意したもの(または奪ったもの)を使用しているため、魔砲と呼ぶには微妙な立ち位置にあるものの、魔力注入で真価を発揮するためギリギリ「魔砲」の範疇に入る。
本人の魔法が「時を止める」と戦闘向きではないため、戦闘力を銃火器・爆薬でカバー。その武器はどこかの軍用武器庫等から盗んできたものを使用する。徴収した武器自体は盾を通して異空間に収納することが出来るため、召喚するといっても差し支えないといえる。
魔法で実在火器を作り出さずにほぼそのまま使用しているため、最早「魔」砲ですらない用例2の極北(上記のイゼッタも魔法で武器を作り出しているわけではないが、膨大な魔法力で多数の重火器を操っているため魔砲の範囲内といえる)。この火力のせいでホマンドー、火薬少女あけみ☆ほむらとまで言われる。用例1の代名詞である魔法弾での攻撃も可能だが魔女を倒せるほどの威力はない(劇中ではキュゥべえに対しての威嚇攻撃に使用したのみ)ため、既存の銃火器を魔法で強化する方式をとっており、場合によっては遠隔操作の魔法を併用しての大規模攻撃を行うこともある。
また、病弱だったこともあり体力的に持久戦向きとはいえないため、長期戦や格闘戦は極力避ける傾向をとっている(メガほむ時代にゴルフグラブを武器にしての格闘を行ってはいるが…(結果はお察しください))。ちなみに、初めて使用した銃火器はネット検索で調べたものを基に作った自作の爆弾(魔法で強化し時限式にしてある)であった。
先ほど記述したように叛逆の物語では巴マミと「拳銃」や「機関銃」を使って「魔砲」少女同士の銃撃戦を繰り広げた。
因みに彼女が劇中に使用した拳銃及び兵器はコチラやコチラにまとめてある…
(記事の三分の一ほどネタであるので、注意)
と思ったら、マミの方も砲火後ティータイムで共有、コラボしてたりする。
これを「魔」砲として扱うには微妙だが、多数の銃火器を使用する様はまさに魔砲少女。
拳銃と中距離銃、狙撃銃と近距離から遠距離まで多数の銃火器を使用し、これでもかといわんばかりの火力で敵を圧倒する。
銃火器を使い分ける点は上記のマミやほむらと似ているが、砲撃に特化しているのが大きく異なる点。マミ同様自ら武器を生成しているため用例1寄りの用例2に分類される。能力の性格上後方でサポートする役割を担うことが多いうえに格闘に不向き(一期の東郷は下半身が動かない関係上、接近戦ができない。二期以降は動けるようにはなったが格闘向きでない点は同じ)なため、接近戦に入られると攻撃の手段がなくなるのが弱点。現に友奈との一騎打ちで懐に入られたときには何もできずに殴られている。
名前と敵を正確に狙い撃つその姿から超有名なスナイパーを思い浮かべる人も多い。また日常の行動と戦闘時のギャップからあのもっこりスナイパーを連想させることも。
パワーアップ形態である満開時には移動砲台(というよりほぼ戦艦)ともいえる形態となり、ティロ・フィナーレをも上回る超絶火力を披露、最終決戦では砲台を敵めがけて特攻させる荒業を行っている。
その姿は艦娘と似ており一斉放射もそれを彷彿させるものだが、残念なことにマミやほむらのような艦これコラボは現在のところ確認されていない。仮にコラボが実現すれば愛国主義な本人が喜びそうなものだが…。
余談だが、過去の東郷である鷲尾須美の武器は偶然にも改変後のほむらの武器と同じ『弓矢』である。ただし総合的な攻撃力はこちらが上。武器変更の経緯がほむらと逆というのも面白い。接近戦向けでない点でもほむらと同じだが、こちらは中・遠距離特化型なため性格的には異なる(ほむらはナイフでの接近戦を仕掛けたことがある)。