本記事では運営会社及び運営路線の「智頭線」についても記載する。
会社概要
日本鉄道建設公団(鉄道公団)による建設線(未成線)だった智頭線を引き継ぎ、運営している第三セクターの鉄道会社で、株式会社。略称はCKK。
1986年(昭和61年)5月1日に智頭鉄道として設立され鳥取県鳥取市に本社が置かれていたが、智頭線開業後の2009年(平成21年)4月1日に八頭郡智頭町の智頭駅前にあるJA鳥取いなば智頭支店ビル内に移転した。なお運転関係部署及び運転指令室は智頭駅駅舎上階、車両基地は岡山県美作市の大原駅構内にある。
経由する鳥取県、岡山県、兵庫県及び沿線自治体が主な株主であり、保有車両には3県のアルファベットの頭文字「HOT」が数字の前に付けられている。
路線の項でも記載するが、鉄道公団時代より特急による陰陽連絡に重きが置かれており、智頭線開業後は京阪神及び岡山市周辺と鳥取県東部を結ぶ重要な路線に成長した。
1994年(平成6年)12月3日の智頭線開業から僅か1ヶ月半後の1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神・淡路大震災により特急が全面運休となりいきなり倒産の危機に見舞われたが、その後はどうにか持ち堪え1998年(平成10年)以降は黒字経営となった。
また2015年(平成27年)以降は北陸新幹線延伸の影響で赤字転落した北越急行に代わり、第三セクター鉄道の収益性トップの座についた(北大阪急行電鉄・ゆりかもめなど第三セクター鉄道等協議会に加盟しない鉄道事業者を除く)。
但し2020年(令和2年)以降は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより3年連続で赤字を計上している。コロナの収束傾向に伴い売上も回復傾向にあるものの、2023年(令和5年)時点ではコロナ前の2019年(平成31・令和元年)の7割程度に留まっている。
2012年(平成24年)4月26日から「鉄道むすめ」に智頭急行の車掌として「宮本えりお」が登場している。名前の由来は「宮本武蔵駅」と「上郡駅」を逆から読んだもの。詳細は当該記事を参照。
路線データ
路線名 | 智頭線 |
---|---|
路線区間 | 上郡〜智頭 |
路線距離 | 56.1km |
軌間 | 1,067mm |
駅数 | 14駅 |
信号場数 | 1箇所 |
最高速度 | 130km/h |
単線区間 | 全線 |
非電化区間 | 全線 |
閉塞方式 | 単線自動閉塞式 |
保安装置 | ATS-P |
運転指令所 | 運転指令室 |
第一種鉄道事業者 | 智頭急行 |
路線概要
上郡駅(兵庫県赤穂郡上郡町)と智頭駅を結ぶ智頭急行の鉄道路線。
会社概要でも記載した通り、京阪神と鳥取県東部を結ぶ陰陽連絡線の一つとして鉄道公団により建設されていた未成線を智頭鉄道→智頭急行が引き継いで1994年12月3日に開業した。
地域輸送よりも特急による陰陽連絡を主としている為高速化されており、振り子機能を備えた気動車特急「スーパーはくと」は線内最高速度130km/h、「スーパーいなば」は線内最高速度120km/h(トンネル侵入時はトンネル微気圧波、所謂「トンネルドン」対策の為速度制限を受ける)で高速運転を行っている。
沿革
明治時代に陰陽連絡の鉄道路線が計画され1922年(大正11年)の改正鉄道敷設法によって智頭線の建設計画が盛り込まれた。
1964年(昭和39年)に鉄道公団が発足すると智頭線はすぐに工事開始に向けて動き出し、1973年(昭和48年)の開業を目指していた。
しかし国鉄の財政悪化により1980年(昭和55年)12月27日をもって工事が凍結されてしまう。
これに危機感を抱いた鳥取県が第三セクターによる運営を検討し、岡山県・兵庫県と共に1986年5月1日に智頭鉄道株式会社を設立。翌年の1987年(昭和62年)1月27日から工事が再開された。
1994年6月17日に社名を智頭急行株式会社に変更。6月23日には大原駅構内でレール締結式が行われ工事が完了。12月3日に智頭急行の路線として開業した。
運行形態
特急
詳細は「スーパーはくと」「スーパーいなば」の記事を参照。
- スーパーはくと・ビクトリーはくと
智頭急行の看板列車。
JR京都線京都駅・JR神戸線大阪駅〜因美線鳥取駅・山陰本線倉吉駅間に定期列車7往復と毎日運行の臨時列車1往復の計8往復が設定されている。
運行開始当初は西日本旅客鉄道(JR西日本)のキハ181系特急形気動車による「はくと」も運行されていた。
「ビクトリーはくと」は大学入試開催時に鳥取大学前発大阪行として運行される臨時特急。
- スーパーいなば
山陽本線岡山駅〜鳥取駅間で6往復運行されている。この列車の運行開始により津山線経由の急行「砂丘」が廃止され、岡山県〜鳥取県東部間の連絡路線としての機能が津山線から智頭急行に移行された。
運行開始当初はキハ181系による「いなば」であった。
ローカル輸送に徹しているが、高速走行する特急から逃げ切る必要がある為110km/hの高速運転を行なっている。
運行頻度は概ね上郡駅〜大原駅間が1〜1.5時間に1本、大原駅〜智頭駅間が2時間に1本程度である。
全線通しの運行を基本とするが、大原駅発着の区間便や因美線に直通し鳥取駅まで運行する列車も設定されている。
駅一覧
●:停車 レ:通過
※接続する路線は全てJR西日本
駅名 | 特急 | 乗換路線 | 備考 |
---|---|---|---|
上郡 | ● | 山陽本線 | |
岩木信号場 | レ | ||
苔縄 | レ | ||
河野原円心 | レ | ||
久崎 | レ | ||
佐用 | ● | 姫新線 | JR西日本管理駅 |
平福 | レ | ||
石井 | レ | ||
↑兵庫県/↓岡山県 | |||
宮本武蔵 | レ | ||
大原 | ● | 当駅発着あり | |
西粟倉 | レ | ||
あわくら温泉 | レ | ||
↑岡山県/↓鳥取県 | |||
山郷 | レ | ||
恋山形 | レ | ||
智頭 | ● | 因美線 | |
※1:特急「スーパーはくと」のみ
※2:特急「スーパーいなば」のみ
使用車両
現在の使用車両
自社車両
全て大原車両基地所属。
後藤総合車両所鳥取支所常駐の特急形気動車。特急「スーパーはくと」及び臨時特急「ビクトリーはくと」で運用中。
一般形気動車。因美線直通を含む全普通列車で運用中。
JR西日本所属
後藤総合車両所鳥取支所所属の特急形気動車。特急「スーパーいなば」で運用中。
- キヤ141系「ドクターWEST」
吹田総合車両所京都支所所属の事業用気動車(検測車)。
過去の使用車両
JR西日本所属車のみ。
- キハ181系
京都総合運転所(現・吹田総合運転所京都支所)→鳥取鉄道部西鳥取車両支部(現・後藤総合車両所鳥取支所)所属の特急形気動車。
向日町運転所→京都総合車両所時代は特急「はくと」として、鳥取鉄道部西鳥取車両支部時代は特急「いなば」や臨時特急で運用された。
関連イラスト
智頭急行線内にある「恋山形駅」は乗り場の待合室などの駅の地上設備の塗装をピンク色にした。
関連タグ
HOT3500形 HOT7000系(→7000系) キハ187系
片上鉄道 - 1970年代には同和鉱業片上鉄道の国有化と大原〜林野〜飯岡の新設により同路線を智頭線の支線として組み込む「備作線」の陳情が行われていた。