概要
『聖剣伝説3』とは、1995年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)より発売されたアクションRPG。シリーズ最後のスーパーファミコン(SFC)対応ソフト。
キャラクターデザインは結城信輝。
『聖剣伝説』シリーズの三作目にあたり、自然のエネルギーとも言える「マナ」の概念がある世界観は共通しているが、前二作との登場人物に関わる繋がりはない。
グラフィック・BGMにおいてSFCソフト最高峰との評判を得ており、主人公の一人リースが発売から20年以上も経った今現在でも根強い人気を誇る。海外では当時SNES版は出ていなかった(後述)。
仲間の組み合わせによって会話が変わるトライアングルストーリー、光光、光闇(天)、闇光(冥)、闇闇の4ルートに分化していくクラスチェンジシステムも高い評価を得ている。
前作と異なり、協力プレイは一人減った事で最大二人プレイになっている。
長らく移植やリメイクがなかったが、2017年6月1日発売のニンテンドーSWITCHソフト『聖剣伝説コレクション』にて『聖剣伝説』『聖剣伝説2』と共に収録された。マルチプレイにも対応。キャラクターデザインはHACCAN。
2020年4月24日にはフルリメイクとなる『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』が発売された。
対応機種はSWITCH、PS4、STEAM。キャラクターデザインはコレクションからの続投でHACCAN。
ストーリー
女神は聖地に眠りいにしえの神獣は石の中に宿る。
マナの力はかの石より導かれ大いなる繁栄をもたらさす。
深い悲しみと決意をもって8つのマナストーンが集うとき聖地のとびらは開かれる。
システム
プレイヤー選択
六人のキャラクターの中から主人公と二人の仲間を選択してゲームを進めていく。
また、仲間との組み合わせ次第ではイベントに若干の差異が生じることもある。
20通りのパーティー(クラスまで含めると6860通り)と、120通りのストーリーが存在する。
但し細部を捨象すると大まかなルートは 3通り。
三つの敵勢力が存在しており、選択した主人公と因縁深い敵勢力が最後の敵となる。このためラストダンジョンやラスボスも主人公によって変化する。
キャラクター育成
六人のキャラクターにはクラス(職業)が存在し、それぞれがの特性に沿ったパラメータ・技能などを持つ。
経験を積んでレベルを上げてゆき、それが一定の値に達するとクラスチェンジ(下位から上位への一方通行で、二回の選択を経て四通りの最終クラスが存在)が可能。二回目のクラスチェンジの際には専用アイテムも必要になる。
主人公
CVはLoVなどでの外部出演及びリメイク作でのもの。
本作では6人の主人公候補の中から主人公を一人、旅の仲間を二人選択する。
主人公と同時にラストボスも決定され、旅の当初の目的を完遂できるのはラストボス(とその配下)に対応したキャラクターのみとなる。
それ以外の仲間はマナの聖域での決戦において対応する勢力がラストボスの手によって壊滅するため、復讐相手が既に他の者に殺されていたり、因縁の敵の正体がわからずじまいなど、程度の差こそあれいずれにせよ締まらない結末を迎えることとなる。
そして選ばれなかった主人公はキャラクターに応じたタイミングで一行とニアミスするものの、旅を諦めて故郷の防衛に専念したり、とある真実を知ったショックで飛び出していったまま行方知れずになるなど、同行はおろか因縁の敵と対峙することすらない。
竜に挑む者達
デュラン | |
所属 | 草原の王国フォルセナ |
職業 | 傭兵 |
武器 | 剣 |
年齢 | 17歳 |
CV | 江口拓也 |
近接戦闘に特化された戦士タイプ。彼の光クラスのみ盾を装備できる。
光クラスは回復魔法、闇クラスは通常攻撃に属性を付与するセイバー魔法を中心に覚える。
魔法攻撃に特化された魔術師タイプ。
光クラスは闇以外の各属性上級魔法、闇クラスは闇属性の上級魔法やデバフ付き魔法を習得する。
幻に抗う者達
獣人王と人間の女性との間に生まれたハーフ。夜間に狼男に変身できる特殊能力を持つ。
デュラン以上に近接戦闘に特化されており、変身後の手数は圧倒的。
光クラスは回復魔法と自己バフ、闇クラスはセイバー魔法と自己バフを習得する。
人間の男性とエルフの女性のハーフ。そのため肉体の成長が遅い。
回復・支援系の魔法に特化されている。
魔を払う者達
ナバール盗賊団の一員。
攻撃力は低めだが、光闇ともにデバフの追加効果を持った技を習得できる。雑魚戦向け。
光クラスは自然に生きるレンジャー系、闇クラスは夜に潜むニンジャ系に進む。
王女でありながら自らローラントの女性兵士部隊「アマゾネス」の隊長を務める。
ステータスはよくも悪くも凡庸だが、最終クラスではクラスに応じた召喚魔法を習得する。
この他、光クラスは味方ステータス上昇、闇クラスは敵ステータス低下の魔法を習得できる。
精霊・妖精
上記イラストはリメイクでのフェアリー
CV:内田真礼
主人公に選択したキャラクターに宿るマナの妖精。
旅のナビゲートを務める。
リメイク版では、スカートの中がドロワーズだと判明した。
八精霊
- 光:ウィル・オ・ウィスプ (CV:小島幸子〈ステラとの兼ね役〉)
- 闇:シェイド (CV:伊東健人)
- 炎:サラマンダー (CV:永野善一〈妖精王との兼ね役〉)
- 水:ウンディーネ (CV:菅沼千紗)
- 地:ノーム (CV:金光宣明)
- 風:ジン (CV:伊東健人)
- 月:ルナ (CV:西田望見)
- 木:ドリアード (CV:木野日菜)
その他の登場人物
作中には3つの中立国、3つの強国、3つの闇の勢力が存在する。
強国
各強国はマナの現象や過去の歴史からくる国難や怨嗟を抱えており、そこにつけ込んだ闇の勢力は指導者の洗脳という形で国を乗っ取り、各中立国への侵攻を開始するというのがプロローグ終了時点での世界情勢となる。
アルテナはフォルセナ、ビーストキングダムはウェンデル、ナバールはローラントへと侵攻。
各強国に潜入した闇の勢力の幹部が実質的な指揮をとっている。
CV:明坂聡美
アルテナの女王にしてアンジェラの母親。
CV:中村悠一
理の女王の右腕としてアルテナ軍を指揮する魔導師。
CV:三宅健太 (ボン・ボヤジ、ボン・ジュールとの兼ね役)
ビーストキングダムの王にしてケヴィンの父親。
CV:杉田智和
獣人王に取り入る道化師のような男。
ケヴィンの親友のちびウルフ。
CV:栗津貴嗣 (ビル、じい、チキチータとの兼ね役)
ナバール盗賊団の首領。
CV:南條愛乃
フレイムカーンを誘惑し操る謎の美女。
CV:伊東健人 (ジン、シェイドとの兼ね役)
フレイムカーンの息子でホークアイとは兄弟のように育った親友。
CV:西田望見 (ルナ、ジョセフィーヌ、ミネルバとの兼ね役)
イーグルの妹。
CV:新谷真弓
ホークアイを兄貴と慕うネコ。ジョセフィーヌ(リメイク版ではクリアした一部のダンジョンの入り口でニキータとは別のネコのチキチータともにショップを開く〈チキチータが武器、ジョセフィーヌが防具〉)という恋人がいたが、シーフの自由な生き方に憧れてナバール盗賊団に入った際に別れている。
双子の忍者。ローラントの侵攻の先兵や美獣の護衛などを務める。
中立国
CV:大塚明夫
フォルセナを治める王。12年前の世界大戦ではフェアリーに選ばれた者として竜帝と戦った。
CV:森田了介
デュランの父親。12年前に竜帝と戦い相討ちになる。
CV:西村知道
ウェンデルを治める司祭でシャルロットの祖父。
CV:山下大輝
ウェンデルの神官。シャルロットの憧れの人。
CV:内野考聡 (ルガー、ベンとの兼ね役)
ローラントの王にしてリースの父親。
CV:青山吉能
ローラントの王子でリースの弟。
ローラントのアマゾネス。
邪悪なる者達
本作の黒幕達。
マナの聖域における三つ巴の決戦にて、ラストボスを首魁とする勢力によって他の勢力は滅亡する。
各勢力が各強国に幹部を一人づつ送り込み影から操っている。
ドラゴンズホール
CV:勝杏里
竜族を統べる帝王。12年前に黄金の騎士と相討ちになったはずだが…
黒き鎧に身を包んだ騎士。何故かデュランの事を知っている。
ミラージュパレス
CV:武虎 (ホセ、ワッツとの兼ね役)
世界を死の世界に変えようと目論む闇の神官。
ウェンデルのある神官が闇に染まった姿。
ダークキャッスル
CV:近藤隆
魔王から力を与えられた魔界の王子。
CV:内匠靖明
赤い目の男。闇市場である少年を購入する。
神獣
太古の時代に世界を危機に陥れた存在。
マナの女神によって打倒され、八体に分割されてマナストーンに封印された。
神獣の封印が解け八体が再び一つに戻る時、世界は滅びると言われている。
ゲーム上では倒す順番が後になればなるほど覚醒して強くなるため、自身のパーティの育成状況を見て倒す順番を考えることが必要。
リメイク版では即死級の威力の攻撃を放つため、これを阻止できるかどうかが勝敗を分ける。
モンスター
※記事のあるものを一部抜粋。これ以外は「聖剣伝説シリーズのモンスター一覧」を参照。
リメイク版追加エピソードの登場人物
あまりにも強力なクラス3に対して秘密のアイテムなしではクラスチェンジできないよう
封印したとされる古の大魔導士。本人は既に滅んでいるが、全ての知識を一冊の本に閉じ込めて
フォルセナの図書館で眠りについていた。大魔女アニスの目覚めに応じて覚醒。
偶然自らを手に取った主人公たちにアニス打倒を依頼する。
マナの女神ある所に遍在するという大魔女。
マナの女神の危機に際して復活し、女神の作りし世界を滅ぼそうとする。
『TRIALS of MANA』での変更点・追加要素
【変更点】
- 一人プレイ専用になった。
- キャラクターボイス実装。
- キャラクターの名前が変更できなくなった。
- グラフィックが2Dからフル3Dに改められた。
- ジャンプやコンボが実装。よりアクションゲーム要素が強くなった。
- ステータスから命中率と素早さの概念が取り下げられ、敵の攻撃は回避ボタンで躱すようになった。これに伴い、魔法「スピードアップ」「スピードダウン」は廃止。また「土遁の術」等の素早さに関する追加効果も無くなった。
- ダメージ及びHP上限が上がり、一発のダメージ量や最大HPが999でカンストしなくなった。
- ボス戦にギミックが追加され、旧作と大幅に勝手が異なる。
- 攻撃魔法の全体化が範囲内攻撃に変更。取得すると自動的に範囲内攻撃になる。忍術は全体攻撃のまま。
- レベル上げが緩和された(ストーリークリア後に全員の獲得経験値が+300%〈=4倍〉になるアビリティも習得するため輪をかけて緩くなっている)のでクラス2にチェンジするのが容易に。またクラス3になるための「???の種」は、神獣がいるダンジョンの特定の雑魚敵が落とすようになった。
- クラスの性能に調整が入り、使い勝手が概ね均一になるように変更された。
- ドラゴンズホール以外のルートでもブラックラビと戦えるようになった(最終ダンジョンクリアが条件)。加えて出現場所までワープできるギミック(マナの聖域でのラストバトルの時に聖域に行く前にダンジョンに戻ると入り口にブラックラビの石像があり、調べるとブラックラビとのバトル場所の近くにワープする)も存在する。
【追加要素】
- 難易度選択が実装。設定により敵の攻撃力・防御力が上下する(HPは不変)。オプションからいつでも設定可能。
- 戦闘や移動中に仲間同士で掛け合いするようになった。誰を主人公にして、誰を何番目の仲間にしているかで内容が変化する。
- 主人公や仲間と因縁のある人物との戦いでも掛け合いが発生する。ただしデュランとアンジェラを連れた状態にするとデュランと相手の台詞が優先され、アンジェラの掛け合いが聞けなくなる。
- 割り振ったステータスポイントは、ブラッケマーケットでお金と引き換えに再振りが可能となった。
- 特技の他にアビリティが追加された。セットすることで効果を発揮する。特定のNPCと話すことで取得できるリンクアビリティというものもある。
- クラス4が実装された。エンディング後の追加エピソード内にて昇格可能となる。
- 強くてニューゲームが実装された。追加エピソードをクリアすることで選択可能となる。装備、アイテム、所持金、Lvが引き継ぎ可能。クラスは1に戻される。
- 経由したクラスのコスチュームに変更可能となった。強くてニューゲームには持ち越せない。
- クラスチェンジした後もクラス1に戻すことが可能となった。ただし、個数限定の超貴重品『女神の天秤』を消費するため、必然的に戻せる回数も限られている。一周で6個入手できる。
- 種を植える植木鉢にLvが設定された(MaxLv5)。種を植えてLvが上がれば上がるほど敵の種のドロップ率と種を植えた際に良いものが実る確率がアップする。
- 種を植えた際に装備品が出現するようになった。これに伴い、『武器防具の種』は廃止。
- サボテン君探しが実装された。50ヶ所にいるサボテン君を見つけると5回見つけるごとに便利な特典をつけてくれる(宿屋無料、経験値がたまに2倍、3倍など)。
【小ネタ】
- 主人公共通の台詞がキャラの性格を感じさせるものに直された。例えばSFC版での「でへへ…バレタか…」の台詞は、ToMリースだと「えへへ…バレちゃいましたか…」と発言する。
- リース編OP&追加エピソードに登場するアルマや黄金の騎士ロキが聖剣伝説HOM準拠の容姿になった。前者はSFC版より若く、後者はデュランと同じ髪の色に。
【リメイク版のみのバグ】
(※バージョンアップ等で解決した場合は記述の削除を推奨)
- 黄泉がえりバグ … ビル&ベンは片割れを倒しても30秒以内にもう片方を倒さないと「黄泉がえり」によって復活するが、二戦目(火炎の谷前)で「黄泉がえり」が発動するタイミングで勝利すると、ボスが死なず行動し続けるにも関わらずステータス上は死亡扱いとなり、お互いの攻撃も当たらないため戦闘が終わらなくなってしまう。こうなるとロードする以外にないので直前のセーブは必須。
- 自爆しないバグ… 零下の雪原で出現するマシンゴーレムSを二体同時に倒した場合、片方が爆発しないため戦闘が終わらなくなることが確認されている。三体目を倒すと自爆したという報告があり、パーティーが強化されている二周目以降は注意が必要。
- 他にもボスが透明になったまま殴れなくなるというバグの報告がされている。
関連イラスト
評価
キャラクター・グラフィック・BGMといったゲーム性とは違う部分で人気の作品(所謂、キャラゲーの走り)だが、何度もプレイしたくなるシステム面も魅力的である。
前作の2は、ゲーム性が良かった分、NPCのキャラ立ての弱さが惜しまれていた(3とは真逆の評価だった)ので、あっちが立てばこっちが立たず状態だったのは間違いない。
前作の2はPC三人がオーソドックスな性格であり、「PC三人=プレイヤーの分身」というスタンスが強調されていたが、本作は主人公6人の個性が確立していて、良くも悪くもやんちゃでエロティックなキャラが多く「第三者視点」というスタンスになっている(3なだけに)。
だが、リメイク版では2は3人組を俯瞰で眺めるアングル、3は操作キャラを背中から見るアングルが使われていて、2も3もどっちも自己投影視点&第三者視点が公式設定なのが分かる。
余談
二次創作でカップリングが人気なのは本作が(トライアングルストーリーになぞらえて)三角関係のシステムを入れようとしていた名残りという噂があるが、定かではない。
EDに登場する天の川が何のメタファーなのかは解釈が分かれている(マナの女神の母性愛を表しているという説、少女の胸の成長を表しているという説、本作で成立したカップルが織姫と彦星のような関係になってしまった説、本作とプレイヤーが織姫と彦星のように引き裂かれ、移植・リメイクまでの道のりが長くなってしまった説など)。とにかく三作目にして『3』がつく要素が多い上に、海外では「コレクション」で初めて『3』そのものが登場しただけでなく、その3年後にリメイクが出るという始末。
海外における第3作
先述したように本作は海外では当時のSNES版が発売されていない。その代わりに聖剣伝説2のシステムを用いた全くの別作品『Secret of Evermore(以下SoE)』がスクウェアUSAによってリリースされている。
ただし、『SoE』は聖剣伝説シリーズに含まれていない。聖剣伝説2ベースでありながらFFのキャラクターもゲスト出演している。
日本未発売のため当時は殆ど情報が無かったが、現在では検索するとある程度の情報やプレイ動画を見ることができる。
聖剣伝説コレクションの海外版リリースでようやく海外でも聖剣伝説3が登場する事となったが、逆に『SoE』は現在でも日本語ローカライズされて移植もしくはリメイクはされていない。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIALでリメイク版発売をPRする形で「竜に挑む者達」「幻に抗う者達」「魔を払う者達」のカップリング三組が期間限定でスピリットとして参戦する。スクエニ組ではドラクエ組以来久しぶりのシリーズ作品である。
※全てACE(☆3)レベル。
- デュラン&アンジェラ→前座にラビを模したカービィが二体出現。撃破後にロイとゼルダが出現。射撃タイプのファイターの攻撃は反射してくる事がある為注意。
- ケヴィン&シャルロット→ガオガエンとルフレ(♀)が登場。反射を付加しておくとルフレに対策可能。
- ホークアイ&リース→シークとMiiファイター(剣撃)が登場。両者とも素早い上にリースであるMiiファイターの先制攻撃を開始早々避けないと餌食になる。地震も頻繁に発生する為注意。
外部リンク
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- 聖剣伝説HOM:3の19年前を舞台にした外伝だが、矛盾点が多い。3を知らなくても楽しめるようになっている。また、リメイク版トロフィーの中に『HEROES of MANA』がある。
関連動画
『聖剣伝説コレクション』公式プロモーションムービー
『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』TGS2019トレーラー