マジムン
まじむん
マジムンとは沖縄県や鹿児島県の島嶼部で伝承される、妖怪や悪霊の総称である。
概要
様々な動物が化けたものが伝わるが、器物が化けた付喪神のようなものも含まれる。
なお奄美群島の一部では実在の毒蛇ハブもマジムンだといわれているという。
直進しかできないといわれ、沖縄では丁字路や三叉路に魔除けの石敢當を設置して、家に入られるのを防いでいる。
一覧
この項では奄美群島の怪異や、信仰される来訪神、精霊も記述する。
マジムン
- アカングワー・マジムン(赤ん坊マジムン):四つん這いでやってきて、股下をくぐられると命を奪われてしまうという。
- アフィラーマジムン(アヒルマジムン):片足のアヒルの姿で股下をくぐろうとする。
- イシャトー・マジムン(カマキリマジムン):片足で立つ人ほどの大きさのカマキリ。
- イングワー・マジムン(犬マジムン)
- ウワーグワー・マジムン(豚マジムン):夜に男女が三線などで遊ぶ「毛遊び」に、人に化け飛び入りしてくることがあるという。また奄美群島には股下をくぐられると命を奪われてしまうカタキラウワ(片耳豚)、ミンキラウア(耳無豚)、ムィティチゴロ(片目豚)、琉球にはユナワ(夜の豚)、脚の無いハギキラウヮークヮと呼ばれるものが伝わる。
- 牛マジムン (龕の精/棺のマジムン):棺をかつぐ龕(がん)という道具が牛に化けたもの。馬に化ける場合もあり、人に襲い掛かってくるという。
- ジュリグヮーマジムン(遊女マジムン):遊女の墓から三線やうめき声のような歌が聞こえてくるという怪異。香ばしい匂いがするので見に行くと、井戸で髪を洗っていることもあるという。
- チニブ・マジムン(竹垣マジムン)
- トウィ・マジムン(鳥マジムン)
- ハーメー・マジムン(老婆マジムン)
- パシー・マジムン(箸マジムン):流しで洗っていると魚に化けて逃げてしまうといわれる。
- ヒチ・マジムン/シチ/シチマジムン:道の辻にあらわれ人を迷わせる幽霊(ユーリー)の一種。神隠しをおこしたり、黒い壁の様な姿で道を塞いだりする。
- ピンザ・マジムン/ヒージャーマジムン/ピーシャーヤナムン(山羊マジムン):脚が一本無いため片足ピンザとも呼ばれる。棺のマジムンが化けている場合もある。
- マヤーマジムン/我如古のバケマヤー/オーナチマヤー(猫又/化け猫)
- ミシゲー・マジムン/ナビゲー・マジムン/飯笥(しゃもじ/杓子マジムン):夜中に騒ぎ声や音楽が聞こえてきたりするのはこのマジムンの仕業であるという。
- アカガンター
- アカナー:キジムナーの弟といわれる月に住む精霊。
- アカマタ
- 天底の幽霊(のっぺらぼう)
- アムログオナグ:奄美大島に伝わる死者の霊魂。アモレオナグ(天降女子/天女)が語源といわれる。
- イチジャマ/イキマブリ/イチマブイ(生霊)
- イナフクバア(稲福婆):元はノロだったが海の底のギライカナイに攫われ、貝ばかりを食べさせられ体中に貝殻が生えた異形になったが神力を得て長生きをした。
- イニン・ビー(遺念火)
- インガマヤラブ/インガマヤラウ:ヤラブの樹の精霊。彼らの住処を焼いて追い出したものはマラリアを送られ滅びたという。
- インガメ(犬神)
- インマーザァービ:「夜間に海浜を過ぎる火」という意味の下半身が真っ赤な妖怪で、長い髪を持つ。
- インヌ(犬):インヌ フィー クーテ アッチュン(火を咥えて歩く犬)と伝わる。
- インネン(憑き物)
- インマオ/インミャオ(死神):地区によりインマホとも呼ばれる。耳が垂れた犬のような姿で、これが現れると死期が近いとされる。
- ウクサングワーユーリー
- ウチャタイマグラー(御茶多理真五郎):厄除けのムーチー(餅)を取ったり腐らせるという幽霊。死後も墓から得意であった相撲や三線の音が聞こえてきたという。
- ウテンチョロー
- ウトゥマチビ(夫待火):動物の怪で夫の帰りを待つ。
- ウニ(鬼)
- ウミフサギ:奄美大島に伝わる怪で、舟の前に急に山が立ちふさがるが念仏を唱えると消え去る。
- エギリドリ(疫痢鳥):疫病を流行らせる夜飛ぶ鳥。
- 大鯖
- ガーナームイ(ガーナ森)
- カムロー
- カンテメ(かんつめ)
- キーヌシー:樹木の精霊全般。
- キジムナー/セーマ/アカカナジャー
- 金武の儀部鉄人
- クイキリウシ/首切牛(首無牛)
- クチフラチャー(大蛇)
- ケンムン/クンモン/クンム/ネブザワ/ヒーヌムン/イッシャ/ワラベッグワヨナモン
- 子育てユーリー
- ゴリラ女房/ゴリラ婿
- ザン(ザン・マジムン)/ザンノイオ/アカンガユー:人魚。
- 逆立ちユーリー
- ジーワーワ:夜に豚に化ける石。
- シマーブー:喜界島に伝わる夜道を歩いていると、突然枝のようなものを広げて道を通れなくしてしまう怪。
- シャッキナムン:渡名喜島に住む長い舌を持つマジムン。
- シューウワー:沖永良部島の真っ白い豚のマジムン。
- ズリ:首だけのマジムン。
- チーノウヤ/乳の親
- チグトゥ:死の予兆。
- チャーシ:海のマジムン。
- チュンチライ:奄美大島に伝わる人面魚のごとき怪魚。
- チリモヌ/ザヒモン:奄美大島に伝わる死人の寝かされたござの下に宿るといわれる子豚や猫に似たもの。
- トヂ・マチヤー・ビー(火の玉)
- 仲西ヘーイ/仲西
- 芭蕉精
- ハナモー(無鼻の怪)
- ピキンキル
- ヒザマ
- ビタン
- ファチハンバ(鉢かぶり/河童)
- フイー・ダマ(人魂)
- 布団の怪
- ブナガヤ
- へいろつぱあ:喜界島に住む虎の身体の人語を解する人面獣。海上を走りウミヘビを食う。
- マー:牛の鳴き声のマジムン。
- マチュマーイ:渡名喜島に住むマジムン。
- ミミチリボージ(耳切坊主)
- ミンドン:奄美で子供が泣いたりむずかったりすると耳を取りに来るといわれた。
- ムヌ/ムン(神隠し)
- メリマツノカワラ:女神と人の間に生まれた鬼の様な異形の子。
- ヤナムン(悪霊)
- 屋良ムルチのジャー(大蛇)
- ユーリー(幽霊)
- ユナーメー:髪の毛がぼうぼう生えたマジムン。または石川家に伝わる夜泣きを治める木面。
- ユナバルヤージー(与那原屋宜):男のマジムン。
- ヨーラサー(ピーフキトゥリ):火を吹く鳥。
- ラッキーオバケ:沖縄県宜野湾市から寄せられた噂として学校の怪談の本で紹介された都市伝説妖怪。普段はマンホールの中に潜んでおり、午後七時七分七秒になると出てくるとされる。ラッキーオバケという名前だがこれに遭った者は不幸になるという。
- ワーウー:恐ろしい顔のマジムン。醜男、醜女のことも指す。
- ヲウキチウ
- ンマチ:奄美大島の亡魂。