「余はギベルス…全宇宙を支配する最後の天才。日本は我らが占拠した!」
DATA
概要
劇場版『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』に登場するボスキャラクター。
全宇宙の支配を企む、ゾゾギガ星人の悪のマッドサイエンティスト。
本作でクリオシティを襲った事件は、彼の製作した侵略装置の影響らしい。
ディナスによれば「最も効率の良い侵略手段を模索するための実験」との事で、それもまた「惑星をただ単に滅ぼすのではない、一番美しい侵略方法の研究」の過程に過ぎないという、これまでの異星人とは異なる面を持っている。
地球人を「スフィアを倒した勇敢な種族」と一定の評価をしつつもその力に目を付け、自身の野望のために道具として利用しようと目論んでいる。
数多の宇宙人達による混合編成部隊を従えている他、自身のラボであり戦闘要塞「実験要塞艇ゾルガウス」を戦力として保有している。
さらに、自身の肉体を巨大化・変質させて「皇獣」と呼ばれる怪獣にも変身できる能力を持つ。
外見
ダダのような白黒の縞模様の体に、モンスアーガーのような質感の赤い外骨格が浮き出たような容姿をしている(シルエットから、「鎧を纏ったワロガみたい」と例える意見も)。
青い両目と、中央にゼットンに似た発光器官を持つ顔立ちで、両手の指は三本ずつ。
背中には着脱可能な黒いマントを着用している。
余談
令和シリーズにおける着ぐるみ有りの新規宇宙人は、(闇の三巨人やアブソリューティアン等を除けば)バロッサ星人に続いて2体目。
その上で劇場版作品が初出なのはギベルスが初となる。
声を担当する中尾氏は、『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』のナックル星人役以来の出演となり、敵の宇宙人役を双方で演じる事になった(ギベルスの顔立ちも、どことなくナックル星人に似ていなくもない)。
ちなみに中尾氏は以前にも『ウルトラQ』第13話で子役としてゲスト出演しており、『ウルトラマンG』でも吹き替えとしてゲスト出演している。
前者はウルトラマンスコットの声を演じた古谷徹氏も子役としてゲスト出演し、古谷氏とは『ドラゴンボールZ』等でも共演している。また、本作の主題歌を担当しているのは『ドラゴンボールZ』でも主題歌を担当した影山ヒロノブ氏で、作者の鳥山明氏は大のウルトラシリーズのファンである。
「スフィア戦後の太陽系に襲来」、「宇宙のマッドサイエンティスト」等、ギベルスの立場は『ウルトラマンサーガ』でネオフロンティアスペースやフューチャーアースを襲撃したバット星人を彷彿させる。
ある意味、またしてもかの世界と同じような事件が発生したと見る事も出来るが、バット星人とは違い、ギベルスは本作の世界の地球そのものを狙っている。
なお、ウルトラマンデッカーが放送された2022年はサーガ公開からちょうど10年経つため意識はしていると思われる。
ウルトラシリーズに登場する地球侵略を目的とした宇宙人は、(製作サイドの事情がやや異なる『シン・ウルトラマン』を除けば)『ウルトラマンタイガ』に登場したゼラン星人オショロ以来となる。
関連タグ
バット星人、レイフ星人サイキ、チブル星人マブゼ:ウルトラシリーズのマッドサイエンティストの宇宙人繋がり。
パラダイ星人、ジャダン:ウルトライブ等を除いた、怪獣に変身できる宇宙人繋がり。ただし、この両名は2人の宇宙人の合体変身であり、対するギベルスは単体で変身するという違いがある。
チェーン星人:『デッカー』のモチーフとなった『ウルトラマンダイナ』において、元々は「スフィアに変わる新たな敵」として想定されていた宇宙人。この事から、本作のギベルスの立ち位置は彼らの初期案がモチーフの可能性もある。
フリーザ:中尾氏が声を担当する、全宇宙の侵略者繋がり。こちらは地上げ屋かつ帝王だが、巨大な宇宙船を所持し、多数の部下を持つ事から立場上ではほぼ近い存在だが、全宇宙の支配はある程度達成されていた。
涅マユリ、シーザー・クラウン:同じく中尾氏が声を担当する、マッドサイエンティストのキャラクター繋がり。
プロフェッサー・ギル:特撮界のマッドサイエンティスト繋がりで、名前が似ている。
エージェント・アブレラ:同じ中の人が演じた特撮悪役繋がり。
???(※ネタバレ注意):同年公開の映画に登場したキャラクター。中の人が同じで、かつマッドサイエンティスト繋がり。
イーヴィルトリガー ⇒ プロフェッサー・ギベルス
※以下、映画本編のネタバレ注意!
「地球人よ…スフィアを打ち破った勇敢な種族よ。
諸君の精神エネルギーと怪獣の精神エネルギーを融合させ、肉体に戻し、さらに優れた存在へと進化させてやろう。
そして、余の配下となるのだ!フハハハハハ…!!」
劇中で明かされたその本性は、自らを「全宇宙を支配する最後の天才」と豪語する傲慢なマッドサイエンティストにして、宇宙に存在する全ての知的生命体を自らの道具や兵器としか思っていない自己中心的な人物。
そして彼が地球を狙った真の目的は、スフィアを打ち破った人間の精神力に着目し、実験により優れた精神力を持った人間と高い生命力を持つ怪獣を融合させ、宇宙最強の兵器として自身の手駒にする事であった。
「最高の知能と、最強の肉体と、最上の美を持つ命こそが宇宙を支配するのに相応しい」という歪んだ思想を持っており、ただ武力を行使するだけでは飽き足らず、「最も美しい侵略方法」を求めてその確立のための実験として数多くの星に降り立ってはそこを勝手に実験場にした挙げ句、自身の発明品やその恩恵を受けた部下の宇宙人達に蹂躙させ、何の罪もない現地民や原生怪獣達の命を奪うといった行為を繰り返してきた、まさに「悪逆非道」という言葉を体現したかのような生粋の大悪党である。
序盤は配下の異星人軍団に任せっきりだったが、TPU本部占拠にあたって遂に自ら地上へ降臨。銀河皇獣ギガロガイザに変身し、「ウルトラマンの成り損ない」であり、直前にイカルス星人との戦闘で満身創痍となっていたウルトラマンディナスを一方的に叩きのめし、変身解除させた。
その後、全世界に自身の姿を幻影として上空に投影する事で宣戦布告し、人類を絶望の淵へ叩き落とそうとした。
しかし、グレゴール人グレースとメトロン星人ナイゲルにより救出されたムラホシとカイザキがカナタ、イチカ、リュウモン、ディナスに加勢。グレース、ナイゲルも加わり異星人軍団を撃退させられ、本部とナースデッセイ号を奪還されたため一人逃走するも、カナタ達に追跡される。
しかし追い詰められたところで再びギガロガイザに変身、ナースデッセイ号、GUTSグリフォン、テラフェイザー、ウルトラマンディナスと交戦した。数的には不利な状況にもかかわらず、ゾルガウスを利用して相手を翻弄し、さらにゾルガウスと合体して銀河要塞獣ゾルギガロガイザへと変貌。
その力でナースデッセイ号とGUTSグリフォンを撃墜、テラフェイザーとディナスを圧倒し、「そんなに死にたいか!?ならお前からだ!」と吐き捨ててディナスにトドメを刺そうと放った自身の光線からディナスを庇ったテラフェイザーを機能停止させ、カナタを意識不明の重体へと追い込み、怒りに燃えるディナスをも一蹴、再び変身解除させた。
そして悲しみに暮れるGUTS-SELECTを嘲笑うかのように、邪魔者がいなくなった事で高笑いを上げながら、街を蹂躙して破壊し尽くそうとした。
しかし、カナタはGUTS-SELECTの仲間達と、ディナスの絆の力で復活し、ウルトラDフラッシャー、デッカーのウルトラディメンションカードも復元され、ウルトラマンデッカー・フラッシュタイプへの再変身を許してしまう。
デッカーとの最終決戦では、相変わらず圧倒的な力と分離したゾルガウスとの連携でデッカーを追い込むが、ここで再起動したGUTSグリフォンとナースデッセイ号、テラフェイザーが参戦。即座にゾルガウスをGUTSグリフォンとナースデッセイ号に対応させたが、空中戦の末にゾルガウスが破壊された事で一気に形勢が不利となり、焦ったギベルスは撤退を選択する。
しかし、カナタ=デッカーがそれを許すはずがなく、大気圏外まで追跡された末に、口からの光線で応戦。両者は必殺光線の激しい撃ち合いとなる。
「くっ…!何故、余が地球人如きに…!?貴様は何だ!?地球人…?ウルトラマン…?貴様は…貴様はぁッ!?」
カナタ「俺は…アスミ・カナタ!ウルトラマンデッカーだぁぁぁぁぁぁッ!!」
しかしその甲斐も虚しく、ギベルスはデッカーの放ったセルジェンド光線に競り負け、最後まで自分の敗北を受け入れる事が出来ないまま、ギガロガイザもろとも爆散。
生き残った手下の宇宙人達もナイゲルとグレースによって拘束され、軍団は事実上壊滅した。
こうして、人類の強い精神力が自分の研究の枠に収まらない事に気付けなかった宇宙最悪のマッドサイエンティストの野望は、被験体のモルモットとしか見ずに見下していた地球人と、その精神力により呼び覚まされたウルトラマンの力によって完全に打ち砕かれたのであった。
真の関連タグ
モネラ星人:『ダイナ』の劇場版に登場した宇宙人。彼らの敗因もまた、人類の精神力の強さを侮った結果、その想いに応えたウルトラマンの登場を許してしまった事が原因であった。