プロフィール
生年月日 | 2019年2月11日 |
---|---|
欧字表記 | Onyankopon |
性別 | 牡→騙 |
毛色 | 鹿毛 |
父 | エイシンフラッシュ |
母 | シャリオドール |
母の父 | ヴィクトワールピサ |
生産 | 社台ファーム(北海道千歳市) |
主戦騎手 | 菅原明良 |
管理調教師 | 小島茂之 (美浦) |
馬主 | 田原邦男 |
父は2010年の日本ダービー馬、そして天覧競馬となった2012年天皇賞(秋)を制し、ミルコ・デムーロ騎手の下馬最敬礼のエピソードでも知られるエイシンフラッシュ。種牡馬としてはこれまで地方重賞馬を出すに留まっていたが、国内では珍しいドイツ色の強い血統と種付け料の安さもあって人気を博している。
母父ヴィクトワールピサはエイシンフラッシュと同期の皐月賞馬。2011年3月、東日本大震災により日本中が悲しみと混乱に包まれる中、ドバイワールドカップの制覇で競馬ファンを超えた勇気を与えた事績で知られる。
母シャリオドールは6戦0勝で繁殖入りしたが、祖母サプレザはイギリスのマイルGⅠ・サンチャリオットステークスで3連覇を果たした名牝。シャリオドール以外の産駒に、2020年の毎日杯を制したサトノインプレッサ(父ディープインパクト)がいる。
馬名について
「オニャンコポン」は、JRAの馬名登録によると、アカン語で「偉大な者」を意味する。
そのなんだか可愛らしい響きの名前から珍名馬としてよく話題に挙げられるが、元々はアフリカ・ガーナの民族アシャンティ人の神話に登場する天空神の名前である。
が、馬主の田原邦男氏は自身のTwitterで、彼が出走するたびに「さあ…頼んだよオニャンコポン」「さあ、立ってオニャンコポン」と激励のコメントをつぶやいている。この台詞に見覚え、聞き覚えはないだろうか?
……実はこの馬、一度馬名登録変更された経歴がある(競走馬は、レース初出走前に限り、たった1度だけ馬名変更手続きが許されている)。変更前の名は、「レオンハート」。……やっぱり進撃の巨人由来じゃないか!!
ちなみに、JRAも「わかってる」のか、上の22年日本ダービー出走馬紹介の動画では「今こそ天空飛び立ち、進撃の時」というキャッチコピーでオニャンコポンを紹介している。
戦績
デビュー前
誕生後は、2019年のうちに日本最大級の競走馬セリ市「セレクトセール当歳の部」に上場。
後にオニャンコポンを担当することになる小島茂之調教師は、雑誌「Number」のインタビューで、「(セール前の下見のメモに)“胴が長い。歩きはいい”と書いてありますが“線が細い”と。ヒョロッとした馬は馬主さんに好まれないので、積極的には推薦しませんでした」と語っている。
しかし、馬主の田原邦男氏はどこかビビッと来たものがあったようで、860万円で落札。この日落札された192頭の中で4番目に安い取引額となった。
育成を経たオニャンコポンは2021年、JRA美浦トレーニングセンターの小島茂之厩舎に入厩。競走馬人生の第一歩を踏み出した。
しかし、黒光りする馬体のグッドルッキングホースだったエイシンフラッシュの面影はなく、「馬体も馬相も毛色も全然違う。初めて美浦に来た時も、どこさの田舎から出てきたの?という感じでおっとりしていました」と小島師は語っている。
しかし、調教が本格化すると、5ハロンで約70秒のタイムが基準のウッドチップコース調教で無理せず67秒台を記録するなど、その素質が開花していく。
主戦となる菅原明良騎手も、「2歳にしては体幹がしっかりしていました。多くの馬に乗せていただいた経験から、この馬は走りそうだぞ、と。体が柔らかくて乗り心地がいい。乗っていて気持ちいいんです。そういう馬は多くありません」と語っている。
デビュー~2歳時
デビュー戦は2021年9月11日、中山第5レース(芝2000m)。単勝オッズ32.0倍という低人気ながら、スリーエクスプレスを下して1着となった。
第2戦目は11月7日の東京9R・百日草特別(芝2000m)。
この百日草特別、2020年勝ち馬は2021年年度代表馬エフフォーリア、2019年の2着はエリザベス女王杯馬アカイイト、2018年はトーラスジェミニ(のち七夕賞)、2017年はゴーフォザサミット(のち青葉賞)、2016年はカデナ(のち弥生賞など)……。ごく普通の1勝クラス戦ではあるが、近年勝ち馬・入着馬から後の重賞馬を高い確率で輩出している出世レースである。オニャンコポンは2番手好位先行から、最後はホウオウプレミアの追撃をクビ差凌いで勝利。
2連勝で陣営が次に選んだのは、初の重賞かつGⅠであるホープフルステークスだった。
ホープフルステークス
いざ迎えたホープフルステークス。単勝オッズ17.3倍の6番人気でレースに挑んだ。
ゲートが開くと4番手につけて様子をうかがっていたものの、最終直線で沈んでキラーアビリティの11着と敗北を喫する結果となった。
3歳時
京成杯
年の明けた2022年、3歳となったオニャンコポンは初の重賞制覇を狙い、京成杯(GⅢ・中山芝2000m)に出走登録を行う。
単勝オッズ13.2倍の6番人気だった。
好スタートを切ったオニャンコポン。
いったん先頭に取りつく気配があったが、中団付近に下げ、前の出方を見ながら脚を溜めていく戦法を選んだ。
最終コーナーを曲がって直線に入ったところで末脚が炸裂。2着のロジハービンに1と1/4馬身差をつけて初の重賞制覇を飾った。
父エイシンフラッシュも2010年の京成杯で重賞初勝利を挙げており、産駒初の中央重賞制覇が父子制覇となった。
ちなみに、この勝利に対し先述のように「進撃の巨人」公式が反応しているほか、カンテレが京成杯の動画に「進撃のオニャンコポン!」というタイトルをつけたり
東スポの公式Twitterアカウントがレース前に「さあ…頼んだよ」とつぶやくなど、各報道会社全力で進撃の巨人ネタでイジりに来ている。
また進撃の巨人のアニメ公式も、「祝 第77話は今夜放送です」との投稿を、劇中キャラクターの方のオニャンコポンの画像付きで投稿している。
皐月賞
京成杯の勝利によって春のクラシック戦線での出走枠確保は確実となり、また1戦挟むと日程が中途半端になるので、そのまま皐月賞に直行した。
父エイシンフラッシュも京成杯制覇から皐月賞に直行し、11番人気から3着に食い込んでいる。そしてそのレースを制覇したのが母父ヴィクトワールピサである。枠順抽選会では父の皐月賞と同じ6枠11番を引き当てた。
この年の皐月賞は18頭中6頭が単勝オッズ10倍を切るという混戦予想となっており、オニャンコポンは8番人気(19.0倍)。
本馬場入場時の各馬紹介では
という紹介があり、進撃の巨人ファンたちを湧かせた。
レースは後方集団で道中を進み、4角からドウデュースと並んで差し脚に懸けたが、先行集団には届かず6着に敗れた。優勝はジオグリフ。
菅原騎手は「1コーナーでギクシャクしてしまった。もっと上手くスムーズに乗れたら。小さなことでしたが、レースでは大きな差になってしまった。終いもいい脚を使うし、力があることがわかった。これからもっと頑張っていきたいです」とコメントした。
日本ダービー
そしていざ迎えたダービー。
スタートを難なく決めると、内側でジオグリフ、ダノンベルーガと並んで中団から前を狙う形となった。
しかし、内にいたために最終直線で上手く抜け出せず、仕掛けるのが遅れてしまう。
結果はドウデュースの8着。レースレコードを更新する2:21:9というタイムのハイペース決着となった。
ちなみに、本馬場入場恒例の進撃の巨人を絡めた紹介は
- 「日本ダービーに進撃の巨人。さあ頼んだよ。オニャンコポン」
(ラジオNIKKEI)
- 「夢のスターダムは、今日という日に繋がりました!いよいよ進撃の巨人と化すオニャンコポン!さあ頼んだよ!ダービー初騎乗4年目菅原明良!」
(フジテレビ)
とかなり直球である。
ダービー以降
夏を休養にあて、秋はセントライト記念から始動。京成杯・皐月賞の結果から中山競馬場の適性が高いとみられ、アスクビクターモア、ローシャムパーク、ガイアフォースに次ぐ4番人気に推された。これまでとは異なり前目から先行策をとったが、先にスパートをかけたアスクビクターモアを追走しているさなかスタミナが切れ、最終直線で苦しくなり9着に沈んだ。
セントライト記念で距離の壁にぶつかったことから菊花賞を回避し、次走には11月の福島記念を選択した。初めての古馬との対決とはいえ、54kgのハンデもあってアラタに次ぐ2番人気を集める。中団よりやや後方にじっくりと構え、最終直線で末脚を生かす形にしたが、先頭のユニコーンライオンや先行したサトノセシルを捉えきれず4着に敗れた。
凡走が続いた事や年齢を重ねる毎に気性難が顕在化した事で陣営は去勢を選択。
余談
3代の絆
クラシック戦線へ挑むことになったオニャンコポンは山元トレーニングセンターで準備をするのだが、この時担当した吾田一也氏はなんと父のエイシンフラッシュ、母父のヴィクトールピサの双方も担当しており、まさかの親子3代に渡る縁を結ぶ事となった。
ダービー前の特集番組におけるインタビューで吾田氏は「血統表を見た時ゾワっとした」と語っている。
ネット上での人気
オニャンコポンがデビューした2021年はウマ娘プリティーダービーがリリースされ、そこで彼の父であるエイシンフラッシュもウマ娘として登場している。ゲームでフラッシュを知ったウマ娘ファンが史実を知り、まさにそのタイミングでデビューした産駒ということでネット界隈でも知名度が一気に広まった。
「日本人にとって印象深い名前」「進撃の巨人パロディ」「父のウマ娘登場・知名度向上から連動した知名度上昇」「それらの認知に対する実績達成」と、うまくかみ合った結果からその人気を着実なものとしている。
関連イラスト
関連タグ
ジャスタウェイ(競走馬)…漫画・アニメ由来の珍名馬の代表格。JRAには「その道」という意味で登録しているが、実際は馬主の大和屋暁氏が当時参加していたアニメ「銀魂」に登場するアイテムが真の名前の由来。しかし隠しきれておらず、現役当時から銀魂ネタでいじられており、JRA名馬の肖像に添えられたポエムにもちゃっかり「銀魂」の文字が縦読みで仕込まれている。天皇賞(秋)と安田記念で勝利した他ドバイデューティーフリーを圧倒的なレコードタイムで制しJRAヒーロー列伝に選出、ワールドベストレースホースランキングでも1位を獲得したれっきとした世界的名馬で、ハーツクライの代表産駒の1頭。
テイエムプリキュア…アニメ由来の珍名GI馬第1号。由来は『ふたりはプリキュア』で、馬主の娘が命名した。こちらは馬名の由来を「冠名+キャラクター名」と登録しており、初めから隠す気がない。こちらも阪神ジュベナイルフィリーズを制覇したれっきとした名馬で、パラダイスクリークの代表産駒の1頭。
ブラックエンブレム…田原氏の所有馬で、同じ小島調教師が管理していた。2008年のフラワーカップ、秋華賞を制した。