概要
ゲーム『スプラトゥーン』シリーズに登場するシュータータイプのブキ。
名前の通りシャープマーカーと対になるブキで、先端が細く尖っているあちらに対し、こちらは漏斗状に大きく開いたマズルパーツが付けられ、ラッパのような格好をしている。
製造はツカサ電器で、同社の「同じカテゴリー内でも性能が両極端なブキを出す」という方針をこれでもかと体現したブキといえる。
性能もシャープマーカーとは対照的なものになっており、単発の攻撃力が高いが弾の拡散が凄まじく、そのため実射程もカタログスペック以上に短い。
しかし弾がばらけるおかげで塗り性能はなかなか高く、まさに「塗り散らかす」という感じで自分の足元を素早く塗り固める事ができる。この塗り性能と機動力をイカして側面や背後から敵に肉薄し、素早く撃破して離脱、という「ヒットアンドアウェイ」が求められるブキ。
性能
弾の拡散率がプロモデラーMG以上に広く、まっすぐ塗れるシャープマーカーに対しこちらは扇形の範囲を素早く塗ることができる。塗り粒が大きめで燃費もそこそこ。
また連射速度がシャープマーカーから据え置きのまま単発ダメージが38と大幅に跳ね上がっており、理論上のキル速は.52ガロンには及ばずともH3リールガンに匹敵する速さを誇る。
...ただし、それは「当たれば」の話。
本ブキの有効射程は全ブキ中ワースト2(下はパブロだけ)であり、距離減衰も激しいため撃ち漏らしやDPSのムラが出やすい。
そのパブロも攻撃範囲は遥かに上回り、高所から低所に関しては他のブキ並の射程となるので実質射程はワースト1である。
加えて、前述の精度の低さからやみくもに撃ってもまず当たらず、当てに行くならメイン画像のように接近戦が必須といっても過言ではない。
特にスプラローラーを始めとするローラー相手には確実に何も出来ずに一方的にやられてしまう。
ただ、悪い点ばかりではない。実はボールドマーカーには軽量級ブキでありながらイカダッシュの加速が他の軽量級ブキよりも速い(最高速自体は他と同じだが、最高速に到達するまでの時間が短い)という隠し仕様があり、これにより全ブキ中最速の移動性能を持つのだ。
長所と短所がこれ以上ないほどはっきりと分かれたあまりにも潔い性能のため、登場以来コアな人気を集めるブキである。
特に『高速戦闘をしたいがホクサイやパブロと言った連打ブキが苦手』という人に人気が高い。
種類
これまでに登場したのは
- 黒いボディのオリジナル版「ボールドマーカー」
- 白いボディで、メーカーロゴが入ったマイナーチェンジモデル「ボールドマーカーネオ」
- メーターをデジタルに置き換えた赤色ボディの「ボールドマーカー7(セブン)」
の3種類。
それぞれ「ボールド」「ボルネオ」「ボルシチ」と通称されることが多い。元ネタは香りがウリの洗剤だと思われるが他は東南アジアの島やら世界三大スープの一角とは関係ないはずである、たぶん。
ボルシチの同期がH3リールガン「チェリー」なので、おそらくスロットの「7」をモチーフにしたと思われる。
スプラトゥーン
名前 | サブ | スペシャル | ランク |
---|---|---|---|
ボールドマーカー | ジャンプビーコン | メガホンレーザー | 12 |
ボールドマーカーネオ | ポイントセンサー | ダイオウイカ | 18 |
ボールドマーカー7 | スプラッシュボム | スーパーショット | 20 |
無印のサブはジャンプビーコンで、戦線から離脱してもビーコンを置いておく事ですぐに戦線復帰する事ができる。そのため復活時間短縮やイカジャンプ時間短縮と非常に相性が良い。
ネオは構成がガラッと変わり、ポイントセンサーでマーキングして追跡しつつ、ダイオウイカで追い込む事が可能。
ブキチセレクションで追加されたボールドマーカー7は、サブがスプラッシュボム・スペシャルがスーパーショットと超・攻撃的に構成が変化し、これまでのメインでの近距離戦はもちろん中距離・遠距離のいずれにも対応ができるようになった。
スプラトゥーン2
名前 | サブ | スペシャル | ランク |
---|---|---|---|
ボールドマーカー | カーリングボム | スーパーチャクチ | 10 |
ボールドマーカーネオ | ジャンプビーコン | マルチミサイル | 18 |
ボールドマーカー7 | スプラッシュボム | ウルトラハンコ | 23 |
ギアパワー「メイン性能アップ」の効果:あたえるダメージが大きくなる
無印は投げるだけで地面を直線的に塗れるため接近に最適なカーリングボムと近くを薙ぎ払うスーパーチャクチという接近戦に特化した構成になっている。
しかしその反面、メインが届かない場所や自分より高い所にいる相手と戦う手段が非常に乏しく、頭上からの攻撃に対しては無防備になりがち。
ネオではかつての無印を彷彿とさせるジャンプビーコン、そして遠くの敵も捉えるマルチミサイルにより味方のサポートと敵陣混乱に一役買う。
7はサブがスプラッシュボム・スペシャルがウルトラハンコに構成が変化し、前作同様、これまでのメインでの近距離戦はもちろん、ボムによる中距離、(ハンコを投げれば)遠距離とオールレンジに対応ができるようになった。
まさかのヒッセンが最強扱いという初期環境から始まり、
- ホットブラスターの硬直軽減による大流行
- スーパーチャクチの処理変更による撃ち落とされやすさの上昇
- マニューバー系の「もはやシューターの完全上位互換では」とすら言われる事もあった強化
- メイン性能ギアによる一部ブキのキル性能の強化
など、前衛ブキを取り巻く環境に泣かされる事が非常に多かったが、シューターがカテゴリーとして機動力を強化されたことに加え、ボールドはその中でも性能の項で上げた加速力の強化をもらったため、唯一無二の機動力を誇るブキとなった。
特に機動力を活かせるガチホコでは割り役・運び役として活躍でき、シリーズブキの中でも汎用性の高いボルシチの評価が高めとなっている。
スプラトゥーン3
名前 | サブ | スペシャル | ランク |
---|---|---|---|
ボールドマーカー | カーリングボム | ウルトラハンコ | 9 |
ボールドマーカーネオ | ジャンプビーコン | メガホンレーザー5.1ch | 13 |
無印が初期実装、2023年春シーズンでネオが復帰。
ネオの見た目がリニューアル。メーカーロゴがカラーからシルバー一色になり、金色のパーツが銀色に置き換わった。
無印は『2』の無印からカーリングボムを、ボルシチからウルトラハンコを継承という生粋のインファイターとなっている。
発売早々パワーの一端を担っていたウルトラハンコが大幅に弱体化される憂き目にあったが、バグだったことが発覚し、前作のボルシチ並みのパワーを取り戻している。
特にガチホコではホコ運びに必要な素のイカ速の高さは勿論、メイン、スペシャルのホコ割りと防衛適正も高く、よく使われている。
一方のネオは『2』と同じくジャンプビーコン持ちで、初代の無印を意識した組み合わせ。メインサブとも長射程への対処力が皆無であり、スペシャルなしでの対面性能は極めて低いため使い手の力量が如実に表れる。
性能調整
・2024年4月18日
プレイヤーに対する弾の当たり判定が大きくなった。
・2024年5月31日
スプラッシュシールドに与えるダメージが10%増えた。
基本的な立ち回り
射程と精度に目をつぶれば、火力・塗り性能・機動性の三拍子が揃った強力なブキといえる。逆に言えばそれだけ射程のデメリットが重い。
ステージや相手の編成によっては手も足も出なくなる事がままあるため、「どのステージにどのボールドファミリーを持っていくか?」という判断も重要である。
まず前提として、敵に真正面から向かっていくのはわざわざやられに行くようなものであり厳禁。
機動力を活かして走り回り、敵の側面や背後から仕掛けて素早く離脱するのが基本戦術となる。不意打ちを成功させるためにも、マップの把握や盤面の把握は必須。
特にローラーには滅法弱いので相手チームにローラーがいる場合は細心の注意を払う事(ローラーからすればボールドはカモ同然の為)。
脚が早いため、狙える時はぜひとも裏取りを成功させたいところだが、ボールドの裏取りが強力なのは敵も分かっているため開幕でブキを見た時点で警戒されてしまう事も多い。さらに、裏取りを狙って前線から離れているとただでさえ増え気味の味方負担を更に増やしてしまう。
「いつ裏取りに走るべきか?」「今行ったら成功するか?」というとっさの状況判断力が求められる。
なお、ボールドのローラー戦への壊滅っぷりを逆手に取りローラーを釘付けにする事も出来る。
機動力が高い事と塗り効率が良い事から初心者にも好まれるブキではあるが、パブロ等と同じく立ち回り力に全依存しているブキのため、ポテンシャルを完全に引き出すという意味では実はかなり上級者向け(立ち回りを鍛える為に持つという人もいたりするが)である。
なお、実際にはあくまで『ローラー相手の戦闘が致命的なまでに壊滅しているだけ』なのでそれ以外は本当に人によるブキなのだが。
おすすめギアパワー
- イカニンジャ
イカダッシュしたときの飛沫を隠してくれるため奇襲に役立つ。採用の際はイカダッシュ速度アップをお忘れなく。
奇襲に成功すれば連射力と火力から小回りのきかない大型武器にとっては天敵と言える程にまで暴れる事が出来る。
『向こうの攻撃がカス当たりならダイナモローラーにすら撃ち勝つ事もある』という鬼の様な近接火力を見せる事も。
- イカダッシュ速度アップ
長所である機動力を更に伸ばせる。
ボールドは敵に肉薄しないと何も出来ないため、敵の速度を上回る事はとても重要である。
敵陣に切り込む事でジャンプビーコンを置いてそこから暴れ回る事が出来る。
- 相手インク影響軽減
相手のインクを踏んだ時にスリップダメージを受けにくくなるほか、『2』では気休め程度だがメイン性能アップで攻撃力がアップするブキによる擬似確定数減少(n-1発で99.9ダメージになる)の餌食になりにくくなる効果がある。
- サブ性能アップ、スーパージャンプ時間短縮
特性上、どうしてもデスが増えやすい事から少しでもカバーする意味が強いが、スーパージャンプ+チャクチ、自身のビーコンへジャンプしての緊急回避というコンボがある事などから意外に有用。
サブ性能はビーコン持ちの場合ジャン短と同じ効果を発揮するほか、味方がビーコンに飛んだ際にも効果を発揮するため優先して載せたい。
- 復活時間短縮、カムバック、ステルスジャンプ
こちらもカバーとして。
- メイン性能アップ
他ブキと比べると採用率が低いが、実は攻撃力アップが割り当てられている組である。
全部のギア枠に詰め込むと1発あたり47.5まで攻撃力がアップするが、ボールドの場合はそこまで積まなくても攻撃力を少し上げておくとカス当たり・威力減衰による確定数のズレを防げるので意外と便利。
サーモンランでの立ち回り
苦手なシャケ:バクダン・グリル・遠方にいるシャケ
得意なシャケ:それ以外。
…とでもいうべき強烈な性能のブキ(ボム必須のカタパッドとドロシャケを除く)。
クーゲルシュライバー、ハイドラント、スパッタリー、ジムワイパーらと並んで強ブキとされることが多い。
なお、このブキも含めて強ブキは
『ボムを使わずにモグラを簡単に処理出来る』と言うとどれだけ恐ろしい性能かが分かる。
対人戦と違いシャケ相手であれば射程を押し付けられて撃ち負けるリスクが少ないため、持ち前のDPSと塗り性能、そして機動力を存分にイカし、マップ中を走り回って様々な状況に対応する事ができる。一方で弱点が高い所にあるオオモノ(バクダン・グリル・ハシラなど)や、マップの外周に出現するタワーなどは出張・補助なしでは苦手(一度登ればハシラは秒殺だが)。
基本的な仕事はザコ・オオモノ問わず手当り次第にシャケをシバいていくことだが、一人で動きにくい長射程ブキ周りのザコをきっちり掃除してあげることも重要。周囲の味方の状況にも気を配っておけば、長射程がオオモノに対処しやすくなり、戦況をぐっと有利にする事ができるだろう。
なお、シャケに近づきすぎてノックバックで海に転落したり、テッパンの後ろに近づきすぎて後ろから巻き上がっている飛沫で死んだり…など、射程の短さ故に普段は起こりづらい事故が結構ある点には注意が必要。
ボールド教と雷神ステップ
ボールド教
初代スプラトゥーンでプレイヤーの中から発生したネタとして「三大宗教ブキ」というものがある。
元々はいわゆる「弱い・不遇」とみなされたブキに対して「使い続ける様がもはや宗教である」と揶揄するもの(要するにこういうこと)だったが、次第に「ピーキーすぎて扱いづらいが独自の強みとカルト的な人気を持つブキ」へとその意味を変えている。
特によく上げられたものとしては
- チャージャーだが射程が短いため繊細な立ち回りが求められるスクイックリンα
- 破壊力のみを重視した結果取り回しやすさが吹き飛んだダイナモローラー
- 理論上の火力は優秀だが射程の短さゆえシューターとしては扱いづらいボールドマーカー
であり、これらのブキの使い手はそれぞれ「スクイックリン教」「ダイナモ教」「ボールド教」に属しているとされた。
雷神ステップ
ボールドマーカーを語るうえで外せないのが「雷神ステップ」と呼ばれる移動テクニック。
やっていること自体は「数発撃ってイカ移動」を繰り返して進む、というシンプルなものなのだが、ボールドの場合足元塗りが強いことと加速度の仕様から特に有効であり、代名詞扱いされることが多い。
熟練のボールド使いは近接武器キラーのクラッシュブラスターやボールドを極端にしたレベルの生粋のインファイターであるパブロさえも葬る事ができるという。また、接近・退避以外にも、コジャケの如く敵に纏わりつくようにステップを踏み、弾を避けたりするのにも使われる。
戦法の開拓があまり進んでいなかった初代スプラトゥーンの初期環境では、ボールドは射程がとにかく短く、他のブキ全てに射程で有利を押し付けられるイカんともしがたいブキとして扱われていた。
しかし物好きなプレイヤーたちによって様々な戦法が研究されるのはこの手のお約束であり、その結果「イカ状態とヒト状態を激しく切り替え、ジグザグに走りながら高速で敵との間合いを詰める」というテクニックが編み出された。
有名になった発端は下記のニコニコ動画の動画にて、ある3Kスコープ使いに向かってボールド使いが当時無名だったこのステップを使用したこと。リッター使いに向かって現れたり消えたりしながら反復横跳びのように迫ってくる(しかもスコープで覗いているためドアップ)姿は視聴者に絶大なインパクトを与えた(但し使用者は接敵する前に撃ち抜かれてしまっている)。
04:20~からに注目。
登場当初は「デビルバットゴースト」「ボールドバッタ」などと名前が定まっていなかったこの戦法だが、塗り跡がまるで稲妻のように見えることが前述のボールド教と組み合わさった結果、
「稲妻のごとき速度で敵陣に切り込み、『神のラッパ』を以て鉄槌を下す『雷神ボールド』」
なる概念が爆誕。「雷神ステップ」の名称が定着することとなった。
こうしたプレイヤー間でのネタは公式も把握している節があり、初代後期の公式PVにボールドマーカーを持ったボーイを他のボールドマーカーを持ったボーイたちが拝むかのようなシーンが出てきたり(0:34~0:41)、スプラトゥーン甲子園の実況でボールドマーカー使いが登場した際に「雷神降臨」なる実況が出たりしている。
なお、『2』では
- 無印にカーリングボムが搭載され、ある程度敵の塗りを無視して移動できるようになったこと
- 敵インクへの引っ掛かりの強化+安全靴の弱化によるリスク増大
- 全体的にごちゃごちゃしたマップが増えて平面部分が少なくなったこと
などから、前作ほど「ボールド=雷神ステップ」という感じでは無くなっており、むしろ雷神ステップはボールドに限らず緊急脱出時に使えるテクニックという立ち位置になりつつある。
それでもなお、地面塗りが極めて大きく、イカダッシュ加速度が特別に高いボールドは、最も安定してステップを踏めるブキと言ってよく、アイデンティティは保たれている。