概要
20世紀末期から続発する異星人による怪事件に対抗するため、地球防衛連盟が設立した防衛チーム。
国際防衛軍の下部組織であり、アジア本部基地の他、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、南太平洋、シリコンバレー、ミーゴデザート、日本に支部を持つほか、地球外にも月のドランブル、木星のエララ、シノベ、土星のタイタン、天王星のアリエルにも基地を持つかなり大規模な組織。
物語の舞台となる日本支部は、地球上の国際紛争が事実上消滅したこの時代にあからさまな軍事組織は市民の反感を買うとして、普段は出光興産のガソリンスタンドにカモフラーシュしており、基地機能の大半が設けられた高さ100m以上のタワー状の地下部分で構成されている。
映画第1作ではここがアジア本部だったが、第2作では組織改編の影響で日本支部となり、本部基地機能はアジアの某所に移された。
とはいえ、Mydoという組織自体は秘匿されているわけではなく、アラシリポーターなど市民に存在が認知されている。
所属する隊員たちは普段はガソリンスタンドの店員として働いており、スタンドとしての設備は勿論の事、事務室兼作戦室と看板に偽装したスカイフィッシュ発射口があり、地下には基地を管理し、情報収集及び分析を行うスーパーコンピューター「MIDORI」が置かれているほか、隊員たちの個室、スカイフィッシュ格納庫、メンテナンスルーム、メディカルセンター、武器研究室、ケミカルルーム、遊技場、大浴場、トレーニングルームといった数多くの設備が設置されている。
第2作では中に入ることで瞬時に隊員服を装着し、スカイフィッシュのコックピットにワープさせるロッカーが配備された。また地下格納庫が大きくなり、スカイシャークの発射口が新しく作られた。
なお、スカイフィッシュの出撃を目撃した近所の主婦を始めとした近隣住民に怪しまれたことが何度かあったが、その都度偶然に切り抜けている。しかしスカイシャークの発進は、地下に隠れている発進口が地上に100m以上もせり上がる形で大々的に行われたため、さすがにバレてしまった。
ロゴは握り拳にMydoの文字。
名前の由来は、出光が当時発行していたポイントカード「mydoカード」。PRのためか、Mydo出撃時の専用テーマソング(いわゆる「ワンダバ」)は「M!Y!D!O!マーイドー×4 Mydo、Mydo、Mydo、Mydoでマーイド、マーイドー、マーイドー」とひたすら名前を連呼している。
ちなみにカードのCMにもとんねるずが出演しており、こちらも「マーイドマイド、マイドでマイド♪」と、「Mydo」以外の歌詞がほぼ無いCMソングが印象的な内容だった。
看板からの出撃、転送装置の開発やゼットン光線の再現など技術力に関しては歴代でも随一なのだが、戦績はすこぶる悪い。例を挙げると…。
- MIDORIの分析で『コッテンポッペは火に弱い』と判断→トラップを仕掛けるが炎を吸われて、吐き戻されて墜落する。
- ウルトラマンシャドーをスカイフィッシュのレーザーロープで捕縛→引きちぎられただけでなく、逆に掴まれて1号機と2号機をアメリカンクラッカーよろしくぶつけられて撃墜。
- シャドーが『ウルトラマン』であればカラータイマーにゼットンの光線を当てることで倒せるのでは?→カラータイマーにシールドを展開されて反射される。
とはいえ、スカイフィッシュからの伝言ビームでゼアスにコッテンポッペの起爆性を伝えるなど要所要所で活躍するシーンはちゃんとある。戦った相手がたまたま悪かっただけなのだ。多分。
隊員
大河内神平
演:石橋貴明
Mydoの隊長。第2作では本部参謀に昇格。32歳(第1作)⇒33歳(第2作)。
宇宙物理学博士という何気にすごい肩書きを持っており、多くの人に慕われるカリスマ性を持っているが、ノリはいつもの石橋貴明である。野球が得意。
小中井や岩太と共に何かと勝人をいびっている。またMIDORIのことをかなり信用している様子。「オーノー!(Oh No!)」や「テルミーホワイッ!?(Tell me why!?)」など、やたらと英語でリアクションを取る。
薩摩隊長に指令を出す際には、小中井と共に『ウルトラセブン』のモノマネをやっていた。
小中井仏吉
演:木梨憲武
Mydoの副隊長。第2作では本部副参謀に昇格。30歳(第1作)⇒31歳(第2作)。
ひょうきんな性格で、隊長と一緒にお気楽な勝人を叱りつけるが何と言っているかは分からない。サッカーが得意らしい。スカイフィッシュの操縦と出動時のアナウンスは彼の役目。
パロディ版では木梨が朝日勝人役である。
星見透
演:高岡由香
Mydoの紅一点でヒロイン。勇気という弟(第2作に登場)がおり、フルートの名手でもある(作中で演奏している曲は「シュワッチ!ウルトラマンゼアス」をアレンジしたもの)。ガソリンスタンドの勤務中にもフルートを携行している。19歳(第1作)⇒20歳(第2作)。
分析や通信を担当し、スカイフィッシュの操縦もこなす。心優しい性格だが、極度の潔癖症な勝人のことを想い「ちょっとの汚れぐらい平気な男の人が好きです」と告げたり、傍若無人な悪神亜久馬に「暴力振るう人大嫌いです!」と怒ったりと、いざという時にはハッキリと物申すタイプでもある。また、勝人から告白されるかと思いきや全く違うことを言われた際には、呆れた表情を見せていた。勝人の正体に勘付いている節がある。
金を喰う怪獣に、その出現時の音の響きからコッテンポッペと名付けた。
透のフルートの奏では勝人から「自然に勇気が湧いて来て力がみなぎる」と言われており、第1作ではタールの沼に沈んだゼアスを子供やMydo隊員達の声援と共に奏でて救った。第2作では自信を失くした勝人に対して聴かせたが、無言で立ち去られてしまい落ち込んでいた。しかし勝人は自分を変えようと正道会館を訪れたため、効果はあったのかも知れない。
第1作ではベンゼン星人に誘拐され、第2作ではシャドーに洗脳されてしまう等、たびたび不幸な目に遭う。しかしいずれの時もゼアスを、勝人を応援し続けていた。
パロディ版でも登場する。
武村岩太
演:大久保博元
力自慢の巨漢。意外にコンピューターや武器開発、射撃が得意。28歳(第1作)⇒29歳(第2作)。
口が悪く手が出やすい(主に勝人に対してだが)性格は演者のデーブそのまんま。敵に立ち向かう時には「俺は岩太だ、勝負!」と宣言する。悪神亜久馬がガソリンスタンド内で車を暴走させた際には、野球のキャッチャーよろしく車を正面から受け止め、大河内が「ストライーク!」とコールした(勿論中の人ネタである)。
第2作では上司である数の言動にタメ口でツッコミを飛ばす。また、ゼアスとシャドーの光線が計算上互角の威力であるにもかかわらずゼアスが敗北した原因として、「気合いの問題、ゼアスも勝人も気合いが足りない」と真理をつくような発言をしていた。ゼットン光線作戦の際には砲手を務めたが、数からは「カラータイマーに当てさえすれば必ずヤツ(シャドー)は死ぬ!」と言われ直撃させたにもかかわらず、シールドで跳ね返されてしまったため「てめぇ、さっきなんつったんだよ!」と文句を言っていた。
演:関口正晴
気弱で潔癖症な見習い隊員(第2作で正隊員に昇格)。その正体はZ95星雲・ピカリの国からやってきたウルトラマンゼアス。透のことが好きらしい。
第1作で潔癖症を克服し、第2作ではシャドーに敗北したことで自信を喪失したが、かかと落としの特訓の過程で乗り越え大きく成長した。
パロディ版では関口が隊長格となっている。
詳細はリンク先を参照。
薩摩萬
演:森次晃嗣
第2作に登場。昇格し異動となった大河内から代わった新隊長。40歳。
経歴が謎に包まれた歴戦の勇者らしいが、データベースにさえ記録がない。ガソリンスタンドにやってきたレディベンゼン星人に臆することなく対峙するなど勇ましく、また勝人がいきなり辞表を提出してきた際には「相談に乗るよ」と優しく声を掛ける大らかな人物でもある。
作戦の立案は主に数が行っており、薩摩は指揮を執ることに専念していた。
突如現れたミラクロンがカプセル怪獣だと知ると、「懐かしいなぁ」と呟き隊員達から怪訝な顔をされた。数が「シャドーの弱点はカラータイマー」だと発言した際には、まるで「なるほど」とでも言いたげに何度も頷いていた。
大河内と小中井から指令を受ける際にセブンの真似をされたり、勝人の正体を見抜いているかのような発言をするなど、正体はこの人ではないかと言われている(無論、公式に明言されているわけでなく、単なる中の人ネタという線もありうる)。
名前の由来は森次が演じたモロボシ・ダンのモデルとなった『薩摩次郎』と思われる。
数学
演:宮川一朗太
第2作に登場。名前は「かず・まなぶ」と読む。シリコンバレー支部からやって来た新副隊長。32歳。
計算オタクで、胸部にパソコンがセットされたホルダーを常に上半身に着用している変わり者。そのパソコンで戦略の組み立てや成功率を導き出すも、大体失敗する。墜落している最中でも不時着成功率の計算を行っている。フィンガースナップ(いわゆる指パッチン)をしたり、パソコンで自己紹介するなどの奇妙な癖がある。
さらに隊長特権であるMIDORIに、掌紋と声紋を書き換え自身を隊長として登録し不正アクセス(MIDORI曰く"第一級規約違反")するなど危ない人物でもある(その際のMIDORIとのやり取りも実に危ない)。
当初は「"気合い"とはアナログ的、物事は全て"計算"で解答を出さないとな」と語り、岩太から「デジタルオヤジ」と呼ばれていた。しかし絶対的な自信を持っていたゼットン光線作戦が失敗し動揺、そこへ助けに来たゼアスの気合いに感化されたのか、最後は"気合い"でMydoを辞めた勝人が戻ってくる確率を100%と弾き出した。実際に勝人は戻ってきたため、岩太から「この副隊長、たまには当たんじゃねえか!」と見直されていた。
ゼットン光線の再現はMIDORIの情報を元にした彼の提案によるものだが、カラータイマーにシールドを展開するという対策は流石に予想できなかったであろうから、こればかりは彼の作戦立案に不備があったというわけではない(ただ、バリヤーなどの『防御技』を繰り出してくるという想定はしておくべきだっただろう)。
MIDORI
Mydo日本支部基地の地下にあるコンピューター。認証キーとなる掌紋と声紋(何故か唱えるのは早口言葉で、大河内は「赤巻紙青巻紙黄巻紙」、数は「隣の客はよく柿食う客だ」)が登録された隊長のみがパソコンを使ってアクセス可能で、認証完了後に地下へ転送される(存在や認証方法は他の隊員も知っており、小中井が「隊長はミドリちゃんをアテにし過ぎ」と愚痴ったり、勝人が憧れて認証を真似るシーンがある)。
落ち着いた女性の声で話す人工知能が搭載されており、作戦立案や敵の弱点の解析など何でもこなす。第1作でのアバターはワイヤーフレームで出来た顔であった。地球爆発の危機が迫った際には「たーいへーん!」と慌てたり、作戦の失敗や分析できない事があると「ゴメン^^!」と可愛らしく謝るシーンも。
第2作では女性の顔を模したアバターが登場し、声や口調も比較的若い女性のものになったが、数に不正アクセスされただけでなくハッキングまでされてしまい(その際の数の言動はアレである)、何故か顔の表示が前作のものに戻った。薩摩は劇中では使用しなかった。
CV:坂本千夏
第2作から加わった、ガソリンスタンドで働くカネガネー星出身の宇宙怪獣。宇宙旅行中にエネルギー(金)切れで金星付近を彷徨っていたところをMydoに保護された。カネゴンとは同種ではなく単なるそっくりさんと思われる。歌い踊りながら洗車をしたり、お客さんにゼアスの人形をプレゼントしている。
怪獣でありながら手にはカード読取装置(給油料金のクレジットカード決済が可能)、腹部には決済の明細や数のパソコンのデータを表示できるモニターとケーブル接続用のポートが付いている。
スカイシャーク出撃時には小さな旗を振って応援していた。
メカニック/テクノロジー
スカイフィッシュ
全長 | 14.6m |
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全幅 | 11.4m |
重量 | 7.4t |
最高速度 | マッハ2.6/マッハ46(成層圏外) |
定員 | 4名 |
ウルトラシリーズお馴染みの戦闘機。
1作目では青と黄色で構成された1号機(アラシリポーター曰く「品のねぇ色」)が登場し、2作目では赤とシルバーのウルトラマンカラーで構成された2号機が追加された。
レーザー砲"レーザーMydo"やミサイルなどで武装している他、対象を捕縛するレーザーロープ、ゼアスにスペシュッシュラ光線を撃ってはいけない旨のメッセージを投影する伝言ビームなど多様な装備を搭載している。
スカイシャーク
全長 | 110.5m |
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全幅 | 42.4m |
重量 | 534t |
最高速度 | マッハ3.9/マッハ48(成層圏外) |
定員 | 7名 |
第2作に登場した戦闘母艦。通常航空は勿論水中や宇宙空間でも運用が可能。
作戦会議室や仮眠室を備えた移動基地としても機能する(設定ではゲームセンターも完備している)。
かつてゼットンが初代ウルトラマンのカラータイマーを破壊した波状光線「ゼットンブレイカー」(ゼットンファイナルビーム)を、6000万アンペアの電流と2500万ガウスの電磁(テスラに換算すると2500テスラで電圧に換算すると2500ボルトの電圧になる)を交差させて再現した「ゼットン光線砲」を搭載しているほか、レーザー砲なども装備している。
そこらの怪獣になら楽に勝てそうな重装備だが、ゼットン光線砲をウルトラマンシャドーのカラータイマーめがけて放ったところ防護シールドが展開して反射され、跳ね返った光線を中腹に受けて大破してしまった。
コックピットは離脱可能な小型艇になっており、脱出できたため隊員達は無事であった。
Mydoスーツ
出動時に着用する隊員服。
Mydoの科学班が制作し、超軽量で耐熱、耐寒、防水、防風性能に優れる。
またブーツ部分にはあらゆる任務のための7つ道具がある(劇中未登場)。
Mydoメット
出動時に被るカスタムメイドヘルメット。衝撃を100%吸収し、火炎や弾丸も防ぎきる。
スタイラスガン
全隊員が所持するレーザーガン。ボタン操作で熱線、麻酔弾、45口径模擬弾に切り替えが可能。
ドラッグアンドドロップ
武村専用の超高性能大型光線銃。フォアグリップでコッキングする事でエネルギーをチャージし、ボタン操作で青い光弾や黄色い破壊光線、麻酔光線を発射できる。
組み立て分解式で、アタッシュケースに入れて持ち運ぶ。あまりにも重いため、武村以外には扱えない。
余談
撮影に使われたガソリンスタンドは、神奈川県川崎市麻生区の尻手黒川通り沿いに実在していた出光のもの。なお、劇中でスカイフィッシュが発進する大看板は実物ではなく合成である。店内にはゼアス像が置かれていた。その後2018年頃に解体、2020年頃に再建し当時の面影はなくなってしまっているが、周囲の雰囲気は当時からさほど変わっていない。なお、麻生区はかつての『ウルトラマン80』などでも何度か舞台となっている。(ザンドリアスやバルタン星人六代目の回など)
関連タグ
TPC:Mydoと同じく世界各国はもちろん太陽系の各所にも支部を持つ大規模なウルトラシリーズの組織。実は成立背景もMydo同様に恒久的世界平和の実現後にできたという共通点があるが、Mydoの方が宇宙開発が進んでいるという違いがある。
TPU:「令和のTPC」と呼ぶべき組織。運用されているライドメカの1号機が黄色、2号機が赤色であるほか、友好的な宇宙人が隊員として所属しているといった共通点がある。