「あの赤い彗星とやりあって生きてるとは、ラッキーボーイだぜぃ☆」
概要
1996年に販売されたパソコンゲームで、Power Mac、Windows95そしていわく付きのゲーム機ピピンアットマーク用として発売された。
翌年の5月2日には日本語吹き替え版がプレイステーション用ソフトとして販売されている。
ガンダムゲームとしては珍しくジャンルはアドベンチャーゲームであり、ストーリーはアニメの第一話から第十話のガルマ・ザビの死までが描かれている。場面に応じてボタンを入力し、それがあっていれば本編を進める事が出来るというものだが…
はっきり言ってクソゲーである。
クソゲーと言われる原因
- 本作の人物パートは全て実写で、オール外人(声優はかつてのアニメと同じ)なのだが、明らかにミスキャストが多い。詳しくは登場人物の項を参照。
- QTE仕様でボタンを入力を受け付けるタイミングが異常にシビアで、タイミングを逃したりボタンを間違えたら即刻ゲームオーバー。しかも選択肢の数も多く、正しい選択肢をノーヒントで探さなければならない。
- 加えてやり直しのポイントも少ない。一度失敗すると何度も同じやり取りを見る羽目になる。
- ゲームオーバー画面はデーレーレーというジングルと共にガンダムの生首が転がっているというもの。この画面は何度も見る羽目になる。
- ガンダムが泣けてくるほど弱い。ザクⅡのザクマシンガンの一掃射でカンカンカンと異様に軽い音を立てて大破する。これは操作を間違えるたびに頻繁に見る羽目となる。これ以外にもシャア専用ザクと組み合ったら力負け、デニムのザクをビームサーベルで撃破するもその爆発に巻き込まれて死亡等。
- 原作通りシャアに裏切られたガルマがガウ攻撃空母でホワイトベースに特攻を仕掛けるのだが、ガンダムでトドメを刺さないと特攻を成功させてしまう(ホワイトベース隊全滅)。ガルマを殺してもガウから飛び降りなかったので一緒に爆死。ガウを迎撃しようとしたホワイトベースの攻撃がガウには当たらずガンダムに直撃。ホワイトベースの艦橋に飛び乗ったシャアの挑発に乗ってハイパーバズーカを撃ったら艦橋を直撃等笑えるゲームオーバー条件もある。
- 中盤、地雷原を突破するミッションがあるのだが、迷路のような街をノーヒントで目的地にまで進まなければならず、一度でも間違えたらザクに撃たれる、地雷を踏むなどして死亡。しかもこのルートはガンダムとガンタンクが合体したガンダムタンクで進まなければならない。地雷原にキャタピラって…
- 基本バルカンゲー。ビームサーベル、ビームライフル、ハイパーバズーカも使うが圧倒的にバルカンの使用率が高い。
- グフが何故か銀色。パイロットもランバ・ラルではない。
- ただしこれについては、シャアの赤い機体のように、個人のパーソナルカラーという設定の可能性もあるので、そこまで原作とかけ離れてるとも言えなくはない。
- ムービーが長い上にスキップ不可。セーブ機能は無くパスワードコンティニュー。ただし、パソコン版では任意のタイミングでセーブが可能。
これらの要素からネタ的な意味で「これはニュータイプ専用ゲーム」と言われることがある。
登場人物
主人公
本作の主人公はアムロ・レイではなく、プレイヤーが原作のアムロと同様の視点でプレイする。本編では全く喋らない上に名前も呼ばれず、顔も映らない。
その為、リュウの乗るガンタンクがシャアザクに襲われた際に彼が救援を求めた際に「ホワイトベース!カイ!ガンダム!」と、ホワイトベースは兎も角主人公の名前が不明の為にいささか不自然な呼ばれ方をする。
本作の違和感ありまくりなキャラクターの中では割と原作に近いキャスティング。19歳には見えないところも同じ。セイン・カミュ似。よく見ると寄り目。服ブカブカでシーンごとに髪型が変化している。
頭の禿げた(よく見るとポニーテールになっている)気のいい日系人。
アメリカ映画に出てきそうなファンキーな性格の大柄な黒人でガンタンクのパイロット。「ラッキーボーイだぜぃ☆」。ガンタンクをシャアザクに破壊されたが生き残った(本作はガルマの死で終わっているので、後にクラウレ・ハモン(ガルマの敵討ち部隊)相手に特攻死するかは不明)。
因みに、原作の企画当初はリュウは黒人設定だったが、自主規制で変更されたとのこと。妙なところで日の目を見たものである。
サラ・ホリン
本作オリジナルキャラクター。金髪のオペレーターで原作に於けるセイラ・マスに相当する人物。
本作はランバ・ラル登場前に終わっているので、ジオン関係者なのかは不明。
ハニ・アサナ
本作オリジナルキャラクター。レビルのポジションに当たる黒人の太ったオバサン。ただし、彼女自身がレビル将軍の名を出しているので、マチルダ・アジャンのポジションなのかもしれない(時期的にマチルダが登場するには早いが)。
連邦軍士官(CV:飯塚昭三)
主人公がガンダムの付近に迷い込んだ際に小型モニターで彼に話し掛けてきた士官。
原作でのアムロは操作マニュアルを自ら読んでガンダムを操作していたが、本作ではこの士官がやや投げやり気味だが操作を解説した。
本来のパイロットだった『ドーティ少尉』が瓦礫の下敷きになり殉職していたとはいえ、民間人の主人公に対し「誰でも良い!」と操縦を強要する辺り、状況が状況だったとはいえ軍事機密に対する思想に疑問が残る。
主人公がホワイトベースと合流後は登場しない。
このゲームが凡百のクソゲーに埋もれずに済んだ、ある意味最大の功労者(笑)
知る人ぞ知るケツ顎シャア。詳しくはこちらを参照。
ケツ顎シャアとは違い普通にイケメン(美青年ではなくイケメン)。紫髪ではなく金髪なのは仕方ないにしても髪型がオールバック。
原作同様シャアの裏切りに会うが、最後はガンダムのビームサーベルでブリッジを貫かれ死亡する(前述のとおりガンダムでトドメを刺さないとホワイトベースへの特攻に成功してしまうため)。
ジーン(CV:古川登志夫)
髯面の黒人。特に手柄を焦っている様子もなく落ち着いた性格。
ガンダム最初の犠牲者……のはずだが、このゲームでガンダムの撃破回数が最も多いパイロット。プレイヤーがガンダムの起動に四苦八苦している間にガンダムをハチの巣にしてくれる。ただしプレイヤーが操作に失敗しない限りはガンダムが動き出すまで待ってくれる。
声のみで姿は出てこない。ジーンを倒した直後にヒートホークで襲い掛かってくる。
ラストに声のみ登場。サイド3にいるはずながら数十分でガルマの死を知り国葬するという手際の良さを見せる(早い話が尺が足らなかった)
グフのパイロット(CV:飯塚昭三)
ソア・キャノンの警護をしていたグフのパイロット。
自身のパーソナルカラーか、グフは銀または灰色に塗装されている。原作に於けるランバ・ラルに相当する人物だが、終始声のみで容姿は不明(しかし、主人公の事を「小僧」呼ばわりしていた事や最新鋭機体をパーソナルカラーで配給されている事からベテランパイロットだと推測される)。
当初こそガンダムに善戦していたが形勢逆転されグフの腕をビームサーベルで切断されボディにも致命傷を負う。
最期はガンダムを道連れにしようとするが阻止されソア・キャノン本体へグフが投げられ基地共々爆散した。
なお、原作の主要キャストでは前述のセイラの他、フラウ・ボウ、ハヤト・コバヤシ、ミライ・ヤシマ、カツ・ハウィン、レツ・コ・ファンやキッカ・キタモトなどは一切登場しない。
余談
- 裏技を使えば煩わしいボタン選択無しでムービーのみ視聴可能なモードがある。
- 中盤に出てくるゲームオリジナル兵器の「ソア・キャノン」だが、一部のプレイヤーの間では空耳でそう聞こえたという理由から「諏訪キャノン」と呼ばれている。
- 製作スタッフ曰く「好評なら続編を作る」とのことだが、今現在続編の発表はない。
- 現在、バンダイの公式サイトからは抹消されており、同じく実写作品の『G-SAVIOUR』とは違い、完全に黒歴史となっている。
- 本編に登場するガンダムタンクは、クローバー製の玩具のギミックを再現したもの。アニメ第二話でのジオン兵のセリフで設定が説明されていたが、劇中では使われなかった。地味に『ガンダムビルドファイターズ』の第二話にも登場している。また、ガンダムブレイカー2にガンタンクが実装された事で、以降のシリーズで再現が可能となった。しかもビルドファイターズやガンダムブレイカー以前から発売されている、ガンプラの一シリーズであるSDガンダムBB戦士のガンタンクのパッケージ側面にて、作例の一つとして本機及び下半身をガンダムのBパーツと交換したガンタンクが紹介されている。
- シャアはが撃墜されかけのガルマに「君の父上がいけないのだよ」と言う原作と同じようなセリフに続いて何と自分の正体を暴露したり、ガンダムに対して「単に戦いが好きではなくスペースノイドの独立の為に戦っている」と言う信念を吐露していると言う原作にはなかったシーンが存在する。
- 2018年にハリウッド版実写映画のガンダムの制作が発表されたが、その際SNSなどで一躍話題となったのは今作・・・というかケツ顎シャアの再来を期待、もとい心配する声だったということは言うまでもない。
- 本作を手掛けたPresto Studiosは後にポイント&クリックADVの名作『MYST』の3作目である『MYST III:EXILE』を手掛けている。そちらは本作とは違って、シリーズの名を汚すことのない真っ当な作品なので間違えないでもらいたい。
関連タグ
外部記事
ニコニコ大百科より:GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH