転生もの
てんせいもの
概要
古くは神話や仏教に端を発し、日本では浜松中納言物語等平安時代には成立していた定番ジャンル。
近年では1980年代と2010年代に大きな流行が起きた。
1980年代のものはオカルトブームの影響を受けた少年・少女漫画的なものが多く、どちらかというとプレセカイ系的ジャンルで、2010年代のそれと共通する点もあるが若干ニュアンスが異なる。
現在のスタイルは2010年代に流行し、小説家になろうやカクヨム、ハーメルン等のサイトで閲覧できる小説に度々含まれる要素としても有名となった。
中でもネット小説から多くの作品が商業展開されるほど盛り上がったのは「地球上の現代文明世界」から「魔法が存在するファンタジー世界」へ転生する異世界転生もので、これらの作品は一定の人気を得た一方、セカイ系や日常系で見られた好意的な評論は皆無に等しく、ネタ切れに悩む業界の窮状を示しているのかもしれない。
近縁ジャンルの異世界トリップやタイムスリップと違って主人公が元の居場所に帰還する余地が無く、またかつての自分と名前や姿、能力も全くの別人になる場合が大半を占める。
爆発的ブームは現代社会の閉塞感、今の自分に対する失望や無力感が「来世への期待」「ここではないどこかへの憧れ」として表れた結果ではないかと分析する声は多い。
前述の『浜松中納言物語』が記された1000年前の平安末期も末法思想とともに理想的な西方浄土(=異世界)への転生を願う浄土教の思想が流行っており、こちらも世の中が衰退・混乱傾向になっていった時代が背景に在るという点が共通する。
代表的なパターン
転生ものの類型は複数在る。
ここでは近年流行しているものから順に挙げる。
現代社会を生きていた主人公が異世界に転生する
我々と同じような文明・社会に生きる主人公(日本人作家の作品では主に日本に住む平凡な日本人設定が多い)が異世界に転生するタイプ。
この場合以下のどちらかに分かれる。
1.全く未知の異世界の住人として転生
『不幸な死に方をする(事故死・他殺・病死等)』、『超常現象に遭う(自宅でパソコンを操作していると特殊な画面が表示される等)』といったきっかけで始まる。
当然主人公は特別な強さも力も持たない一般人であるため、そのままでは異世界で生きていくのはまず困難であるが、
といったプロローグを経るパターンの作品も多く存在する。
該当する作品の例
2.フィクションとして流通していた物語の世界の住人として転生
転生先となる対象作品=原作は『読者の世界に実在する作品(いわゆる版権作品)』と『その転生ものの作品内にしか存在しないオリジナル作品』の2パターンに分かれる。
更に主人公の立ち位置も『原作に存在する登場人物として転生(厳密には憑依?)するタイプ(憑依転生)』と『原作には存在しないオリジナルキャラクターとして転生するタイプ』の2通りが存在する。
またこのパターンでは『登場人物として転生(あるいは憑依)した自分』または『自分以外の登場人物(悪役令嬢・魔王等)』が迎える悲惨な末路を回避するために、自分が知っているその作品の知識を駆使して未来を変えるという明確な目的を主人公が持つケースが多い。
該当する作品の例
異世界人が異世界内で転生する
勇者や賢者、そして魔王等の異世界の住人である主人公が2度目の人生のような形で転生するタイプ。
主人公が転生に至る経緯は『自分と敵対する存在の悪あがき』『何らかの形で生涯を終えるも、未練があるので人生をやり直す』等様々で、こちらの場合は転生前の人格が引き継がれる。
それに加えて転生前の能力を引き継いでる(もしくは才能という形で引き継がれる)パターンもあり、いわゆる強くてニューゲームな状態で転生するパターンが多い。
該当する作品の例
過去もしくは異世界の人物が現代の地球世界(日本等)に転生する
何らかのきっかけで前世の記憶を思い出すパターンが多い。前世ものとも。
異世界から現代世界に転生した場合は逆異世界転生と呼ばれる。
該当する作品の例
転生エンド
話のオチに転生する展開が来るもの。
「現世では非業の死を遂げたが来世で幸せになりました」「現世で結ばれなかった二人は来世で結ばれました」という話が多い。
該当する作品の例
- 魔法のプリンセスミンキーモモ(1982年版)
- DARKER THAN BLACK -流星の双子
- アイーダ(ディズニー脚本劇団四季版)
- 人魚姫(原作では主人公が人魚から空気の精に生まれ変わる)