概要
もしも『NewスーパーマリオブラザーズUデラックス』に登場するアイテム「スーパークラウン」を、クッパがかぶってピーチ姫化したらどうなるのかという、国内外のファン達が想像して描かれた二次創作および三次創作。
その他公式作品に登場する、
- 「クッパ女王」(アニメ版)
- 「クッピー」(漫画版)
- 「合体魔王ピッパ」(『4コマまんが王国』版)
- 「クッパピーチ」(『スーパーマリオオデッセイ』の没案)
等もクッパ姫と呼ばれることがあるが、現在では前者の意味で用いられている場合が多い。
事の経緯
以下ではpixivで主に描かれるファン創作の「クッパ姫」についての経緯を説明する(公式作品におけるクッパのピーチ姫化〔女体化・女装〕については後述)。
スーパークラウンについて
2018年9月14日のNintendo Directにて、Nintendo Switch用ソフト『NewスーパーマリオブラザーズUデラックス』の初発表が行われ、新アイテムとして「スーパークラウン」が登場することが紹介された。
追加キャラクターのキノピコがスーパークラウンを取得すると、部分的にキノピコ風のデザインを持つピーチ姫に似た美女のキノピーチへ変身する事が判明する。(任天堂公式発表)
(21秒付近より)
「クッパ姫」誕生
『NewスーパーマリオブラザーズUデラックス』の公式発表から5日後の2018年9月19日、主にdeviantARTで活動するマレーシア人のhaniwa氏のTwitterにて、女体化されたクッパのイラストが投稿された(『スーパーマリオオデッセイ』のネタバレ注意)。
『スーパーマリオオデッセイ』のエンディングをモチーフとした4コマ漫画で、クッパがスーパークラウンを使い自ら女体化してマリオと付き合うという内容のもの。
上記のスーパークラウンを「使用すると誰でもピーチ姫風の姿に変身できるアイテム」なのではないかと独自解釈して描かれたものがこのイラストである。
なお、この解釈は2019年になって公式に否定され、「キノピコにしか使えないアイテム」であることが判明した。詳しくはスーパークラウンの項目へ。
クッパの女体化、ピーチ姫のクッパ化は以前から存在していたジャンルであったが、公式設定でより自然に、TS・人外・モンスター娘・闇堕ちなど、様々な萌え属性を付与できるようになった。
複数のジャンル(というより性癖そのもの)が各所にスマッシュヒットした事でpixivでも投稿件数が9/21を境に急上昇。
24日の時点で1800件、27日の時点で6000件を超え、過去に例がない勢いを見せ、とうとう25日にはpixivisionにて、特集が組まれた。
なお、haniwa氏は自分が何気なしに投稿したイラストがここまで爆発的な話題になるとは当然ながら夢にも思っていなかったらしく、後日、自身のTwitterで「一体何が起こってるっていうんだ!? 嬉しいけれどもちょっぴり怖い…(意訳)」と綴っている。
反響
イラストだけにとどまらず、クッパ姫のコスプレを披露するツワモノまで早くも現れた。
Twitterでもトレンドとして長らくトップに居座り続けた挙げ句、24時間常に1位でミリオンツイート超えとなった。
それが原因か、24日夜にクッパ姫がトレンドから消えたが、ハッシュタグ「#クッパ姫」の方はトレンドに残っている上に、何故か「キングテレサ姫」は4位だった。
Twitterユーザやネット上の推測では、Twitterのシステムによって「クッパ姫」という単語が、日常的に使われる「一般名詞」と自動判断されトレンドから除外された等と噂されている。
ネット世界でクッパ姫関連が急速に広まった結果、「クッパ姫」「キングテレサ姫」「女体化」が間接的にテレビ放映されるにまで至っている。
なお任天堂の広報担当者は9月25日、今回のクッパ姫ブームについて質問した「J-CASTニュース」に対して、
> 「インターネット上の書き込みなどに関しては、コメントは控えさせていただきます」
とコメントしている。
現代社会では二次創作(二次的著作物)への規制が厳しく、特に海外の企業や法律によって、「著作権侵害」「違法」と判定されることも多い(詳細は後述)。
ネット流行語大賞受賞
「クッパ姫」と言う言葉がネット流行語大賞のトップ20単語賞を受賞。2019年1月11日にはhaniwa氏のツイートで戸惑う表情でトロフィーを持ち、キノピコに睨まれるクッパ姫のイラストが投稿された。
あれから一年
爆発的に広まり、数々のファンアートや派生ピーチキャラが生まれ、年内にその熱が治ってからも、各所でノートとして少しずつ取り上げられたクッパ姫も生まれてから一年が経ち、haniwa氏本人から祝いの二段チョコケーキを持ったクッパ姫と、ブームの発端となった一枚のイラストのリメイクが投稿された。
容姿
スーパークラウンを使用しているが、姿は本来の使用者キノピコのキノピーチと違い、よりオリジナルのピーチ姫に近い容姿になったものが多い。
ただし、部分的にクッパの意匠が込められており、
- クッパらしく頭部に大きな角が生えており、口には牙が生えている。耳も尖っており(エルフ耳)、髪も後ろで束ねられている。
- 垂れ目がちのピーチ姫と比べて目つきが鋭い。口も大きく裂けており、ぽってりとした唇がトレードマークであるピーチ姫とは対照的である。
- 服が黒を基調としたものになっている。実はこの衣装はオデッセイに登場したピーチ姫の(マリオも着れる事で話題になった)ウェディングドレスのカラーリングを変更したもの。
- トゲ付きのアクセサリーを身に着けている。
- クッパと同じ甲羅が背中にある。
- もともとの体格もあり、ピーチよりも大柄かつボリューミー(むちむち)な体つき。描き手によっては太眉だったり筋肉娘(筋骨逞しい少女・女性)に描かれる。
といった違いもある。
因みに海外では、スーパークラウンのデザインがクッパのコウラを意識した物に変わりつつある。
設定
元々、スーパークラウンの設定が曖昧な上に、二次創作の元祖でありhaniwa氏のイラストも台詞なしの4コマ漫画のうち1コマでしかないため、「ピーチの容姿をしたクッパ」と言う以外に明確な設定と言うものは存在しない。
概ね、大まかには3つの設定に分かれるが、細部ではさらに千差万別で、作者によって異なる。
- 外見を性転換・女体化しただけ。性格・口調等は完全に元のクッパのまま。
- 変化した事で、性格や口調も女性的になっている。
- スーパークラウンとは関係ない、「クッパが最初から女性だったら」という「もしも」の存在。
どの設定が正しいと言う事は無い(言わば、「それぞれの作者の設定が正しい」)ため、閲覧の際は決めつけないようにしたい。
名称
日本では当初は「TSクッパ」「ピーチクッパ」「クッパピーチ」といった表記もみられたが、現在では概ね「クッパ姫」と呼ばれている。
英語では「Bowsette」「Princess Bowser」などと呼ばれている。Bowsetteとはクッパの英語名Bowserとキノピーチの英語名Peachetteを合成した名称である。更に言えばPeachetteはPeachとキノピコの英語名Toadetteの合成であり、Toadetteはキノピオの英語名Toadに「~の女性版」程度の意味を持つ接尾辞「-ette」をつけたものである。
クッパが女性的(ピーチ姫的)な公式作品
- 1989年:OVA『スーパーマリオブラザーズ しらゆきひめ編』の「クッパ女王」
- 1992年:漫画『スーパーマリオくん』5巻で登場した、ピーチ姫風の女装をしたクッパ。
- 1998年:4コマ漫画でピーチ姫とクッパが合体した「合体魔王ピッパ」
- 1998年:『マリオパーティ』で、「ピッパ」そっくりのピーチ姫。
- 2015年:漫画『スーパーマリオくん』50巻で、ピーチ姫化したクッパ「クッピー」
以下で説明すると、ゲーム作品では『マリオパーティ』のミニゲーム「クッパのきもち」で、ピーチ姫にクッパの着ぐるみを着せることができ(ピッパそっくりになる)、『マリオパーティ2』『マリオパーティ3』の「クッパのもと」、『マリオパーティ4』の「クッパスーツ」、『マリオパーティ8』の「クッパキャンディ」というアイテムを使うと、顔は本人のままでクッパの力をある程度発揮できる。
アニメではアマダアニメシリーズ『スーパーマリオブラザーズ しらゆきひめ編』で、クッパが女王として登場している(ただし女装に近い)。
また1986年のアニメ映画『スーパーマリオブラザーズ ピーチ姫救出大作戦!』のクッパは通常通り男性だが、声は女性(和田アキ子)が演じている。
漫画でも任天堂公認のギャグ漫画『スーパーマリオくん』(沢田ユキオ作)で、「クッパがピーチ姫風の女装をしている。同作品では、マリオなど他のキャラクターがピーチ姫のコスプレをしたこともある。また『スーパーマリオ4コマまんが王国』での、みた森たつや作「ピッパの大冒険」では、カートレース中にピーチ姫とクッパが衝突し、「合体魔王ピッパ」が誕生した(頭部がクッパで首から下がピーチ姫の「クーチ」も出た)。
『マリオくん』風の絵柄で「クッパ姫」を描いた二次創作イラストも存在する。
クッパピーチ
このクッパ姫から始まるピーチ姫化のムーブメントの最中の2018年9月28日に、『スーパーマリオオデッセイ公式設定資料集』が発売され、その中にある開発初期でのボツ案の一つとされた設定イラストの中に、「クッパ戦(案)」という漫画形式のラフなイラストの中に、「クッパピーチ」が存在した。
ある意味、公式が既に「クッパ姫」を制作していたと言えなくもない。ただし、
- 「クッパピーチ」:原著作物(公式、ただし本編不採用のボツ案)。クッパに憑依されたピーチ姫。
- 「クッパ姫」:二次的著作物(二次創作)。ピーチ姫化したクッパ。
といった違いは存在する。
なお、この「クッパピーチ」は当然であるが開発側しか知りえない開発資料の一部であり、クッパ姫の始まりであるhaniwa氏のデザインとは全くの偶然の一致である。
関連イラスト
2018年9月24日時点で、Pixivにおけるクッパ姫のタグがつけられたイラストは全てhaniwa氏が描いたイラストをモチーフとしたものとなっている。
多くは一般絵だが、かなりの数のR-18絵もあるため閲覧・検索の際には注意。
なお、R-18 を含めることになるが、10月9日午前零時を超えた辺りでついに「クッパ姫」のタグが付いたイラストが1万件を突破した。
カップリング
haniwa氏の元ネタイラストでは宿命のライバルと結ばれて(?)いたが、もともと恋い焦がれていたピーチ姫とのカップリングイラストもちらほらと見られる。
ピーチ姫との関係は、原典通りに強引に迫っていたり、なんだか仲むつまじかったり、立場が逆転してたり、とこれも様々である。
その他
クッパ姫がブームとなっていた2018年9月は、折しも大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ最新作『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』が開発中であったこともあり、もしもクッパ姫が参戦していたら…というIFイラストも投稿されている。
ちなみにクッパ姫に近い服装の色違いがあったりする。
派生
元からクッパには派生キャラが存在しており、クッパ派生からクッパ姫派生も生まれている。
- ギガクッパ→ギガクッパ姫
- メカクッパ→メカクッパ姫
果てはクッパ姫くんや、ロリクッパ姫までも登場した。
ただしこちらはクッパ姫作品群に散見されるものの、固有タグが確定されていない。
(2018/09/30現在)
さらにスーパークラウンの特徴も合わさってか、「○○姫」として派生が次々と現れたようで、「キングテレサ姫」や「パックンフラワー姫」といったものまで新たに続々と出てきている。
注意・諸問題
法的問題について
弁護士の齋藤理央氏によると、クッパ姫は「著作権侵害」であるとも、そうではないとも評価できるとしている。
もっともこれはクッパ姫をはじめとしたピーチ姫化に限った話ではなく、全ての二次創作に言えることである点にも注意したい。
結局、騒ぎになろうとなるまいと判断を下すのは任天堂である。外野が過剰に問題視する事も、逆に全く問題視せず好き勝手やる事も決して褒められた行為ではない。
しかしながら、「節度を守って」「公式の指示には文句を言わずに素直に聞く」と言う、二次創作と著作権に関しての知識と意識を再認識し、持ち直すいい機会であるとも言える。
ファン創作としての注意点
ニッチな創作ジャンルのため扱いには注意が必要であり、タグでは本家マリオシリーズとの差別化を明確にし、R-18や同人・グッズ化に関しても同様の理解と配慮が必要になってくる。
詳細は「ピーチ姫化」を参照。
亀姫について
ピーチ姫本人が悪堕ちしクッパの妻となった「亀堕ち」というジャンルもあるが、見てわかる通り全くの別物であり、混同しないよう注意。
なお『スーパーマリオサンシャイン』において「母親はピーチ姫である」とクッパはJr.に吹き込んでいたが、実際には嘘であることが作中で判明している。
「クッパ姫」公式化への署名・反署名活動
9月24日にオンライン署名サイト『Change.org』で、任天堂からの「クッパ姫」公式認可を請願する署名集めが立ち上がっている。
以下に日本語訳を要約して記載すると、
> 【クッパ姫を公式にしよう】【クッパ姫は本物】
> 『クッパ姫(Bowsette)』とインターネット上で名付けられた彼女は、クッパがスーパークラウンを使ってピーチ姫の姿に変身するという考えからインスパイアされたキャラクターです。
>始まりは絵師のhaniwa@aykk92によるTwitter上の作品とされ、haniwa氏が描いたのは、フラれたマリオとクッパがスーパークラウンを使うことで結ばれるという、面白おかしい4コマ漫画でした。
> インターネットは、この思いがけない組み合わせに一目惚れをし、一夜にして、絵師たちが幾千ものファンアート作品をカメの王女(クッパ姫)に捧げたのです。
>これを書いている間にも、Twitterで#Bowsetteはトレンド入りし、15万以上ツイートされています。
(中略)
>しかし、任天堂がこのキャラクターに一目でも向けてくれたらと私たちは願い、個人的にはぜひとも『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』でクッパ姫を見たいものです。
>たとえそれが単なる記念品〔トロフィー〕であっても、そうしたやり方で任天堂はクッパ姫の存在をゆっくりと、しかし確実に受け入れてくれるかもしれません。
9月24日以降、アーティストやYoutuberも署名を呼びかけている模様。
なぜ海外署名活動がここまで過熱化しているのか
日本国内ではこの活動に対し「なぜファンアートという扱いでは満足出来ないのか」「そうする理由が分からない」といった意見が散見される。
この公式からの許可を求める動きは、アメリカにおいての著作権が非常に厳密であり、二次創作への規制・制限が日本よりもはるかにキツく、捉え方も日本とは異なっているという事情から由来している。
過去に行われた奥邨弘司氏や泉克幸氏、池村聡氏、壹貫田剛史氏を招いた公開討論会(75-76ページを参照)によると、アメリカでは公式と非公式の区別が法的に明確であり、二次創作には、公式の許可(ライセンス)が必要となることが多いとされる。
奥邨氏曰く、アメリカ(ひいては日本以外の多くの国)では原作を「批判」するようなものだけを「パロディ」と捉え、日本人の考える同人誌などにおける二次創作といった類には厳しい態度を取られてしまうとのこと。すなわち「ちゃんとライセンスを得てやればいいではないか」という志向が強く、著作物の利用が公正な利用と言える場合は著作権侵害とならないという、包括的な規定があるという。
付け加えるなら、日本とアメリカでは二次創作(あるいはファンアート)に対する考えが全く異なっていることも原因のひとつ。そもそも二次創作と一次創作(オリジナル)が厳密に区別されてる日本と違い、アメリカではこの二つに区別はなく、ファンアートも公式の一部という解釈が当たり前になっている。このためいわゆる「二次設定の公式化」が日本よりはるかに多く、ファンアート出身のクリエイターも複数存在している。
もちろん、これはアメリカの考え方であって、日本企業である任天堂がそのまま受け入れるとは限らないし、署名活動という体での押し付けが配慮不足というのは事実である。
アメリカでもそうした観点からこれに否定的な見方をするファンも存在しており、この辺りからクッパ姫自体のブームも落ち着き出したことを考えると、事情があるとはいえ褒められたものではなかったと言える。
なお、上述したような反感からか日本ではこれに異を唱える反対署名活動が繰り広げられており、国境を越えた騒動になっている。
しかしこちらもこちらで、上記な社会的な差異を全く考えていない感情的なものと言えなくもなく、実際に参加者、賛同者にはただアメリカ人を乱暴に非難するだけの者も介在しているため、擁護できるものではない。
この対立は「アメリカの事情を日本の企業に押し付けた推進側」と「アメリカの事情を理解せず日本の都合だけで批判した反対側」の、相手の国を思いやれない両者による対立、と見ることもできるだろう。
haniwa氏もここまで事が大きくなるとは夢にも思っていなかったであろうが、10月1日、haniwa氏がクッパ姫に関してツイートを改めて発信している。
一応、公式からの解答として現在スーパークラウンはキノピコだけが使えることが明記されている。
つまりクッパ姫をはじめとしたピーチ姫化キャラが公式化する可能性は正式に消滅したことになる。
一方、その後の任天堂では…
ニンテンドウ・オブ・アメリカの「レジナルド・フィサメイ氏(レジー)」がCEOを退任し、後任として「ダグ・バウザー」氏が就任した。まさかのクッパ社長の登場である。
うん、もう公式が最大手でいいよ…。
また、クッパ姫の全ての元ネタは『スーパーマリオオデッセイ』のエンディングだったが、なんと『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』においてはピーチ姫で「勝ち上がり乱闘」をクリアした時、『スーパーマリオオデッセイ」のエンディングとは違うマリオとピーチの驚きの光景が一枚絵として表示される。本編ではないが、まさかの公式である。
関連タグ
コクッパ ブーム前から擬人化イラストはこちらの方がかなり多かった
クッパJr. 実はクッパ姫とマリオの間に生まれた子供である、つまりクッパは父親ではなく母親という衝撃的なネタが一部で広まっている。
ミッドナイトブリス - 格ゲーにおける有名な女体化技。これを元にあるゲームにてあるキャラが女体化して参戦したことが直近で話題になっていた。
超次元ゲイムネプテューヌ - OVAアニメ『超次元ゲイム ネプテューヌ ~ねぷのなつやすみ~』の冒頭にてクッパ姫とキングテレサ姫がネタにされている。
haniwa - クッパ姫の考案者
日本人に見つかった結果 - まさにこれ