概要
詳細
大物Youtuberことsyamu_gameが小説家になろうで執筆していた小説。通称「ゾッ帝」。「ゾット帝国騎士団カイトがゆく!~人を守る剣の受け継がれる思い~」と、「ゾット帝国親衛隊ジンがゆく!~苦悩の剣の運命と真実の扉~」の2作が公開されている。
執筆開始したのは一度目のYoutuber引退後である2015年で、ペンネームは「裕P」「浜川裕平」を名乗っていた。
オリジナルの作品は、アカウントが削除済みであり閲覧できない。未完結のまま終了となった。
ゾット帝国を熱心に扱う者たちは、「俺オナ民」「ゾッ帝民」と呼ばれる。pixivやニコニコ静画では、少数ながらキャラクターのファンアートが投稿されている。
内容
ストーリーは王道の異世界ファンタジーものである。しかし、syamuの文章力が壊滅的であるため非常に読みにくく、代名詞を使わず固有名詞を連発するシーンもあり無駄に長ったらしい文章になってしまっている。
特に、主人公がジャンボシャボン玉(人間一人が収まる大きさのシャボン玉)の内部でもがくシーンや、主人公の目前で大型肉食恐竜型ハンターと小型獣型ハンターが死闘を繰り広げるシーン、および大男がトランクからポンプアップショットガンを取り出して点検するシーンは、筆者の文才の無さ(?)を象徴する文章として掲示板サイトでは語り草となっている。
また、一人称や役職がコロコロと変わったり、主人公カイトが「正義感が強い」という設定ながら盗品を武器にしていたり(冒険を通じて正義感あふれる姿に成長していく想定かもしれないが)、ツッコミどころ満載となっている。
あらすじ
ゾット帝国騎士団カイトがゆく!~人を守る剣の受け継がれる思い~
カイトと彼の幼馴染であるネロ、ミサの三人組が二手に分かれて「禁断の森」を探索しにやってきたところ、地上を探索していたカイトとネロが狼のような未知の魔物の襲撃に遭う。ネロの道具で一度は撃退したものの、魔物は変身を行い反転攻勢をかけた。ホバーボードで上空から駆け付けたミサは魔物の実弾や光線銃による攻撃から二人を匿ったがホバーボードは故障、ミサ本人も魔力が尽きて意識をなくしてしまう。カイトはミサを救い出そうとするも不手際が重なり、最終的には三人は離れ離れになってしまった。再び命の危機に瀕したカイトが最終手段として胸に装着していたクリスタルの力を使用、遠方から飛来してきた"白いドラゴン"に間一髪のところで助けられた直後に気絶したのだった。
カイトが意識を取り戻すとそこには白いドラゴンが姿を変えた一人の華奢な見た目から女が立っていた。カイトは気絶中に仲間二人が黒装束の武装集団の野営地に拉致されていることに勘づいており、女になぜ二人を救助しなかったか詰問するが、腹が減っては戦はできぬ。カイトは彼女に勧められた食事にがっつきながら女の素性を質した。クリスタルの力で封印から覚めた彼女は現在ラウル古代遺跡の番人であり、かつてラウル帝国の古代王に仕えていた「ディーネ」であった。カイトは胸に付けているクリスタル「オーヴ」に選ばれし者であり、また禁断の森の正体は呪いによって樹海へと変貌してしまったラウル帝国だったのだ。
禁断の森にまつわる経緯を拝聴していると、ディーネが張っている結界が攻撃を受ける。帝国が護衛部隊として建造したが今や共食いして狂暴化するなど暴走している魔物「ハンター」が襲ってきたようだ。ディーネはカイトから預かっていた武器を彼に返却し自身はドラゴンに変身、付近の上空を通りかかった竜に騎乗している少女の身を案じつつ、小型獣型ハンターと大型肉食恐竜型ハンターとの三つ巴の死闘を繰り広げる。獣ハンター勢は恐竜ハンターに敗退したがまだあきらめがつかず、瓦礫と生存している獣ハンターを吸収して恐竜ハンターへと変身を試みる。この状況が自分の手に余ると判断したディーネはカイトを連れて上空へ撤退した。だが次は翼竜型ハンターが羽ばたき飛行で二人に襲来、ディーネは翼竜ハンターのプラズマ弾を受けて姿勢を乱してしまった。カイトは魔物に偶然刺さった武器を命綱代わりに高度を保ちながら応戦し、今度はディーネを援護しにやってきた妹の黒いドラゴン「フィーネ」に救助される。姉妹は戦禍の中で久しぶりに再会することとなった。
ディーネはハンターの討伐へ、フィーネは武装集団の思惑についての推測をカイトに語りながら一緒に少女を追跡する。彼女の後ろに付く敵を始末している最中に少女の正体がどこかの王都の「ルエラ姫」だったことにカイトが気づいた。ルエラ姫は魔法攻撃でハンターを倒し、カイト側を挑発しながらどこかへ飛んでいこうとするが、ハンターの攻撃を受け樹海へと墜落していった。物語はここで終わっている。
出典;【MMD紙芝居】ゾット帝国【完全版】
登場キャラクター
ゾット帝国騎士団カイトがゆく!~人を守る剣の受け継がれる思い~
主人公組
【カイト】
一人称が「オレ」の少年。
本作の主人公。11歳。職業不詳。登場時の服装は語られている範囲内でスニーカー、靴下、カーゴパンツ。背中に武器の剣を、腰のホルスターにオートマチック銃を装備している。
正義感の強い性格とされているが、その割には窮地に陥っても自力で解決せず仲間に救援を要求したり、盗品を武器にしていたりとミスマッチな行動が多い。
【ネロ】
カイトの幼馴染。年齢、職業不詳。登場時の服装は黒のハット帽、黒縁メガネ、ピアス、白いシャツとその上に黒のジャケット、指輪、ブレスレット、デジタル腕時計、デニムパンツ、スニーカー。
ゾット帝国の研究者の息子で、父親の発明品や武器の改良を趣味としており、カイトとミサに呆れられている。女の子にとって魅力的な容貌。
発明品を活用してカイトとミサを援助していたが、ミサの魔力切れで黒装束の野営地に落下、彼らに拉致された。カイトが救助に来る可能性に一縷の望みをかけ、その後の消息は不明。
本作では「ネロ」の名をつけられたキャラクターが合計3つ登場する。
【ミサ】
カイトの幼馴染。年齢、職業不詳。
ネロに対して好意を寄せる一方でカイトには冷淡な態度を取っており、カイトから嫌われている。ただし毒舌を吐いたり過激なブラックジョークに走ることはあれど、仲間を見捨てるようなことは決してしない。
魔力を使用できる。例えばカルト的読者にとって彼女の代名詞となっている「ウォーターボール」は、少なくとも人間一人分を収めることができる巨大なシャボン玉状の物体を生成することができる。人間の体重を上回るほどの大きな浮力を持ち、金属のごとき硬い膜は敵からの攻撃から守れる強度をもつ。ただし耐久力があり、一定ダメージを受けると破壊されてしまう。耐久力は調整可能の模様。
禁断の森上空でホバーボード「ネロ」に乗り空中から遺跡を探索する役割を引き受けていた。ネロとカイトに危険が迫っていることを察知してウォーターボールで救出したものの、それで魔力を使い果たし意識を失った。カイトが蘇生措置にとりかかるも要領が悪く、結局滝の下に落下、カイトがオーヴを使用して滝壺に没することは免れたものの黒装束にホバーボードごと拉致されていった。
【ディーネ】
ラウル古代遺跡の番人。何者かに封印されていたが、カイトがオーヴの力を使用したことで解放され、力の源を所持しているカイトが命の危機に瀕していることを見抜き滝つぼから救った。これ以降カイトと行動をともにすることとなる…。
【フィーネ】
ディーネの妹。地色もディーネと対照的に黒色をしている。ラウル古代遺跡の番人。ハンターの戦闘から撤退したディーネを見つけ助太刀として合流した。ハンターの掃討に向かったディーネに代わってカイトをサポートする。
敵キャラクター系統
【狼のような魔物】
序盤でカイトとネロを襲撃していた、暗黒のオーラと赤い眼光を放つ魔物。禁断の森の中に棲みつき、群れで行動しているらしい。狼と遜色ない見た目だが?仲間を共食いすることで、メタリックな骨格と背中に搭載しているミサイルランチャーやガトリング砲とビームキャノンの砲台が使用可能な形態になる。
2人を襲うための仲間を確保するため、3体組のうち1体が雨で濡れた地面から砂煙が上がる超自然的な現象を起こす急停止を行い、遠吠えにより援護を呼び寄せたうえでカイト組を包囲することに成功。討伐すべくゆっくり接近しているとネロの道具が発動、仲間を殺されたが、その死体を共食いして変身を行い背中に隠し持っていた武器で返り討ちを行った。しかし最終的に3人を討伐できずに終わった。
【大鷲】
ミサと彼女の魔法で森の上空へ退避したカイトとネロを襲撃した、メタリックな骨格で眼が赤く光る魔物。
口腔内のガトリングガン、両翼先端のミサイルランチャー、刺突可能な鋭さを持った尾で攻撃する。
大鷲同士が空中衝突した際に爆発して破片が散乱している場面があることから、体内に可燃物か爆発物が使われている模様。
【黒装束】
禁断の森の中で野営地としてテントを張り、活動している集団。マシンガンやライフルで武装している。
ミサとネロを拉致し、テント内の檻の中に監禁している。力尽きていたミサは蘇生された他、ネロは眼鏡のメンテナンスを自分でさせられる設備を設けるなど、人質に対して丁寧な扱いをしている一面がある模様。
彼らが禁断の森で活動している理由について、フィーネは「古代王ウィリアムをアルガスタに復活させようと企んでいる」と推測していたが、真の目的についての詳細は不明。
【ハンター】
ラウル帝国が国家を護衛するために建造した、サイエンスフィクションでいうところのアンドロイド。大型肉食恐竜型、小型獣型、翼竜型の3種類が本編に登場した。
ハンター同士で共食いをすると力が増すという性質を持つ。ゆくゆく脳神経のたんぱく質が破壊され(変異性クロイツェルト・ヤコブ病)早死に不可避という、現実世界における人間の共食いとは対照的。
ラウル帝国が滅亡してからは古代遺跡への侵入者や他のハンターを無差別に狩る暴走マシンと化し、番人のディーネとフィーネは手に負えなくなっている。
モブ系統
【ルエラ姫】
カイトがハンターと死闘を繰り広げる直前、竜「ネロ」に騎乗して上空を通過していた少女。死闘から撤退したディーネに悪口を吐き捨てて去ろうとするが、ハンターの攻撃を受けて取り乱し、竜もろとも森に墜落した。物語はこの場面を最後に中断している。
上空に雷雲を生成し剣を降らせ敵を絨毯攻撃する「シルバーレイン」の魔法を取得している。
【ウィリアム】
フィーネから存在が語られた古代王。闇に染まった彼はアルガスタの支配を目論見ていたが、妻のアリーシャに野望を見透かされ、「塔の頂上」にある祭壇に夫婦そろって封印された。しかし、ウィリアムが持っていた邪悪な戯れと怨念は封印をすり抜け、ラウル帝国を樹海へ、そこに生息していた動物たちを魔物へと変貌させていった。
【アリーシャ】
ウィリアムの妻。闇に染まった夫ウィリアムを呪いと引き換えに自身もろとも封印した。
その他
syamuは本作の執筆と並行し、Twitterで同じく小説家になろうで活動している女性にしつこく絡む出会い厨行為(所謂精スプ)をしており、執筆活動は出会いのための手段にすぎなかったのでは?という声がある。事実、絡んだ相手が男性(ネカマ)だと分かった途端に掌を返して突き放した実例がある。その出会いも上手くいかず、複数の女性に気味悪がられてブロックされ、その度に「ブロックされる理由が見当たらない」などとツイートし、自分に非があることを理解していなかった。
このような実情が明るみに出てからは再びアンチによって叩かれた。
その後、小説家になろうで活動していることが家族に伝わり、インターネットの使用を制限されてしまい執筆活動は中断した。Youtuberとして復活した際には続編を書く意欲を見せたことがあったが、結局実現しないまま作品は削除、のち二度目の引退を迎えた。
もっとも、小説家になろうは十人十色なユーザーが利用するため、完成度の劣悪な作品自体は山ほどある。ゾット帝国の悪目立ちは、syamu自らが宣伝を行ったこと、奇妙な人物像や破天荒な失敗などがYoutubeで露呈していたことで、藪をつついて蛇を出す結果になったのである。
語源・由来は不明だが、何の偶然かオランダ語で「Zot」はとある放送禁止用語を意味する単語である。
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これが~ユージの歩く道!:2010年頃にピアプロで執筆していた小説。前作にあたる。
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