概要でござーる
『信長の忍び』の主人公「千鳥」が仕える「戦国三英傑」の一人、織田信長。
その信長の家臣である「羽柴秀吉」に関して記述する。
解説でござーる
戦国三英傑の一人にして、後の太閤・豊臣秀吉その人。日本の歴史上もっとも出世した男。
生まれは尾張の農村で、百姓の長男として生を受ける。生まれたその日から既にサル顔であり、千鳥からは「服を着た猿」と思われる、丹羽長秀から本物のニホンザルを「おお秀吉どの」と言われてしまうなど、とにかく猿扱いされている。
ギャグパラレル『戦国雀王のぶながさん』では本編に先駆け、「大御所」となった家康と共に「太閤」となった姿を披露した(ヒゲとシワが増えただけだが)。
『尾張統一記』時代
幼くして父を亡くし、母親・仲(後の大政所)の再婚相手との折り合いが悪かったため寺に修業に出されるも、悪戯で仏像を破壊し追い出される。百姓も僧侶も諦め転職を37回繰り返した末に侍になることを決意し、亡父の遺産で針を買って行商の傍ら仕官を行っていた。その最中、蜂須賀小六と知り合い武芸を学ぶもまるで上達せず、打たれ強さと鈍感力は「木綿藤吉」と呼ばれるほどに培われていった。
ちなみに作中では一番侍っぽい口調で話しているが、これは「語尾にござるとつければ武士でござる!」という子供の頃の大雑把な認識が元で、それがすっかり定着してしまったからとのこと。
当初は「うつけ」として名高かった信長には目もくれず、今川義元家臣・松下之綱に拾われそこで雑務を行っていた(この時に「木下藤吉郎秀吉」を名乗る)が、周囲からのいじめを受けていることを知った之綱より多額の退職金を受け取り終わりに帰参する。
その後、友人のツテで信長の下へ就職。かつての(多すぎる)転職経験をもとに様々なノウハウと人心掌握術により領民たちと打ち解けていき、前田利家や森可成といった重臣たちからも慕われるようになった。
『信長の忍び』時代
信長のパシリということで主役である千鳥や助蔵との絡みも多い。忍者については間違った認識をしており、千鳥が忍者教室を開くと知ると真昼間に黒一色の服を着てバク転しながら往来を行くという完全に忍者とはかけ離れた方法で通学したほど。
ガールフレンドのねね(美人)とは鈍感な千鳥でもわかるくらい一方的に片思いされていたが、本人は全然気づいていなかった。桶狭間の戦いを経てようやく己の過ちに気付き、「なにより年が若い(11歳下)から」という不純な動機で(当時としては非常に珍しく)恋愛結婚した。以降、子宝には恵まれなかったものの、大名となった後も変わらず彼女のことを深く愛している。
性格はお人好しでスケベでお笑い好きと非常に明朗であり、登場当初はバカで運動音痴でマヌケとかなり問題のある人物であったものの、幾多の戦乱を乗り越え、仲間を増やしていく内に、織田家内でも屈指の名将へと成長していく。
基本的に誰とでもすぐ仲良くなるタイプの人間であり、信長が身分などによる差別を考えない仕官を行っていたので、明智光秀を始めとした(←伏線)他の武将ともバカばっかりやっている。
お市の方に対しては見ただけでスリーサイズを測定しようとしてシスコンの信長に撃たれそうになるということがしばしば在り、彼女が浅井長政に嫁ぐことを知った時には別人のように痩せ細っていた。浅井家滅亡後は彼女が側室になってくれるのではないかと期待していたものの、信長から万福丸(長政の連れ子)を処刑するよう命じられ、やむを得ず彼を始末、小六から「これで確実に嫌われちまったな」と吐かれてしまい辞世の句を読んでいた。
小谷城落城の際には茶々がお市にそっくりであることを知って「絶対に成長したら結婚しよう」と決意していた。
一国一城の主となったことを期に、柴田勝家と丹羽長秀から一字ずつ拝領し羽柴秀吉を名乗る。
『軍師黒田官兵衛伝』時代
この頃には懐刀である半兵衛の病状が悪化し、一人で城攻めを行うことも多くなったが、半兵衛抜きでも城を落とし、敵将を懐柔するなど『信忍』初期とは比べ物にならないほど強くなっている。信長からも「実力ではワシより遥かに劣るが、人を使う術に関しては凌駕する」と評されていた。
とはいえサル顔は相変わらずで、主人公・黒田官兵衛からは最初「秀吉の家来」だと思われていた。
官兵衛を仲間に迎え中国勢との戦いに挑むものの、半兵衛を病で失い、彼より後継を託された官兵衛、そして官兵衛の調略に応じて傘下となった謀将・宇喜多直家らと共に壮絶な戦を繰り広げた。
そんな中、突然に官兵衛と秀吉は「その一報」を知らされることとなる。
官兵衛よりその手紙を渡された秀吉は「毛利方の偽計」と一笑に付し、諫める官兵衛を「それ以上言ったら殺す」と恫喝する。しかし、小六より渡された明智軍の密書を目にしたことにより、秀吉は絶対に信じたくなかった「親友による主君殺し」が紛れもない真実であることを確信してしまう。
悲嘆に明け暮れる秀吉であったが、官兵衛や弟・羽柴秀長からの鼓舞を受け、光秀を倒せる軍勢が自軍しかないことを認識。
兵力こそ倍だったが、相手は秀吉を始めとした織田家臣全員の認める軍略家。躊躇はあれど、選ぶ道は一つしかなかった。
後に「勝敗の分かれ目となる大事な機会」を意味するその地に向け、駒を進めた秀吉。
光秀の11日の天下を終わらせ、かつて「柴」の字を賜った柴田勝家をも下し、織田を手中に収めた秀吉は、最大の敵である家康と干戈を交えつつ、「天下統一」へと突き進んでいく。
天正14年、ついに関白となった秀吉は、名を『豊臣秀吉』と改めることとなる。
『真田魂』時代
時系列的には最後となる時代の秀吉。3巻の時点で豊臣に改姓している。
二代目主人公である真田信繁(幸村)の上司であり、2人とも人懐っこい割には好戦的という共通点もあって、親子ほど年の差があるにもかかわらず仲は良かった模様。
北条を滅ぼし天下を統一してからは急速に衰え、授かったばかりの長子の死、朝鮮出兵の失敗、そして病もあり、別人の如く老いさらばえてしまった。(朝鮮出兵は真田家が関与していないので1コマで済まされた)
晩年は側近の信繁に向け、戦国の乱世を駆け抜けていた青春は「なんと満ち足りた時であった事か」と涙しながら語っている。
慶長3年(1598年)3月18日、一介の農民の身から日本の全てを手にした男は世を去った。
そして、その死は日本中の大名を否応なく天下分け目の大戦へと誘う事となる。
余談
秀吉ゆかりの地である滋賀県長浜市と『信長の忍び』がコラボした際には、秀吉役の山口勝平氏が演ずる『名探偵コナン』工藤新一風のナレーションが入っている(制作会社がどちらもトムス・エンタテインメントなので出来たらしい)。
なお山口氏は若い頃から大の豊臣秀吉ファンだったとのこと。