概要
宇宙から飛来した隕石からもたらされたウィルスに染まった岩石から作られた矢。弓と合わせて『聖なる弓矢』とも呼ばれる。
矢じりで体に傷をつけられ、死亡しなかった者にはスタンドが発現しスタンド使いになれる。素養がなければ傷の大小に関わらず死亡したり、発現したスタンドを制御しきれずに死亡してしまう。
また、負傷後の生還は方法を問わない為、誰かのスタンド能力で無理矢理蘇生される(広瀬康一がクレイジー・ダイヤモンドで治療された例)でもスタンドは目覚めるが、本人の素養の問題か、当初は卵状で能力どころか身動きも取れない不完全な覚醒であった。
この現象は、隕石に付着していたウイルスによって引き起こされると説明されている。これは生命の進化がウィルスの影響による突然変異であるとする「ウィルス進化論」に基づくものである。矢じりで傷つけられた者はウィルスの毒性によって大半が死亡してしまうのだが、適応し克服した者には”ご褒美”として進化の証たるスタンドが与えられるとのことである。
また、矢によるスタンドの覚醒時にはその血縁者にまでスタンドの覚醒が起きることがある。代表的なものとしては DIOのスタンド発現時の余波があり、ジョースターの血族を遡ってジョセフ・ジョースター、空条承太郎、東方仗助、ジョルノ・ジョバァーナ、空条ホリィのスタンドを覚醒させているほか、息子であるドナテロ・ヴェルサス、ウンガロ、リキエルの発現にも関わっている可能性が高い。
第4部で初めて存在を明言される。第3部の時代にエンヤ婆が所持していたことが語られ、第4~6部のストーリーにおいて重要な役割を担った。
第3部でエンヤ婆を殺害した鋼入りのダンのセリフに「エンヤ婆……あなたはDIO様にスタンドを教えたそうだが」という、非常におぼろげ・微妙ではあるがこの矢の伏線ともとれるくだりがある。
矢は最初エジプトの遺跡にあったが、青年期のディアボロによって発見される。
ディアボロは発見した6本のうち1本を自分の手元に置き5本をエンヤ婆に売却、それが様々な人物の手に渡る。
また当然ながら矢には本来の殺傷能力はある。
うち2本はデザインの異なる虫型の矢である。ディアボロの発掘当初は弓についての言及はなく、ディアボロも弓を持っていない、さらにスタンドを引き出す効果はあくまで矢じりにあるとされることから、エンヤ婆またはDIOが矢柄と弓を付加した説が濃厚。
ちなみにこの矢は、普通に射る以外に『矢が勝手に動き、対象を射抜く』事が有る。
(この現象が起きた対象は吉良吉影と、エンリコ・プッチの二人のみ)
また、矢自体がスタンドの才能がある者を指し示すこともあった。
裏の使い道
第5部にて、スタンドの矢には上記以外の使い道があることが言及される。それは、スタンド自体にこの矢を再度刺すことで、そのスタンドを高次の存在に進化させるというものである(
ただし、ある程度素養と実力が要るらしく、ブラックサバスに内蔵された矢を掴んだ際は実力不足のためか、後に進化するゴールド・エクスペリエンス・レクイエムに進化していない)。
この事実を最初に発見したジャン=ピエール・ポルナレフはこれを鎮魂歌(レクイエム)と名付け、ディアボロとの戦いの切り札としてジョルノ・ジョバァーナ達に教え伝えた。
が、あまりにも人知を超越した力を発揮してしまう為、悪用されることを危惧したポルナレフによってこの事実はひた隠しにされ、以降のストーリーでも事実が知られる事は無かった。
6本の矢
作中の時系列に関わりのある順番に記述。
- エンヤ婆の矢。恐らくエンヤ婆によってDIO、並びにジョースターの血族にスタンド能力を目覚めさせた矢。
- エンヤ婆の矢。弓がある。スタンドとエンヤ婆について調査した虹村形兆に渡った。虹村兄弟が怪物と化した父を殺せるスタンド使いを生み出すために使用後、音石明によって奪われるも最終的には回収されスピードワゴン財団が保管。
- エンヤ婆の矢。弓がある。吉良吉廣に渡った。息子の吉良吉影および、彼の援軍となるスタンド使いを生み出すために使用。すでにスタンド使いである本体を貫くことで吉良吉影のキラークイーンをパワーアップさせたが、その後の行方は不明(吉良吉廣の写真が爆破されたことで消失した可能性がある)。
- ディアボロの矢。管理係であるポルポのスタンド、ブラック・サバスに内蔵されていたが、ジョルノが本体のポルポを自殺させたために破壊された。
- エンヤ婆の矢。虫型の矢じり。ポルナレフがエジプトで回収した。スタンドを貫くことでポルナレフのシルバーチャリオッツ及びジョルノのゴールド・エクスペリエンスを進化させた。
- エンヤ婆の矢。虫型の矢じり。DIOによってプッチ神父へと譲渡される。プッチのスタンド、ホワイトスネイクを目覚めさせるもその後の所在は不明(1本目と同一の可能性があり、その場合は虫型でない未登場の1本ということになる)。
ジョジョ達と矢
1の矢でDIO並びにジョナサンの肉体を貫いたことでスタンド能力が出現。
1の余波によりジョナサンの血を引くジョセフ、承太郎がスタンド使いとなる。
同じく1の余波により空条ホリィと東方仗助は高熱を出している。
汐華初流乃(ジョルノ・ジョバァーナ)はDIO覚醒時には特に何もなかったようだが(この時ジョルノは2歳。母親によるネグレクトのせいで誰にも異変を認知されなかった可能性あり)、スタンド能力の芽生え自体はあったようで、数年後に無意識にスタンド能力を使っている。
徐倫はDIOがスタンドを発現させた時点では誕生していなかったが承太郎が与えた『スタンドの矢に貫かれた(厳密には矢の欠片で指を切った)』ことでスタンドが発現している。
第5部の解説によると、1990年代になってから承太郎とポルナレフが矢の捜索を始めたとされ、第5部2001年の数年前にポルナレフはディアボロと交戦し敗れた。だが、承太郎が矢の存在を知ったのが第4部1999年のことなので、この説明には多少の齟齬がある。
使用経歴
明確な描写、記述があるものを時系列順に。太字は歴代主人公又はラスボス。
使用者 | エンヤ婆 |
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目的 | スタンド発現 及び勢力拡大 |
対象 | DIO |
備考 | ジョセフ・ジョースター(ジョナサンの孫) / 空条承太郎(ジョナサンの玄孫) / 東方仗助(ジョナサンの曾孫) / ジョルノ・ジョバァーナ(DIO及びジョナサンの息子) / 空条ホリィ(ジョナサンの曾孫)もスタンドを発現。ホリィと仗助のスタンドは暴走するもDIO死亡後に沈静化 |
使用者 | 虹村形兆 |
目的 | 不死の怪物と化した父を殺害できるスタンド使いを作るため |
対象 | 片桐安十郎 / 小林玉美 / 間田敏和 / 山岸由花子 / 岸辺露伴 / 音石明 / 広瀬康一 |
使用者 | 音石明 |
目的 | 特になし(遊び半分で使用) |
対象 | 『虫喰い』 / 『虫食いでない』 |
使用者 | 吉良吉廣 |
目的 | 息子・吉影を守るため |
対象 | 吉良吉影 / 大柳賢 / 噴上裕也 / 鋼田一豊大 / 宮本輝之輔 / 猫草 |
対象(暴走) | 乙雅三 |
対象(不発) | 支倉未起隆(不発の理由は明言されていない) |
対象(進化) | 吉良吉影(新能力を発現) |
使用者 | ポルポ(管理係) |
目的 | パッショーネ入団希望者のスタンド発現と選別 |
対象 | ディアボロ / ナランチャ・ギルガ / 他パッショーネ構成員 |
対象(不発) | ジョルノ・ジョバァーナ / 広瀬康一(二人とも既にスタンド使い) |
対象(死亡) | 清掃員 |
使用者 | ジャン=ピエール・ポルナレフ |
目的 | スタンドの進化 |
対象(進化) | シルバーチャリオッツ / ゴールド・エクスペリエンス |
使用者 | エンリコ・プッチ |
経緯 | 矢じりが勝手に刺さった |
対象 | エンリコ・プッチ |
備考 | 同時にウェザー・リポート(プッチの双子の弟)もスタンドを発現。 |
使用者及び対象 | 空条徐倫(ジョナサンの来孫) / グェス / エルメェス・コステロ |
経緯 | 承太郎が徐倫に贈ったペンダント内の矢の破片に引っかかれることにより発現。 |
余談
- 実写映画版『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』にて虹村形兆が線路にゴミを投げ込むサラリーマンに矢を放っているが、スタンドは発現せず死亡している。
- 実写ドラマ『岸辺露伴は動かない』では、第5話のEDロールで『ピンクダークの少年』の主人公がスタンドの矢と酷似した武器を持っているシーンが描かれている。
- 第5部のTVアニメでは、ポルナレフがスタンドの矢によってスタンド使いが誕生するという説明のシーンで、後天的にスタンド使いとなった承太郎とジョセフのシルエットと共に「後天的でない生まれつきのスタンド使い」である花京院・アヴドゥル・ポルナレフのシルエットも出ている。