超能力
ちょうのうりょく
概要
『手を触れずに物体を動かす』『その場で知りえない事象を知ることが出来る』などの能力がよく挙げられる。現実にこのよう(に見える)現象が起きた場合、大抵の場合は科学的な仕掛けを使った手品か、人間の知覚の錯誤による誤認である。
学術的な観点からも、このような現象の研究が行われており、超心理学と呼ばれる分野で扱われている。アメリカの超心理学者ジョゼフ・バンクス・ラインはテレパシー、千里眼、予知を物理的刺激が遮蔽された状態での知覚とその影響としてESP(超感覚的知覚、extra sensory perception)と呼んだ。ラインは、5種類の図形が描かれたカードをランダムに提示して当てさせる実験を経て、その実在を証明したと主張した。またラインは、物理的なエネルギーを媒介せずに思念によって外界に物理的効果を波及するPK(念力、Psycho Kinesis)という超能力も定義した。ラインによれば、思念を凝らすことでサイコロの目に偏りが起こるかどうかを測定する実験によって、PKの存在も証明したという。ラインの実験についてはその後、多くの追試が行われた。しかし結果は実験者が心霊学的現象に肯定的かどうかに大きく左右される傾向があったとされる。
オーストリアの生物学者バースホールド・P・ワイズナーは上記のESPとPKを全てひっくるめた呼称として「PSI」という名称を考案した。これは、ギリシャ語のアルファベットの23番目の文字である「ψ(psi)」と、ギリシャ語の「ψυχή (psyche)」、つまり「心や魂」を意味する言葉の頭文字に由来する。
特に知覚に関する超能力は第六感とも呼ばれる。
フィクションにおいては華奢な少年少女が大人の男性とまともに渡り合うための仕掛けとして超能力が用いられることが多い。この場合、超能力がなければ人並み以下の身体能力であることも少なくない。これらの特性は、一般人である読者が壮絶な戦いを実感できるためのガジェットとしても作用していると言えよう。エスパーという呼び方も存在するが、この場合はSF作品の作品内にのみ通用する用語である。
魔法との違い
大抵の作品において魔法と超能力は別物として扱われる。魔法の場合、技法を学べば好きな能力を使うことが出来るが(もちろん素質の違いがあるため誰でも好きな魔法を使えるわけではないが)、超能力の場合一人のキャラクターが使える能力は一種類ないし数種類に限定されており、『アレもコレも使う』ということが出来ない作品が大半である。もし超能力者が『新技』を覚えたとしても、それは新しい能力ではなく既存の能力の応用であることが多い。
習得にしても主に『学んで覚えて使う』魔法とは違い、超能力は先天的に習得しているか突然変異により習得することが多い。また『学んで』習得するにしても『理論を学ぶ』と言うより『能力の引き出し方を学ぶ』ことで生来の能力を開花させる方向性が強い。
ただ、使える能力の種類については、どちらかと言えば登場する能力者の数が影響しているようにも見受けられる。超能力者が一人ならば、超能力でできるとされる事は大抵全てこなせるし、魔法使いが複数人居れば、それぞれに得手不得手が定まっている事が多い。また、超能力で出来る事自体が魔法で出来る事よりも一般的に限られている。その辺は時代により傾向が異なるのかもしれない。
そもそも魔法と超能力は同じ作品内に併存する事が稀であり、魔法は通常ファンタジー作品に、超能力はSF作品に登場する。超能力の代表としては、触れずして物体を動かすテレキネシスがよく挙げられるが、魔法の場合は物体を出現させたり変身させたりするものが代表的となっており、キラキラしたエフェクトを伴う事も多い。
超能力はリアル寄りな分、魔法程も物理法則を無視した現象は起こせない傾向にあるが、一方で、魔法は呪文や道具などが必要となる場合もあるのに対し、超能力はそういう事は稀で、思っただけで発動するなど、魔法よりも使用者の心との一体性が高い傾向にある。その分、魔法より融通が利き易い反面、暴走が付きものでもある。また、リアル寄りの世界観上で使われる分、魔法以上にその超常性が生々しく描かれる事も多い。リアル寄りという点では、魔法よりむしろ魔術との接点が見られる事も有る。
単純に使用者による呼び分けもなされる。例外はあるが、妖精が使う場合は魔法、妖怪が使う場合は妖術、宇宙人の場合は超能力、悪魔の場合は魔術、幽霊の場合は呪いとか祟りと呼ばれる傾向がある。
なお、上記はあくまでもフィクションにおける一般的な傾向であり、例えばTRPGのダンジョンズ&ドラゴンズや、その派生ゲームでは「学習・修行で魔法を使えるようになった魔法使い」「先天的に魔法が使える魔法使い」「学習・修行で能力を得た超能力者」「先天的な超能力者」の4つの職業が全て存在している場合も有る。
超能力(PSI)一覧
一般に知られているものを記述する。
超能力を題材にした作品一覧
※魔法など、ファンタジー作品に登場する概念を持った作品については「魔法少女」「魔法少年」「魔法使い」で扱う。また、参考として「異能バトルもの」も参照。
創作された超能力を含む作品
一覧の表記方法の一例
- 作品名 - 〈作中の超能力名〉 《超能力者に対する呼称》
- 作品名 - 〈作中の超能力名1…●、作中の超能力名2…∞〉
※超能力名の末尾に付記される記号はそれぞれ以下の意味を持つ。
…● 独自の名称を持つが、内容は一般的なものである超能力の総称や個々の能力名。
…∞ 一般的な超能力に当てはまらない創作された能力群の総称や個々の能力名。
- 蒼き雷霆ガンヴォルト - 〈第七波動(セブンス)〉
- AKIRA
- イナズマイレブンGOVSダンボール戦機W - 《セブンス》
- ウルトラB
- エスパー魔美
- エスプレイド - 《ESP者》
- X-MEN - 《ミュータント》
- 風の谷のナウシカ - 〈超常の力…●〉 《超常者、超常能力者》
- 学校を出よう! - 〈EMP能力〉 《EMP能力者》
- 仮面ライダーアギト
- 恋とプロデューサー EVOL×LOVE - 〈Evol〉 《Evolver(超進化人類)》
- コードギアス - 〈ギアス(王の力)〉 《ギアスユーザー(本編不使用)》
- ゴーストハント
- 斉木楠雄のΨ難 - 〈斉木楠雄の記事を参照〉
- サイキックフォース - 《サイキッカー》
- サイコアーマーゴーバリアン - 〈サイコジェネス〉
- サイコメトラーEIJI
- PSYREN - 〈PSY能力〉 《サイキッカー》
- サクラダリセット - 〈記憶保持、リセット など〉
- ジョジョの奇妙な冒険 - 〈スタンド〉 《スタンド使い》
- 新世界より - 〈呪力〉
- SWOT - 〈カクゴ、裏カクゴ〉 《カクゴ使い》
- スーパーロボット大戦OG - 《念動力者、強念者、サイコドライバー等》
- SPEC - 《SPEC HOLDER》
- 絶対可憐チルドレン - 《エスパー(超度1〜7の7段階評価)》
- DARKER_THAN_BLACK - 《契約者》
- DiamondCutDiamond - 〈五感リンク、ブリッツ、獣王、ZOC など〉
- TIGER&BUNNY - 〈NEXT能力〉 《NEXT》
- 探偵オペラミルキィホームズ - 〈トイズ〉
- 超人ロック
- 超少女明日香 - 〈自然の加護〉 《自然の精霊(しぜんのとも)》
- 地球へ… - 《ミュウ》
- 九十九の満月 - 〈鬼技(おにわざ)〉 《鬼技使い、鬼技体質》
- とある魔術の禁書目録
- とある科学の超電磁砲 - 同上
- トップをねらえ2! - 〈超・能力〉 《トップレス》
- ドラえもん - 〈エスパーぼうし〉
- NIGHT HEAD
- ななこSOS
- 七瀬ふたたび
- NEEDLESS - 〈フラグメント〉 《ニードレス》
- バビル2世 - 〈エネルギー吸収能力(バビル2世特有の能力)〉
- ハマトラ - 〈ミニマム〉 《ミニマムホルダー》
- HUNTER×HUNTER - 〈念能力…∞〉 《念能力者》
- ヒーロークロスライン - 《ノッカーズ》
- 緋弾のアリア - 〈ヒステリアモード〉 《超能力(ステルス)》
- ファンタスティックフォー
- ブギーポップは笑わない - 〈MPLS能力〉 《MPLS能力者》
- 文豪ストレイドッグス - 〈月下獣、人間失格 など〉
- ポケットモンスター - 《エスパータイプ》
- 星のカービィ - 〈エスパーカービィ〉
- 星をみるひと - 《サイキック》
- MOTHERシリーズ - 〈PSI体系〉
- 三つ目がとおる - 《三つ目族》
- みんな!エスパーだよ!
- めだかボックス - 〈スキル〉 《異常性、過負荷》
- モブサイコ100
- ワールドトリガー - 〈副作用(サイドエフェクト)〉