概要
藤子・F・不二雄著(初出時は藤子不二雄名義)の児童向け生活ギャグ漫画。
「こどもの光」(家の光協会、農協グループ。現在の「ちゃぐりん」)1974年4月号から1977年7月号まで連載された。単行本は「てんとう虫コミックス」から全3巻。文庫版全2巻。
サイエンス・フィクション作品としての一面も持っていた。
珍しい点として、アニメ版は(コロ助を除いた)メインキャラ全員にガールフレンドが存在する。
(キテレツ:みよちゃん、トンガリ:五月、ブタゴリラ:妙子、勉三さん:友紀さん。ただし五月と妙子は遠距離恋愛)
アニメ化されるまでは連載誌の関係で極めてマイナーな作品であったが、アニメ化をきっかけに一気にメジャー作品に登りつめた。アニメ版の詳細は後述。
また、アニメ化に伴うメディア展開のため『月刊コロコロコミック』にてリブート作品である『新キテレツ大百科』が田中道明作画のもと連載された。こちらは単行本全6巻。
2002年1月1日にNHK教育でTVドラマ版が放送されたのだが 「大百科を見ると情報がCGで出る」、「コロ助の声優が小山茉美」、「キテレツの父が山寺宏一」「みよちゃんがボス」である以上は…お察しください。
ストーリー
発明が大好きな小学生のキテレツこと木手英一は、発明家であった先祖のキテレツ斎がその発明道具を書き記したと伝えられる「奇天烈大百科」を親から譲り受けたのだが、全てが白紙で何も書かれていなかった。一度は落胆するも、共に伝わった神通鏡を通して見た場合にのみ読めることを発見し、第1作としてロボットのコロ助を作り上げる。
なお、「発明」とあるが、実際にはキテレツ自身が発明したのでは無く先祖の遺産である発明品の製造法を現代技術を組み合わせて再現している。奇天烈大百科はつまりロストテクノロジーとオーバーテクノロジーの性質を合わせ持ったオーパーツとも言うべき書物である。
登場人物
木手家
みよちゃんとその家族
みよちゃん / 野々花みよ子(CV:山本百合子SPのみ、→ 荘真由美→本多知恵子)
ブタゴリラとその家族
コンチ・トンガリ
コンチ / トンガリ / 尖浩二(CV:真夏竜吾→三ツ矢雄二)
苅野家とその関係者
キテレツの担任とその家族
キテレツの級友または表野小学校の関係者
桜井家
花丸家
猛家
その他
登場した鉄道
アニメ
1987年11月2日、『藤子不二雄のキテレツ大百科』としてフジテレビ系で単発の90分特番アニメを放映。制作は日本アドシステムズ(NAS)。1973年の日テレ版ドラえもん終了以降、テレビ朝日・シンエイ動画が独占していた藤子作品アニメとしては約6年ぶりにシンエイ動画以外での制作となる。
コロ助のカラーリングが後のテレビシリーズと若干異なる(頭部と胴体の色合いの差が少ない、鼻・胴のボタンが青基調など)他、全体的にくすんだ色合いになっている。
これはシネ撮影に当時廉価OVAで多用されたコダック製フィルムを使っていたため(当時まだ実写・アニメともシネフィルム制作だったが、メインストリームは富士フイルム製が定番だった)。
ちなみに美術監督はあの「大河原邦男の師匠」として有名な中村光毅。
制作局・スタジオが異なるが、諸権利は小学館と藤子プロ(後の藤子・F・不二雄プロ)が管理しており、VHSロングテープによるテレビシリーズアニメのソフト化が一般化する以前、本作のみ小学館レーベルから他の藤子不二雄作品の劇場版と共にビデオソフトが発売されていた。
1988年3月27日から1996年6月9日まで同じくフジテレビ系にて定期放送のアニメが全331話放送された。ED「はじめてのチュウ」やコロ助で有名である。
前述の特番アニメからは何人かの声優が交代になっているが、レギュラーキャラクターはトンガリ以外そのまま引き継ぐ形になった。
制作はスタジオぎゃろっぷ。Wikipediaの当該記事(URL)には「(90分特番と)ほぼ同一のスタッフ」と書かれているのだが、制作会社の間で移動があったのだろうか?
引き続きコダック製フィルムが使われたが、現像所のIMAGICAの技術努力により、コダック製フィルムでも鮮やかな発色になった(……が、富士フイルム・東京現像所のシンエイ動画作品と色合いが何となく違う)。
原作の短さに反してアニメ版のほうが長寿化したために大部分がアニメオリジナル要素となっており『キテレツ大百科』といえば原作よりもアニメで定着した新要素・追加キャラクターが有名だったりする。
何よりこのアニメを一番評価していたのは藤子・F・不二雄本人であり、ずっとアニメを楽しみにしていたと発言、そして放送終了後まもなくして死去している。
アニメ版は当初1994年3月を以て終了する予定だったが、次番組がなかなか決まらず、放送延長を重ね、最終的には前述した通り1996年6月9日放送の第331回まで延長された。(1994年以降の放送に特番休止が多かったのも、何時でも終了出来るようにしていたのかも知れない。)
実は最終回は数年前に完成しており、延長を重ねた為、封印状態が続いた。
もっとも、度重なる放送延長の代償として、「世界名作劇場」と「ダウンタウンのごっつええ感じ」をも巻き込む特番休止多発の事態を招き、その特番休止多発で裏番組だった「投稿!特ホウ王国」に視聴率を奪われる事態を招いた。
さらに、本来は第332話が存在しており、制作も開始されていたが、終了直前に急遽スポーツ中継が入ることが決定したため、途中で制作が打ち切られてお蔵入りしてしまうという弊害も発生してしまう。
この悪影響は「世界名作劇場」の衰退→終結を早めただけでなく、後年フジテレビ日曜ゴールデンの長期低迷の遠因となった。
ギャグを主体とするアニメだが、残虐性を伴う場面もあった。1996年2月11日が本放送の第319話「今世紀見オサメ!? 幻のリョコウバト」の冒頭では、妙子が男に銃撃され血の海に横たわる描写があった。ただ、これはブタゴリラの悪夢であった。
久川綾氏は1989年2月12日が本放送の第39話「北斗星で北の国へUターン」にて女生徒Bを演じ、テレビアニメに初出演。後に妙子を演じてもいる。
緑川光氏も1989年2月26日が本放送の第41話「コロ助若さまのいいなずけ」にて侍Cを演じ、テレビアニメへの初出演を果たした。
主題歌
オープニングテーマ
「キテレツ大百科のうた」(90分特番)
作詞 - おこちそう / 作曲・編曲 - 細野晴臣 / 歌 - 堀江美都子
「お嫁さんになってあげないゾ」(第1回 - 第24回)
作詞 - 森雪之丞 / 作曲 - 池毅 / 編曲 - 山本健司 / 歌 - 守谷香
「ボディーだけレディー」(第25回 - 第60回)
作詞 - 森雪之丞 / 作曲 - 林哲司 / 編曲 - 山本健司 / 歌 - 内田順子
「夢みる時間」(第61回 - 第86回)
作詞 - 吉元由美 / 作曲 - 林哲司 / 編曲 - 山本健司 / 歌 - 森恵
「はじめてのチュウ」(第87回 - 第108回)
「スイミン不足」(第109回 - 第170回)
作詞・作曲・編曲・歌 - CHICKS
「お料理行進曲」(第171回 - 第331回)
作詞 - 森雪之丞 / 作曲・編曲 - 平間あきひこ / 歌 - YUKA
エンディングテーマ
「コロ助まちをゆく」(90分特番)
作詞 - おこちそう / 作曲・編曲 - 細野晴臣 / 歌 - 山田恭子
「マジカルBoyマジカルHeart」(第1回 - 第16回)
作詞 - 神原冬子 / 作曲 - 池毅 / 編曲 - 山本健司 / 歌 - 守谷香
「レースのカーディガン」(第17回 - 第24回)
作詞 - 松本隆 / 作曲 - 来生たかお / 編曲 - 萩田光雄 / 歌 - 坂上香織
「コロ助ROCK」(第25回 - 第60回)
作詞 - 森雪之丞 / 作曲 - 林哲司 / 編曲 - 山本健司 / 歌 - 内田順子
「フェルトのペンケース」(第61回 - 第86回)
作詞 - 岩室後子 / 作曲 - 来生たかお / 編曲 - 山本健司 / 歌 - 森恵
「メリーはただのトモダチ」(第87回 - 第108回)
「はじめてのチュウ」(第109回 - 第170回、第213回 - 第291回、第311回 - 第331回)
作詞・作曲・編曲 - 実川俊晴 / 歌 - あんしんパパ
「Happy Birthday」(第171回) - 第212回)
作詞 - 森雪之丞 / 作曲 - 清岡千穂 / 編曲 - 藤原いくろう / 歌 - YUKA
「うわさのキッス」(第292回 - 第310回)
作詞 - 工藤哲雄 / 作曲 - 都志見隆 / 編曲 - 白井良明 / 歌 - TOKIO
最終回について
原作・アニメ版ともに諸事情で大百科を失ったキテレツが先祖の発明を再現するではなく、自身の手で様々な発明をしていく決意をして、物語は幕を閉じたのは同じだがアニメでは展開が異なる。
航時機で過去に戻り、キテレツ斎から大百科を譲ってもらおうとするがキテレツ斎との交流で自分の力だけで発明をする決意をする。
現地でコロ助がキテレツ斎の亡き息子を模した存在であることを知る。コロ助はキテレツ斎のいる時代に残ることにし、コロ助の気持ちを尊重したキテレツたちはコロ助と別れ、現代に帰還。
ドラえもんとの対比、関係
同じ長寿の藤子アニメ、として何かと似ていると思われている2作品だがある意味対極的な作品である。
展開面では『ドラえもん』がドタバタギャグがメインなのに対し、『キテレツ大百科』は1話ごとにそれなりの冒険を繰り広げることが多い。また、それぞれ同ポジションにいると考えられるキャラクター像も異なる。
これはアニメ脚本の雪室俊一の影響が強く、原作はどちらかというとドラえもんとあまり差別化を図れないまま連載を終えている(作者もそれが不憫だったらしく、それもあって、見事な一作品として昇華させてくれたアニメ版を高く評価している)。
少し不思議な人外キャラクター:ドラえもん、コロ助。『ドラえもん』の主人公であるドラえもんはひみつ道具を用いてのび太や他のキャラクター達の悩みを解決する兄貴分であるのに対し、コロ助は自分の創造主たるキテレツの後をついていくような弟ポジションである。コロ助はキテレツの道具を持ち出して騒ぎを引き起こすトラブルメーカー的役割であることも多く、コロ助はのび太寄りの立ち位置と言える。
眼鏡をかけた少年:のび太、キテレツ。端的に言えばキテレツはのび太と出木杉とドラえもんの要素が混ざったキャラクターといえる。のび太は怠け者な劣等生であるが、キテレツは出木杉に近い真面目な秀才タイプ(のび太と違い、算数が80点台でも母親に叱られていることも。ただし、運動神経はのび太同様からっきし)。のび太はドラえもん(あるいは彼が取り出すひみつ道具)に助けてもらうことが多いのに対し、キテレツは自らの手で発明品を完成させる技術と粘り強さを持ち合わせている。また、『ドラえもん』では基本的にのび太(あるいは彼から道具を奪い取ったジャイアン、スネ夫)がトラブルを引き起こすことが多いのに対し、キテレツは自分が作った道具で他者を助けたり、道具の騒ぎに巻き込まれる被害者であることが多い。この意味ではキテレツはドラえもん寄りの立ち位置と言える。そしてヒロインのみよ子に好意を寄せられており 最初から両想い。
ヒロイン:しずか、みよ子。基本的に受動的なしずかに対し、みよ子は能動性を持ち合わせている。しずかはのび太の起こすドタバタに巻き込まれることが多いが、みよ子は自発的に冒険に参加する事も多い。そしてしずかはのび太に一方的に好意を寄せるにとどまる(連載終盤では静香も満更ではない場面もある)が、みよ子はキテレツに好意を寄せている。この相思相愛の設定は原作からであり、大全集にもドラえもんとの大きな違いの一つとして採り上げている。
ガキ大将:ジャイアン、ブタゴリラ。ジャイアンはジャイアニズムという造語が出来るほど横暴な印象が強いのに対し、ブタゴリラは乱暴さは必ずしも強くなく、むしろ頼りになる男、イイヤツとして描かれている。「塾と○○どっちが大事なんだ!」と言う台詞にもあるように「大長編ジャイアン」的な側面を常日頃から発揮している。そして彼女がいる。
金持ちのゴマスリ:スネ夫、トンガリ。ジャイアンの腰巾着で子分的な要素が強いスネ夫に対し、トンガリはむしろブタゴリラのツッコミ役的なポジション。ブタゴリラを煙たがっているような節もあり、上記の「塾と~」も冷たくあしらう時さえある。また、基本は自慢たらしで嫌味ったらしく、自信家のスネ夫とは対照的に、トンガリは気弱であまり自分の境遇を自慢しない。ただし、自分の努力を評価して欲しい承認欲求は強めである。そして、彼にも彼女がいる。
なお、原作にはコンチというスネ夫ポジションのゴマすりキャラがいたが、アニメでは脇役になってしまっている。
ちなみに「ドラえもんが道具を取り出すときのBGMファンファーレなるものは存在しない」と言う逸話は有名だが、これの元ネタはキテレツ大百科のせいだと思われる。ただし、道具を出した直後にBGMが流れることが多いので、これも勘違いを助長している。
主に藤子・F・不二雄アニメを制作しているシンエイ動画制作ではないのと、これだけがテレビ朝日系ではなくフジテレビ系なため、残念ながらテレビスペシャルなどを含めても他作品との共演は一切ない。強いて言えばワンシーンにのみ小池さんが登場していることだろうか。ドラえもんにて「F組」の一員として登場することもあるが数ある作品の一つ程度の扱いでしかない。
…なんて思って数年後、藤子・F・不二雄ミュージアムにて不定期に題材を変えて放映されている「Fシアター」にて、コロ助(キャストも当時と同じ)とドラえもんが共演する短編作品が作られた。
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こちら葛飾区亀有公園前派出所(こち亀)・・・本作の後番組